lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Balligomingo / "Under an Endless Sky"

2009-07-27 17:32:21 | music9
Uaes



□ Balligomingo / "Under an Endless Sky"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>A Beautiful Day
Under an Endless Sky

Release Date; 12/07/2009
Label; Chrysalis Music Group
Cat.No.; none (8 84501 16978 3)
Format: 1xCD
Note: Promo Version.

>> http://www.balligomingo.com/
>> http://www.myspace.com/balligomingomusic (Samples)
>> UNDER AN ENDLESS SKY (Order at Amazon.com)



>> tracklisting.

01. Spinning
02. A Beautiful Day
03. I Just Tell Myself (Extended Version)
04. Letting Go
05. Under an Endless Sky
06. Sunshine in Rain
07. Dream Believer
08. New World
09. Goodbye
10. Over You
11. You're a Star
12. La Bonita


Additional Tracks for Free Download.
01. Goodbye (Jeratone Remix)
02. A Beautiful Day (Hush Remix)
03. Dream Believer (Jeratone Remix)
04. You're the One



Written & Produced by Balligomingo
Vocals by Jody Quine & Rebecca Ramone
Recorded & Mixed at Hush Studio
Balligomingo is Garrett Schwarz, Vic Levac, & Jody Quine



“The sun will shine again
I'm letting go and I sing
The sun will shine again
So now I know and I sing to you.”

???????????????????????????????????"Letting Go"


どこまでも深い青をたたえる真夏のルミネッセンス。Balligomingoの奏でる冷艶な歌の響きは、どこまでもクリアに、そして輝きながら、あの水平線の彼方まで一陣の爽涼な風を吹き渡す。



凡そ8-9年前に遡りますが、旅行家であったGarrett Schwarzが当時全盛だったDTMサイト、mp3.comにおいてBalligomingoを立ち上げた際、ライブで知り合ったというDeleriumのBill LeebとKristy Thirskとの親交が殊更に取り上げられていた頃は、その音楽性もEthno/World Music的要素をふんだんに取り入れた楽曲が多く、早くからそっち系のリスナーを大きく囲い込んでいました。


しかし、長く待たれていた2002年のアルバム"Beneath The Surface"では、それまでにリークされていた、DeleriumやEnigmaといった系統の民族色の濃いアンビエント・トラックの大部分がカットされ、爽やかで瑞々しいアンビエント・ポップへと転進。それでも、その根底にはNew Age/Trip Hopへのオマージュが聴き取れるサウンドが展開される希少な名作として、未だ支持を集め続けています。



"Under an Endless Sky"は、Balligomingoの音楽性への認識の違いによって、例えばその独特なポップ性を求めるファンには更に訴求するものの、New Age的な音を求める一方のリスナーを、以前にも増して落胆させるものであるかもしれません。


Deleriumにも参加しているVic Levacの哀愁のギターは、Balligomingoをその他大勢のアンビエントポップ・クラウドから一線を画す欠かせない要素で、今回も前作のリフのアレンジを多く取り入れるなどして、Balligomingoの特色を呼び戻すのに一役買っています。

涼みのあるアダルトな歌声を聴かせる女性シンガーとして方々で活躍するJody Quineは、共に"Viia"というユニットを組んでいたVicのギターとの相性も抜群で、この二人の存在感は前作以上に色濃く反映されている印象。また、Additional guitar & pianoとして参加しているJerry Sintichも、Viiaのバンドメンバーを務めていました。


Rebecca_3

今作の新顔であるRebecca Ramoneは、ヴァンクーバーを拠点に主にライブハウスなどで活動するブルース・シンガーソングライターで、ともすれば冷ややかに響きがちな"UAES"のサウンドに甘く情熱的な彩りを加味しています。


他にも、PianoやProgrammingなどのインストゥルメンタルでは、JazzベーシストのZir Que Bonnerや、俳優兼ミュージシャンのGeraldo Domineliが参加。ボストンの経験豊富なクラブシンガー、Michelle Lewisを"Over You"のライターに招くなど、Garrettの独特の人脈が窺える起用となっています。


こうして"UAES"では、前作のようなテクスチャを削ぎ落としながらも、シンプルで潤色に溢れたGarrettのシンセワークを軸に、カントリーやジャズにも通じる、何処か乾いたドライヴとスウィング感が心地良い新たな作風が吹き込まれています。



Garrettによると、"UAES"のフルプライス盤は、後日改めてBMGよりリリースされるとのこと。今回このPromoを購入した人は、それぞれE-mailでのコンタクトにて、Remixと全曲のLyricsを同梱したファイルの配布を希望することが出来ます。尚、Amazon.comでは"UAES"のDownloadable Album(歌詞・ジャケット付)としての販売が開始されました。


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A Beautiful Day

Still it's you you're in the dream
I can see where we are and it's raining
Steal away and now we're running in the rain
I can see it we are
and your lips smile
Our eyes are the ones talking now
Beating hearts say that we mean it
I know it's the dream I had about you

Now that we're standing here in this moment
I am so beautiful
Now that holding still in this moment
We are kissed by the summer breeze

It's not hard to imagine as the rain comes down,
a beautiful day
It's you I imagine in the dream I had
So beautiful
A beautiful day

Still it's you, we're in the dream
I can see the rain falling so sweetly
Steal away and now we're running from the world
Your eyes are talking now

I am so beautiful
here in this moment
when I stare at the sun

It's not hard to imagine as the rain comes down,
a beautiful day
It's you I imagine in the dream I had,
so beautiful, staring at the sun
Beautiful day
It's a beautiful day.

It's raining.

We are off inside light
We are we are
We are we are
We are off inside light
when I'm with you.

It's not hard to imagine as the rain comes down,
a beautiful day
It's you I imagine in, the dream I had
So beautiful
A beautiful day
A beautiful day

****************************************************************************

あなたがまだ夢の中にいるとしても
私には見える どしゃ降りに佇む二人
雨粒を切ってこっそりと駆け出すの
たしかに私たちなのよ
唇を綻ばすあなた
絡めた視線が語りあうのは
この鼓動に託した全て
そう これは私があなたに夢見たこと

そして あなたと向き合うこの瞬間
私はこんなにも晴れやかに
いつまでもこの瞬間に囚われたまま
夏のそよ風が唇に触れる


ある晴れた日に
いつだって雨はやってくるけど
こうしてあなたを夢見れば
なんて晴れやかな気分
ある晴れた日に


でもね まだ夢の中
シトシトと降り続ける雨が見える
この世界をこっそりと駆け出したら
あなたの瞳は語りだすでしょう

なんて晴れやかな気分
今この場所で太陽を仰いで

いつだって雨はやってくるけど
こうしてあなたを夢見れば
なんて晴れやかな気分
太陽を仰げば 美しい一日
この一日が晴れ渡る


雨は降り続ける...

私たちは光を切り離して
私たちは...
私たちは...
光を切り離すの
あなたと会うために


ある晴れた日に
いつだって雨はやってくるけど
こうしてあなたを夢見れば
なんて晴れやかな気分
ある晴れた日に
ある晴れた日に


Balligomingo / "Under an Endless Sky" Coming Soon! and Sleepthief New Album.

2009-07-16 08:33:57 | music9
Uaes



□ Balligomingo / "Under an Endless Sky"

>> http://www.balligomingo.com/
>> http://www.myspace.com/balligomingomusic (Samples)
>> UNDER AN ENDLESS SKY (Order at Amazon.com)

Release Date; 12/07/2009
Label; Experience Soundescape Productions
Cat.No.; tba
Format: 2xCDs

>> tracklisting

01. Spinning
02. A Beautiful Day
03. Letting Go
04. New World
05. Under an Endless Sky
06. Sunshine in Rain
07. Dream Believer
08. Goodbye
09. Over You
10. You're a Star
11. La Bonita
12. Goodbye Remix (Bonus Track)
13. Beautiful Day Remix (Bonus Track)
14. Dream Believer Remix (Bonus Track)
15. Thinking of You (Bonus Track)



かつてポスト・デレリアムの最右翼と謳われながら、この7年間まったく姿を見せることのなかった、Garrett SchwarzとVic Levakによるニューエイジ/エレクトロ・ボーカルユニット、Balligomingo。

彼らの最新作、"Under an Endless Sky (UAES)"のPromo盤が、このたびネット上でゲリラ的にリリースされました。


ことの経緯(いきさつ)はやや複雑で、そもそも"UAES"は今年の2月にBMGから2枚組でリリースされるはずだったのが、アナウンスもなしに唐突の延期。BMGは改めて今年の後半にリリースをセッティングしたものの、業を煮やしたファンの声にGarrettが応える形で、あくまでプロモ盤という名目において、自身のレーベルからAmazonのMarketplaceを介した先行リリースを敢行。


ところがその直後、Amazon側がBMGのスケジュールに"UAES"がリストされていないことから、Garrettの販売行為が規約に反しているのではないかと疑いを持ち、マーケットプレイスからシャットダウン。週明けに再開されたものの、この騒ぎに翻弄されて、オーダーが取り消されたり、ダブルオーダーになってしまったファン(私もその一人です。。)が多くいるのも事実です。


ともあれ、もう無事に発送されたようなので一安心(?)手元に届いて聴き込んだ後、レビューしたいと思います。




Labyrinthineheart



□ Sleepthief / "Labyrinthine Heart"

>> http://www.myspace.com/sleepthief

Release Date; 25/08/2009
Label; tba
Cat.No.; tba
Format; 1xCD

01. Here I Confess  {Joanna Stevens}
02. World Gone Crazy  {Coury Palermo}
03. Skimming Stones (Reprise)  {Kirsty Hawkshaw}
04. Labyrinthine Heart  {Jody Quine}
05. A Kind of Magic  {Zoe Johnston}
06. A Cut from the Fight  {Kristy Thirsk}
07. Rainy World  {Caroline Lavelle}
08. Ariadne (The Dividing Sea)  {Joanna Stevens}
09. Reazon Why  {Zoe Johnston and Coury Palermo}
10. Fire King  {Jody Quine}
11. Reversals  {Kristy Thirsk}
12. I Know There's Something Go On  {Roberta Carter Harrison}



こちらはBalligomingoのフォロワーとも言うべきユニット、Sleepthiefの最新作が来月リリース。Jody Quineは双方にヴォーカルとして参加しています。Thirskが2曲も!!歌ってるので、私にとっては、それだけで贅沢な作品になりそうです。


アルバム収録曲以外にも、Kirsty Hawkshawなどが参加した未発表音源が3つ存在するようで、それらは今後リリースされる予定のシングルや、Remix Album等に分散されるよう。う~ん、商売上手。。


Sense of Wonder.

2009-07-10 09:56:02 | music9
Sense_of_wonder_2
(IXY DIGITAL L2; Exp ±0; AWB.)



□ lens, align. Mix

Sense of Wonder   (27MB)


>> tracklisting.

01. "Book of Days" / Enya
02. "Dance with Life (Brilliant Light)" / Bryan Ferry
03. "The Orchard" / Thomas Newman
04. "Fields of Gold" / Sting
05. "A Whiter Shade of Pale" / Annie Lennox
06. "Athair Air Neamh" / Taliesin Orchestra
07. "I don't know what you want" / Pet Shop Boys
08. "Private Emotion" / Ricky Martin & Meja
09. "After TIme" / eRa
10. "Painful Love (Epilogue)" / Øystein Sevåg & Lakki Patey




誰もが経験する青春時代、その感受性のピークに目に耳にしたものは、大きな波面となって人生に影響を及ぼし続けるもの。


今回のlens, align.Mixは、私がそんな時期(主に高校時代)に良く聴いていたMDの中身を再現する方向で作ってみました(笑)

夏の夕暮れ、イヤホンを携えて歩いた畦道、涼やかにそよぐ葉風に波立つ水面、木陰にざわめく虫の音を重ねて、遠く赤らむ雲の梯を見遣って、その一瞬に永遠に囚われてしまったかのような感覚。


思えば今の音楽的嗜好も、あの頃の出会いに大きく方向付けられてしまったような気がしないでもないですね。音源の多くはCDよりもラジオソースだったりして、今となっては曲名もアーティストもわからないものがあって残念。あの頃の瑞々しい感動を振り返ってみたいものです。


当初は動画形式で製作を進めていたのですが、でっかい風邪を患ってしまい断念。いつにも増して内省的なミックスではありますが、お楽しみ頂ければ幸いです。


おなかがいっぱい iPhone 3GS.

2009-07-05 16:52:02 | デジタル・インターネット
Iphone3gs



□ iPhones 3GS  16GB

>> http://www.apple.com/jp/iphone/iphone-3gs/


「新型iPhoneのホワイト買ったよ~」
同僚「すげぇ!アイホン初めて見た!」
「触らせてやらないこともない。」
「おぉ。。ツルツルしてる!便器みてぇ!!」
「(ill゜д゜)・∵べっ...ベベベベ、ベン・・・」


日本の夏、iPhoneの夏。
というわけで購入から一週間、使い続けた感想は...。

あれ?
なんかもうおなかいっぱい。。。


日頃からiPod Touchを使い倒してたので、これで電話できるよ!写真とれるよ!って言われても、いまさら新鮮味を感じられるわけでもなく...。でも、外出時のポケットがスッキリして涼しくなりました!これが最大の恩恵。


Iphonelock

まず外に持ち出す前に必ずやっておきたいことは、設定の「サウンド」からロック時の音を「オフ」にしておくこと。待機スイッチの音がカメラのシャッター音と紛らわしいので、放っとくといらぬ誤解を招くかもしれないのです。

OS 3.0になってからSMS/MMSに対応したことで、ケータイメールとの互換性を授かったiPhoneですが、せっかくですからEメール(i)の設定もIMAPで行っておきましょう。


iTunes上で購入音源の着信音への編集が行えますが、私のライブラリには対応ファイルがありませんでした。。ということで、システムの音回りはコオロギやグラス、鐘楼など、なるべく涼し気な環境音に統一しています。


Iphonetouch
(夏はやっぱり、キンキンに冷えたiPhoneが格別♪)


3GSが3G“Speed”たる由縁、その処理能力の高速さですが、ハッキリ言って良くわからないけど(笑)今のところ快適ですね。モバイルに限らず、処理待ちによるタイムラグはハイテクOSの宿命みたいなものですが、今のところ、そういった従来のストレスを感じる機会がありません。特に感動するのが、"MAP"のレスポンスの即時性。(Wi-fi環境下において。3G回線の場合は地域差あり。)

大抵の用事なら、わざわざPCを起動するまでもなくiPhoneでちゃちゃっと処理してしまった方が効率的かもしれません。ビジネスツールやレファレンスなどのアプリも堅調に充実していますしね。



Mysweethome

気になるカメラ性能はというと...
試しに私のスイートホームを激写(嘘)

iPhone独自の補正機能により、300万画素にしては、もっと高画素なケータイカメラを上回るのではないかという画質と利便性の良さ。大きなタッチスクリーンでのカメラ調整も快適で、何より撮影が楽しくノンストレスで行えるというのが大きいですね。



そんなこんなで劇的な感動はなかったけど、一度持ってみたら手放せないという堅実な立ち位置に軟着陸した印象。そうそう、機種変更(買い増し)で購入したのだけど、私のパターンではSoftbankへの月々の支払い金額が微動だにしないままiPhoneに移行できました。APN Disablerでパケット遮断すれば最低¥3,000に抑えられるけど、それしちゃうと3GSの旨味が半減しますしね(??????)。

何より、App StoreからSkypeアプリをインストールすれば、Skypeユーザ同士なら24時間通話無料のSkype電話に大変身☆


話題のボイス・コントロールはちょっとまだまだだなぁ。。という印象ですが、アクセシビリティ機能をはじめ、音声認識メールなどといった多彩な機能拡張と向上に期待が広がります。


記憶の檻

2009-07-03 19:41:13 | 日記・エッセイ・コラム
生命が記憶を刻み出したとき、その意識は宇宙と分ちあったのだ。
環の一部(セグメント)にして総体(マトリクス)をなすもの。
因子それぞれの振る舞いにより帰結する記憶間の連絡。
そこに宿るものこそ、「私」が固有の心と捉えるものであり、
即ち「記憶」とは「記憶されていないもの」を記憶する処のものである。

その身に未来を刻んで今に囚われた存在。
我々は我々でないとしたら誰かであった。


人々は記憶の檻ゆえに苦しみ、
その痛みを記憶によって忘れさせようと、
ムネモシネは9人のムーサを産んだという。


超光速な“通信装置”という表現は妥当か? "Device Makes Radio Waves Tra

2009-07-03 17:02:48 | Science
Polarization_2
(Polarization Synchrotron. Credit: Singleton, et al., via Current.com)



Device Makes Radio Waves Travel Faster Than Light (Universe Today)

>> http://www.universetoday.com/2009/06/30/device-makes-radio-waves-travel-faster-than-light/
>> http://arxiv.org/abs/physics/0405062 (abstract)

2009/7/1 20:12 - ロスアラモス国立研究所によって光速の壁を超えて電波を送信することを可能とする装置の開発に成功していたことが6月30日、同研究所が発表した研究論文により明らかとなった。

この装置はパルサーで生じているシンクロトロン偏光(Polarization Synchrotron)の原理を応用したもので、全長は約2メートル。安定的に光速の壁を超えて電波の送受信を行うことは困難なものの、装置間の同期を調節することによって光速の壁を超えて電波を送ることが可能だとしている。

研究グループでは、光速を超える速度で通信を行った場合、衛星経由で携帯電話を使用した場合でも遅延が生じなくなるとした上で、このシンクロトロン偏光の原理を次世代型携帯電話などに応用することを考慮している。
(訳文引用元:ロスアラモス研究所、光速を超える電波の送信装置の開発に成功 (technobahn))


"Einstein's Wrong?"

ここ数日、ネットコミュニティを中心に国際的に物議を醸している話題。結論から言うと、Technobahnもとい、ソースであるUniverse Todayのひどい飛ばし記事に思えるのですが、ここで重要なのが、記事で扱われている『光速』が、『群速度』であるという点。

その部分を敢えて説明してないのでは、天然のミスでなければ意図的な煽りと受け止められても仕方ないのですが...。



どういうことかというと、光(電磁波)の「パルス」の群速度が、一定の条件下でセシウムやフォトニック結晶といった特殊な媒質中を「真空中の光速度」を超えて伝播するということは、現代物理学では今や常識的な観測事実となっています。アインシュタインの相対性理論が「光速度」を壁としているのは、質量及び運動量を持つ物体に限り、電磁波の伝搬速度を制限するものではありません。


多くの人の関心事なのが、光速度を超えることによる因果律の矛盾、つまりタイム・パラドクスの発生の有無ですが、シンクロトロン偏光を介した「群速度」というのはデバイス間の偏極を瞬時に伝えるようなものであり(単子が移動してるわけではなく、空間のエネルギー状態が相対的に変位する)、「因」がなければ「果」が生じないメカニズムなので、心配のタネにはならないのです。



以上を踏まえて、この装置を使って「光速を超える情報伝達」が可能なわけでないということを断る必要があるでしょう。

まず第一に、光速を超える群速度が生じるパルスを「安定的に実現」する為の制御系や、伝達される量子情報の決定そのものが、あくまで古典的情報伝達系を介している(通常通り「光速」の制約によってスポイルされる)ため、情報を担う信号そのものが光速を超えることはないということ。

この記事で言うと、「装置間の同期を調節することによって」少なくとも、ここで光速の支配下に戻ってしまうわけですね。

(※パルスの有無自体を「何かの合図」のような一次的な情報として捉えようとしても、固有のパルスの立ち上がりである前面速度は、光速度の二乗を群速度で割ったものであり、検知装置と発信元の関係性の壁は光速のままである。実際に観測されている群速度の値である光速の300倍だとしても、前面速度はc^2/300cに留まる。)


第二に、これは電磁気学の基礎レベルですが、電磁波を利用した情報伝達のための群速度はエネルギー伝搬速度と等しくなり、電磁場における分散関係によって光速を超えることが原理上不可能となってしまいます。



結局どう転んでも、従来の電波を利用した通信よりも「高速な」レスポンスを計ることが可能な通信装置への足がかりというのが肝のレポートでしかないのですが、衛星等を用いた長距離間通信において、超光速のパルスを具体的にどう処理して高速なシステムに反映するのかというとブラックボックスのままなんですよね。論文では空気中におけるチェレンコフ放射について言及されていますが...。


例えば、応用例として挙げられてる次世代携帯電話通信では、衛星を介しても減衰が少なく広帯域な通信が可能になるとはありますが、これは「電波が光速度より速く放射される」というよりも、シンクロトロン・デバイスの同期特性によって超光速のパルスが生じているものだと表現すべきと思われます。

ハッカーに対して強い秘匿性を持つという話は、デバイスそのものの制御系をハックされてしまえば、傍受される危険性は変わらないとさえ感じます。


もっとも現実的なレベルなのは、半導体間の伝送と、化学療法における腫瘍の同定くらいでしょうか。いずれも超光速パルスによる単位時間あたりの情報伝達率(レスポンス)の高効率化によりもたらされるもので、いずれにしろ「光速を超えた通信装置」とは形容し難いものがあります。



なんにしろ、仮に実現するとすれば最重要な次世代インフラとして高い期待を委ねられる技術構想には違いなく、今後も注視したいですね。