lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

AIMResearch site opening today.

2009-06-29 18:41:40 | Science
Wpiaimr_3
(Laboratories of the Advanced Institute for Materials Research, Tohoku University)



□ AIMResearch.

>> http://research.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/

今も昔も、文明社会にとって最も基礎的・重要なマテリアル分野において、世界最先端を走ると謳われている、東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)。本日、その研究レポートや活動報告を、プレスリリース等と共に国際的に逐一発信する為のサイト、及び出版物が"AIMResearch"として立ち上げられました。


WPI-AIMRといえば、今年始め、『超伝導クーパー対の対称性』の観測による直接決定を世界で初めて成し遂げたことも記憶に新しく(具体的には、鉄系高温超伝導体における『電子-ホール対称性』及び鉄原子の電子軌道の差異によって発現するマルチバンド超伝導の観測)、その研究動向へ世界的な関心の高まりに応えるものとして開設されたのでしょう。



2007年、文部科学省の『世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラム』構想の第一陣として設立されたAIMRですが、今のところ、他の4拠点から頭一つ抜けた業績を誇っていると言って良いかもしれませんね。

AIMResearchでは、同機構が年間発表する数百報もの論文の中から、更に選り抜かれたレポートのハイライトをタイムリーに掲載していくということで、ウェブリソースとしての今後のコンテンツ展開も楽しみです。



□ Latest Reserch Highlights.

Titanium coming out on top - Published in Science
High-resolution electron microscopy settles the problem of the atomic structure at the surface of titania, an important catalyst material
http://research.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/eng/research/522


In the zone - Published in Proceedings of the National Academy of Sciences
Nanoscopic shear zones have been identified as responsible for plastic flow in bulk metallic glass
http://research.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/eng/research/523


Poacher turned gamekeeper: From insulator to superconductor - Published in Nature Materials
An insulating material has been converted into a superconductor using only an electrical field ? without the need for chemical doping
http://research.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/eng/research/524




Transformers: Revenge of the Fallen

2009-06-27 16:57:47 | music9
Tf2rf


>> www.tf-revenge.jp/


□ 『トランスフォーマー/リベンジ』

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Nest (feat. Linkin Park)
Einstein's Wrong
I Claim Your Sun
"Let It Go" / cavo

Release Date; 20/06/2009

DreamWorks SKG
Director: Michael Bay
Exective Producer: Steven Spielberg
Writers: Roberto Orci /Alex Kurtzman / Ehren Kruger
Music: Steve Jablonsky / Linkin Park

Starring: Shia LaBeouf / Megan Fox / Josh Duhamel / John Turturro
Voices: Peter Cullen / Hugo Weaving / Mark Ryan / Frank Welker / Jess Harnell / Charlie Adler


□ Linkin Park / "New Divide"

</object>



にゃんこカレンダーにゃんこカレンダーにゃんこカレンダー...etc

「何だかよくわからないけど、なにやら凄いことが起こっている!」


最先端SFXの跋扈するブロックバスター映画の中でも、
超弩級のスケールとインパクトを誇るTFの続編。


あらすじ:
正義のロボット軍団と人間が力を合わせて、
イカレたロボットたちから地球を護るぞ!



Tf2demo


なんかスクリーンが大変なことになってるのは分かったんですが、私の理解力が及ばないのか、何が起こってるのか、誰が誰と闘ってるのか、誰が死んで誰が生きてるのか(笑)とにかくもう画面の迫力と大音響に気圧されっ放しで辟易してしまい、書こうと思ってたことも全部吹っ飛んだ。(´・ω・`)

って150分!!長いよ!!!


サム大学デビューでのオカン無双とミカエラ(Megan Fox)の露出にハラハラ、ベイ流の下世話で際どいジョークを、更に掃き溜めたような前のめりのコメディ演出、およそ正義の集団とは思えない味方ロボットの耳を疑う暴言の数々、そして何と言っても、悪の頭領、メガ様とスタースクリームの夫婦漫才(違


もう最高です。

ってかシモンズのおっさん結婚してくれ。
寝不足のまなこをギンギンにかっぴらいてくれたのが
彼のフンドシ姿でした...テヘ☆



Tf2pyramids
(うんしょうんしょとピラミッドを登るデヴァステイター)



基本TFはキャラ萌え映画なのですが(異論は認める)、今回は一作目にはいなかった巨大合体ロボとか、ハンドパゥアーとか瞬間移動とか超能力を使うロボまで登場しちゃったりして。それに軍の幹部や米政府との摩擦やプライドの衝突云々もマイケル・ベイ映画ならではの描写の総決算という感じで、地球の運命を握る渦中のサムはといえば、不相応なくらいの彼女とちゅっちゅにゃんにゃんしてるものだから(以下略


Tf2wheelie

今回私の心を捉えて離さないのが、ディセプティコンでありながらミカエラに懐柔(利用?)されてしまう小型ロボット、ウィーリー。憎まれ口ばかりを叩きながらも、とにかく愛嬌の絶えないウイヤツなのですが、なぜか後半、スクリーン上から何の前触れもフォローもなく消えてしまいます。(涙


他にも死んだはずのロボが画面にいたり、画面の整合性がとれていなかったり、重大な設定がなし崩しだったり....一見編集事故?と思える現象がチラホラ見られるようですが、高度なファンに言わせるとこれは、「原作の作画ミスまでも再現」しているのだとか。ホントかぁ~??


Tf_ravage


無機質で鋭利なイメージで冷徹に仕事をこなすディセプティコン、ラヴィッジ。衛星にとりついたサウンドウェーブと言い、デザインは敵サイドの方がカッコイイですね。


一般的なアクション映画のクライマックスシーンが延々と続いてるかのような作品ですが、後半では実物のピラミッドやペトラ遺跡などを舞台に、ほんのりミステリアスな演出を醸し出してみたり。そこはマイケル・ベイ、すぐさま爆発炎上・粉塵の舞う戦闘シーンに切り替わり、極限状況下において発露する人情ドラマの様式美を貫いています。

ピラミッドでの撮影は、現地の考古学者がTFの大ファンだったことから実現したそうですが、本当にトランスフォーマーで良かったのでしょうか...。ピラミッドの頂点に向けてレールガンぶっ放す映画ですよ??



そんなこんなで、大画面ありきの「これぞブロックバスター!」な映画で、何年かぶりに全身で受け止める体感を堪能できた作品でした。


でも「劔岳」の方がオススメです(ボソッ




Tf2score

□ Steve Jablonsky / "Transformers: Revenge of the Fallen" Original Score


前作に引き続き、スコアを手掛けたジャブロンスキーですが、重厚で金属的なデジタル・サウンドに混声合唱と、特に新機軸は見当たらず。モチーフも前作のものに若干のアレンジを加えた程度。

"Remote Controll"のライブラリからの引用が目立つのは仕方ないとは言え、Hans Zimmer(本作品にも協力)が同時期に製作した「天使と悪魔(Angels and Demons)」とオーケストラ素材とコーラスのサンプルが重複する部分も見受けられます。Linkin Parkが映画の為に書き下ろしたキラーチューン、"New Devide"のインストゥルメントをアレンジした"NEST"は一聴の価値あり。


今作に限らず、Hans Zimmerの提供する音源には、自己再消化とも言える類似したモチーフやアレンジが多々存在していて、半音ずらしたり、一音入れ替えるだけで他の映画のテーマ曲に早変わりしてしまうようなものも(笑)今作の"Infinite White"のエスノシャントも、映画"Gladiator"とほとんど同型のメロディが使用されています。

そういえば、予告で使われた限りなくエルガーっぽい旋律の曲は未収録ですね。本編中でも耳にした記憶があるのですが...。



Tf2ost

□ O.S.T. / "Transformers: Revenge of the Fallen"


Linkin ParkやGreen Day、Nickelback、Avenged Sevenholdなど、ロックバンド界の名だたる顔ぶれをフィーチャーしたエッジの効いたクールなロック・コンピレーション。最近この手のサントラには手を出すことは無かったのですが、今回お薦めしたいのはこちらの方。


良質な「ロックのコンピレーション」って、意外となかなか見つけ難いですよね。これは映画に彩りを添えるだけに留まらず、芯から髄まで一本尖ったロックスピリットを貫き通した「一枚の作品」であって、どの曲も主題歌に拮抗するほど主張していながら、一つも欠けることなく全体で骨太な響きと調和を奏でているようです。

エンドクレジットに使用された冒頭からの4曲の流れだけでも、とにかく聴き応えがあります。


Green Dayなんて聴いたのは高校生の時以来ですが、そのしっとりとした激情にすっかりあてられてしまい、またあの頃のロック熱が再燃しそうです。


砂漏の生命 - ghost in a sandgrass.

2009-06-26 06:05:24 | Science
人間が「自我」や「意識」と呼ぶ処のもの、即ち「心」の実存を捉えるにあたって、「死」あるいは「忘却」は避けては通れない要素である。

心によって演繹的に情報という形態を付与される心という存在の循環性は、その本質をパラレルな構造に転写することによって俯瞰可能になる。「心が存在するかどうか」ではなく、「心を定義する」座標次元へのジンバル転回だ。



夥しい量の砂粒が敷き詰められたガラスケースを想像してみてほしい。その砂の一粒一粒が、宇宙の森羅万象を発現するn次元要素(n>0)と置いてみると、単位的環としての総体に対して標数となる個々の砂粒の挙動は、準同型の素環を為す。


このような空間において、人間という要素にとって心は内側に秘された概念的な存在ではなく、万物の振る舞いを決定する一要素として外側に並列される。自明なことに、自我と意識、精神とされるものは絶えず外界と相互作用して発現するものであり、物質に一元的に準位し共変するものである。



では「自我」とは誰のものであろうか。

これらの砂を敷き詰めたケースの底を破断すると、砂の摩擦運動による粉体流が発生する。媒質としての砂の流れには固有の構造が発生するが、ここで重要なことは、サンドケースというdomainの外側に流れ落ちる砂の運動が、系の内部の粉体流の構造を決定するという様態にある。


最初に砂のケースを単位的環と置いたのは、物質現象と精神活動の間にある可換性を明白にする為であるが、サンドグラスは宇宙の総体の例えであると同時に、その粉体流のクラスターにhomomorphic(準同型写像)を持つものとして表現するものである。

ドメインの外側へと落ちる砂は内部の相を時間依存的に破断し、また形成している。さながらサンドグラスの内側に魂を宿すかの如く、「失われることによって発現している」のである。砂を落とす現象は重力に拠るものであるが、ここではエントロピーによって引き起こされるあらゆる相転移への定向性と置き換えて頂きたい。



「死と忘却」・・・意識が忘却の賜物であるように、サンドグラスの中の死は、位相的かつ時間的に生者の振る舞いに写像される。このグラスケースはあるいは、宇宙の中にある個への回帰的な逆写像、自己同型と捉えられる。ここで命題が循環する。

「心」の座す所とは何か。


「他者(自己)の忘却」が「自己(他者)の意識」を構築するとは理解出来ても、日常の感覚においては、その関係性が"n次元連結的"であるとまでは及ばないかもしれない。これはユングによるところの集合的無意識は全く別の概念である。それでは、「自己の死」は、系の内部に散逸する自己にとってどのように反映されるのか。自ら至ることによって持ち出せない場所、答えはそこにしかない。


因って人間がそれぞれ主観する自己意識は共有のものであり、同時に固有の存在でしか有り得ない。ただ、他者の死は我々と共にあり、忘れられることによって思い出されている。「心」とは、そうして普く熾されるところのものなのだ。




□ clip.

工学:自由落下粉体流の破断とクラスター形成の高速追跡
High-speed tracking of rupture and clustering in freely falling granular streams
pp1110 - 1113

Freely falling granular streams break up into characteristic droplet patterns similar to liquid flows, but the clustering mechanism remains unresolved. Here, imaging and microscopy data reveal that tiny cohesive forces are responsible, corresponding to a granular surface tension some 100,000 times weaker than in ordinary liquids.

John R. Royer et al.
doi:10.1038/nature08115
Abstract: http://forcast.emailalert.jp/c/abrvadczjpfO6Lbb
Article: http://forcast.emailalert.jp/c/abrvadczjpfO6Lbc




粉粒体媒質:砂の流れの中の構造
Granular media: Structures in sand streams pp1064 - 1065

An ingenious experiment that involves dropping a costly, high-speed video camera from a height of several metres reveals how free-falling streams of granular matter, such as sand, break up into grain clusters.

Detlef Lohse and Devaraj van der Meer
doi:10.1038/4591064a
Standfirst: http://forcast.emailalert.jp/c/abrvadczjpfO6LaB
Article: http://forcast.emailalert.jp/c/abrvadczjpfO6LaC



ISOBEL CLOUTER & ROB MULLENDER / "Myths Of Origin - Sonic Ephemera From East Asia"

2009-06-21 10:34:01 | art music
Moo



□ Isobel Clouter & Rob Mullender /
  "Myths Of Origin - Sonic Ephemera From East Asia"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Sawara matsuri / Singing sand / Suikinkutsu
Chion-in temple / Nightingale floor / Saiho-ji temple
Baoritaolegainuoer descent

Release Year; 2008
Label; and/OAR
Cat.No.; and/32
Format: CD+
Note: Includes PDF Booklet.

>> http://www.and-oar.org/pop_and_32.html


>> tracklisting.

1. Sawara matsuri / Singing sand / Suikinkutsu
2. Kotohiki-hama / Kotoga-hama beaches
3. Chion-in temple / Nightingale floor / Saiho-ji temple
4. Dune ascent / descent
5. Aosigetunoer descent
6. Baoritaolegainuoer Natural Booming
7. Baoritaolegainuoer descent
8. Dune 3 descent
9. Tibetan Prayer wheels, Xiahe


Compilation, images and text by Isobel Clouter and Rob Mullender.
Design by Dale Lloyd.


Field recordings of travels through east asia including Singing Sand & Booming Sand. All recordings on his CD were made by Isobel Clouter (IC) and Rob Mullender (RPM), using the following equipment:

Microphones - Sennheider K6ME66 or Core-Sound Binaurals.
Recorders - SONY TCD-D100 DAT or SONY MZ-R35 MINIDISC.


Recordings from Japan are edited soundscape compositions, whereas the recordings from China are unedited.



「無為の自然」とは存在しうるのだろうか。「環境 (environment)」という言葉が語るのは、常に何者かとの関わりの中にあり、「誰かにとっての」もの。環境を映し取るということは、そこにある人々の影を捉えることである。



世界各国から寄せられた先進的な音響芸術(サウンド・アート)を広く扱うエクスペリメンタル・レーベル、and/OARから届けられるのは、アーティスティックな意匠に基づき収集されながら、学術性資料価値を備えた貴重な"Sonic Ephemera"、音像の標本とも言うべきもの。



環境は如何にして文化と記憶、及び神話を発生、形成するのか

大英図書館にあり、地球上のあらゆる「環境音源」を所蔵する世界最大のサウンド・ライブラリ、"British Library Sound Archive"の若き女性キュレーター、Isobel Clouterが日本の文化・環境に触れながら集めた音像の数々は、我々が日常で意識しない、世界の中にある領域としての"Japan"特有の精神性及び、文化的側面を改めて浮き彫りにしています。



Sawara2
(photo by Isobel Clouter from PDF Booklet.)

佐原の大祭(千葉県)の囃子から、知恩院の鶯張りの廊下と読経、西芳寺(苔寺)の静寂、琴ヶ浜(島根県)と琴引浜(京都府)の鳴り砂浜、そして水琴窟。


             Suikinkutsu
               (水琴窟 - Suikinkutsuの一例.)

地理的に距離を置く音たちを「時の結晶」に閉ざしたサウンドスケープは、それぞれの土地で生きる「人間」の遍在するパースペクティブを帰納的に炙り出すものであり、それは同じくここに収録された、遠く離れた中国文化の響きと驚くべき共時性を奏でている。


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例えば、夏河のラブラン寺院でチベット僧が回すマニ車と、知恩院の鶯張りの軋み。私たちが「音源の正体」を知らされない限り、出自も発生の仕方も全く異なる音像が、互いに引き寄せ合い共鳴するように類似性を発現させる。そう、これは紛れもなく「作品」であり、音響芸術として構成されたアルバムなのでしょう。


Temple2
(photo by Isobel Clouter from PDF Booklet.)



この作品のもう一つの主役は、『砂』。

ある規則性を以て世界に分布する「鳴き砂」。これは名状によって一括りに出来る現象とは言い難く、その組成や環境の差異によって、地域毎に個性的な「声」を持ち合わせてるといいます。


Isobelが日本を訪れたのは勿論、日本にあるその『声』を捕らえる為でもありますが、もう一つは、粉体工学者にして鳴き砂現象の研究については世界的な権威であった、生前の三輪茂雄氏に会う為であり、このCDは彼に捧げられたものとなっています。

Isobelの協力者の一人である日本人研究者が、自身のHPにてIsobelの日本滞在の様子を綴っています。
http://www.f5.dion.ne.jp/~yshiwa/singigsand/Eigg/eigg.htm (from 『粉の世界』)




日本での録音の後、中国でRobと合流し、巴丹吉林沙漠で砂丘が鳴動する『ブーミング現象』を追いかけるに際しても氏の助言を仰いだそうですが、彼は鳴き砂やブーミング、その他「砂の現象」が関わったとされる世界中の民間伝承を整理した文学者としての側面も持っていて、この作品の根幹に関わるアイデアは三輪氏に拠るものが実に大きいと言えるでしょう。


Desert2_2
(photo by Isobel Clouter from PDF Booklet.)

砂丘が蠢く時に、粒子の摩擦によって無辺の砂漠を覆う程のドローンを発生させる『ブーミング』は、人々にとって畏怖の対象とされながらも、現在は当の人間達による環境汚染やツアリストの干渉によって沈黙の危機に瀕していると言われています。鳴り砂と同様、発現に極めてナーバスな条件を要するこの現象は、膨大な粒子の運動が関わる相転移の一種とも言い換えられます。


一度汚染されてしまうと、いくら淘げても沈黙してしまう鳴り砂と同じく、一定量の不純物を含んだ砂丘はもはや歌うことは無いと言われ、その感度は環境に対して非常に鋭敏なのだとか。大地を揺るがし、人々の心を震わす悠久と思われていたドローンが、"Ephemera(儚さの標本)"にクリップされてしまうことには、何処か物悲しさを覚えてしまいます。



IsobelとRobは、フィールドレコーディングという手法の在り方に対する自身の考えを語る上で、「音」と「音楽」との明確、あるいは曖昧な境界をそれぞれ定義しています。Isobelは音楽には「物語」が求められると言い、それはインストゥルメントを使用した「楽曲」ではなくても、ここにある「音たち」のように、何かを語り感情に訴える「声」さえあれば事足りる。


元々はイギリスのNational Film and Television School (NFTS)において映像作家としての活動を志していたIsobelは、自身の作品の編集中、サウンド・デザイナーの手掛けた音源に突然の啓示を得たそう。以来、カメラのパースペクティブや視覚効果、役者の管理など「映像」に伴う普く制約を超え、壁の向こう側の出来事や目に捉えられない事象の全てが表現可能な手段としてのサウンドアートに傾倒することになります。



『音と光』。

視覚情報としての『光』は、まさに「時間」及び「位置関係」というファクターにおいて、人間の情報処理とイメージの制限を伴うと言えるでしょう。

対して『音』は、一般的な人間の生活環境にあって、360°全方向から、そして近距離-遠距離の情報をほぼ瞬時に伝え、人に起きていることを「イメージさせる」ポテンシャルがあり、それは宇宙的尺度で「情報」という概念を扱う際の「光」の役割そのものと同様なのだと気付かされます。



音楽性の裾野の広さが窺えるRobの嗜好とは対称的に、Isobelは自国のポップソングにはあまり感興をそそられないらしく、専らラジオ番組を聴いているのだとか。最近心を揺るがされた出来事は、エッグ諸島のフィンガル洞窟での音の反響だとも言い、彼女にとっては「自然の音」こそ最も感動的な音楽なのかもしれません。



To see a World in a Grain of Sand
And a Heaven in a Wild Flower,
Hold Infinity in the palm of your hand
And Eternity in an hour.

     ???????William Blake / "Auguries of Innocence"


一粒の砂に世界を 一輪の野の花に天国を 掴みなさい あなたの手のひらに無限を 一刻の中に永遠を

ウィリアム・ブレイクの最も美しい詩の一つにある如く、"Sonic Ephemera"が捕らえたのは、極小の中の無限、刹那に刻まれた永遠であり、その本質は鳴り砂のように「遍く響き合う」人と環境との時を超えた結びつき、そこに美を感じる心の源泉と、それを包容する自然、そして人の姿なのです。



:: references
and/OAR interview: Isobel Clouter & Rob Mullender (JUNE 16, 2009)




最後に、音源形式の論文とも形容できる本作の重要なコンテンツである、ブックレット記載のInner Textを日本語訳しましたので、彼らのレコーディングの動機への理解、及び目的の為の助力となることを望むべく、以下に掲載します。

原文を確認したい方は、是非CDを手に取って見てください。巻末には、より仔細なレコーディング地の記述と、IsobelとRobの活動と考察の根拠となった資料の数々がFurther Reading(参考文献)として記されています。



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Myths of Origin - Sonic Ephemera From East Asia
神話の源流 - 東アジアの消え行く音遺産


これらの録音は、1999年に発端したプロジェクトにより、長らく追い求めて来た「環境は如何にして文化と記憶、及び神話を発生し、形成するのか」という普遍的な考察を裏付けるものとして導かれた。科学的手法や人類学に拠らず、録音の収集のみによって、「音の環境」のかけがえのない価値を浮き彫りにしている。また、これらの音素材は大英図書館、the British Library Sound Archiveのサウンドスケープ・コレクションへ寄贈される。



きっかけはDavid Toopの"Ocean of Sound"において、故Paul Burwellがヘブリディーズ諸島エッグ島への旅で、鳴き砂のビーチに彼の足で大きな「ト音記号」を描きながらレコーディングを行ったことに由来する。こうした行為も刹那的な影響のみを遺して、絶えず移ろう地景に没してしまう。これも‘エフェメラ(短命な標本)’という単語の指す所の一側面であろう。


鳴砂現象は、まず第一に湿度や汚染といった環境変化にとてつもなくセンシティブだ。2000年、エッグ島において我々は、非常に乾燥した浜砂に恵まれ、録音することが出来た。(MiniDiscへの圧縮過程で、ある程度変質しているものの)2001年の中国北東部への旅においては、敦煌の鳴動する砂丘"Booming Sands"が、営利的な搾取やツアリストたちによって如何に失われているか、ということを思い知った。

毎年何千人もの人々が訪れ(我々の立っていた所は、いくつもの隊列が蹂躙していた)、ゴルフバギーやエアプレーンの騒音を響かせる。ミクロの人工廃棄物を含んだ砂は、もはや鳴ることはないのだ。実に儚いものである。



内モングル、バダインジャラン砂漠の遥か北では、今のところそういった弊害もなく、中央部では500メートルの高さに及ぶ荘厳な砂丘が、畏怖を轟かせながら地平線の果てまで黙々と行進を続けている。幾日かの午後や夕暮れ時、2-3日の風の強い日を除いては全くの静寂で、白熱の太陽がジリジリと照りつけていた。


突然、聴いたことも無いような低音のドローンが砂丘の向こう側から轟いて来たので、ふもとのキャンプにいた我々は愚かにも、マイクも水も持たずに飛び出してしまった。砂丘のなだらかなスロープを登るに従って、ドローンは徐々にか弱くなって行き、音源を見つけるには更に歩かねばならないことを悟った。何よりそれを完全に見失ってしまうことを怖れていた。Isobelはバイニューラルマイクを、彼女のサンハットに取り付け、地面に伏して息を殺していたが、もう音は消えかけていたんだ。それでもなんとか、消え失せてしまう直前の数分を捉えることが出来たよ。


結局、我々のツアーの中で実際に捉えられた『ブーミング』の例証はこれだけとなってしまった。確かめられる限り、2回の録音のうち、一方のみが自然現象としての"Booming Sand"が存在することの証であり、他のレコーディングは、砂丘の尾根を6-8フィートに分けて滑り降りたり、全身を使って砂を押し崩すなどして、人為的に砂の雪崩を起こしたものだ。



柔らかいヒスとともに摩擦する砂は、だんだんと特徴的なハミングを形成する。まるで弾けてダンスしてるみたいに。音量が増すに従い、徐々にパターンが描き出され、砂丘は突如として生命を宿すものとしてあなたの下に横たわり、咆号し始めるのだ。この経験の後では、もはや砂丘を以前と同じ眼差しで捉えることは出来なくなる。その傍らで眠りにつくことすら奇妙で落ち着かない気分に囚われるのだ。


こうしたことは、モンゴルや中国の伝承歌と"Booming Sand"との関わりの可能性を示唆するに十分だろう。然し乍ら、両国における共産主義者の構造改革により、それらの歌の同定は困難を極める状況となっている。民族音楽学者のCarol Peggは、モンゴルにおける多様な民俗伝承歌は、単一な社会主義及び国家主義の下に統一を図られ、その結果として多くのローカルな伝統様式のアイデンティティが失われたと唱えている(Pegg, 2002: PP1009)。そうした音楽様式の中でも浄化を免れたものがホーミー(倍音唱法)であり、外モンゴル西カフカースで口伝される神話の源流ともなっており、ここに音色と音楽性との深い関連性を見てとれるだろう。



アルタイ山脈を西に走る境界で分けられた区域には、ジャルガラン山と東に位置する巨大な湖、ハルヌールが構えている。ジャルガラン山の人々は、東からの風が低い唸り声をあげて辺りを行き交い、湖に吸い込まれていくのだと言う。』(Pegg, 2002: PP1009)


"Booming Sands"が彼らの歌唱法や楽器の役割に特徴的な影響を及ぼしているという発想は尤もらしくある。敦煌では、鳴沙山と三日月湖の伝説に関する出版物をあちらこちらで目にすることが出来た。バダインジャランでは環境組合の現地モンゴル人(砂丘湖の浅瀬へのザリガニ放流で知られる)とガイドに当たってみたものの、彼らの知る限り、そのような例は実在していないという。山からの唸り声が意味を為すとすれば、それは人々にとって『ちょっと風が強いな』と気付かせるくらいのものなのだとか。それでも、モンゴルに精通するQiao教授は、バダインジャランのローカル・フォークロアに関するリサーチを数年に渡って行っている。


ある人は言う。砂漠に慄く響きは失われた都の鐘楼の音だと。またある人は言う。あれは合戦に向かった兵士が埋葬される音なのだと。中国における他の"Booming Sand"スポットでも多くの類似した伝承に出くわすが、その多くは埋もれた人々、もしくは遺跡に関するものだ。それは沙坡頭にある村民の婚礼の宴であったり、ラマの寺院における仏教僧のチャントであったり、唐王朝の女将軍・樊梨花(ファン・リファ)が進軍する陣太鼓であったりする。



日本での録音素材は、より広域に及びカヴァーしている。鳴砂海岸のほかにも、旅の貴重な体験を描いた「音はがき」とも言えるミックスに、日本古来の文化的側面を見出すものである。『鶯張りの廊下』、夥しい苔に覆われた『西芳寺(苔寺)』、そして『水琴窟』。江戸時代から続く音の造形。ここに収録されたその全てが、響きによって日本独特の遠景を描き出すように美を構成する。それも原理的あるいは霊験的に意義深い現象として。


日本の音文化を紐解いてみると、『神道』を避けては通れないことが分かる。それは日本の人々と自然環境との結びつきによって成り立ったものだ。神話や伝説は、自然とは総て神の実在を体現するものであるという神道の概念を核に通じて構成されている。岩の形から風のような元素に至り、因って日本の伝承においては、それらの音は重要な要素として扱われている。神道における多神教的な自然崇拝は、旧暦に基づく季節祭で祝われる。その模様を克明にするのが、CDの冒頭に収められた佐原の大祭である。



1997年、日本サウンドスケープ協会(SAJ)は、地域や世代間を通じた環境音の保護を謳い、『100 Soundscapes of Japan』なる保存プログラムを請け負った。SAJが敢行したのは、地方自治体と市民によって挙げられたサンプルから100個を選り抜き、音環境の意義深さを顧みてもらうというものだった。その狙いは自然音を、多岐に渡る文化の音として理解を促すことである。このプロジェクトの賛助の下、全国の鳴砂海岸は保護対象として扱われるようになった。


鳴砂海岸に付き物である神話の類いは、中国でも多種多様に伝えられている。三輪茂雄氏による30年余りに渡る鳴砂現象の研究によって、それらは「砂のように」分類収集されている。鳴き砂の響きは、「琴」に準えられるのだが、このCDの収録の舞台となった浜辺の二つも、地名に「琴」を冠しており、関連する民俗唱歌においても欠かせない楽器となっているのだ。



British Library Sound ArchiveにおけるSoundscape Collectionへの追加に伴って、これらの音源を"U.K 100 Soundscapes Project"を提議する支援素材とする。このプロジェクトはSAJの成功にインスパイアされたものであり、早くも実現することが期待されている。


ISOBEL CLOUTER & ROB MULLENDR May 2007

(Translated by lens,align.)

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Recording Details.


JAPAN

1. A) Sawara Matsuri (Festival), Chiba. The Summer Festival of Yasaka Jinja (shrine) in the Honjuku area. Music called Sawara Bayashi is played upon the floats. recorded on 17.07.2001, (IC).
 B) Singing sand, Kotoga-hama (beach) Maji, Nima-cho, Shimane prefecture. recorded on 22.07.2001, (IC).
 C) Suikinkutsu in private garden near Nima, Shimane prefecture. recorded on 22.07.2001, (IC).


2. A) Kotohiki-hama (beach), Amino-cho, Kyoto prefecture. recorded on 26.07.2001, (IC).
 B) Kotoga-hama (beach), Maji, Nima-cho, Shimane prefecture. recorded on 22.07.2001, (IC).


3. A) Chion-In temple, Hayashishita-cho, Higashiyama, Kyoto. recorded on 28.07.2001, (IC)
  B) Nightingale floor (Uguisubari-No-Roka) Chion-In temple, Hayashishita-cho, Higashiyama, Kyoto. recorded on 28.07.2001, (IC).
 C) Saiho-Ji temple moss garden (Koke-Dera - Moss Temple), Nishikyo-ku, Kyoto. recorded on 31.07.2001, (IC).




CHINA

4. Dune Ascent / Descent, Baoritaolegainuoer, Badain Jarain desert, Inner Mongolia. recorded on 22.08.2001, (IC / RPM).

5. Aosigetunoer descent, Badain Jarain desert, Inner Mongolia. recorded on 21.08.2001, (RPM / IC).

6. Baoritaolegainuoer Natural Booming, Baoritaolegainuoer, Badain Jarain desert, Inner Mongolia. recorded on 20.08.2001, (IC / RPM).

7. Baoritaolegainuoer descent, Baoritaolegainuoer, Badain Jarain desert, Inner Mongolia. recorded on 21.08.2001, (RPM / IC).

8. Dune 3 (Unnamed dune) descent, Badain Jarain desert, Inner Mongolia. recorded on 22.08.2001, (RPM / IC).

9. Tibetan prayer wheels, Xiahe (Labrang Monastery), China. recorded on 29.08.2001, (IC / RPM).


Solarstone presents Solaris International / "Electronic Architecture"

2009-06-13 17:08:32 | music9
Solarea



Solarstone presents Solaris International / "Electronic Architecture"

Black & White (Reconstruction)
Astral Breeze
Peace (Breakfast Remix)
Late Summer Fields (Forerunners Dub)

Release Date; 09/06/2009
Label; Solaris Recordings
Cat. No.; SLRSCDLP006
Format: 2xCDs

>> http://www.solarstone.co.uk/


>> tracklisting.

Disc EA1.
01. Tarrantella - Jigsaw (Reconstruction)
02. Forerunners ?Dragonfly (Ilya Malyuev Remix Reconstruction)
03. Cormac Murphy ?Oversound
04. Filigro - Questinia
05. Katcha - Touched By God (Alucard Remix)
06. Under This - Black & White (Reconstruction)
07. Solarstone & Orkidea - Slowmotion (French Renaissance Mix)
08. Jahawi - Kenya
09. LTN - Outer Limits
10. Harley Soan ?Long Drive Home
11. Edu - Before They Came (Escape Mix)
12. Dave Horne - What Lies Between (Retroid & Original Reconstruction)
13. Winterlight - Mirror (Solarstone Subterranean Mix)


Disc EA2.
01. Reconstructed Intro
02. Leo G - Muttering Retreat
03. Majera - Believe
04. Stan Void - Transience
05. Bot Cipryan - Astral Breeze
06. Saints & Sinners - Peace (Breakfast Remix)
07. Solar Energy - Wanna Feel What You Feel (Instrumental)
08. Haylon - Starfighter (Observer & Heatcliff Remix)
09. Jox - Microbial
10. Solarstone & Alucard - Late Summer Fields (Forerunners Dub)
11. Gary Orvis - Try To Find
12. Souls In Motion ?Sensual Illusion (Reconstruction)
13. Reii - Shocks



Compiled & Mixed by Solarstone (Richard Mowatt).
Design by z3 Design Studio.
Art Deconstruction& website by Ania Stark.
Press & PR by Stark Profiles & PR.
Original Artwork by Richard Simpkins.



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Art + Musik

Insert Blend Glitch. Distort Phaze Delay. Reverb Warp Externalize. Feedback InvertCopy Decon-struct. Mix Filter Mutate.

Solarstone uses the following tools during the construction of this mix.
Cubase 4, Ableton 7, Wavelab 5, Mixed In Key 3, Virus Ti, Virus Atomizer, Waves LinMB, Waves Maxx Bass, Waves SSL, Compression, Mono Mod Delay, UAD EX-1, PSP Nitro, Roland RE-201, Dave Brown Delays, Steinberg Delays, Steinberg Dual Filters, Filter VST, Quantum FX, Prosoniq TIme Factory, Mackie HR824.

EA.
ElectronicArchitecture

FortyFivePercentProgressive.
ThirtyFivePercentTrance.
TenPercentSoft-tech.
FivePercentBreaks.
FivePercentHouse.

OneHundredPercent
Solarstone.




夏!!
Coming Summer 2009ですよ。そりゃ梅雨にも入りますよ。オタマジャクシだって降りたくもなりますよ。しかし!Such a badなジメジメをCoolなBreezeでblow awayしてくれるイカしたミュージックがコレ!我らがクラブヒーロー、SolarstoneのBrand New DJ Mix!!Electronic Architecture!!!



Deep Blue RecordsからSolaris Recordingsに移籍したRich Mowattが立ち上げたRadio Show、"Solaris International"のコンセプト・アルバムと言っても良い"Electronic Architecture"(以下、"EA")は、決して一過性の流行曲に留まらない、21世紀に遺す新たなミュージック・リソースとして、どの音源も等しくリスペクトされるに相応しいMixを意識されたそう。



Tranceはもちろん、Progressive House、Deep HouseやSoft-tech、Breaksに至るまで、縦横無尽にジャンルを行き来しながら、『一つの音楽作品』として纏め上げられた"EA"のバックボーンには、この10年来、Solarstone自身がクラブシーンにおいて牽引してきた音楽性の変遷と、大きな影響力が垣間見えるようです。


キラキラしたシンセのウワモノに、シズルをたっぷり効かせた涼感豊かなアトモスフィア、民族音楽などを用いた、エスノ・ニューエイジ風のサウンド・ディレクション。

今でこそありふれた手法であるものの、黎明期のトランス・シーンから率先して導入していたのがSolarstoneであったことを考えると、"EA"に同様の楽曲が多く引用されているのも、何処かRichの回顧的な自負みたいなものが窺えるようでもあり、彼のブレないスタンスを見るようでもあり...



今作のテーマとして、もう一つの大きな柱となっているのが、"Art"。噛み砕いて言えば『ジャケ買い』について掘り下げて考えられていること。

スリーブに序文を寄せているTim Stark(DJ兼Designer。DJ Magazineのレビュアーであり、Solarstoneとは長年懇意の仲)は、Rich本人とAnia Starkとの共同でアルバム・アートワークを手掛けた経緯について触れていますが、その中で、80年代に青春期を過ごした自身や、他の熱狂的なレコード・コレクターたちが如何に「レコード・ジャケット」を重視するかについて、興味深い考察を述べています。音楽と芸術の親和性に関して言えば、『それはイタリアン・バロックの時代から普遍なものだ』とも。


楽曲のダウンロードが定着した現在、CDジャケット等に変わる『楽曲のイメージ』はどうあるべきか?Timは更に踏み込んで、"Northern Exposure"や"Renaissance"など、クラブ・ミュージック史に残る名だたるミックス・コンピレーションを例に挙げ、それらからリスナーが支持するアーティストをピックアップ、他者にSingleを薦めるという一連のメカニズムの貢献があったことを振り返っています。



"EA"のGraphic Artは、楽曲に従って動的に"De-Construct"されるアブストラクトなイメージであるものの、シンプルかつ秩序的な平衡を保っていて、バラエティ豊かな収録曲のタペストリーに統一感を齎しています。


燦々と降り注ぐ光の中を吹き抜ける水沫のような爽やかなアルバム。ヴォーカル・トラックが一つも無いのが却って聴きやすく、ドライブで気分をアップリフトしたい時にも、あるいは火照りをクールダウンしたい時にも聴けるでしょう。しばらく手放せない一枚になりそうです。


700 miles far away.

2009-06-09 20:23:32 | music9
Road
(IXY DIGITAL 1000; ISO Auto; AWB; Evaluative: iPhoto.)



□ Robin Guthrie / "Continental"

Amphora



□ A Northern Chorus / "Bitter Hands Resign"

The Shepherd & the Chauffeur




700!

当ブログも今回を持ちまして、遂に700件目の記事になりました。
削除した記事もあるので、書いたエントリーの総数は
微妙に異なるのですが...。

ここまで辿り着けたのも、一重にみなさまのご支援のおかげです。
本当にありがとうございました。

なかなかコメントも返せていない状況ですが、
私としては一歩一歩を力の限り踏みしめつつ、
日々の更新に力を注いで行き、たい、、
行け、、、たらいいな☆と思ってます。





日ごと夜ごと、こんなに暗くて茫漠とした道を
もう一歩だって進めないと嘆きながら
葉陰に虫の音を聞き分けるように、
暮れ果てた空に光を求めるように、
今までも、ずっとこれからも、
もうひとかけらばかりの、あの遠ざかる声を、
消えるその面影を、ただ留めていたいだけ。
それだけで私は救われる。


・・・なんだか疲れてるみたいで(笑


Trentemøller / "Harbour Boat Trips 01: Copenhagen"

2009-06-05 18:58:51 | music9
Copenhagen


□ Trentemøller / "Harbour Boat Trips 01: Copenhagen"

I Turn My Face To The Forest Floor
Devil’s Water
Melody Day (Four Tet Remix)
The Copenhagen Experience #1 / Tained Love

Release Date; 20/05/2009
Label; hfn music
Cat.No.; hfn01cd
Format: 1xCD

>> http://www.hfn-music.com/ (Samples)
>> http://www.anderstrentemoller.com/


>> tracklisting.

01. Grouper: Heavy Water/I’d Rather Be Sleeping
02. Gravenhurst: I Turn My Face To The Forest Floor
03. Emiliana Torrini: Lifesaver
04. I Got You On Tape: Somersault
05. Beach House: Gila
06. The Brian Jonestown Massacre: Anenome
07. The Raveonettes: Aly, Walk With Me (Nic Endo Remix)
08. The Hypothetical Prophets (Proroky): Back To The Burner
09. Suicide: Cheree
10. Muscleheads: Phosphorescence
11. David Garcet: Confidence (New Wave Remix)
12. Rennie Foster: Devil’s Water
13. Caribou: Melody Day (Four Tet Remix)
14. The Raveonettes / Trentemøller: She’s Lost Control
15. A Place To Bury Strangers: I Know I’ll See You
16. Suicide: Ghost Rider
17. Khan: Fantômes
18. Trentemøller: Vamp (Live Edit)
19. Two Lone Swordsmen: Kamanda’s Response
20. Copenhagen Collective: The Copenhagen Experience #1 (Trentemøller Edit)
21. Soft Cell: Tainted Love



デンマーク・エレクトロニカシーンの新星、Anders Trentemøllerがデビュー以来初めて手掛けるDJ Mix Compilation。Poker Fat傘下の新進レーベル、hfn musicの立ち上がりにあたって、ミックス・シリーズ『Harbour Boat Trips』の第一弾リミキサーとして起用されました。


2006年にリリースされたTrentemøllerのスマッシュ・ヒットアルバム、"The Last Resort"はヨーロッパで7万枚のセールスを記録、音楽各誌の大絶賛と受賞を受け、一躍トップ・クリエイターの仲間入りを果たし、今年に入ってはDepeche ModeのRemixerにも抜擢されました。


『北欧エレクトロニカ』など、何かと鳴り物入りに喧伝される"The Last Resort"の作風は、私にとってはどうにも耳触りが心地良過ぎて、逆に狐につままれたような、気を許せないような...と、何となく素直に聴くことが出来なかったのですが、今回、Trentemøllerのインスピレーションのルーツを垣間見せるという、このコンピレーションを聴いて、「あぁ、なるほどな。」と、一気に溜飲が下がったような思いがしました。



今作に収録されているのは、ネオフォークやポストロック、パンクを筆頭に、彼が日常の様々なシーンで愛聴しているという幅広いジャンルの楽曲たちを、自身の得意とするミニマリスティックなシンセ・サウンドやハウスビートに滲ませた、湿っぽくも尖りのある、錆色の哀愁に溢れた内容。

"The Last Resort"や、自身のRemix集である"The Trentemoller Chronicles"で見せたエレクトロ・テクノな響きよりも、どこか60-70年代のバンドサウンドに通じるような、アコースティックな音色が主張している曲が大半を占めています。


一曲目を飾るGrouperの"Heavy Wataer"は、アルバムの冒頭から北欧の透明な空気を吹き込むボーカルトラックですが、実はアメリカのオレゴン発信のユニット。この曲に限らず、他の収録曲の出自は北欧勢に限らずUK、アメリカの音源が意外と多いです。

面白いのは、1970年代に活動したシンセ・パンクデュオ、Suicideから二曲を取り上げ、アルバム全体のカラーに馴染ませていること。アルバムのトリを務めるSoft Cellは、Suicideに大きく影響を受けたバンドだし、Trentemøllerの同郷デンマークのロック・デュオ、The Raveonettesがここでカヴァーしてる"She’s Lost Control"を書いたJoy Divisionも、彼らの作風を色濃く継いだフォロワーとされています。



"Copenhagen"の全体色に関しては、19曲目の"Two Lone Swordsmen"のフィーチャーも興味深いものがあります。TLSのAndrew Weatherallは1980年代からクラブシーンにおいてロックとテクノの融合を試みた第一人者であり、あのPrimary Screamを輩出したプロデューサーで、裏舞台の実力者として余りにも有名。"Copenhagen"におけるポストロック、テクノとの折衷的なコンセプトのオリジンが、そこに集約されているとも思えます。


アルバム中で強烈なアクセントとなっているCaribou(a.k.a. Manitoba)の"Melody Day"は、70年代グループサウンズに通じるレトロなサイケロック様式。序盤で妖精の如く澄んだ存在感を見せつけるEmiliana Torriniの"Lifesaver"は、港に浮かぶボートの軋みが効果的に使われた、漂うようなトリップホップで、"Copenhagen"のテーマカラーを固着させる作品の一つと言えるでしょう。



他にもジャンル問わず様々な楽曲が彩り豊かに配されていますが、作品全体を俯瞰して受ける印象は、それぞれの楽曲がアクのある歌謡曲の体を成しているにも関わらず、まるでアンビエントみたいに溶け込んで聴こえるということ。何時か何処かで微睡みながら、或は白昼夢の中で耳にしていた「ふすま越しの歌の輪郭」の朧さが心地良い、そんな情緒が感じられます。