lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

AIT! / "Romanticismo Oltranzista"

2007-08-31 06:31:04 | music5
Romantica



□ AIT! / "Romanticismo Oltranzista"

Dio
Donna

Release Date; 21/03/2007
Label; Punch Records
Cat.No.; PP020
Format: 1xCD

>> http://www.myspace.com/aitshow
>> http://www.punchrecords.it/

>> tracklisting.

01. Uno Spettacolo Adulto
02. Io Ballo da Solo
03. Tempo Morto
04. La Libera e Democratica Societa' Moderna
05. Le Tue Labbra Grigio-Blu
06. Dio
07. Una Fantasia Strumentale
08. Il Mondo e' Morto (Trent'anni fa')
09. Una Dedica
10. Donna


このエッチ!変態!!
と、思いつく限りの罵声を浴びせたくなる程どうしようもなく醜悪でビザーレな作品。

イタリアのアンダーグラウンドシーンでカルトな支持を集めている鬼才Tairy Cのプロジェクトで、その作風はある意味でお国柄と言えるクラシカルな伝統を受け継いだモンド・インダストリアル。最後まで掲載するかどうか悩んだエログロなジャケット写真から受ける印象よりも、意外とシンプルで上品な様式美に彩られており、そこが逆に淫美で病んだ官能を湛えた楽曲が連なっています。

肉体の高揚や弛緩状態を喚起させ酩酊に誘う生ぬるい電子音、絶望と恍惚の入り混じる曇った暗沌に響く鎖と倒錯の叫び。あらゆる背徳と猟奇的な悦びの陰で抗う凛とした意志の声が、この残虐で退廃した楽園に一条の光の如く存在し、ディスコ風のトラック"Il Mondo e' Morto"においてカタルシスを味あわせてくれる。


本国での積極的なライブ活動や、周辺各国におけるネオ・フォークといったインダストリアルの先端的な潮流との接触・相互作用の痕跡が認められる本作。かつてインダスリアル・ミュージックが擁していた電子的な技巧の先鋭性とパンクの精神は過去に置き去りして、懐古的で硬直した、しかし『古き良き』書法において、性的な倒錯とロマンティシズムという、マイノリティかつ極異的な不文律のテーマ性に踏み込んで顕示してみせる辺りは、流石と言わざるを得ない。


uphoria.

2007-08-24 18:49:52 | music5
Uphoria
(IXY DIGITAL L2; Exp.±0; ISO Auto; AWB; Evaluative; iPhoto.)




□ Asura / "Life2"

The Prophecy



□ David West ft. Inkfish

Searching for Substance



Charles FaravelとFabrice Mazzoliniによるエレクトロニカ・デュオ、ASURAのニューアルバムから"The Prophecy"を紹介。全天の星原を巡るようなダイナミックなアンビエント。壮大なアトモスフィアとシンセストリングスに、中東風のコーラスや神秘的な聖歌が重なります。

David Westが立ち上げた自主レーベル、WESTからの第一弾リリース"Searching for Substance"は、もともとPharmacy of Sound名義で発表していたものの数年越しにして初のリリース。煌めくような疾走感と、深みのある蒼い透明感。Ozgur Canのリミックスも白眉です。 






□ behaviorを導出するシグナル誘導因子のトーラス構造

人間が創出するイメージは、しばしば次元の違う概念のナンセンスな複合によって組成され、その意味と負荷を
一定の社会性の下に認識し、共有する。記号や色彩の共感覚、音楽の言語表現、性的なレトリック・・・。

論理的には接合点が皆無な対象間のバイパスに、伝統的な意味と特定の機序が生じるのは、単に脳内の刺激信号の交雑によるものであるとは言えない。永い歴史を経た言語、信号交換システムとの生物学的な共進化のプロセスにおいて錯節し、現状の共有信号は、特定の生体反応を誘導する確立されたサーキットを、言語構造の深層にアーキテクトしている。記憶された記号は、生体信号の機序の成すトーラス面上に重なり合い、入力信号はそれらをなぞって、その深層から個体のbehaviorを引き出す。然し乍ら、概念上の記号空間と神経信号における記号空間は必ずしも一致しない。これもまた、人間の帰属する社会性と生物性という異次元間の論理構造を循環するトーラスを顕している。




□ clip.

量子物理学: 波よ、さよなら
Quantum physics: Wave goodbye pp872 - 873
When measuring photons, it's a case of 'wanted, dead' [mdash] catching them alive is not an option. But we can observe how a superposition of many photon waves progressively collapses as it interacts with a beam of atoms.

Luis A. Orozco
doi:10.1038/448872a
Abstract: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpaM
Article: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpaN




段階的に起こる場の状態収縮と量子非破壊光子計数
Progressive field-state collapse and quantum non-demolition photon counting pp889 - 893
This paper reports the observation of a step-by-step state collapse by using atoms to non-destructively measure the photon number of a field stored in a cavity. The procedure illustrates all the postulates of quantum measurement and should facilitate studies of non-classical fields trapped in cavities.

Christine Guerlin et al.
doi:10.1038/nature06057
Abstract: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpbc
Article: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpbd




系統発生的な構造をもつ相利共生ネットワークにみられる非ランダムな同時絶滅
Non-random coextinctions in phylogenetically structured mutualistic networks pp925 - 928
A phylogenetic approach is used to show that past evolutionary history partly explains network patterns that link plants and their pollinators and seed dispersers. Species close in the phylogeny tend to play similar roles in the network. As a result, co-extinction cascades following the extinction of a species affect taxonomically related species, resulting in a non-random pruning of the evolutionary tree.

Enrico L. Rezende et al.
doi:10.1038/nature05956
Abstract: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpbq
Article: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpbr




分子生物学とネットワーク生物学の統合によるエンドサイトーシスの解明
Integrating molecular and network biology to decode endocytosis pp883 - 888
The strength of network biology lies in its ability to derive cell biological information without a priori mechanistic or molecular knowledge. It is demonstrated that a molecular understanding of clathrin-mediated endocytosis can refine the network approach and allows the derivation of general biological principles.

Eva M. Schmid and Harvey T. McMahon
doi:10.1038/nature06031
Abstract: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpba
Article: http://ml.emailalert.jp/c/abiLad2PkqoIjpbb


Chicane / "Somersault"

2007-08-16 11:11:53 | music5
Somersaultalbum



□ Chicane / "Somersault"

Time of Your Life
Far Away From You

Release Date; 23/07/2007
Label; Modena
Cat.No.; MODENACD1
Format: 1xCD

>> http://www.chicanemusic.com/

>> tracklisting.

01. Stoned In Love
02. U R Always
03. Come Tomorrow
04. Nothing
05. Arizona
06. Spirit
07. Turning Corners
08. Far Away From You
09. Way I'm Feelin'
10. Time Of Your Life

(※アルバムジャケットの曲順に誤りがあります。)


Nick BracegirdleのChicane名義による実質4枚目、公式の3rdアルバム。自主レーベル、Modenaからのリリースとなりました。実はこの作品、幻となった3rdアルバム"easy to assemble"の教訓を踏まえ、リリースの数週間前に、正規盤とは異なるアレンジのダミープロモがネット上にリークされていました。m4、m6、m7、m8、m9、m10の6曲について、ビートアレンジにエッジを効かせたマイナーチェンジが施され、m4についてはヴォーカルが短縮されています。因に、m5とm6はもともと"easy to assemble"の収録曲でした。


ハード・トランスとバレアリックなアンビエントの折衷的な作風が固有で幅広いファン層を獲得していた前2作に比べ、お蔵入りとなった"Easy To Assemble"のリベンジとも言うべき、ディスコティックでファンクなヴォーカル・トラックが目立つ内容。アルバム・コンセプトも総じて、Tom Jonesをフィーチャーしたヒット・シングル"Stoned in Love"のエッセンスを全体に濃縮還元したような哀愁の色彩を帯びたエレクトロ・ポップを展開しています。

このTom Jonesに声質が非常に似ているJack Starksというヴォーカルが今作の主役。ニヒルでしゃがれた伸びのあるシャウトが良い味を出しています。海外でも未だ彼の正体は特定されていませんが、私が調べた限りでは、1980年代にオルタナティブ・ロック界隈において、同名のアーティストがRIOT絡みでソロ・アルバムを発表しています。同一人物かどうかは不明ですが、いずれ明かされることになるでしょう。


その他にも紅一点、Jewelをフィーチャーした"Spirit"と、Bent / "Always"のインスパイア・トラックで、エスニックなヴォーカルがファンクな4分打ちトラックにのる"U R Always"(キューバの作曲家、Ernesto Lecuonaが手掛けたNorrie Paramour Orchestra / "Always in My Heart"をサンプリング)、そしてChicaneの面目躍如とも言うべき、重層的な透明感と涼感溢れる、パッドの上にパッドを重ねた薄雲のようなレイヤーとシンセの白玉で遠いノスタルジーを喚起させる"Time Of your Life"、"Arizona"のアンビエントが涙を誘う。言葉では表現し切れない空気が漂う作品です。


また近日中に、1st Album、" Far From The Maddening Crowds"のリイシュー盤が、Modenaよりリリース予定。名曲"Offshore"のニューリミックスが追加収録されるそうです。

****************************************************

"Far Away From You"

You say I'm falling down
I know that I can't stop you cryin' when you folding
The same old feeling's back
You know I always see you coming, do you feel same again

I but I can see you watching me
And saying there's no chance that we
Will rise again and fall no more
You feel it in the air

Because I will never be lost with out you now
Remember where you found me
I was cold and dark around me
And I will always be far away from you
Tomorrow feels uneasy
And wind up at the start once again

The feeling can't go on
Though I say "nothing really happened and nothing is wrong"
Feel restless and alone
I know sometimes there's no answers
and something is wrong

I but I can see you watching me
And saying there's no chance that we
Will rise again and fall no more
You feel it in the air

Because I will never be lost with out you now
Remember where you found me
I was cold and dark around me
And I will always be far away from you
Tomorrow feels uneasy
And wind up at the start once again

------------------------------------------------

君の言う通り 僕には何もしてやれないよ
抱きしめても その涙を止められない
あの頃と同じ感覚
ずっと君を待ち焦がれていたんだ
君も感じるかい?

君の眼差しが、今はわかるから
こう語りかけてる 私たちにチャンスは残されていない
やり直さなければ 堕ちることもない
そんな気がするだろ


もう君がいなくても 僕は二度と迷わない
出会った時のことを思いだして
僕は冷たい闇の中に一人
ずっと君の遠くにいるよ
不安の尽きない明日だけど
ここから仕切り直すんだ もう一度


消えようのない この気持ち
『ことなかれば亦た過たず』なんて言いながら
どうしようもなく淋しくて
答えが見つからないこともあるさ 
そして過ちをおかしてしまうんだ


君の眼差しが、今はわかるから
こう語りかけてる 私たちにチャンスは残されていない
やり直さなければ 堕ちることもない
そんな気がするだろ

もう君がいなくても 僕は二度と迷わない
出会った時のことを思いだして
僕は冷たい闇の中に一人
遙か君の遠くに
不安の尽きない明日だけど
ここから仕切り直すんだ もう一度


lens,align. Mix. - "Materia" (tracklist is available.)

2007-08-13 17:08:21 | music5
祝!!
この記事が"lens,align."の記念すべき
500件目のエントリーとなります☆
そして90,000 ACCESS!!(ドンドンパフパフ♪

お盆休みということもあり、新しいMixを作りました。
タイトルは"Materia"(質料)ということで、
今の私を形作る上で、"Sine Qua Non"(無くてはならなかった)
つまり、人生で最も大きな影響を受けた、
思い入れのある音楽を繋げました。
(※ある程度ジャンルを制限をしています。)


全19曲。
あえて今はトラックリストを伏せて、
2、3日後に公開します。
何が入っているカナ♪(笑
全部当てられた方と結婚します☆

とはいえ、
きっと全部知っている方も多いと思いますが。。




□ lens,align. Mix

Materia (82MB)


>> tracklisting.

01. The Feeling Begins / Peter Gabriel
02. Gravity of Love / Enigma
03. Sleep / Conjure One
04. The Fifth Heaven / Graeme Revell ft. Emma Shapplin
05. Innamoramento / Mylene Farmer
06. Prism of Life / Enigma
07. Early / Chicane
08. The Fall / Way Out West
09. Let Mendax / Richard Devine
10. Enchanted / Delerium
11. Eden / Sarah Brightman
12. This Love / Craig Armstrong
13. Antissa / e.s. Posthumus
14. Ameno (Remix) / eRa
15. Waiting / Balligomingo
16. Summoning of the Muse / Dead Can Dance
17. Zarabanda / Adiemus
18. Book of Days / Enya
19. 108 Desires / 清水靖晃


正解は以上でした。
影響を受けたというか、受けやすい時期、
高校~学生時代に聴いていた曲がほとんどですね。
紹介しきれなかった曲の方が多いかも。。

今回はこっち方面でしたが、またジャンル別に
こういう企画がやれたら良いなと思います。


Amorphous.

2007-08-10 03:57:59 | art music
Icicle
(IXY DIGITAL L2; Exp.±0; Macro; AWB; Evaluative; iPhoto.)




□ Robert Henke

Piercing Music (excerpt)




□ Eric La Casa / "the Stones of the Threshold"

S'ombre




□ Jacob Kirkegaard / "Eldfjall"

Ala




三曲とも自然音、環境音のフィールド・レコーディングによるサウンド・アート作品。後2作品は過去にも紹介しましたが、改めて補足。

MonolakeのRobert Henke名義による"Piercing Music"は、水の滴る音をアブストラクトな音響空間に配置した、1曲60分の冷たいアンビエント・スケープ。


Eric La CasaはGround Faultレーベルを代表するパリの音響作家。水底の音、生活音、雷鳴といった素材をシーケシング。"S'ombre"の轟然とした水流の底を打つ石の破砕音、分解されて渦を巻く水の粒子の摩擦音が一点に収束していく様は、本能的な恐怖さえ覚えさせます。


オランダ出身、ケルンのメディア・アート・アカデミーに属するJacob Kirkegaardも、コンタクト・マイクによって採集された音素材のサンプリング・インプロヴィゼーションを得意とするアーティストで、北欧やニューヨークのギャラリーでエキシビジョンを行い、名を馳せています。この"Eldfjall"は、アイスランド各地を回って、地熱活動や氷河、核エネルギープラントの音を採取、デジタル・プロセッシングを加えた、まさに地が轟く重層的な音響空間を構築。各タイトルは世界中の神話上の女神の名前を冠しています。

>> http://fonik.dk/


Liquescence.

2007-08-09 22:07:38 | music5
Trickle
(IXY DIGITAL L2; Exp.±0; Auto; Macro; AWB; Evaluative; iPhoto.)





□ Mike Oldfield / "Incantations"

Part I (一部抜粋)
Part IV


1978年作。マイク・オールドフィールドの4作目にして、彼の35年近いキャリアにおいて未だに異彩を放つ、最も尖ったアルバム。カンタベリーサウンドの影響下にあった初期三部作の牧歌的、民族的なシークエンスは影を潜め、当時Philip Glassの強い影響を受けていたことを窺わせる、耳を劈くような鋭いミニマルミュージックへと転身。

"Part I"の中盤で登場する神秘的な合唱は、現代の様々なコーラス系ニューエイジにヒントを与えたと言っても過言ではありません。"Part II"では、初期三部作のトラッド風アレンジの中に、教会聖歌風にあしらわれた"Part I"のコーラスが荘厳、終盤ではまさしく『呪文』を唱える如く、Sally Oldfieldの神々しいヴォーカルパートで占め括られる。

そして白眉の"Part IV"。グロッケンシュピールの壮絶なミニマル音響。ウンザリするような10分間の循環メロディに耐え抜いた後、至福の轟音ギターによる哀愁のロックでクライマックスを迎えます。


ROTHKO / "ELEVEN STAGES OF INTERVENTION"

2007-08-08 10:14:22 | art music
Rothko



□ rothko / "eleven stages of intervention"

Say Something to Someone
Be Invisible
Weather Every Storm

release date; 30/05/2007
label; bip-hop
Cat.No.; Bleep 36
Format; 1xCD

>> http://www.bip-hop.com/
>> http://www.myspace.com/biphoprec

>> tracklisting.

01. say something to someone
02. give. every. thing.
03. tell your story to the windss
04. be invisible
05. place a star up in the sky
06. weather every storm
07. break the cycle of sorrow
08. sit in silent thought
09. watch the black sun fade
10. light a lantern on the water


UKを拠点に活動する4人組、Mark Beazley (bass)、Michael Donnelly (bass)、 Ben Page (keyboards/percussion) とTom Page (drums) によるポスト・ロックバンドの11thアルバム。これまでロンドンのLo Recordings、Cocteau Twinsのサイモン・レイモンドが運営するBella Union、 同じくUKのBad Hand, Too Pureの他、ベルギーのKraakなどからリリースを重ねてきたましたが、今回はフランスはマルセイユの未踏音楽レーベル、Bip_Hopから、過去のシングル曲のリメイクなどを含めた発表となります。

また、8/28にはアラバマのインディーズレーベル、Acerbic Noise Developmentよりブルックリンのバンド、DysrhythmiaとのスプリットEP "Fractures"のリリースを控えています。
>> http://www.myspace.com/acerbicnoisedevelopment



闇然としたドープなベースと、キーボードやグロッケンシュピールの醸し出す静謐なアンビエンス。クワイエット・ジャズとでも言うべき美麗な沈黙を湛えた、アート性の高い楽曲群が連なっています。

ベースやチャイムのエコーが構成するドローンをジャジーなリズムで刻み、後半でオーケストラのメランコリックな旋律が解放感を齎す"say something to someone"は導入曲にふさわしく、このアルバムのエッセンスを凝縮した内容。フルートによる東洋的なメロディが郷愁を誘う"Give. Every. Thing."。背筋に冷気を感じるようなハウリングが恐ろしい"Tell Your Story to the Winds"。冷たい金属音のカットアップ・コラージュとアトモスフィアに、暖かいハープやフルート、チェロの音色が零れる"Be Invisible"はどこか物哀しい響き。


"Weather Every Strom"はフィルター処理されたピアノのリードからジャズ調に、しかし情感豊かに輝くシンセのウワモノとリバースを散りばめ、星の瞬きのようなカリヨンの眩しい煌めきから、突如開いた暗黒の淵の轟鳴の渦へ堕ちていくかの如きノイズの洪水。そして再び優しいピアノの抱擁に還ってくる。鐘の音とチェロ、カントリー調の響きを伴ったギターが哀愁をたたえた"Break the Cycle of Sorrow"は、一曲目と同じようにオーケストラの豊かな調和によって締めくくられる。

プロペラ音のようなバスノイズと、フリッカー様の効果音がアルバムの一つのエッジを形成する"Sit In Silent Thought"は、中盤でギターの牧歌的なシークエンスによる凪を経るなど、様々な表情を見せながら、終盤はハムノイズの波面に収束する。オルガンのウェーブとギターの明朗な響きとコードが、解放的な高揚感と寂繆感を同時にもたらす"Watch the Black Sun Fade"。中盤以降には蒼く冷たい感触を纏った呼吸音のようなアトモスフィアと、安息を揺さぶるチャイムの音が陰を落とす。そして最終楽曲"Light A Lantern on the Water"において、アルバムは、文字通り水の中に火を灯すようにくぐもったギターソロで幕を閉じる。


いずれの楽曲もアルバムとしての統一感を崩さず調和しています。黄昏の暗い部屋で一人、この音の包み込む静寂に心を委ねて、感情の澱みに奔る漣の、その深淵に浚われる。綺麗な夕闇を臨むことの出来る、光と影の対比の美しいモダンな室内の、ほのかな灯りの下で流していたい楽曲です。


TRANSFORMERS.

2007-08-07 08:07:19 | music5
Transformers



□ Transformers

>> http://www.transformersmovie.com/


メガトロン『またしくじりおったな愚か者!』
スタースクリーム『お許しを!メガトロンさまぁ~!』

↑トランスフォーマーの名台詞(?)。マイケル・ベイとスピルバーグによる映画版でも再現されています。実はアニメは観たことないのですが、本当にアニメっぽいノリでした。「トランスフォーマー」の実写版としての拘りは感じられます。ただ、シリアスな侵略ものSF映画を期待すると裏切られるので覚悟してください(笑)

Steve Jablonskyによるスコアは、如何にもなRemote Controlサウンド。メカニカルな装置の鳴動を思わせるエレクトロ・ビートに、意外と聖歌系コーラスのサンプリングが多かったです。しかし耳に残るメインモチーフはなし。「ターミネーター」へのオマージュと思しき旋律もありました。しかしこれだけヒットした大作にも関わらず、スコア盤のリリースは未定のようです。


さて、マイケル・ベイ監督ということで、重厚で高密度の濃いアクション描写を期待していたのだけど、全体的に淡白で小さくまとまってしまった印象に終わりました。ずんぐりむっくりしたメカがフレームいっぱいに高速で動き回るさまは圧倒されるのだけど、ほとんど何をしてるのか良くわからない。。そういう演出意図(遠景では合理的な速度で、近接距離では敢えて速く動かす)なのはわかるし、それがカッコイイという感性があるのは認めるけど、私はちょっと頭痛がしてきてダメでした。2回目を観るとノレるかもしれないけど、2回目をみたいとは思えない内容。。。


Transformer2


「映像革命」とされるメカの描写は本当に凄まじくて、『2万個以上の部品が動いている』とされる、細部まで書き込まれたオートボッツとディセプティコン達の存在感が非常にリアル。質感や光沢、陰影の付け方から、地球上のメカから本来の姿への『トランスフォーム』の過程も、本当に「そこにある」ような錯覚を覚えさせてしまうほど。メカが一瞬で変形する様は、現代において「機械」と深い関わりを持つ人間にとって、ある種のカタルシスを喚起させるモチーフではないでしょうか。クラッシュシーンや爆炎など、実写で再現できるものは極力本物を使うという拘りも、ハードなライブ感を演出することに成功しています。『ジュラシック・パーク』以上の革命ではないものの、「非存在」が視覚的に「リアルと区別がつかない」という域に達した初めての作品として、ある意味これまでの映像史に楔を打つポイントとなった作品かもしれません。かつてジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」を製作する為に一本の電話で招集して結成されたILM。今また一つ歴史を塗り替えました。


おそらくスピルバーグのカラーが強く出ているのか、前半一時間はプロットや伏線貼りが大部分を占めます。特に、お互いを知らない主要キャラ達が、お互いの活躍によって関係性を築いていく過程に、スピルバーグ独特の演出の癖が出ています。(追記になりますが、スピルバーグは「未知の存在との邂逅」に至る演出が卓越している。映画の鑑賞者が得ている知識に予定調和させるのではなく、高揚感やカタルシスを伴った「出会い」を仮想体験させてくれます。)最近多い、序盤から最後までクライマックスのようなアクション大作の氾濫の中では評価できるものかも。しかし、アクションの比重がラスト30分の市街戦にほとんど偏っているのも、緊張感を持続させるのに難がある構成。大部分がコメディ的な展開なのもあって、ラストに至って急に切迫感を抱くのも無理がある。だから窮屈でソリッドな戦闘シーンにも危機感を感じられない。メカ同士の戦闘よりも、米軍が協力した軍事兵器、カーチェイスのスピード感や重量感のインパクトが勝ってしまう。(威圧的、かつ異様で美麗な敵パトカーとのチェイスシーンは、ベイ独特の様式美とクールな空気感を醸し出しています。)また、地球の命運をかけるわりに、登場するメカの数や戦闘規模も「あれ?」というほどこじんまりしてて、感情移入し辛かった。。これは個人的な嗜好の問題です。


Trans3



【以下、ネタバレ分含みます】

『不可視の壁』と『見えない魅力』という相反するキーワードがセリフの端々に組込まれていて、本作のテーマである「侵略と共存」という対比構造を強調しています。


カマロが変形する恋の指南役、バンブルビー。正義のリーダー、ドジッ子司令官オプティマス・プライム。短気で部下に恵まれない悪の親玉、メガトロン様(唯一、架空の宇宙船っぽい航空機にトランスフォーム)。そんな親方にいつもどやされるF-22戦闘機、スタースクリーム(ドサクサにまぎれて、ちゃっかりメガトロンに攻撃してしまうw)。「グレムリン」のストライプをモデルにしたというフレンジー。これらのキャラはとても痛快で面白かった。例えは古いけど、オートボッツの愛くるしさは、どことなく「ニューヨーク 東八番街の奇跡」のUFO型エイリアンや「ショート・サーキット」のジョニー5に通じるものがありました。彼らは同様に、カレル・チャペックが提唱した概念における、いわゆる「使役されるロボット」ではなく、「機械的な構造を持つ生命体」なのです。セクター7の指揮官も、スピルバーグのエイリアンものにありがちな独特のオーラを放っていたり、危機に瀕して、珍妙な「間」と下世話なユーモアでやり過ごすキャラの逞しさも、ベイの気質が反映されていて、作品に相応しく回っていたと思う。

ラストシーンは戦闘終了からダイレクトに高揚感を保ったまま繋がります。オプティマス・プライムが仁王立ちで夕闇の空を望んで、宇宙に散っている仲間達に呼びかけるショットは涙が出る程カッコイイ。こういう情感のこもったスケール感は大好き。宇宙の彼方に飛び去ったスタースクリームがおいしい役をさらってfin. 製作が決定した2作目に続きます。


個人的に一番面白かったのは、主役の飼い犬のモージョがオートボッツにおしっこを引っ掛けたシーン。オートボッツに毒づかれた主人公が「He did? Bad Mojo! Bad!  (悪いモージョだ!)」と、犬の頭を差し出しながらテキトーに謝ってるところでした(笑)。あそこはハマッた。もう一度見に行こう。。


e.s.Posthumus feat. Luna Sans / "Cartographer"

2007-08-05 07:51:32 | music5
□ E.S.Posthumus New Album / "Cartographer"

>> http://www.esposthumus.com/


混声合唱+オーケストラ+トライバル系アレンジユニット、e.s.Posthumusのニューアルバムが公式サイトにてアナウンスされました。TOPの左上にあるミケランジェロ『聖マテオと天使』の画をクリックすると、特設された予告ページに跳びます。新作ではLuna Sansというヴォーカルをフィーチャーしている模様。以下、公式サイトからの引用。

古代の伝説の小さな孤島ヌマ島。伝説によると、この島は南インド洋を襲った天変地異により、歴史から完全にその姿を消し去った。その島に住む人々は高度な文明を育み。進んだ海洋技術を持つ海洋人たちだったという。彼らは世界中の人たちと貿易を交わし、その時代に知られていたすべての言語を統括した共通言語を産み出した。次回リリース予定の新譜「Cartographer」について言うなれば、まさにその言語を想像したイメージと、ESポステュマス独特の楽曲の融合。

「CARTOGRAPHER」
ES ポステュマス
フィーチャリング ルナ・サン



・・・公式の日本語訳そのままです。
頑張ってるけど日本人が訳したものではなさそう(笑)

"Cartographer"とは、『地図製作者』という意味。
世界中の伝説的な古都をテーマにした"Unearthed"に続いて、今度は架空のファンタジーによって世界観を作り上げるようですね。バックで流れてる新曲は、前作までの雰囲気を引き継いでいて安心できそうです。合唱は使うよね??


AUDE / "EFFLEURESCENCES" Release at the end of 2007.

2007-08-05 06:56:56 | delerium
□ Aude / "Effleurescences"

>> http://www.myspace.com/audeaude


Audeの2ndアルバム、"Effleurescences"が2007年末にリリース予定。そう、Deleriumがプロデュースした"Vents Contraires"以来、ライブ活動やサウンドトラックへの参加、他アーティストとのコラボレーションや、Maxi Single "Essences" のリリース等、数々のプロダクションを経て、実に6-7年ぶりのソロ・アルバムとなります。


また、最近では、NOLWENというフレンチ・トリップアーティストと、"L'AUTRE TERRE"という曲でコラボレーションしています。




□ Nolwen / "Légendes Urbaines"

>> http://myspace.com/nolwenmusic

Audeが参加した"L'AUTRE TERRE"は上記myspaceで試聴できます。バグパイプのイントロから、トラッド風に歌い上げるNolwenとAudeの可憐なヴォーカルが耽美に絡み合います。重くて濁ったエレクトロビートと神秘的なパッドが今風。




□ Delerium Live Tour Tickets on sale!

Friday October 12, 2007 - Commodore Ballroom, Vancouver, BC

>> http://www.ticketmaster.ca/event/11003EF57CD73C57


RIKEN Resercher Finder BETA.

2007-08-03 18:36:02 | Science
Omicbrowse
[OmicBrowse; Homo Sapiens; Chromosome X.]


□ 「理研の研究者を探し出すサイト(試作版)」

>> http://omicspace.riken.jp/db/researcher.html


システム生物学の最前線分野、Omic Space情報空間のバイオ統合データベース構築における第一人者、豊田哲郎氏が立ち上げた理研関係者の研究者サーチエンジン。bio-informaticsのデータマイニング技術を応用した、同様のウェブサービスに比類して現時点で最もパワフルなもので、そのうちバイオ研究以外にも汎用性を発揮する可能性があります。

・オミック・スペースって何?という方は↓

>> http://omicspace.riken.jp/publications/toyoda1.pdf


各分野毎の過去5年間の論文情報から構文解析して構築されたデータベースで、検索された任意の対象に関する言及年度や、関連研究者を一覧して、レビューや共同研究をコレスポンディング・オーサーから辿って依頼することも目的としています。

また、研究者検索に限らず、Omic BrowseやGenome Data Base、バイオリソースから脳科学のレジストリ検索など、ウェブ・アノテーションの見本のような非常に高レベルなアクセシビリティを実現しています。ゲノム情報を2-3stepで参照でき、かつクロモソームごとに細分化されたデータベースをマイニングする為のパースペクティブのスウィッチが即応的に行えます。

研究情報の統合ということだけでなく、研究者情報というメタ・データを付与した包合的なソリューションは画期的と言わざるを得ないですね。Omic Spaceの理念にあるように、コンピュータやネット、人工知能が齎した「情報処理」の為のイノベーションに代わり、『ソリューションの為の情報空間の構築』という、「実効性を伴った」新しいメソッドが、現在地球上において最も複雑で膨大な情報を扱うBio-Informatics分野において開拓されていることは、ある意味必然的であると同時に誇らしい限りです。


澪路徒然

2007-08-03 05:35:49 | Enigma
Mio
[IXY DIGITAL L2; 撮影画(一部引用、加工); iPhoto.]



□ Govinda / "Wish You Were India"

Yasomati
Untitled
Starship


Italo-Indian バンド、Govindaの2nd。(同名のニューエイジ・ユニットのGovindaとは別物。)前作"Atom Heart Madras"と同様に、タイトル、ジャケット共にPink Floydのパロディです。




□ Ruth Ann's The Longest Love Letter in the World

>> http://www.longest-love-letter.com/
>> http://www.ruthann-music.com/

Ruth Ann / "What About Us"のプロモーション・キャンペーンが始まりました。実は趣旨が良く理解できないのですが、自筆の ラブレターを綴って上記サイトのフォームから送信、世界中の人が書き連ねていくというもので、10人にキャンペーンを告知すると特価でi-Tunesからダウンロード出来るようです。せっかくなので私も書いてみました。ラブレターというか引用なのだけど。。


君恋ふる涙しなくは 唐衣むねのあたりは色燃えなまし

Kimikofuru Namidashinakuha,
Karakoromo Munenoatariha
Iromoenamashi.

(If it were not for tears for you,
My heart would be charred.)

-Tsurayuki,Kino
(taken from the Japanese Ancient Poem "Kokinshu")



「あなたを想う涙なくては、
私の心は燃え尽きてしまっていたことでしょう」

・・・
ラブ・レターなんて書いたことないもの。。(-_-
別れのメールなら任せて下さい。


MARKUS SCHULZ / "PROGRESSION"

2007-08-01 05:35:27 | music5
Progression



□ Markus Schulz / "Progression"

Spilled Cranberries
On a Wave (ft. Kelsey)
Mainstage
Cause You Know Is This The End (Ft.Departure)
Let It Go

Release Date; 02/ July/2007
Label; Armada
Cat.No.; ARMA100
Format; 1xCD

>> http://www.markusschulz.com/
>> http://www.myspace.com/markusschulz

>> tracklisting.

01: I Am (vs Chakra)
02: Spilled Cranberries
03: On A Wave (Feat Anita Kelsey)
04: Lost Cause (Feat Carrie Skipper)
05: Mainstage
06: Fly To Colors
07: Let It Go
08: Daydream (Feat Andy Moor)
09: SLA9
10: Perfect (Feat Dauby)
11: Trinidad To Miami
12: Cause You Know (Feat Departure)
13: Cause You Know (Is This The End) (Feat Departure)


プログレッシブ・トランスのトレンド・セッター、Markus Schulz。"Without You Near"に続く、アーティスト・アルバムの2ndで、主にCOLDHABOURレーベルからのMarkus Schulz名義のトラックを纏めています。

独特の触感を喚起させる冷たいアトモスフィアに、深海から沸き立つ空泡のように煌めくピチカート系のウワモノ、そして同度の上行と下行を繰り返す4音ユニットの割れた循環ベースのウェーブ。

このMarkus独特のメソッドは、テックハウスやクリックを取り込んで複雑化した、Progressive Houseとくくられるジャンルにおいて一大勢力となったColdhabour系サウンドのオリジンであり、クラブシーンのup-front DJが『最先端の音響効果』を謳って送り出す楽曲には、彼のイディオムを組み替えることで産み出されたものも少なくないでしょう。


「トランス」というと、ここ日本では非常に誤解を招きやすいのですが、Markus Schulzや、その周辺のDJ達の書法は、2000年前後のトランス最盛期にピークを迎えた『Epic』の要素に根差した、壮大なドラマ性と射幸感を齎すものが多いです。実際、海外ではMarkusのようなサウンドも"Trance"と括られることが一般的で、既に前時代の"Trance"の代替的ポジションを得ていることが窺えます。しかしながら、未だに大きな需要のある、いわゆる「消費型」クラブ・トランス(特徴としてはハイハット全開でメロディ偏重)とは一線を画するのが、サウンド・ストラクチャにおける『アート性』の追求にも似た意匠のレベルの高さ。


さて、"Progression"ですが、基本的に"Without You Near"のラインと作風から大きな変化はなく、若干新しいソフトウェアの効果が目立つくらいで、タイトルの言う「プログレッション」はさほど感じられません。ただ、David WestやOzgur Canといった北欧勢に端を発した、所謂「ドラム」の音ではない、生の打音のコラージュのような、硬質で有機的なロールビートの連音の裏打ちが強く出ています。また、フィルターで漉したような鈍いアタックとノイズのレイヤーが、楽曲毎にオブキュアでドープな響きを演出しています。


イントロは、あの記念碑的Mix CD、"COLDHABOUR SESSIONS"の一作目を思い出させる、都会の喧騒と環境音のフィールド・レコーディング。金属製の翼が羽ばたくようなビートが美しい" I Am"で幕を開け、"Spilled Cranberries"では、同様の環境音に音響処理を施し、ヒュージなシズルとアトモスフィアのシャワーから、叙情的なストリングスと骨太なビートの絡む、"Clear Blue"に準拠したMarkus Schulzの特徴的なシークエンスへ以降する。

一転、宇宙空間に放り出されたかのようなダークでメカニックなサイファイ・ビートに、Anita Kelseyのスタイリッシュなトリップホップヴォーカルが乗る"On A Wave"へ。Carrie Skipperが同じマイナー調で引き継ぐ"Lost Cause"は、IDMにも通じるノイジーなブレイクビーツに可憐なヴォーカル、大気を震わす如く壮大に鳴り響くストリングスが一体となった、アルバムのハイライトととも言えるトラック。そして"Fly to Colours"でテック調に雰囲気を変えるためのブリッジとなる"Mainstage"は、再びノイズのオヴァーダブによるダイナミックなアンビエント・スコア。

"Progression"において最も飛躍的な展開を見せる"Let It Go"は、前線のハウス系エレクトロニカのイディオムで懐かしのピチカート・トランスを包合するという、まるでトランス近代史を凝縮した内容。アルバム中、もう一つのハイライトと言えるのが、Andy Moorと共作した"Daydream"。ひび割れた物悲しいストリングスの導入から、近年のプロッグの最大の特徴である罅割れたベースのウェーブが響く疾走感のある4分打シーケンスへ。そしてMoya Brennanを彷彿とさせるトラッド風の儚いクリスタル・ヴォイスが切々と歌い上げます。


"SLA9"は、Ozgur CanやGabriel & Dresdenが自身のアーティストワークで見せていた、ロービットでチープなゲーム・サウンドを模したハーシュ・プログレ。しかし最新の機材でなければ出せない微細なノイズやアトモスフィアを被せる演出も心憎い。そのサウンドの流れを受けたまま、カットアップ・ビートのフックを効かせて導入される"Perfect"は、Daubyの扇情的なヴォーカルが艶かしい、フィメール・ヴォーカル・トランスのお手本のような楽曲。

往年のアシッド・ハウスの作風を喚起させる"Cause You Know"。前時代的なハイハットとスネアループに哀愁のフィルターヴォイスが絡みますが、後半ではビートワークが現在のプロッグ調に入れ替わり、壮大なサイレンとオルガンのリヴァースが鳴り響く中怒濤の展開を迎え、第2パートへ。"Progression"の最後を飾る、最もスケールの大きい"In This The End"は、ひずんだギターに壊れたビート、ピアノの響きが透き通ったダウン・テンポ/チルアウト。水底を打つような重いサウンド・エフェクトやノイズ加工されたブレスの切り込み、どことなく悲壮な眩いストリングスと光のシャワーの如く降り注ぐアトモスフィア。

13曲を巡る新旧他ジャンル間の音の拮抗と相互作用という"Progression"を経て、僅かづつ、しかし堅実に進化の過程を踏みしめて来たMarkus Schulzのエッセンスが、ここに収斂します。