lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Enigma / "La Puerta Del Cielo" Video Clip World Premiere.

2008-08-29 00:39:29 | Enigma
<object width="400" height="255" id="uvp_fop" allowFullScreen="false"><param name="movie" value="http://d.yimg.com/cosmos.bcst.yahoo.com/up/fop/embedflv/swf/fop.swf"/><param name="flashVars" value="id=v184539765&amp;eID=1307668&amp;lang=de&amp;enableFullScreen=0&amp;shareEnable=0"/><param name="wmode" value="transparent"/><embed height="223" width="350" id="uvp_fop" allowFullScreen="false" src="http://d.yimg.com/cosmos.bcst.yahoo.com/up/fop/embedflv/swf/fop.swf" type="application/x-shockwave-flash" flashvars="id=v184539765&amp;eID=1307668&amp;lang=de&amp;enableFullScreen=0&amp;shareEnable=0" /></object>


□ Enigma / "La Puerta Del Cielo" World Premiere on Yahoo.de.

>> http://new.de.music.yahoo.com/videos/Enigma...
>> http://www.emimusic.ch/enigma/news/715
>> Buy "La Puerta del Cielo" Video (only for German iTunes)

>> lens,align.: "La Puerta del Cielo/Seven Lives" Review and Lyrics.


ドイツiTunesでのみ購入可能となっていた"La Puerta del Cielo"のPVが、Y!Musikにてプレミア公開されました。Enigmaの過去のMusic Video、"Return to Innocence"と"Age of Loneliness"の2曲の映像がコラージュされたものです。

ケレン味が過ぎた"Seven Lives"よりも抵抗無く、シンプルな映像美についつい魅入ってしまいますね。やはり初出の素材が見受けられるので、ソースからきっちり作り直しているのかもしれません。


「空を泳ぐ」なんて原初的な願望を、ここまで愚直に表現した試みは逆に評価すべきかも(?)ただ、そこにはEnigmaの過去の映像作品、とりわけ"Age of Loneliness"にあった洗練された美学は望むべくもありません。しかしコンセプトとしては"Seven Lives Many Faces"という言意に、この上なく沿ったものと言えるでしょう。


Conjure One New Track "Believe in All Thats Wrong"

2008-08-27 20:07:26 | delerium
Rhys


□ Conjure One New Album may come out before the end of 2008.

Believe in all thats wrong (Nick Holmes Demo)

Release Date; before the end of 2008
Label; tba
Cat.No.; tba
Format: tba

>> http://www.myspace.com/conjureone


Conjure Oneの新曲がMyspaceにupされました!
Conjure One Phorumによればニューアルバムが2008年末にはリリースされるようですが、まだまだ経過を見守る余地がありそうですね。

上の新曲はNick Holmes(Paradise Lost)によるDemo Version。Renaissance-esqueな聖歌風Chorusに、スペーシーな航空管制が重なる荘厳なイントロから、軽快なProgrammed Beatのシークエンスへ。"Extraordinary Ways"路線同様、ヴォーカルが弱いような気もしますが、中盤の泣きのギターが厚みを補っています。

曲自体は2005年には製作されていたようですが、どういう形でアルバムに収録されるのか期待ですね。




</object>


□ Delerium 2008 North American Tour.
  (Leigh Nash joines Kristy Thirsk and Delerium on Tour.)

>> http://delerium.ca/


北米で9月からスタートする"DELERIUM w/ Elsiane & Morgan Page & Sarah Fimm"の共同ライブツアー。先月、ヴォーカリストにKristy Thirskに加え、Leigh Nashの参加が決定しています。

Leigh Nashは昨年、DeleriumのBill LeebとRhys Fulberのプロデュースで"Fauxliage"をリリースしています。また先日から報じている通り、Kristy ThirskとDeleriumがスタジオ入りして、"Flowers Become Screens"etc,,,といった過去曲のAcoustic Remake(Unplugged Version?)を収録したAnthology or Live Trackをレコーディングしているとの情報もあり、ここにLeigh Nashが起用されているのかどうかも気になりますね。


iPhone/touchをmobile galleryにするiEnvision.

2008-08-27 18:30:04 | Enigma
Art_envi_2


□ iEnvision

>> http://we-envision.com/
>> Art Envi (iTunes)


Web上のimage fileをindex化して一括ソート、「写真」ツールと同じフリック・タップ操作で閲覧でき、iPhone/iPod touchを本体ごと洗練されたImage Viewerへと変えてしまうアプリケーション。

Apple用ソフトウェアの先導的デベロップメント・チームであるOpen Door Networks, Inc.が提供しており、中でもPublic Domainな歴史的名画を多数楽しめる"Art Envi"がApp Storeにて急激に人気を集め始めています。


iEnvisionは"Art"、"Astronomy(天体写真)"、
"News"、"Comic"、"Kid Book"etcetc....と、複数ジャンルの写真へのアクセスを¥1200で一括購入出来るようになっていましたが、いつの間にか(元々?)ジャンル毎に、たった¥115で購入できるようになっていました。その費用対効果に照らして、特に膨大なリソースからArt Paintingsを堪能できる"Art Envi"をお薦めできます。


FlickrのPhotoをプリセットの「写真」ツールと同じ感覚で閲覧出来る"mobile Fotos"というアプリがありましたが、あれと同様、タップ/フリック/ピンチ操作でイメージの切り替え、ズームインが可能。解像度も高く、起動ボタンとホームボタンを同時押しすれば即座にスクリーンショットを撮れるという簡便さ。


Artindex

画家名ごとのindexからビューアを起動、それぞれの絵画を鑑賞出来ますが、現状ではソースに偏りがあり、展数のバラ付きに不満のある方も多いかもしれません。これからのアップデートに期待ですね。


Monet

また、スライドショーにしておくとイメージを先々読み込んでくれるのですが、次々切り替えたいときはローディングにストレスを感じるかもしれません。ウィンドウ上の地球儀アイコンをタップするとsafariが起動してソース元にアクセス出来ます。それとプリセットでのサムネイル表示が可能になれば理想的なのですが....


とにかくインデックスから閲覧までの操作感と、iPhone/touchというモバイル・インターフェース上で名画を持ち運べるという感覚の一貫性が快適ですね。もちろん音楽を流しながら絵画鑑賞も出来ます。出先でスケジュールに微妙な穴のある時や、退屈な出勤時間、大事な面接・商談の待ち時間での緊張の緩和に、一服の心の清涼剤として活躍しそうです。





La_puerta_video


□ Enigma / "La Puerta del Cielo" Video is Available for iTunes Germany.

>> "La Puerta Del Cielo" Video (only for German iTunes)

"Seven Lives" に続き、シングルカットの"La Puerta del Cielo"のMusic VideoがドイツiTunes限定でPremiere Releaseされました。内容は、"Seven Lives"同様、過去の二つのVideoをコラージュしただけのもの。今回は"Return to Innocence"と"Age of Loneliness"が組み合わされているそうです。。

うーん。。手抜きでは無くコンセプトなのでしょうが、やはり海外ファンの多くも刺のある反応を示していますね。


Enigma / "Seven Lives Many Faces" US Press@ PR Newswire.

2008-08-24 17:23:46 | Enigma
Sevenhollywood



ENIGMA's Seventh Studio Album, Seven Lives Many Faces, Transports Listeners to New Aural Destinations.

>> PR Newswire.com (HOLLYWOOD, CA UNITED STATES)


米国のBusiness Mediaネットワークにおいて、企業・公的機関などの、あらゆるジャンルのプレスリリース配信を一手に担うPR Newswireに、Michael Cretu自身がコメントを寄せた"Seven Lives Many Faces"の記事が掲載されました。

Enigmaspace などのオフシャル・ソースとの重複部分を除いた後半部分を抜粋し日本語訳したものを以下に記述します。


>> PR Newswire.com (原文)


--------------------------------------------------------------------------------

「ENIGMAを裏側から支える発想は、不可能を可能にするということなんだ。」クレトゥは語る。「同じようなことを繰り返さない限り、退屈することは無いだろう。私は常に何か新しいことを、創造的なことを自身に強いている。」


"Seven Lives Many Faces"の製作にあたりクレトゥは、400,000超の異なるサウンドから成る、自身の膨大なアーカイブから素材を選り抜いた。「テクノロジーは良きアイデアの代替には成り得ない。しかし、そのアイデアでさえ、本能的な衝動の代弁には至らないのだ。」彼は言う。「このアーカイブから如何なるものを選び、異なる要素を如何に繋げていくかということには、常に困難が付きまとう。これらの音楽に携わった人々でさえね。」


そしてニューアルバムが送り出された。一部では、ストリングス・アレンジがアグレッシヴなドラム・パーカッションと組み合わせられ、伝統的かつモダンな音楽的要素を醸し出している。「この意向を喩えて言うなら、Bronx hip-hopの粗暴さと、ロンドン交響楽団の至純な演奏との結合というようなものなんだ。」


クレトゥは、音楽と言語、楽曲と歌詞を結びつける新たな道を探り続けている。"Seven Lives Many Faces"を締めくくる "The Language of Sound"は、ヴォーカルの断片や肉声を音響的にコラージュし、ポスト-ダダイズムを思わせながらも、ENIGMAとしての広大極まる創造的視野を代表して物語る曲である。クレトゥは説明を添える。「言語は境界を伴う。しかし音楽はその限りに在らない。それは人類という種にとって無くては無らないものであり、情緒の揺らぎ、心の震え、そして感動を生み出す。」




□ more about E7.

・ "The Same Parents" sung by Nikita/Sebastian Cretu.

クレトゥの双子、13歳になる息子であるニキータとセバスチャンが、"The Same Parents"でデュエットしているそうです。この二人、母親Sandraの"The Art of Love"にも"Children Choir"として参加していましたね。タイトルのテーマは『人類は太古の昔に、一組の同じ両親から産み出された。』ということを歌ったものだそうですが、折しも離婚してしまったMichaelとSandraを思わせるのが切ないですね。


また、Albumのイントロには、Enigmaのトレードマークであるホーンのモチーフが、自然音のサンプリングと共に登場するそうです。これで今のところオープニングのホーンが無いのは4th"The Screen Behind The Mirror"のみとなりますね。そして、久々のGregorian Chant(グレゴリオ聖歌)もある場所で顔を出すそうです。

※実は耳を凝らすと、5th"Voyageur"の"Following the Sun"のOutroにもグレゴリオ聖歌がサンプリングされています。




2lapuertadigi_2 4lapuertadigi


□ "Seven Lives/La Puerta del Cielo" 2CD-Single.

>> http://www.enigma-collection.com/


Country : EU
Release Year: 2008
Label : Virgin / EMI
Cat.No.: 50999 234647 2 8 - UK 2346472
Format: Digipak 2-CDs


Disc 1
1. La Puerta Del Cielo (Radio Edit) 3:31

Disc 2
2. Seven Lives (Radio Edit) 3:46


先日発売されたシングル"La Puerta del Cielo/Seven Lives"の2枚組EU盤が出回っているようです。一枚のディスクに一曲のみ、しかもオリジナル・デザインと、非常にコレクション性の高いアイテムと言えるでしょう。



リリースまで残り一ヶ月を切った"Seven Lives Many Faces"。一部ではZero-Day releaseによるアルバムのPromo音源が既にInternet上で流出していて、ファンレビューもちらほら書かれ始めています。また、"La Puerta Del Cielo"のPVも発表される予定とあり、"A Posteriori"の時よりも熱心なVirgin EMIのプロモーションの力の入れ方が窺い知れますね。


anti-clockwise.

2008-08-22 17:22:54 | 日記・エッセイ・コラム
月華星芒 氷蒼の草原を渡る
雲影白くして 荘重なる群聚の暈をなし
遥遠の崖下に振り放つ 星辰の滴瀝を見る


そこには一切の静寂があった
玲瓏たる風輪の響きも
熒熒として寄せ還す 下瞰の潮鳴りも
逆巻く光の秒針に隔絶された
無窮に架かる天地の界標へと
融けて消えゆく


鏡なす わたしの思慕など
お構いなしに 月夜見は星天を巡るのだ

交わす言辞は凡その意味を失い
瞑目すれども遮られず
内と外とにあるものが混流し
以てわたしというものを
収斂する?の彼方から
この月明の下に透き通す

暗翳の縁 この断絶の向こうまで
散らばした岩々の漆黒の切片が
牙鳴らす禍因の顎を象る


刹那 わたしは信より深き理解に至る
宿世より抱かれていた あの遠い幻想も 
総てが生与のものであったことを

人は皆 あの孤独な灯浮標の如く闇黒をたゆたい
各々が各々の導となりて
己であるものに成り変わるのだ


かの群雲は 今や遠離に至って
悠然と渡り 降る星々を纏う

わたしは依然として孤絶したまま
屹度 此処より乖離することで
わたしたちは初めて一つとなるのだ

そして忘却こそが 
過謬する記憶を留めおく最良の箍である。


Enigma / "Seven Lives" Official Music Video World Premiere.

2008-08-16 07:51:56 | Enigma
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□ Enigma / "Seven Lives" Video Premiere on 18.08. Monday.

>> http://www.stern.de/?id=634974&q=enigma
>> http://www.emimusic.de/enigma


(8.18 confirmed!!: The above movie is the official video.)
8/18追記:上の動画がOfficial Videoであることが確認されました。)


まず最初に、上にembedしたVideoをご覧になった方、突っ込みたくなるのをグッと堪えて読んでください。以下、

info@enigma.deからのNewsletterによると、「8/18より"Seven Lives"の"Official Music Video"が、http://www.stern.de にてワールド・プレミア公開となる」とあるのですが、こうして既に公開されています。


内容は"Push the Limits"と"Mea Culpa"の映像をコラージュしただけの、目を疑いたくなるもの。EMBでも"Is it the Official Video?"と失望の声が挙っています。しかし、件のNewsletterには、しっかりと今回の"Seven Lives"用に加工された"Push the Limits"の映像が引用されている他、初出のシークエンスと思われるカットも見られ、どうやらこれが公式の可能性は強いようです。8/18までは予断を許さない所。


ちなみに、info@enigma.deは"Seven Lives"を「5年ぶりのOriginal Video」と宣伝しているものの、実は2006年の"Hello & Welcome"にもVideoが製作されています。




□ Michael Cretu premieres "Seven Lives Many Faces" to Webmasters!!

http://www.enigmamusic.com/forum/showthread.php?t=13184


先日、Michael Cretuが、ENIGMAの主要ファンサイトを運営するヨーロッパ在住のウェブマスター達を、Ibizaにある自身の邸宅に招き、スタジオで"Seven Lives Many Faces"を披露したそうです。その夢のような滞在の様子は上記EMBのthreadにて綴られていますので、ぜひ一読を。

その幸運を掴んだ一人、Onur氏によってアルバムのPremiere Reviewが目下準備中とのこと。今のところEMBでは、管理人がアルバム内容、Cretuと交わした会話、滞在の様子などについて、Member一人一人の質問に「言える範囲で」答えています。旧作に関する興味深いトリビアを見つけたので、以下に翻訳して引用します。


・"Hello + Welcome"は35通りのバージョンを製作した。
・"The Eyes of truth"のレコーディングは、たった一日で済んだ。
・"Turn around"が思い通りの形になるまで、4ヶ月を要した。
・"MCMXC a.D."のIntroを生み出すまでの時間が最長だった。
・"Rivers of Belief"の11分間のバージョンには一日もかからなかった。
・世界中から"La Puerta..."の歌い手を探したが、それはIbizaの鼻の先に暮らしていた。



こういう製作の裏話や陰の苦労には興味をそそられますね。当初は秘密主義の謎のプロジェクトとして始動したENIGMAですが、今こうしてファンと直接的な接触と交流を計ろうとするのには、きっとプロモーションであること以上に、長年に渡って国籍、人種を超えた地球上のファンの指針となり続けたFansiteとしての功労を認め、何よりも彼自身が、ファンやファンサイトによって支えられてきたことを実感したことの現れなのかもしれませんね。


ENIGMA / "La Puerta Del Cielo / Seven Lives"

2008-08-12 20:02:08 | Enigma
Lpdc



□ Enigma / "La Puerta Del Cielo / Seven Lives"

La Puerta Del Cielo [Radio Edit]

Release Date; 08/08/2008
Label; EMI
Cat.No.; 2346502
Format: 1xCD Single


Lpdcdisc_2

>> http://www.enigma.de (listen previews)
>> http://www.emimusic.de/info/82059.html (Biography)


>> tracklisting.

01. La Puerta Del Cielo (Radio Edit) 3:31
02. Seven Lives (Radio Edit) 3:46


Composer: Michael Cretu, Margarita Roig (track1)
Lyrics: Michael Cretu (track1&2), Margarita Roig (track1).
Published by 1-2-3 Music / Crocodile Music.
Produced by Michael Cretu.
Voices: Margarita Roig (track1), Andru Donalds (Track 2).


Digital and orchestral world programmed and performed by Michael Cretu. Recorded and mastered with the ALCHEMIST and ADAM 6.5 AMC Monitoring System at A.R.T. Studios Ibiza/ Spain.


Enigmaにとって、(promo盤を除く)Physically Releaseとしては"Hello & Welcome"以来、実に3年ぶりとなるCD-Single。内容は9/19にリリースされる7th Album、"Seven Lives Many Faces"(日本盤の発売は時差の都合により、日付上で9/17となる予定)にある2曲のRadio Editを収録した、"Both A-side"の先行リードシングル。


Catalan(カタルーニャ語)で歌われる"La Puerta del Cielo"(天国への扉)は、CretuのStudioがあるSanta Agnèsの景観が持つ異称、'Ses Portes Del Cel' (Las Puertas Del Cielo)に由来するもの。イビサ在住の無名歌手 Margarita Roigによるもので、牧歌的な風景描写と、哀愁に染まる心象を重ねたEthno-OrientalなAmbient Vocal トラック。歌詞に登場する「Owls(フクロウ)」の鳴き声を模したオノマトペが印象的です。

ここに至って、Cretuが90年代New-Age/World Beatのストレートなサウンド・メイキングに回帰したのが意外と言えば意外。3rdの"The Child in Us"も彷彿とさせます。



新作におけるTitle Trackの"Seven Lives"は、予てから再参加が噂されていたAndru Donadsの感情的なVocal Track。"A Posteriori"にも用いられていたオーダーメイドのMobile Studio、"Alchemist"による疑似オーケストラとHip-Hopのソリッドなアレンジメント。

Enigmaのお家芸であったピチカートと打ち込みリズムの同期が復活。導入部のオリエンタルなストリングスとフルートの絡みが、多くに指摘されるように、あのSchillerの方法論と、この上なく似ています。


懐かしくも"Find Love"を思い出させる間奏部では、初期Enigmaに顕著な特徴であったアシッド・ハウス的なパッド展開とBizarreなRap、奇怪な啼声が織り混ぜられ、ヴォーカル以外の楽曲の半分近くを、そのダークで悪夢的なシークエンスで分断して硬質なコントラストを演出。



2曲とも、"A Posteriori"に欠けていた多層的なビートの抑揚とダイナミクスが再び前面に出され、リズムとサウンドの機械的な旋推力が重く響いています。逆に、"A Posteriori"がコンセプトに照らして意図的にそれらを排したものであるという解釈が、これによって可能になるかもしれません。

過去作の要素をブレンドしながら、尚鮮やかな世界を露にしたこのシングルですが、Enigma史上では最長のヴォリュームとなる最新アルバム、"Seven Lives Many Faces"が如何様な音宇宙を紡ぎ出すのか、期待が高まります。



シングルのジャケットは紙製の一枚スリープ。歌詞の記載はありません。ジャケット・ディスクレーベル共に、黒地に白で古風なholoscopeが描かれていて、2nd "the Cross of Changes"のデザインに近い印象。

スリーブ裏面には神秘的な形状のロケット。大きな歯車には時速計のように、60-700km/hまでのメモリが刻まれています。



折しも、今夜からペルセウス座流星群がピークを迎えます。宙の息吹く風、降り注ぐ星雨の下、この新しいEnigmaの旋律と魂の調和を経験できる贅沢は、そうそう訪れるものではありませんね。


*********************************************************
* dictation lyrics

La Puerta del Cielo.


Allà baix dins es canal
en es peu de sa muntanya
pareix que sent picarols
suaus si es mou sa manada.

Dins es cantar des riquets
es mussol crida a sa calma
i aquella olor que em pareix
de sa palla huminada.


(Baixant per es canal,
al peu de sa muntanya,
pareix que sent picarols.
Suaument es mou sa manada.

Dins cantaven els ¿?,
i es mussol crida sa calma.
I entre ells, hi ha un lloc que pareix
de sa paia ¿?)


この道を下れば
山の麓 群れは悠々と渡り
ほら、羊飼いの鐘が聴こえる

内にある歌声
あんなに犇めいて
梟たちは しじまを呼ぶ


****************************************************

Seven Lives


Traces, many faces
Lost in the mists of time
Blinded by the darkness
That's the start of the seven lives


It's too close, but still too far
Follow your inner guide,
Show us who you are, are, are
In these seven lives

(Take it easy - x3
Follow your inner guide
Show me who you are
In these seven lives)

It's too close, but still too far
Show me who you are
In these seven lives
Close but still too far
Show me who you are
in these seven lives.


辿れ 多くの顔たちを
時の霧中に囚われ
闇の帷に覆われる時
7つの身命が胎動する

あまりに近く 未だに遠い
内なる導に従え
お前が何者か見せてみろ
この7つの身命を宿して

(※ ループ)


Back to the Future [DVD Collector's Box]

2008-08-10 10:31:48 | 映画
Bttf


>> http://www.bttfmovie.com/


□ Back to the Future [DVD Collector's BOX]

It's been real educational
Overture
Doc Returns (Part III)

Release Date; 07/ 08/2008
Format: 4xDVDs


Michael J. Fox
Christopher Lloyd

Director: Robert Zemeckis
Writers: Robert Zemeckis (written by) &
    Bob Gale (written by)
Scored by: Alan Silvestri



「ヘイドク!ここじゃ時速88マイルに加速するには道が足りないよ」
「道?道など必要ない。」

「未来とはまだ書き込まれていない白紙のようなもの、自分で切り開いていくものなんだ」



"Back to the Future"、私の幼心に衝撃を与え、情緒形成に大きな影響を及ぼした神話のような存在。子供時代に三部作をほぼ同時に観たせいか、I、II、IIIはどれも不可分な一体の作品としての印象が強くて、一般的な評価とは違って、アメリカ開拓時代に舞台を転じた完結編、"Part 3"への思い入れが特に強いです。

小学校低学年時ながら、ほぼその全容を理解出来た普遍的なストーリーテリングの面白さ。当時から現代に至るまで「タイム・パラドックス」という素材を使って考えられる映像・脚本上の試みは、既にこの作品において出し切られています。

Back_to_the_future



しかし意外というか、子供の頃はテレビ録画したビデオテープを擦り切れるほど観ていたのに、中高生になってからは、まるで想い出を心の奥底に仕舞うかのように、全く反芻することが無くなりました。今後リリースされる予定のBlu-ray版に先駆けたこのコレクターズBOX、私が本編を目にしたのは実に14年振りでしたが、ストーリーの末端から映像の細かい描写まで、完璧に記憶通りで驚きました。


Backtothefuture



さすがに今見直すと、幼い頃には読み取れなかった様々な暗喩や寓意が目につくわけだけど、重要なテーマはただ一つ。このドラマの本筋である部分。「青春」とは、自らの存在をかけて過ごすものだということ。生涯における「その時期」を通り過ぎてしまった今思い返すことは、様々な困難を乗り越えて未来へ帰ろうとするマーティのように、私は人生を賭して自身の未来を築こうとしただろうか。。

「もしタイムマシーンがあったら・・・」という安直な夢想を、この映画は軽やかに皮肉ってみせる。たとえ自在に時を超え因果を変えようとしても、未来は等しく自身が対峙すべき局面であり、困難が付きまとう。本当に、人生とは常に「切り拓いていくもの」なんですよね。でも次元転移装置(Flux capacitor)が実在すれば、きっと胸のすくような冒険が出来ることには違いありませんね。


Btf

「バック・トゥ~」といえば、まず何よりも音楽!(笑)
私が人生初めて買ったCDが、"Back to the Future - Part.2"のSoundtrackでした。当時は個人経営でのCDショップが沢山あったのですが、サントラの待遇は頗る悪く、"Part.3"のスコアは上京してやっと入手したぐらい。

アラン・シルヴェストリによるメインタイトルは、一作目と同年に公開されたチャック・ノリス主演"Delta Force"との姉妹作にあたり、モチーフが酷似しています。SFコメディという枠付けにありながら、仰々しく荘厳なスネアのマーチが付けられたのも、その功用と言えるでしょう。また、「クララのテーマ」なんかは今聴いても(´;ω;`)ブワッと涙腺が緩んでしまいます。


※ 今回リリースされたDVD Boxは、2005年に発売された"20th Anniversary Box"と同内容による廉価版。ただ、この由緒正しい(?)絵柄でのパッケージは初なので、それだけでコレクター価値は高いのかもしれません。


South Ossetia conflict.

2008-08-10 04:49:45 | 国際・政治
Sod
(Photo: BBC)


>> 南オセチア紛争年表 (telegraph.co.uk)

グルジアのサーカシビリ大統領は同日から15日間の「戦争状態」を宣言する大統領令を出し、徹底抗戦する構えだ。旧ソ連構成国を舞台とした戦闘は、グルジアのNATO(北大西洋条約機構)加盟問題を軸に影響圏を争う構図ともなっている。(中略)ロシアは8日にグルジアの首都トビリシ近郊の軍基地を空爆したのに続き、黒海に面するポチ港や旧ソ連の独裁者スターリンの出身地、ゴリ近郊を軍用機で爆撃。ゴリではアパートが空爆を受けて民間人に死者が出ている。ロシアが支援するグルジア北西部の独立派地域「アブハジア自治共和国」のグルジア支配地域も空爆を受けた。ロシアが、アゼルバイジャンからグルジアを経由、トルコへ原油を輸出するBTCパイプライン周辺を攻撃したとの情報もある。

(引用元:msn産経ニュース 2時間前)

Sod2


世界中の国々が集う平和の祭典の一方で勃発した悲劇。アパート空爆などによる一般市民も含めた犠牲者は既に2000人を超え、ロシアが激戦地ツヒンワリの解放宣言を出す一方、アブハジア自治州での民族紛争にも飛び火、戦渦は拡大の様相を見せています。

アメリカとグルジアの利害関係に起因するダブルスタンダードによって機能不全に陥った国連の停戦勧告には、今のところ実効性を期待できません。アメリカの主張する「領土権」は表向きの理由としては説明不足もいい所。


直接的な火種はロシア革命から1920年代のグルジアによるオセット人迫害に辿ることが出来ます。その後、スターリンの政策によって、旧ソ連時代からロシアの楔として存在していたオセチアは、チェチェン、イングーシといった周辺民族の怨恨を受けることに。一方で、ロシアへの復帰を求める南オセチア自治州へのグルジアの圧力が、独立/分離派の勢力にしびれを切らして侵攻に至った形。


と、簡単に説明しましたが、当然ながら現在までの経緯には、もっと複雑、重層的な絡み合った事情が存在します。そもそも昨今の国際倫理に照らして、ナショナリズム無視の緊張を強いていたグルジアの主張が、アメリカによる軍事介入の確約を得られるほど説得力を持つとは考え難い。ロシアも承知の上だから思い切った衝突に踏み切ったと思えるのですが、パイプラインを攻撃している以上、アメリカへの牽制も充分に意識したものなのでしょう。

しかし事実上、南オセチア自体はグルジア政府から独立した後、ロシアと周辺国との密輸拠点として憂慮すべき問題を抱えており、また同様にアバシゼ自治州もグルジアの支配を逃れようとしていることで、ここでどうしても踏みとどまりたいという思惑も理解できます。

また、事の顛末次第では、同じアメリカを牽制する利害によってロシアが後ろ盾になっているイランと、対立国イスラエルとのバランスに波及する可能性もあり、事態は表層的に捉えられるよりも深刻と言えるでしょう。


何より国家主導の下、戦争を支持しようと拒否しようと無関係に、民衆が殺されていくという事実。私たちが最も重き尊厳として掲げるはずの「人命」は、生存するというだけで権利と執行力を担っており、それは自ずと攻撃対象となる。依て人間の存在と暴力は不可分で背離できないものなのです。そして利害関係が絡んだ上で、倫理に先行した国家/民族衝突は、世界の至る所で起こりうるということ。

奇しくもオリンピックの最中、世界の「民衆」はこの有事にもっと関心を注いで、これが遍在しうる問題であることを自覚し、自らの帰属する国家に取るべきスタンスを支持していかなければならない。ここで踏み止まれるか否か、それはグルジアだけではなく、人類にとって大きな指針を示す恒久的な命題となる。とにかく停戦に至る解決の過程として、更なる軍事衝突と犠牲の拡大を見るのか、それは本当に平和に至る均衡なのか、私たち一人一人には、刮目して行方を見守る義務があります。


ENIGMA.de New site.

2008-08-09 07:53:28 | Enigma
Enigmaws400


>> http://www.enigma.de/


長らく再構築中だった本家ドイツのofficial site、
"enigma.de"が、"Seven Lives Many Faces" Versionで再開。

"NEWS"、"MUSIC"、"VIDEO"、"BIO"といったコンテンツが含まれますが、これまでEnigmaspace.comにてアナウンスされた以上の新しい情報は今の所ありません。Flashサイトに構築しただけのようです。

Videoは準備中。各shop siteへのLink、及びnewsletterの登録が行えます。試聴Sampleは、enigmaspace.comよりも僅か数秒だけ長いものが聴けますね。


さて、当初のリリースを前倒しして、Oylmpicと同時発売となったSingle、"La Puerta del Cielo/Seven Lives"。今は海を渡っている所ですので、手元に届き次第レビューする予定。同曲はドイツ国内のオリンピック放送公式テーマとして連日流されています。



北京オリンピックの開幕式については、さすが中国、超人的な身体能力と驚異的な統率で、太古から脈々と受け継がれ、押し広げられてきた「人の可能性の歴史」を、圧倒的な芸術の域に昇華して見せつけてくれました。


ぴよぴよ。。

2008-08-08 18:29:00 | コスメ・ファッション
Bird2


>> http://www.giannarose.com/


ニュフフフ。。( ̄ ̄∇ ̄ ̄)
昨年暮れから密かにハマってるのが、
この"Gianna Rose Atelier"による
オートクチュールのデザイン・ソープ。

動物や植物、その他いろーんなモチーフを象った石けんで、
色や香りも高品質。使うのが勿体ない。。というか
飾るのが目的なのかもしれないけど、やっぱり使います(笑

写真は在りし日の番いのスズメですが、
今はとてもお見せ出来ないほど可哀想な姿に。。。(T-T
匂いはチューリップとヒヤシンス。


Gra


箱もオシャレなんですよ~。
カワイイリボン付きなので、贈るときはこのままでも。
香りが少々強いので、そういうのが苦手な人には注意。

これまでは輸入販売店や一部のセレクトショップでしか
買えなかったけど、最近ではAmazonでも取り扱ってるらしく、
コレクションしやすくなりました。

あなたもインテリアやプレゼントにどうですか?



って、ここまで書いて気付いたけど、
スズメはピヨピヨジャナカッタ。。


Google Map Street Viewの功罪に見る「悪意の計量」の必要性。

2008-08-06 12:27:48 | Science
Viewstreet


>> http://www.google.co.jp/help/maps/streetview/


仰々しいタイトルを打ってみたものの、これに関しての議論は「何故今更?」と言いたくなるほど各所で為されていると思うので、私としては、この問題についてシンプルに物申したい。


先日観た「ダークナイト」の中で、ブルース・ウェインが敵役のジョーカーの居場所を突き止めるべく、都市中の高周波を傍受してヴァーチャル・マップを作り出すというくだりがあったのですが、映画の中でも、その行為は緊急時の為に犯さざるを得なかった「暴挙」として描かれており、最後にはシステムを完全に破壊するシーンが弁明として加えられています。



さて、このグーグルマップ。これまでの衛星航空写真に加えて、車道から撮影した画像で構成した仮想空間の中をドラッグ操作一つで360°自在に視点移動可能。道端に落ちてるタバコの吸い殻から、ビルの谷間から覗く太陽を見上げることも出来る、この機能。当然過ぎるかの如く、先日この日本でも導入されるや否や、プライバシー問題や予防的見地において盛大な紛糾を招いています。

対岸の火事とでも思っていたのか、コンプライアンス的に「日本は受け入れるべきでない」という有効な予防措置が、Google社に向けて何も為されないまま、デファクト・スタンダードを狙いにいく圧倒的な技術力とイニシアチブを見せつけられてしまった形。もし糾弾のスタンスを取るなら、その責任は少なくとも自身にも分配されるでしょう。



とはいえ、非常に可能性を感じさせる技術には違いありません。ナビゲーション、不動産、観光案内、想い出巡り、ヴァーチャル・トリップ・・・、よりhuman-nativeなパースペクティブにおける地理データ集約の利用価値、或は単純な楽しみ方の数々は魔性の魅力を持っています。何が出来て、何を出来ないようにすべきなのか、価値とリスクの天秤は、今に始まったことではなく、常に揺変を繰り返しています。

最も指摘されているのは犯罪予防について。窃盗やストーカー、あらゆる形でのデータの悪用といった犯罪・反倫理的行為への間接的幇助の恐れ。しかし、私たちには、それらの悪意が一つのインターフェースにおけるデータ共有によって如何に分布と確率を変動させるのか、その価値に照らして測るための天秤として一般化された方程式を未だ持っていません。私たちは数秒単位で人命を葬っている交通システムを捨てられないし、数億件の詐欺やペテンを媒介するインターネットを必要としている。


Googleに限らず、現行のあらゆるマップ・システムで住所録と詳細な地理データが併せて何らかの実効性の対象となるケースは、例えば何者かの悪意による「晒し」や、「アリバイ操作」という考えに至り易いものですが、それらが脅威を成す為には、データそのものが実効性を発現させる然るべき前後の文脈という、「壁」とも言うべき条件が発生します。そうした悪意と結果の距離が、これらの機能によって如何に縮まり、或は有事を誘う恐れがあるのだろう。


或はもっと根本的な問題。仮に誰かが街中を歩いてる時、周囲の人目にそれほど脅威を感じなくてすむのは、空間を共有している人々が認識する情報と利用価値、及びその行使に付随するリスクが物理的・圧力的に波及しているから。それを名も無き第三者がデータ上で自在に走査・識別・共有できるとなると、従来とは別次元のリスクが介在することになります。これは侵すべき領分か否か。

いくらパブリック・スペースでの出来事とはいえ、今回のことでちゃっかり秘め事やアリバイが露呈してしまう人なんかは、今までは了解を得ていた時空間でのリスクに対する担保において行動していたものだから、その変化の境目に不運にも居合わせた場合には、やはり自己責任以上に、プライバシー的見地から批判したくなるのも当然だと思うのです。


変化するべきは人々の意識(住居に付随するプライバシーは公開がデフォルトとした上での、データ開示に関する取り扱いモラル、及び防衛リテラシー)とライフ・スタイルなのか、それとも時代性に即したコンプライアンスに可能性を押しとどめるべきなのか。恐らくは、その両方が必要であることは誰もがわかっているはず。しかしルールに変化の兆しがある時は、それに関わる一人一人が己のスタンスを訴え、力の平衡に交わらなければいけないのです。



映画に出てきた高周波ヴァーチャル・マップのように、「今の」システムが、リアルタイムで人々の会話を聴き取ることは不可能かもしれませんが、人類の歴史上、一度垣根を越えて了解を得てしまった可能性の顕現は、次なる草地を求めるバッファローの行進の如く立ち戻ることはしないでしょう。


そのうち街中に撮影カメラが配置されて、リアルタイムで現実空間をヴァーチャルに転写するシステムが実装されるかもしれませんね。人倫に背く統制さえ発生しなければ、防犯から物探までを制御する、まるで理想的な監視社会が実現できるかもしれません。

そういう時代には、実効空間における自己のデータ化を無効にする為の"Anti-Sensored"技術と手段が、新しいマーケット価値を見い出しているに違いないでしょう。そしてその時はもう始まっているのかも?


THE DARK KNIGHT

2008-08-06 06:41:40 | music7
Dark_knight_7


>> http://wwws.warnerbros.co.jp/thedarkknight/


□ The Dark Knight / 『ダークナイト』

A Dark Knight
Like a Dog Chasing Cars
Watch the World Burn

Director: Christopher Nolan
Writers (WGA): Jonathan Nolan (screenplay) and
         Christopher Nolan (screenplay)
Score by: Hans Zimmer and James Newton Howard



光と闇の相克。
正義と悪、業と理念、秩序と混沌。
世界が夜の幌に覆われるとき、暗黒の騎士が立ち上がる。


先週末の先行ロードショーで観てきました。
私としては、この映画に最大級の賛辞を贈りたいと思います。

当地アメリカでバイブル的存在として神聖視されているアンチヒーロー、その最高傑作が映画興収の歴史を塗り替える勢いでヒットしているのも頷けますが、今回描かれたテーマは人類にとってもっと普遍的で、世界が今、直面している最も危惧すべきリスクを示唆した重層的なドラマに仕上がっています。



因果と行動、報復と結果。人間誰しもがアルターエゴとして持つ、倫理と憎悪の均衡。Bruce Wayneの内面に鋭く抉り込んだ前作"Begins"とは対照的に、今作ではバットマンの「正義の執行力」としての存在意義が、俯瞰像としての「法と民衆」との関係性の中で明かされます。

そのテーマ性については、実は映画の中で執拗なくらい象徴的に語られていて、わざわざ読み取るまでもないくらい。しかもその語り手が、コロコロと理屈を変える「カオスの使者」ジョーカーであったりするのだからタチが悪い(笑)バットマンは只管黙して行動で語るのが印象的な対立構造でした。


法と悪、ゴッサム・シティの民衆が築いていた均衡を掻き乱したのがバットマン自身であり、仮令それが正義であろうとも、彼の「強制的な執行力」の偏向により社会法規にアンバランスが生じ、集積された「悪」の意思は必然とジョーカーのような「悪の執行力」を必要とした。ジョーカーはもしかしたら、自分がもっと抗いがたいもの、より高次な世界の摂理によって動かされていることを自覚している節があります。


どんな高尚なドグマを大言壮語に載せて語ろうとも、口先だけの義憤が如何に上辺だけで薄っぺらいものか私たちは知っています。しかし、それを一遍の物語としての表層的な振る舞いだけで訴える、映像手段としての「バットマン」というツール、その魅力を最大限に活かしたストーリーテリングは隙がなく、正に奇跡的な面白さに仕上がっていました。



映画完成を目前にして急逝したヒース・レジャーの怪演が光る"The Joker"という存在。過去にジャック・ニコルソンが演じたジョーカーは、狂気と共に何処か威厳を漂わせる「巨悪」というイメージがありましたが、今回レジャーが造り上げた「獣」としてのジョーカーは、どこまでも卑小な存在でありながら、行動原理に全く掴みどころの無い底知れなさを持つトリックスター。映画の核心を露にする狂言まわしでもあります。

(※ ジョーカーにとって、人間の巻き込まれる不条理な事象の混沌は、即ち『消亡の笑い』の的であり、価値の指向が逆転しているように見える。しかし、「笑い」の真性とは、不条理の齎す快楽であるという点において普遍です。)


彼を捉える映像手法は、伝統的なクライム・ムービーとしての情緒も大切にしていて、例えば、一仕事を終えてパトカーの窓から首を振る演出なんかは、その様式美に思わずハッとしてしまうほど。一連のヴァイオレンス描写にも無駄なくジョーカーの「象徴悪」としての説明が詰め込まれています。



世の中に遍在する「人の悪意」を媒介しながら、何処にでも現れ、あらゆる人物の「行動原理」を支配するジョーカー。彼には崇高な理念もなければ、明確な目的すら持たない。ただ悪戯に悲劇を生み出し、対極の存在であるバットマンに「ルールを破る」ことを煽るだけ。(というか、それが目的か)ジョーカーの動機はバットマンがいたからこそ生まれたものでした。

だけどもしバットマンがジョーカーを殺せば、バットマンが「バットマンである存在理由」を失ってしまう。現実世界でさえ、どんな悪人であっても、然るべき状況以外において超法規的手段で葬っても良いという明確な免責条件はなく、たとえ民衆が行使できても、バットマンは自身が抱える矛盾ゆえ行使するわけにはいかない。自分の為に罪を犯す悪を、自分の為に自分が裁くことは出来ないのです。何よりジョーカーの目的は自らの死によって完遂し、即ち皆が「その為に戦っていた」正義の敗北を意味してしまう。



依て、民衆こそが「悪」ではなく、己の「悪意」と立ち向かわなければならない。この映画における「光の騎士」が辿った末路のように、どんなに高潔な理念を持ち合わせた人物であっても、追い込まれる状況、「運」しだいで行動原理が転じることは、実際にあるでしょう。しかし、この世界に生まれた人々は、たとえそれが無力で矮小な存在であっても、人生を生きる瞬間瞬間、誰もが平等に試され、その度に立ち止まって苦悩し、己の行動事由を証明しなければならないのです。

だからこそ私には、この映画で起きることが現実であって欲しいと願わずにはいられません。映画でなくても、もっと目を背けたくなるような惨劇は、現実に数限りなく起こっている。ダークナイトが背負った「光の騎士」の業と負債。その一方で齎された、もう一つの結末。ジョーカーという統合悪に試された民衆による「解答」。




"ダークナイト"のエンターテイメントとしての最大の特徴は、これまでのシリーズで主流だったアクション描写に頼らず、"SAW"のヒットなどで、昨今サスペンスムービーの手法として勃興している『ソリッド・シチュエーション』を随所に取り入れてること。単なるヴァイオレンス描写の連続では齎せ得ない、独特の冷たく醜悪な緊張感が持続し、2時間45分という尺の長さを全く感じさせません。


従来に比べ、クリーンで壮大なイメージの「ゴッサム・シティ」の描写も見所。あたかも、世界中の先進国や新興国の何処にでも存在する普遍的な「都市」としての印象を喚起して、物語の恒久性を助長しています。冒頭部分のビル群の俯瞰は、劇映画としては初のIMAXカメラ撮影によるものだとか。

(また、劇中で裁かれる「罪」も、超常的な暴力では決して無く、マフィアや企業の資金洗浄といった、現代社会の病巣と言えるくらい蔓延してしまったもの)


一方で社会の暗部を泥や血に塗れて這いずり、徐々に伸し上がっていくジョーカーの卑劣な醜行と、方や、財力とテクノロジーにモノを言わせて、圧倒的な「必要悪」を演じるブルース・ウェインの描写を前後しながら、この二つがどう交わっていくのかという期待感を高める演出も見事。(対してジョーカーは、バットマンが手段を選ばず自分を圧倒することを常に『想定』している。つまり、お互いがお互いの手の内で踊っている。)その他多くの映像表現について、この上なく考慮された意匠が施されていて、付け込む余地がありません。

唯一、この映画が「バットマン」以外の「何か」に見えてしまうことを除けば。これは私たち自身に内在する「ダークナイト」、あるいは「ジョーカー」についての物語なのです。



スコアは"Begins"に続いて、現代における映画音楽界の急先鋒として双璧をなすと言って良い二大巨匠、Hans ZimmerとJames Newton Howardの共作。敢えて明白なヒーローテーマを排し、最先端のシネマ音響の効果を熟慮した重厚なプログラミング・サウンドと荘厳なストリングスとの調和/不協和。

"1 rhythm, 2 melodies"(=表裏一体の暗喩)で構成された余りにもストイックなメイン・タイトルを始め、全編を通してあくまでも映像に寄り添うようにして仕上げられた、暗黒に澱んだアトモスフィア。これらは当に今のスコア界を代表する匠によって吟味された、極上の味わいに満ちています。


Müthel / "III Sonates et II Ariosi avec XII Variations pour le Clavessin"

2008-08-03 11:07:58 | art music
Cd3muthel


Johann Gottfried Müthel (1728-1788)
  / "3 Sonatas et 2 Ariosi avec 12 Variations" (Nuremberg, 1756)


Allegro (Sonata I in F major)
Largo e staccato (Sonata II in G major)
Presto (Sonata II in G major)

Release Year; 2004
Label; Teknon
Cat.No.; TK 12-252
Format: 2xCDs

>> http://www.teknon.nl/
>> http://www.mennovandelft.com/


>> tracklisting.

CD 1:
Sonata I in F major (F-Dur / en fa majeur / in fa maggiore)
Sonata II in G major (G-Dur / en sol majeur / in sol maggiore)
Sonata III in C major (C-Dur / en do majeur / in do maggiore)

Total time: 61'55



CD 2:
Arioso I in G major (G-Dur / en sol majeur / in sol maggiore)
Arioso II in c minor (c-moll / en do mineur / in do minore)

Total time: 48'23



Menno van Delft, clavichord
Large 5 Octave Clavichord by J.A. Hass, Hamburg, 1763
Russell Collection, Edinburgh.
Catalogue Nr. C2-JH1763.22


「3つのソナタ、2つのアリオーソと12の変奏曲」(ニュルンベルク、1756)から
ソナタ第1番ヘ長調/ソナタ第2番ト長調/ソナタ第3番ハ長調
アリオーソ第1番ト長調/アリオーソ第2番ハ短調
12の変奏曲



“ある鍵盤楽器の学生が、ヘンデル、スカルラッティ、ショーベルトやエッカルト、C.P.E.バッハにおける全ての困難を克服し、もはや征服するべき領土のないアレキサンダーの如く嘆いていたなら、私は彼の忍耐と根気を試すべく、ミューテルの作品を薦めよう。斬新さに満ち、味わい深く、優美で、精緻の極み。私にはためらいなく、それらを現代における至高の創作の一つとして挙げられる。それほどに稀有な才能と技術を持ち合わせていながら、ここドイツでは、彼の名は殆ど知られていないのだ。” (音楽学者:Charles Burney, 1773)



稀代の才能を発揮し、「怪作」と言わしめるほど圧倒的な楽曲を生み出しながらも、その拘りからくる寡作ぶりから、歴史に埋もれてしまった一人の偉大な作曲家、ミュテル。

1756年、ニュルンベルクにて出版された「3つのソナタ、2つのアリオーソと12の変奏曲」は、彼の最初の刊行物であり、当時文芸の興隆期にあったラトヴィアの首都リガにあって、その中心人物であったオットー・ヘルマン・フォン・ヴィエティンクホフ男爵に献呈されました。


「気持ちの乗らない限り作曲しない」「街路に雪の降り積もった日にしか演奏しない」など、音楽活動に関しては大変な気分屋であったと言われるミュテルですが、その精神性を純粋に投影したような、静謐でありながら、水の弾けるかの如く澄んだ躍動感に溢れる楽曲の数々は、確かにバロック-古典の過渡期にあっても異質。

シンプルなテクスチャに踊る優美かつ刺激的な和声進行、(特にソナタ第2番ト長調のラルゴ・エ・スタッカートに見られる、散らした和音の微妙な鉏鋙が面白い)研ぎすまされた修飾と洗練された装飾音の描く、まるで気紛れな情緒の機微に重ねた静と動のコントラスト。これらクラヴィコードの演奏書法における前衛性が、現代になって再び評価されています。



1728年、ミューテルはハンブルク近郊の街メルン(14世紀の伝説の放浪士、ティル‐オイレンシュピーゲルの生地)にオルガニストの子供として生を受け、クラヴィコードとヴァイオリン、フルートを学び、19歳でクリスチャン・ルートヴィヒ2世に仕える為、シュウェリンはメッケルンブルクの宮廷に入ります。

1750年、J.S.Bachに師事すべく宮廷オルガニストを退いたミュテルですが、彼がライプツィヒに到着して僅か三ヶ月、たった数週間も学ばないうちに、大バッハは死没してしまいます。しかしミューテルは事実上バッハの最後の弟子となり、以降晩年に渡って、その名代を背負うことになります。

ちなみに、生前バッハは多大な尊崇の眼差しを集めながらも、その精巧な組み木細工の如き数学的作風は、当時既に時代遅れのものとして批判されていました。



ライプツィヒでの修行にあてた期間、彼は出来うる限りのことを学ぼうと、かの伝説の奇行師の如くドイツ中を旅しながら、ヨハン・アドルフ・ハッセ、C.P.E.バッハ、テレマンといった名だたる巨匠たちと交流を深め、西欧音楽の潮流を肌で吸収していきます。しかしシュウェリンに戻った時、宮廷はもう多くの雇用を見込めない状況にありました。


彼の意匠が完成を見るのは1753年、齢25の時に、弟が職に就いていたRigaに移り住んでからのこと。同時期にリガに暮らしていた、あのヨハネス・ヘルダー(『言語起源論』などを著し、カント哲学と対立した)によって「音楽の権威」として賞賛され、オットー・へルマン卿の下、宮廷音楽家と教会オルガニストという地位を得ることが出来ました。その後ミュテルは亡くなるまで、リガを離れることはなかったそうです。


上の方に書いたミューテルの人となりについての端的な証言は、リガで数年に渡って舞台主任を務めたJ.C.Brandesによるもの。また、親友のC.P.E.Bachへの書簡でも、作曲活動へのこだわりに関して、彼の自負が反映された当世批判的、挑発的な言い回しが散見されるとのこと。その人柄もあってか、彼は生涯結婚することも子供をもうけることもなく、1788年、少数でありながら途轍もなく価値のある作品群を遺して没しました。



当にSturm und Drang(疾風怒濤期)の時代性と変動、そのダイナミズムを身を呈して作風に反映するミューテルの生き様は、数少ないこの貴重な収録音源にもしっかりと凝縮されています。かのグスタフ・レオンハルトに師事したMenno van Delftの巧緻を尽くした熱演によって再現される、偏執的なまでの生々しさ、一方で冷たく張詰めた空気の二面性を漂わせる複雑な感情の機微。

凪と激浪を繰り返す珠玉のソナタも去ることながら、一分間の尺を繋ぎながらカレイドスコピックに千変万化する、2つのアリオーソ主題による24の変奏曲は、即ち「暗澹たる麗筆」と呼ぶに相応しく、不安定さの中に咲いた美学の結晶と言えるでしょう。



[about Instrument]

>> Russell Collection Data Sheet.

クラヴィコード:
1763年ハンブルク、J.A.Hass製。
エジンバラのラッセル・コレクション所蔵.

この演奏に使われたクラヴィコード(ジャケット写真にあるもの)は、ミュテルが生きた当時に製造されたもので、優れた装飾と精巧な仕事に定評のあった楽器職人、J.A.Hass(1712?1715-1776)の手によるもの。一説にはモーツァルトが実際に演奏した可能性もあるとか。アルバム・スリーブの各所には、美麗に施された細工の写真が添えられています。

Keyandboard_2 Lid

鍵盤はダーク・トータスにあしらわれた深い色味のナチュラルキーと、アイボリー製のシャープキーの白のコントラストが美しく、ツールボックスの蓋にはネオ・チャイニーズ風に描かれた山村のモチーフが施されています。サウンドボードにはナイーブスタイルの花々が描かれ、楽器それ自体が一つの華やかな美術作品の体を成しています。