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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

rubbish talk_4. (意思決定の因果律)

2010-05-30 17:13:19 | Science
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大脳生理学上では、理性や情動を制御する前頭前野の働きによって、論理的・社会的な人間の「振る舞い」が決定されているらしいことが明らかにされて来ている。

事象や言語といった外部刺激に応じて、前頭葉の一部が脳内の信号を処理することで受動的に感情を生じ、次いで能動的な反応を身体行動で顕現する。


しかし問題となるのは、一般に周知されているこのモデルでは、自身に一定の反応を引き起こす「処理の仕方」が如何様に決定されているか、ということに関しては、その因果関係の理解にまでは及ばないというところにある。このままではエッシャーの『書く手』のような騙し絵のイメージでしかない。


人が何を歓び、怒り、哀しみ、楽しく感じるのか、その原理や指向性は一体何処から生じるのか。もっと単純な生命の場合との相似性は保たれているのか、など疑問は尽きない。とりわけ社会科学における脳機能概念の引用については、人間の抱く情動と振る舞いの因果性を語る上で、目も覆いたくなる程の「自明の公理」が安易に散りばめられている。



一つ言えるのは、人間の脳自身が、外部刺激の一次処理段階において、「それぞれの感情」を区別して処理しているわけではないだろうということだ。では、人間や生命を任意の適応度地形において相互作用する「群(Cluster)」として見なした場合の「感情」の立ち位置とは何かというと、それは個体の挙動を決定する要素をn次元媒介として収納した「チップ」のようなものだと置き換えることが出来る。(意識の本質は『時差』にある。)


この「チップ」は、進化の過程における群内構造中の個体行動の位置づけが力学的にプログラムされたものだ。それらは「過去に規定された (a priori)」ものでありながら、同時に「後験的 (a posteriori)」にフィードバックを繰り返して、このプログラムを書き換え続けている。一様な刺激に対する感情の「個体差」はそうして生まれる。


チップ内の信号は、群内における他の個体や外部環境刺激との相互作用で絶えずカリキュレーションを行っている。この計算処理工程が働くダイナミクスは、もっと単純な物理原理によるもの。即ち電位差によって生じるエネルギー交換だが、この現象を「情報差異」という概念にトランスすると、「情報」が電気信号の「相」の観察によって規定されるものであることが良くわかる。



「自己の境界」とは、(身体的な意味も含めて)その発生段階から外部環境から抽出されているものであり、その振る舞いもまた、決定論的な化学反応によって連鎖的に引き起こされているのであって、意思決定には、そもそも分岐や選択肢の存在が用意されているわけではない。


しかし、「現在」に立ちながら自己の振る舞いを時間推移に沿ってスライスしてみた場合、それは過去に向かってはケース毎の「処理結果」であり、未来に向かっては「拮抗する力学」となる。

人間として生を享受するにあたり、自らの感情と向き合うことに一定の負荷があるということは、少なくとも自身の脳がそのように仕向けているという限りにおいて、他者との対話と同等か、それ以上の価値があるのかもしれない。




□ 補論

□ ネット代議制の何が問題か?

「gov 2.0」などとして数カ国で動きを見せている、ネット投票による政治意志決定の可能性。現状のシステムでは、それを使役する層の「偏在性」と、現実として得うる政党議席数とのアンバランスにより、構造論から言っても『直接民主主義』の実現性は未だ遠いところにあると言わざるを得ない。(システムの公平性、不正操作のマイニング・セキュリティといった、技術・運用面での問題をクリアしていると前提しても)


そもそも大衆の意志を総括するシステムの評価・設計や、政策の立案自体に人為的な恣意が介入することがバランスを欠いている。議員を「社会活動を行う人間の一員が務めること」には、それなりの必然性が反映されて働いているし、現状実施されているgov 2.0の方法論では「マイノリティ」の意見が力学的に圧殺されてしまう懸念もある。


また、政治のメカニズム自体が人為上の概念的創造物であるのに対して、その内部に「大衆」の意思反映機関を繰り込んでしまうことに大きな矛盾を孕んでいる。今のところ数議席にそういう政党があってもいいとは思うが、どうせやるなら全議席(もしくは政党)が、それぞれの目的を抱える意思代替システムであるか、ネットを介した集合知そのものが全体に影響を波及するシステムを構築しないと、この理念の行く末はない。


いつしか、ネットやロボットによる「意思決定」が実用に足るレベルに達した時、過ちを行いがちな人間の政治に対して大きな抑止力として働くような権限を持つシステムを導入する時代は来るかもしれない。だが、政策の実行や、権利の執行機関となると、純然たる理念に基づいた機械論的政治システムでは、恐らく直接民主主義の掲げる「民主制」は、その人間性やモラリティを力学的に埋没させてしまうだろう。


GenoCon: International Rational Genome Design contest for Synthetic Biology.

2010-05-25 17:03:16 | Science
Rationalgenomedesign



□ First-ever contest in rational genome design based on semantic-web technology.

>> http://genocon.org/
>> http://www.riken.jp/engn/r-world/info/info/2010/100524/index.html


セマンティック・ウェブを基盤とした「合理的ゲノム設計」の公開型最適化研究。

ブラウザ上でクラウド的にプログラミングを行うBio-Informatics研究の新領域の試みが、次世代グリーンイノベーションへと向けた、ゲノム設計技術者をサポートする為の国際コンテストという形式で実践されます。

(※ ゲノム研究のクラウド化自体は、既に海外では試験的に導入され、最近の国際シンポなどで有効性が謳われています。)


因みに理研のサイトでアカウントを取ってエントリーすれば、誰でも"SciNeS"上のセマンティック・ウェブにアクセスして利用できるようになります。(私もエントリーしてみました。)

『生物学/プログラミングいずれか未経験者でもOK』と間口が広いながらも、規定や説明、選考基準に関しては、生物学の専門外のプログラマーたちにも一定の評価を得ている吟味された内容です。私も含めて「後学の為に」という方は、良く「抱負」の項目を考えて応募してみては如何でしょうか。


(※ GenoConの差し当たっての目標は、ゲノム設計士という提案の喧伝の他に、こうした公開型研究がクラウドとして機能するかどうかを試験的にブートしてみたいといったところでしょう。また、現状、国内のドライ系の研究者の方はBioPerlやBioRubyなどの記述に慣れた人も多いと思うのだけれど、同時にin-vitroな安全性の評価を行える専門家が既に一定数いるということを勘案に入れるべきか。さもなければ選考が相補的になるような。。)



つい先日は、アメリカのJ. Craig Venter 研究所が全遺伝情報を人工的に合成した細菌を作製することに成功しており、まずは環境適応型の『人工生命』という未来の技術的視野において、その開発エンジニアとなり、DNA配列をデザインする「ゲノム設計者」の為の人材育成の必要性が評価されています。


また、この世界的動向に先立ち、日本のJST(科学技術振興機構研究開発戦略センター)は、「環境適応型作物のゲノム設計技術」という戦略イニシアチブを打ち出し、その中で「ゲノム設計」の概念を定義付けています。

>> http://crds.jst.go.jp/output/pdf/09sp11.pdf

(※ ここで言う"Rational (合理的)"の意味は、「定量的可塑性がある」≒「プログラム可能な」)



【概要】
GenoConは、オープン形式で共通の課題解決に取り組む「公開型最適化研究(オープン・オプティマイゼーション)」という連携研究の仕組みと情報基盤を新たに提供し、バイオマス工学やグリーンイノベーション分野の発展に貢献します。コンテスト形式を採用することで、世界中の研究者から合理的ゲノム設計の手法とプログラムを募集して蓄積し、クリエイティブコモンズのライセンスの下で積極的に共有化していくことで、情報合成生物学を発展させるための集合知を形成していきます。
グリーンイノベーションでは、石油などの化石資源に依存した有用物質生産から、再生可能な資源であるバイオマス資源への転換が求められています。特に、化石資源の少ないわが国では、将来海外の資源に頼ることなく有用物質の生産を行っていくために、多様な生物種のゲノム情報を資源として活用し、資源増産につながる機能性植物を合理的ゲノム設計(Rational Genome Design)によって創出する技術の進展が期待されています。

(中略)GenoConは、理研サイネスにセマンティックウェブ形式※7で収録されているゲノムデータやタンパク質データなどの公開データベース群を活用して合理的にデータ処理を行うプログラムを作成することにより、植物の生理機能を高めるための最適なDNA配列を参加者に設計してもらうコンテストです。
GenoCon「研究部門(本選)」は、ゲノム科学、環境科学、バイオインフォマティクスや情報科学など、幅広い分野の専門知識と安全管理に詳しい人材の育成が期待できます。将来的には、「ゲノム設計士」という資格制度の創設を目指していきます。



「生命」をデータ化して制御・干渉が可能な未来がくれば、地球の資源運用とともに、その文明やパラダイムには、人類史上かつてないほどの劇的な変化がもたらされるかもしれませんね。ゲノムは「受け継ぐ」ものから「転写・デザイン」するものへ。このミッシング・リンクに孕まれるリスクを評価する手段も、今後は講じられて行くべきでしょう。


"Life finds a way (生命は道を探す)" これが生命の意志そのものなのか、環境との共進化と言えるのか。人間領域の制御触媒である記述形式、「情報データ」という電気信号を接地面として、マクロ・スケールで相互作用する、新たなランドスケープが拓けようとしています。




□ Clip.

□ Quantum Crack in Cryptographic Armour

>> http://www.nature.com/news/2010/100520/full/news.2010.256.html

量子鍵のクラック可能性
In standard quantum cryptographic techniques, Alice encodes each bit using the polarization of photons. When she sends these bits out, the polarization should be perfectly oriented in one of four directions, separated by 45 degrees (north, northeast, east or southeast).

In a perfect world, any hacking attempt would disturb a significant fraction of the bits' orientations, introducing errors just above the threshold. However, in practice, Alice cannot switch orientations for successive bits instantaneously ? each time she wants to send a bit with a new orientation, she has to change the voltage applied to the photon to shift its orientation. This gives the hacker time to swoop in and hijack the bit before it is sent out to Bob, measure it, and then send it on its way again.
「量子ハッカー」の時代来たる。鍵を作る時点の光子偏光に干渉し、通信を阻害しつつ、ランダムエラーの発生に付け込むという発想。量子鍵クラックについて、件の記事中で意見しているVadim Makarov氏が寄せたコメントによると、今回のアタックは現在知られている量子暗号システムにとっては脆弱で、脅威とは言えないと注釈。ただ、通信過程の両端にウィークポイントがあるのは昔から懸念されてますね。



□ NIH Proposes Conflict of Interest Rule
日本の厚生労働省に相当する米NIHの研究助成をうける際の、利益相反の開示基準が厳正に。

>> http://www.medpagetoday.com/PublicHealthPolicy/Ethics/20269

The proposed changes would:
・Lower the threshold at which a researcher's financial interests require full disclosure to $5,000 from $10,000.
・Require institutions to create a plan to manage all identified financial conflicts of interest, which might include reducing or eliminating the conflict. Institutions would need to report the key elements of their plan to the NIH.
・Require every Public Health Service-funded institution to post on a website information on all significant financial conflicts of interest.
・Require investigators to undergo financial conflict of interest training before engaging in Public Health Service-funded research, and every two years thereafter.




□ THE FINANCIAL CRISIS COLLECTION.
 A multiple journal collection of themed issues and free articles on the
financial crisis:


>> http://www.oxfordjournals.org/subject/social_sciences/financialcrisis.html

OUPの経済学7誌上で掲載された世界規模の経済危機に関する論文を集めたオンライン論文コレクション、無料公開しています。(@oxfordJNLsJapan)


rubbish talk_3. (コンサルティングの背景思想 ※ 補筆版)

2010-05-23 16:01:55 | 日記・エッセイ・コラム
Marineshadow
(IXY DIGITAL L2; Shutter Speed 6"; iPhoto.)



経営・マネージメント理論の多くで言われていることは、「要素への還元」。つまりマクロ的事象に対する分解と細分化の作用を基本概念に敷いている。しかし実際は、この社会で起こり得る、あらゆる複合的事象というものを分解していくと、実は全体との同一可換性を為さなくなることは、複雑系の数理モデルからも明らかである。


その上でコンサルティング・マナーが実効性を振るうのは、そうして抽出された方法論の一つ一つが、ある種の恣意的な文脈と現場との「辻褄合わせ」により、機能的に働く様を経験主義的に実証している風に見せかけているに過ぎない。アメリカにおいてコンサル側が投資銀行の力学に屈したのも必定と言えよう。

そして内部コンサルであれパッケージであれ、構築改編の執行者は常に対立を産む。企業に取ればソリューション以上に、内部統制のアリバイの意味合いが強い。


つまり技術論の部分以外に関しては、そのような詐術を読み解くか無視するかという姿勢を取ることで、自身の時間をもっと有効に投資できるはずであるが、既に人生を占める有限な領域への投資に忙しく、観察や考える時間の取れない人には箴言となるかもしれない。近年の資本主義経済の高度化に伴って、よりプログラム化された戦略的なポーター理論がドラッカーよりも好まれたのは、そういった理由もあるだろう。(或は『オルフェウス・プロセス』の理念など)


とはいえ、上のような「思想」と呼ぶべき言説は、マネージメントなどの目的を置いた二分法思考の外にあっては、人生における普遍的な価値と真理を単純化するアトラクターとも言うべき魅力を放っている。物事がアトラクターに沿って上手く運ぶように錯覚してしまうのは、それが実証されていないにも関わらず、経験的・確率的に「良い」ことだと知られるようになるからだ。

しかし経営戦略が定着・同様化した現実社会を見れば自明なように、それはゲームの勝敗を決する定式にはなり得ない。マクロ的事象を要素化する恣意的な「個の規定と個への要求」がパラドックスの瑕疵を孕んでいる為だ。


(※ 例の一つとして、経費によって維持されている目的に対して消耗を強いる矛盾=「減るものじゃないし」。しかし極端に言えば、「何もしない」という選択の戦略的価値は最先端の投資理論においても認められているし、逆に当初の目的を度外視した運用が意外な生産性に転換されることもある。)



多くの功績から学ばれた教訓、言葉の真性は、実はあらゆる「思想に先立つ」はずだ。太古の文明から人々が、そして社会が成功者の思想を財産として共有するのは、社会が成功を認めた者の言葉として取り上げられているからであり、彼らの言葉の受け止め方は、実はその因果性とプロセスに遡行して価値を見出されている節がある。


その本質を誰もが実行出来る訳ではないのは、環境や時間的要因よりももっと深刻な溝があるからである。強い思想に囚われたリサンプリングは、それが如何なる実践主義に基づいた方法論であろうとアンバランスを生じるのだ。(その振る舞いがフィードバックされた構造の複雑化に合わせて、ケースパターンの母数が乗数的に増加する。)

それでも尚、人々は「成果」を産むための「自己の信念」を捨てられるわけではない。ただ価値を求め過ぎるなということだ。或は自分が無意識に切り捨てているものの中にこそ、探し物があるかもしれない。



逆に「役に立たない知識に意味は無い」という理念について考えてみよう。意味は知識の文脈それ自体で作用する。役に立つ知識とは、それを道具として使役する価値があるということだが、データの集積が生産性にはならなくとも、生産性とは抽出データの相乗により成り立つものであるから、自ら関わらないに過ぎないものを、意味のない知識があるというのは妙な言い方だ。


医者には「医療知識と技術」の両方が条件とされることに代表されるように、これから先、社会は多くの新しい「テクノロジスト」を擁していくことは間違いないが、それに先立つのは彼らをマネージメントする方法論の議論よりもまず、最適化された「Development (開発の場)」の在り方と運用を見直すことだと、私には思われる。

(皮肉なことにコンサルティング企業は、クライアントの存在意義や案件自体を否定出来るものではないのです。)


Asteroid Explorer "HAYABUSA (MUSES-C)" finally within the reach.

2010-05-21 21:52:33 | Science
Hayabusaearthmoon


□ Hayabusa Captured its Home Earth!

>> http://www.jaxa.jp/projects/sat/muses_c/index_e.html
>> Project Details (PDF)

Hayabusa is currently 9,989,620 km away from the Earth, located at 8h33m14s RA and
30.08 deg DEC (Constellation of Cancer), as of 00:00:00 UT, 21 May 2010. From Hayabusa’s point of view, the Earth can be seen in a direction of Microscopium.



</object>


□ HAYABUSA -Back to the Earth-

>> http://hayabusa-movie.jp/



□ Falcon of phoenix (Fan made movie)

・Part.1
</object>


・Part. 2
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□ Mission Timeline.

>> http://en.wikipedia.org/wiki/Hayabusa#Mission_timeline
>> 経過 (日本語版)
>> Details of thousand trouble and recovery. (Fan Made Movie)


□ Criteria for HAYABUSA

・Operation of Ion Engines >> Success
・Operation of Ion Engines for more than 1000 hours >> Success
・Earth Gravity Assist with Ion Engines >> Success
・Rendezvous with Itokawa with Autonomous Navigation >> Success
・Scientific Observation of Itokawa >> Success
・Touch-down and Sample Collection >> Success
・Capsule Recovered >> ?
・Sample obtained for Analysis >> ?


□ IAA (International Academy of Astronautics)

>> http://iaaweb.org/
IAA 50th Anniv Logo: Goddard, Gagarin, Apollo, Voyager, MER, ISS and Hayabusa! Nominated w/ such great milestones.




古来より、日本人の精神性を大きく反映する観念的存在として『付喪神(九十九髪)』というものがあります。動植物から自然現象、道具や機械といった無機物にまで八百万の神が宿るという、この現代に至っても類希なアニミズムが定着する国として、世界中の文化人類学者の関心を集めているほど。


同様に、科学技術立国である日本のテクノロジーの結集として、今もっとも注目度を高めているのが、JAXAがリードする宇宙開発分野。特に精巧無比かつ圧倒的な低コスト化を実現したインダストリアル/プロジェクト両面の途方も無いデザインは、あのNASAをして呆れさせてしまうレベルにまで達しています。

それら「実現不可能」と思われたミッションの一連を為し遂げ、未だ偉大な功績をアップデートし続けている存在。それが小惑星探査機 "MUSES-C (通称:HAYABUSA)"なのです。



ここ数年、主にネットを軸とした我が国の宇宙事業への関心の高沸ぶりは、HAYABUSAの貢献に拠るものが甚大であり、いったい何がそこまで人々の心を震わせているのかというと、HAYABUSAの軌跡が、これから幕を開けるであろう宇宙時代を切り拓く、紛れもない「事実」によって紡がれる「物語」の大いなる序章に相応しい、普遍なる魅力を放っているからに他なりません。


あるいは開発者の言うように、これは宇宙広報の戦略としては、おそらく世界で最も成功した部類に入るのかもしれません。幾度となく致命的なトラブルに見舞われ、その度に復帰不可能と思われた状況を克服していく不死鳥の如き勇姿は、現況を伝える広報による情報開示の絶妙な匙加減やタイミングによって演出された部分も大きいでしょう。


こうしたムーヴメントについて、一部では扇情的で客観性に欠くとの批判もありますが、現場や事業面において、このセンチメンタリズムは恩恵にはなっても、少しも弊害にはならないと私は思います。実際、JAXAには一般から寄付金を希望する声が多く上げられたものの、彼らは「基礎研究が寄付に頼るようになると、注目を集めない研究の淘汰に繋がる」として断っています。これは基礎研究への投資を渋る現政権とは対照的な態度であり、科学従事者の鑑といえるものでしょう。



HAYABUSAが遭遇した、気の遠くなるようなトラブルとリカバリの歴史は、あらゆる事業における先見性と予備投資の重要さを物語っています。

特に2005年12月の通信途絶(3ヶ月を掛けた充電や、未実証の太陽帆理論を応用した軸安定)から、昨年のエンジン停止(万が一の為に挟めておいた80円のダイオードで二つのエンジンを仲介して復帰)まで、絶望的状況を針穴を通り抜けるように次々と打開していった裏には、開発者や運用スタッフの類い稀な才知と忍耐の駆使があり、そのドラマを通じて擬人化されたHAYABUSAの姿は、彼らの、そしてそれを応援する私たちの心を映す鏡としての、他ならぬ『魂』を照り返しているに違いないのです。

他者を担保する『心』という作用、その響きと共鳴が感動を織り成す。HAYABUSAが遺すものは、小惑星サンプルや科学的データ以上の大きな夢の種であり、今それを地球の未来へ、私たちの胸へと植え付けようと帰路についている。



5月12日、HAYABUSAは遂に蒼く輝く故郷の空を視界に捉え、その姿を測位用のCCDカメラで撮影しました。もう満身創痍、人間の脳にあたるメモリのビット反転エラーも多発し、もはや彼は自身が何者なのか、何を為し遂げたのかも、自分ではわかっていないのかもしれません。(そのため小惑星サンプルの採取の成否も不明)

6月13日には、そのサンプルが収納されたカプセルを地上に向けて射出。JAXAのチームがオーストラリアのウーメラ砂漠で回収する手筈となっています。そしてHAYABUSAは自ら大気圏内に突入し、燃え尽きる運命を全うしようとしています(そのデータも「地球に衝突する小惑星の軌道予測のためのシステム開発」に用いられる)。



本日5月21日、日本の宇宙開発の先陣を担うJAXAの探査機と衛星が再び宇宙へと旅立ちました。金星探査機「あかつき(PLANET-C)」、世界初の小型ソーラーセイル実証機「IKAROS」の二つです。この両機の開発と運用には、HAYABUSAだけではなく、悲運にも宇宙の塵と化した失敗も含め、先例の遺した甚大なノウハウが結集されていることでしょう。


そして、現在は「はやぶさ」直系の後継となる地球近傍小惑星へのサンプルリターンを実行する為の、"HAYABUSA 2"の開発計画が進められており、応援を募っています。

日本の宇宙開発の父の名を冠した「小惑星イトカワ」と同じく、これらの小惑星研究は太陽系の起源に遡り、地球やそこに這う生命も含め私たちの「組成」と「ルーツ」を辿る重要な意義が込められています。もちろん、未来の資源開発への足がかりとしても大きな一歩となるでしょう。そしていつか私たちは思い出すはずです。この時代の幕開けを飾る、小さな探査機の偉大な物語があったことを...。


金融システムの黒点と影 - Who controlled the trading error?

2010-05-09 06:00:57 | ニュース
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(ダウ・ジョーンズ工業平均がメルトダウンする瞬間 3:50から)



Graph
(Dow Jones Industrial Average)


□ Euro Will Collapse Like Tower of Babel (CNBC)

>> http://www.cnbc.com/id/37012541


□ All Indices Now Down For The Year (Business Indsider)

>> http://www.businessinsider.com/


□ Citigroup Denies Human Error Contributed to Wall Street Tumble.

>> http://www.banktech.com/ Bank Systems & Technology)


一体どれだけの人間が"Million"と"Billion"を打ち間違えた『誤発注』説を真に受けているのか(火元とされたCiti Groupは断固として否定している)。但し、それが実際に起こったのだとすれば、株価に及ぼした「影響」を論じるのではなく、「なぜこのタイミングで?」を疑うべきです。

ユーロ通貨を媒介したギリシャ財政危機との「共振作用」とも言い換えられる世界同時株安ですが、果たして13兆円のIMF拠出ですら、どれだけもつのか不透明。更に大規模でリスクヘッジに特化した基金の創設を叫ぶ声も高いものの、ファンドの動向は既に数年後のギリシャ・デフォルト(債務不履行)を五割の確率で予測するに至っています。


近年の株式市場の動向を理論物理的に捉えてみると(これは可視化すると面白いかもしれない)、システムの不安定さが増幅する周期(e-folding time)が、ここに至ってより軌道を収斂させている様子が見て取れます。これはもう寿命を迎えようとしている複雑系に見られる振る舞いなのだけれど、これが一過性のものとして再び安定軌道に乗るのか、それとも破綻を迎えるのかといった評価は、事実結果からタイムスケールを辿ってするしかありません。


実際、不良国債を保有する金融機関が確実に一層増す程、金融システムそのものに対する不安感は乗数的に影響を顕在化させていくに違いないし、未だ表面化していないだけで、ギリシャとは債務の質が根本的に異なるものの、例えば日本のように債務がパンク状態に陥る見込みの国や州レベルの自治体は、世界中にいくらでも潜在しているのが現実です。


EUは本日付けで、「経済実態より市場の雰囲気に依存して格付けをしている」として、格付け会社に対する登録義務制やヘッジファンド、デリバティブへの規制を打ち出しているもの、投機牽制への効果は疑問視されている現状。

しかし私は、「システムの性格がルールに先立つ」ことが容認されてきた金融市場にとって、これは必要な措置だと考えています。自由取引と法的制限の天秤。この狭間の最適解は現存する如何なるコンピュータでも見つけることは不可能。しかし一体誰が「格付け」の結果を予測し、一体誰が「予測」の結果を予測しうるのか。それとも、その影は「誰でもない私たち」のものか?



先の誤発注の件に話を戻すと、ああしたシステムの穴が、金融不安という影に隠れて事態を籠絡することもあるだろうということ。5月決算を目前にして、更なるハイレバレッジ規制の前に投資筋が仕掛けたという説も真しやかに語られています。それが如何に不自然な挙動であれ、損切り原則をプログラミングされた世界中のコンピュータが、「お互いに議論する間もなく」自動的に振る舞ってしまう。あるいはそのような事態を招きたい人々がいるとすれば、それは誰か。その影の中に何が覆い隠されたのだろうか。


ナスダック市場は「株価急落前の水準から大きく外れた取引を取り消す」という異例の措置を講じるとするものの、既に動いてしまった先物取り引きを無かったことにすることは不可能で、その不整合が中長期的にはシステムに深刻な影を落とす懸念もあると思います。



リーマン・ショック、ギリシャ危機と、短期間に多大なリスクを経験した投資家たちが、あらゆる公的債務をリスク視することになるのは自然の摂理で(一方で、前者の教訓からECBはギリシャ国債を賢明に維持している)、更に外需が落ち込むとなれば、日本のような世界最悪規模の自国国債を背負っている国家からすれば、ギリシャへの公的資金投入が、自身の死活問題そのものであると言えるでしょう。


Enigma 20th Anniversary : ART CONTEST.

2010-05-09 05:59:42 | Enigma
E7_artcontest


□ Enigma Wallpaper Contest.

>> http://bit.ly/bRE4Sk


というわけで、始まりました20周年企画。("MCMXC a.D."のリリースから数えて)来月には更なるサプライズが用意されているということですが、差し当たって発表されたのが、このウォールペーパー・コンテストの概要。

クレトゥ自身も含めたEnigma Managementの審査員によって評価され、TOP 10に入賞した作品はenigmaspace.comのFanlibraryへの掲載、さらにTOP3は、クレトゥのサイン入り"Platinum Collection"をゲット出来るそうです。


応募に当たっての条件は以下、(転載)
1. We are looking for individually created wallpapers. There are no artistic restrictions or guidelines.
2. The number of wallpapers per person are not limited. Please note that every upload requires a new uploading process.
3. All wallpapers must be released under a free license in oder to be showcasted on www.EnigmaSpace.com.
4. Make sure that you meet the format and size guidelines (1024 x 768, 1280 x 800, or 1920 x 1080 / jpg, jpeg, png or bmp).
5. There is a max. upload capacity of 4MB per file.
6. You need to subscribe in oder to upload your wallpaper in the premium section. Make sure that your contact details are up to date, so that we can inform the contest winner.
締め切り: 06/06/2010
結果発表は締め切り後、約一週間後。



ということで、かなり自由度は高め。
こういうコンテストの場合、使用する素材の出典についても細かい取り決めがあったり、国籍制限があったりする場合もあるので、敷居は低いです。独創性が問われる分、間口は広いと言えるでしょう。


これが「ニューアルバムに採用」とかだったりしたら、もっと反応が凄いんでしょうけどね~(もちろん制限も)。でも、過去作を通じて一貫した芸術性と美学を貫いて来たEnigmaの『Art』への拘りを感じさせる、実に「らしい」イベントではあると思います。チャレンジしてみようかな...


報道管制された日本の口蹄疫感染 - FMD in Japan 2010 CENSORSHIP.

2010-05-07 16:21:26 | ニュース
□ Foot-and-mouth outbreaks in Asia spark vigilance call.

>> business.scotsman.com (07/May)


口蹄疫の確認は、現在までに35例目となった。殺処分対象家畜は、牛豚合わせて、44892頭。移動制限、搬出制限等もあり、経済的ダメージは計り知れない。また、防疫対策に従事している方々や生産者の方々の精神的肉体的疲労は、最早限界に来ている。
- governor of Miyazaki Prefecture (tweet on May 07).


『過去100年で最悪のパンデミック』と言われる規模の感染拡大という状況にも関わらず、大手マスコミが気味悪いほどに一様に口を鎖す異常事態。つい先ほど、災害派遣という形で自衛隊がようやく出動し、更なる追加派遣も検討されているが、この事態への政府の対応は常に後手後手に回っている。

今こうして記事を書いている間も、状況は刻一刻と変化している。現場では獣医師や衛生関係者、学生までもが総動員で封じ込めに当たっているという。


こんな時に外遊中の赤松農水相の代理である副大臣に至っては『牛の感染は落ち着いて来ていると聞いたので、今の対応のままでいいと思う。豚はどうなるかわからないけども食肉産業への影響は小さい』というような発言。呆れ返るような現場を無視した欺瞞と空論の結果、今こうして最悪の状況を招くに至っているのだ。


畜産規模が大きく集合した地域にあるため、国際指針において殺処分対象となる家畜の頭数について、これを一様に感染規模と見なすことは出来ないのだけれども、(大量殺処分エリア封じ込めによるリスク縮小効果が勝るため)宮崎県、ひいては日本の畜産業にとって史上最大クラスの甚大な損失を被ることは事実。



風評被害とパニックを怖れて、テレビ局には報道規制が敷かれているとマスコミ関係者を名乗る方々の情報源から訴えられているが、それもほとんど枯れ井戸のような報道状況を見れば一目瞭然、納得のいく説だ。初動防疫失敗が非難されている民主党議員も、箝口令が敷かれたかの如く沈黙する有様。



感染源については、今年始めから口蹄疫が蔓延した中国・韓国が経路であろうことが有力視されているため、(分離解析により近縁のウィルスであることが同定された) 親中政党と言われる民主党にとっては、これが非常に都合の悪い事実であることも指摘されている。


また、韓国での口蹄疫感染リスクを鑑みて、日本では長年韓国食肉や飼料の輸入を制限措置していたのに、それをまさに政権交代直後、解禁したのが民主党であるという構図もある。しかも後になって最初の感染が確認された3月のケース(発覚は4/22)の前には、韓国の食肉業者団体が宮崎の農場を視察しているという。(要ソース)

加えて、事実として今年始めの韓国での口蹄疫感染に際し、日本での感染リスクを評価せず、専用の消毒液を大量に輸出したため、初動防疫に十分な量の消毒液の確保が遅れたという失策を指摘する学者もいる。


感染拡大後の対応については、国民不安を煽るなどとして最後まで自衛隊出動を渋る始末。しかも現地で直接対応に当たる中央畜産会といった社団法人は事業仕分けの対象となっていて身動きが取りづらくなっているなど、かつて自民党が130億円をあて、全力で封じ込めにあたった10年前の口蹄疫流行の状況とは大きく体制が異なっている。(エリア封鎖、市場出荷停止は最低限かつ常識的対処であり、評価されるレベルではない)


但し、数百頭の処分で済んだ場合ですら、国際獣疫事務局(OIE)が認める『清浄国』への復帰には半年以上かかり、食肉輸出業にとっては今回のケースが如何に致命的かを推察するのは容易だ。


既に日本畜産の輸出相手国は、日本からの食肉輸入を凍結している。ただ、近代史上最悪(700万頭の家畜を処分)の口蹄疫被害を被ったイギリスのケースでは、経済的な損失が4兆円規模を超える額に昇るとの試算が為されているのに対して、日本では食肉輸出規模(国内生産量に占める輸出の割合は0.15%)が小さいため一概に比較はできないが、それでも同様に全家畜の移動が制限されれば、国内畜産業者は窮状を免れないだろう。



マスメディアでの扱いが下火であるのには、防疫手段として敷かれている取材規制(関係者が出払ってる上に、彼らとの接触が制限されている、人や物資の移動そのものが禁止されている等)に拠る所も大きいと思われるが、とにもかくにも国民は知る必要がある。マスコミが黙るなら、ネット界隈からでもこうして声を上げるしか無いのだ。


そうした詳細な状況や経緯を知ることにより、このタイミングを利用するかのような小沢氏の宮崎県訪問にも、国民はもっと批判的な目を向けられるはずなのだが...赤松農水相が帰国次第、いっせいにメディアを解禁して救済アピールを演出するのではないかと邪推する向きもある。



今後の対応としては、宮崎県や業者らに対する何らかの保障を検討することが急務であると考えられる。また、将来の口蹄疫感染への対処としては、マーカーを利用したワクチンの有用性を説く向きもあるようだ。現在、国際指針に従って全処分が妥当とされているのは、その費用対効果と技術的な困難さから、口蹄疫のDNAワクチン開発が取り残されている為だ。

しかしバイオ技術の進展は目覚ましく、自然感染との識別可能なワクチンを開発する為の基幹技術は存在するとのこと。(不活化口蹄疫ワクチンから一部の蛋白部分を除く)これを用いれば大量殺処分という指針が事実上必要な措置ではなくなり、また経済的にみても畜産経営リスクを遥かに軽減するメリットがあるという。



たった今のニュースによれば、農研機構動物衛生研究所の検査において、他の都道府県での感染は確認されていないことが発表されたそうだ。


David Lyndon Huff / "WorldBeat Asia"

2010-05-05 18:32:47 | music10
Wbasia


□ David Lyndon Huff / "Worldbeat Asia"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>New Beginnings
Eastern Journey

Release Date; 21/04/2010
Lanbel; Green Hill music
Cat.No.; GHD5679
Format: 1xCD

>> Green Hil Music Artist Page


>> tracklisting.

01. The One
02. Essence of Paradise
03. Siam Horizon
04. Beijing Nights
05. Eastern Journey
06. Malaysia Sunset
07. Asian Blue
08. New Beginnings
09. Reflections
10. Walking Dreams

Composer: David Lyndon Huff.
Vocals: Ayaka Nanako, Haruka Natsumi
Koto, Shamisen: Kanji Tsutsui
Audio Mixers: David Lyndon Huff; Amile Cartijen.
Recording: Eastlake Studios, Nashville, TN; Synergy Studios, Atlanta, GA.



An intriguing blend of modern musical technology,
global elements and influences of the Far East



主にNew Age / Light Jazz / Chill Out系クリエイターを中心に擁し、スタイルに拘ったコンセプチュアルな消費型アルバムを多くリリースするGreen Hill Music。そのレーベルを顔と言えるトレンドセッターの一人、David Lyndon Huffによる"Worldbeat series"の4作品目が、凡そ7年ぶりに登場。



彼のソロデビュー作である、1作目 "Worldbeat: World Music For A New Millennium"は、あからさまにEnigmaやDeep Forestのフォロワーとして製作された作品だった。

それらのエッセンスをフィルターに濾したかのような、適度にソフィスティケイトされたチルアウト・アレンジは見事で、お約束ながら民族音楽・グレゴリオ聖歌といった素材を散りばめたエニグマ世代の王道サウンドとして、それなりのクオリティと面白さを醸し出している。


その後、彼の他のライト・アンビエント・プロジェクトである"Sound Therapy series"や"Celtic Dreams"といった企画と平行して、レーベルメイトとの共同製作で"Worldbeat: Brazil"、"Worldbeat: Africa"などといった、更に各地の素材にフォーカスしたチルアウト・アルバムを製作している。



今作には"Worldbeat: Asia"というタイトルが付されているものの、その引き出しはやや狭隘と言わざるを得ない範囲に取材したものである。歌い手としてクレジットされている日本人名の不自然さも相俟って、西洋独特のエスノ幻想に取り憑かれた妖し気な雰囲気を醸し出しており、それはそれとして味を出していると言えなくも無い。


何より、1990年代中期で時間が止まったかのようなビートアレンジは、何処かノスタルジックな気分を誘発してムードに酔いしれる部分もあり、Cafe del MarやBuddha Bar系コンピに代表されるIbiza Chillのように、下手に今風に洗練されて整合性を失いがちなジャンルとも一線を画する様式美がある。



しかしあくまで平易なムード・ミュージックに徹している為、これを「今の作品」として対峙するには辛いものがあるだろう。また過去作品、とりわけ一作目にあったような「楽曲性・テーマ性」を強く主張する節回しもなく、上滑りでしらじらしい日本古謡「風」な演奏、中国伝統歌「っぽい」モチーフに、しかし確実に得も言われぬミステリアスな気持ちにさせられるのである。



David Lyndon Huffは、CCM(Contemporary Christian music)のアレンジャーとして名高いRon Huffの息子として、アメリカン・ミュージックの聖地、Nashvilleで育つ。青年期になって彼は兄弟であるDann Huffとともに、Heavy Metal Band、"Giant"を結成。ドラマーとしてのキャリアを積むものの、バンド自体は一発屋に終わり解散。その後、ワールドミュージックやNew Age音楽に魅せられ、現在に至るという。


Chicane / "Come Back"

2010-05-03 12:03:28 | music10
Comebacksingle


□ Chicane / "Come Back" Single

>> http://www.chicanemusic.com/

Release Date; 26/04/2010
Label; Enzo Recordings
Cat.No.; None
Format: Downloadable Single
Note: New Album "Giant" Coming Soon!


>> tracklisting.

1. Come Back (Radio Edit)
2. Come Back (Original Club Mix)
3. Come Back (Sidney Samson Remix)
4. Come Back (Shock One Remix)


□ "Come Back" Official Video.

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何このPV、ふざけてるの?


ところがどっこい、本人達は真剣も真剣。なぜなら、われらが愛のハートブレイカー「パンツマン」には、溢れんばかりの想いを伝えなければならない、かけがえのない女(ひと)がいるのだから...

そうだ、ヨーロッパへ行こう


寒風吹きすさぶドーバー海峡を渡り、欧州全土を股にかけ、わが胸を焦がさんばかりの「愛」、この大いなる「愛」を、国境を超え遍く人々に振りまくのだ。やがて彼らは知るだろう「パンツ往く所に笑顔咲く」やがて彼らは讃えるだろう「愛満ちるときまたパンツたなびかん」と。そして私はいま、万感の想いを込めて叫ぶのだ"Come Back"と。



なんて女々し、( ;∀;)イイハナシダナー


このVideoの主人公パンツマンこと、ガールフレンドに振られて傷心の日々を過ごすWayne Lennox氏は、ふと目についた小石をけったり、自分の影にじゃれついてみたり(したのかどうかわかりませんが)、彼女とどうにかしてヨリを戻すため、あろうことかChicaneのPVという形を借りて二人の想い出の地を巡り、彼女への壮大なビデオ・メッセージを製作してしまいました。なんとこれが実話と連動した企画なんですね。


楽曲がPaul Youngの名曲"Come Back & Stay"のカヴァーだってのも泣かせるじゃないですか。そんなわけでこのPV、公開2ヶ月で400,000 再生を記録。世界中の人々の冷ややか生温い視線を浴びつつ、その顛末はどうなったかというと...

>> So... did she Come Back? THE TRUTH!!


☆おめでとうございます☆
しかも、オ・メ・デ・タ なんです!

でも、
なんでよりによってエイプリル・フールにupしたんでしょう。
(Chicaneは"this is NOT an April Fools joke!!"と念を押しています。)


視聴者の中には、「お前の脳内彼女を見せてみろよ。huh?」とか心ないコメントを寄せる不届き者もいますが、湧き上がる疑念やドス黒い嫉妬の情もこらえつつ「おめでとう!」と言えるのが大人であり、世界で一番優しい嘘なのではないでしょうか?



5月末頃にリリースされると噂されているニューアルバム、"Giant"(仮題)。Official Siteで数曲試聴できますが、今まで以上に80's フレーバーを前面に出した作風であることが窺えますね。