lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Deep Forest / "Deep Africa"

2013-03-17 21:04:23 | music12
Deep_africa



□ Deep Forest / "Deep Africa"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Yelele
How Long
Tiko

Release Date; 02.April / 2013
Label; Universal
Cat.No.; 3717526
Format: 1xCD, digital.

>> http://www.deep-forest.fr/


>> tracklisting.

01. Amber Opening
02. Dub Africa
03. Mosika
04. Yelele
05. Bedi
06. Atali Wowo
07. Wasis
08. Zoulawa
09. Ho Mambo
10. Alaake
11. Lomo
12. How Long
13. Tiko
14. Mosika Ending

All songs performed by Deep Forest (Eric Mouquet)
Drums: David Fall
guitar: Guimba Kouiate
Bass: Alune Wade
Vocals: Zama Magadulela, Lokua Kanza, Blick Bassy, Wasis Diop, Olyza, and Dany de Mouataba




Deep Forestこと、Eric Mouquetが世界各地の土着音楽を取材したエレクトロニック・ミュージック・プロジェクト、"Deep Project"の第三弾として放つ"Deep Africa"。


タイトルの通り、今作はDeep Forestとしての原点に立ち返り、Baka Pygmiesの民族音楽をコラージュした1stアルバム同様、アフリカをテーマにしている。しかし内容はアフリカ大陸の広汎に渡る音楽素材をもとに構築される。

Deep Projectの先行2作、"Deep Brasil"と"Deep India"とは異なり、今回は取材地域出身の特定アーティストを連名として冠していないが、クレジットに記述されているとおり、アフリカの現地ミュージシャンを多数招いたコラボレート作品であるという方向性は変わっていない。




"Amber Opening"で示される通り、今作はどちらかというと、現地の伝統音楽のエスニックな土臭さよりも、ドリーミーなシンセサイザー(あるレビューサイトは、Pink Floydの"Shine On You Crazy Diamond"を引き合いにしているほど)や、"World Mix"のようなハウスビートがふんだんに使用され、エリックの創作性が前面に出た内容となっている。

"Music.Detected_"の方法論と1stアルバムの様式を融合させたような形とも言えそうだ。



同時に、90年代のアルバム、"Boheme"、"Comparsa"のような、現地ミュージシャンのパフォーマンスから溢れ出る極彩色のエナジーを感じさせるような、往時の力強さはやや抑えられているものの、"Deep Africa"における声の身体表現は、コーラスワーク、サンプリングともに非常に繊細に計算され尽くした、まさにオブリガードの意匠を極めたもので、おそろしく丁寧に練り上げられた楽曲が粒揃いと言える。



ヴォーカリストや器楽演奏は、南アフリカ、コンゴ、カメルーン、セネガル、コートジボワール、マリなど、アフリカ各地から、勢力的に活動を行う著名人を起用。"Deep India"とは異なり、扱われる主題は古来の伝統音楽そのまま形というよりも、パフォーマーのルーツに根ざしたフォークロア風の歌謡が主立っている。



シングル・カットされる予定であった"Dub Africa"は、まさに失われた2000年代の空白を経て転生した"Deep Forest"のエッセンスを凝縮した象徴的な楽曲である。ジャズ・テイストを醸し出す"Mosika"は、Ericに大きな影響を与えたJoe Zawinulを彷彿とさせるもので、"Deep India"でも同様のパフォーマンスを披露している。



"Yelele"と"Atali Wowo"は、"World Mix"にも通づる疾走感に溢れたトラック。初期Deep Forestの多幸感に満ちたハウスチューンだが、当時よりもクセが少なく、ドライビングミュージックにも適した響きとなっている。コートジボワールの女性シンガー、 Olyzaが湿っぽく歌い上げる"Bedi"は、アルバム中でも異彩を放つ美しいバラード。


国際的にデビューも果たしているセネガルのシンガーであり、Jazzistでもある、Wasis Diopの渋いボーカルとエスニックコーラスとの対比が眩しいダウンテンポ、"Wasis"は彼自身の名を冠した楽曲。後半の陽気な展開は"Comparsa"の懐かしい作風を思い起こさせる。

"Tiko"では、"Sweet lullaby"を彷彿とさせるアフリカン・チャントと、Deep Forestの壮大なアンビエントの音色が、サックスの叙情豊かな旋律をまとって、原初の大地を紫気に染め上げる宙の黄昏を眼前に浮かび上がらせる。セネガルのベーシスト、Alune Wadeの演奏も素晴らしい。


また、どの曲に参加しているのかは現時点では不明だが、カメルーンのボーカリストDany de Mouatabaは、myspace上でもDeep ForestやEnigma直系のニューエイジ楽曲を自ら発表するコンポーザーの顔も持っている。 http://www.myspace.com/mouataba



そして"How Long"、アフリカン・コーラスとエフェクト越しの英語歌詞が叙情たっぷりに歌い上げる内容で、同様にワールドミュージックを欧州のPOP市場に持ち込んだPeter Gabriel ("While the earth sleeps"で共作)の影響も強く窺える。テクノコンポーザーとしても、今も衰えない鋭いセンスを披露しており、この曲に至って、エリックを90年代ニューエイジ・ミュージックの忘れ形見として見る評価を改めざるを得ないだろう。

"How long it takes, how many years, how long to save the world?"


先進諸国による資源の搾取と飢餓、人権問題、未だ各地で紛争が絶えず、およそ人類の抱える負の部分の皺寄せの大部分を背負わせされているアフリカという大地への祈りと、音楽という共通言語による世界への願い。

彼が四川大地震や東日本大震災の被災者者に捧げた"won't be long"とは対になる、アイロニーも含んだ曲想であることは間違いなさそうだが、これはどこか人類全体に根源的なノスタルジーと原体験を感じさせるアフリカの風土・文化への、テクノロジーサイドの彷徊と憧憬を顕すものであるのかもしれない。







DEEP FOREST & RAHUL SHARMA / "DEEP INDIA"

2013-02-17 23:00:39 | music12
Deepindia



□ Deep Forest & Rahul Sharma / "Deep India"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Thillelo
Mountain Ballad

Release Date; 13/02/2013
Label; Sony Music
Cat.No.; 88765453972
Format: 1xCD, iTunes.

>> http://www.deep-forest.fr/


>> tracklisting.

01. Viva Madikeri (Karnataka)
02. Bihu (Assam)
03. Rajasthan
04. Dhol Lejhim (Maharashtra)
05. Thillelo (Kerala)
06. Punjab
07. The Village (Sindh)
08. Mountain Ballad (Jammu)
09. Sounds of the Village
10. Viva Madikeri (Radio Edit)


All songs performed by Deep Forest (Eric Mouquet) & Rahul Sharma
Keyboards and Haken Continuum by Eric Mouquet
Santoor by Rahul Sharma








1990年代ニューエイジ音楽ブームの火付け役であり、申し子であったDeep ForestことEric Mouquetが、世界を舞台に活動するインドの若きサントゥール奏者ラフル・シャルマを迎えた作品。今作を『Deep IndiaのSeason 1である』と位置づけ、Deep Indiaとしての次回作も構想にあることを明かしている。



2008年の"Deep Brazil"を皮切りに、"Deep Africa" (2013年2月26日リリース予定)、"Deep China"、"Deep Space"など、世界各地の民族音楽を取材し、多彩なコンセプトに基づいた一連のリリースを"Deep Project"と銘打ち、2009年以降、ボストン、ニューヨーク、上海、ダカール、ラヴィ、ワルシャワ、サンクトペテルブルグ、ヴェンツピルスといった世界中の都市を駆け巡り、精力的にライブ活動を行うパフォーミング・アーティストとしての地位を現在も確立しつつある。




かつてEric Mouquetの片腕であったMichel Sanchezの抜けた穴を補うように、"Deep Brazil"以降は、題材に選んだ民族音楽のパフォーマーを現地調達する形式を取っている。"Deep India"におけるRahul Sharmaの起用は、昨年12月、インド・バンガロールでのツアー中に公にアナウンスされ注目を集めた。

Rahul Sharmaはインド・イランの伝統楽器、百弦琴サントゥールの演奏者で、インド音楽界、映画音楽界でも期待を担う若きホープ。欧米のアーティストとも交流があり、ケニーGとの異色のコラボレーションも語り種となっている。



各曲のタイトル、副題は、楽曲中にサンプリングされているインド伝統歌謡の呼称や、それを取材した地域から引用されており、楽曲それぞれが共通、あるいは異なるルーツを持った音源をベースに再解釈されたものであることを示唆するものとなっている。


例えば"Rajasthan"ではラジャスタン地方に伝わる民謡Manganiyarを題材にし、本来は添えられていないサントゥールを競演させることで、伝統音楽に新しい息吹を加えている。シャルマによると、中でも『ジャム、アッサム州、グジャラート州の伝統音楽は、これまであまり顧みられてこなかった。』題材でもあるという。



インド音楽というのはそれ自体、世界で最も躍動感とパッション溢れる題材であり、昨今ではEDM風のアレンジも相俟って、非常にエキセントリックかつパワフルな歌謡曲が台頭している。


"Deep India"においては、Ericの相変らぬ90年代テクノ・ハウス的書法によって寧ろ大人しく、ソフィスティケイトされているように聴かれるのが不思議な感覚だ。Ericは自身で"Haken Continuum"という技術の粋とも言える無鍵盤シンセサイザーの演奏を披露しており、その点においてもインド古謡と現代テクノロジーの呼び交しという、Deep Forestの一貫した姿勢、音楽の未来を見ることが叶う。






Mike Oldfield / "Tubular Beats"

2013-02-10 14:36:33 | music12
Tbm



□ Mike Oldfield / "Tubular Beats"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Let There Be Light (York Remix)
Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)
To France (York & Steve Brian Radio Mix)

Release Date: 01/Feb./2013
Label: Eagle Rock Entertainment
Cat.No.: ER203052
Format: 1xCD, iTunes.

>> http://www.mikeoldfieldofficial.com


>> tracklisting.

01. Let There Be Light  (York Remix)
02. Far Above The Clouds  (York Remix)
03. Ommadawn  (Mike Oldfield & York Remix)
04. Guilty  (Mike Oldfield & York Remix)
05. Tubular Bells  (Mike Oldfield & York Remix)
06. To France  (York & Steve Brian Radio Mix)
07. Northstar  (Mike Oldfield & York Remix)
08. Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)
09. Guilty  (York & Mike’s Electrofunkmix)
10. Tubular Bells 2  (Mike Oldfield & York Remix)
11. Never Too Far  (ft. Tarja Turunen)





プログレッシヴ・ロックの先駆者マイク・オールドフィールドと、ドイツElectronic Dance Musicの重鎮、YorkことTorsten Stenzelのコラボレート作品。


新曲"Never Too Far"を除き、Remix集という体裁を取っているものの、マイクにより過去のマルチトラック・テープからのオリジナル音源の提供を受け、単なるダンス・リミックスではなく、現在のプログラミング技術を駆使することによって、当時の曲想を現代風に解釈するという『リテイク集』といった趣になっている。マイク本人も新たに楽器パフォーマンスを披露している。



Yorkのアルバム"Islanders"での共演以降、親交があると見られるMike OldfieldとTorsten Stenzel。片やイギリスにおいて1970年代から80年代にかけて世界を席巻するヒットを放った異色のアーティストであり、片や90年代~2000年代に渡って、ドイツを中心にダンス/トランスミュージックのスタンダードを定義したプロデューサーである。


"Tubular Beats"は、そんな二人の世代におけるノスタルジックな持ち味が所謂『二重のレトロさ』を醸し出していて、ある種の化学反応を引き起こしている。

シングル・カットとして既に多く生産されたオールドフィールドの楽曲の凡百のリミックスとは違い、あくまで原曲の雛形を崩さず、『20-30年前に現代の技術があったら、きっとこういう曲になっていたかもしれない』という構想に基づいているのかどうかは知る由もないが、とにかくそういう丁寧なリテイク作品となっている。


実は現代のエレクトロニックミュージックへの傾倒は、マイク自身が"Light & Shade"(2005年)で打ち出したかった方向性なのだと思うが、その反動が全編オーケストラの"Music of the Spheres"だったのだとすると、今作はマイク自身のクリエイティブな足がかりになることをファンとして望まないわけにはいかない。




『Let There Be Light (York Remix)』 ("The Song of Distant Earth"収録・1994年)
1990年代、いわゆるニューエイジ・ミュージックの全盛期にマイクが送り出した屈指の傑作である。アーサー・C・クラークのSF小説『遥かなる地球の歌』に基づく曲想。リリース当時もBTやHardfloorなど、名だたるリミキサーが料理しているが、Stenzelは敢えて楽曲のリミックスではなく、『楽曲の完成』の方向を目指している。

より重厚で深淵な響きを添えたアトモスフィア、繊細なビート・プログラミング。YorkといえばChill Outワークも評価されているが、なかでも"Enigma" Michael Cretuの片腕、Jens Gadとのコラボレーションはファンには良く知られたところである。かの"Enigmatic Obsession"で披露した神秘的なヨーロピアン・ムード・ミュージックを思い出させる楽曲。



『Far Above The Clouds (York Remix)』("Tubular Bells III"収録・1998年)
嵐を切り裂いて鳴り響く鐘の音。"Tubular Bells 3"のラストを飾る衝撃的なハイライト・トラックを大胆にアレンジ。マイクのライフワークである"Tubular Bells"シリーズは、この"3"を最後に正式にはナンバリングされていない。おそらく当時としてもマイクの楽曲センスとテクノロジーの歯車が、最も良い形で噛み合わさった作品。

豪雨の中でのライブ・パフォーマンスに熱狂する聴衆、激情に咽ぶギター、時を告げるベルの轟音。かねてよりの遺恨を洗い流したかのように、ステージにむけて惜しみない拍手を送るリチャード・ブランソンの姿。"Tubular Bells"は間違いなく、ここで一つの終焉を迎えたのだった。


このリミックスの冒頭では、原曲にあるアフリカン・ドラムのループが挿入されているが、これ自体は元々マイク自身の古い楽曲である"Ommadawn"からの引用であることは有名。中盤ではチューブラー・ベルズからのベースも登場する。





『Ommadawn (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Ommadawn" 1975年)
伝説の"Tubular Bells"を皮切りとして、"Hargest Ridge"を含め『初期三部作』とされる大作形式の三作目にあたる。タイトルはゲール語で『間抜け』という人を食ったものではあるが、ゲール語で歌われる呪術的なコーラスと民族音楽的なパーカッションなど、1990年代のニューエイジミュージックに端を発し、現代のあらゆるシーンで耳にするエスノ・電子音楽の折衷的な作品に相通じる要素を40年前に確立した、当時としても異彩を極める作品である。


Yorkはコーラス部分に焦点を当て、イルビエント/テックハウス調のミニマル・テイストにアレンジ。中盤の静寂からマイクのギターリフが挿入されるシークエンスが非常にカッコいい。





『Guilty (Mike Oldfield & York Remix)』 (Single・1979年)
『Guilty (York & Mike’s Electrofunkmix)』
マイク・オールドフィールドが初めて手がけたディスコ風楽曲。80年代以降のマイクのPOP路線への移行と、市場の売れ線を強いようとするレーベルとの不協和音を占う皮肉な作品となったと言えるが、やはり異ジャンルに挑むところでも独創性と天才の片鱗を覗かせている。

この曲の異なるバージョンが同時収録されていることかも分かるように、Yorkは現代のダンスシーンとディスコの共通言語とも言えるエレクトロファンク調にすることで、この楽曲のポテンシャルを最大限に引き出すことに成功している。



『Tubular Bells  (Mike Oldfield & York Remix)』("Tubular Bells" 1973年)
チューブラー・ベルズ。マイク・オールドフィールドの原点でありライフワークとなった、一大音楽叙事詩である。冒頭の循環メロディは、ホラーミュージックの代名詞としてあまりにも有名になってしまったが、2400回もの多重録音を繰り返して制作された原曲は、数十年後まで現れることのないプログラミングミュージックの先駆けであり、まごうかたなき至高のきらめきを放つ独創性の発露である。


例によって循環メロディのみを切り出したリミックスとなっているものの、この一つの素材をテーマに多彩な展開を辿る編曲を施している。終曲部のピアノによるオリジナルパートに、この曲が駆け巡ってきた40年の歴史の重みと長さに想いを馳せる。




『To France (York & Steve Brian Radio Mix)』( "Discovery" 1984年)
マイクがPOP路線を敢行したのは、Virgin Recordsのイニシアチブとされているが、その功罪とでも言うべきか、その中でも名曲は生まれ、マイクは英ポップ史にもしっかりと足跡を残してきた。

英ロックグループCado Belleの女性ボーカル、Maggie Reillyをフィーチャーしたアルバム"QE2"ではABBAをカバーするなどしていたが、そうしてマイク自身のメインストリームへの憧憬が確かな才能によって実りを結んだ傑作の一つが、この"To France"である。


ここはYorkの独壇場で、きらめくようなダンス・チューンに仕上げている。往時のピチカート・トランスを思わせるような真っ直ぐなアレンジで、30年前に発表された、この曲のポテンシャルを最大限にエンハンスしている。終盤の多幸感に溢れる間奏部分が聴き所。



『Northstar (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Platinum" 1974)
『チューブラー・ベルズ』の成功は、当時活発に様々な実験が試みられていた現代音楽/Avant シーンからも注目を集めたが、 それはマイクが師事したDavid Bedfordの計り知れない影響がある。ミニマリストとして余りにも有名なPhilip Glassの同名カヴァーである"Northstar"は、バスドラムのループをディスコ風に置き換え、ファンキッシュなギターリフを添えている。


このリミックスは、おそらくアルバム中で最も完成度が高く、"Tubular Beats"というコンセプトの意義を如実に体現し、同時に達成している楽曲と言えるだろう。原曲が本来『あるべき姿』を思わせるように、音像をより鮮烈にリファインしている。



『Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)』 ("Crises" 1983年)
言わずと知れた世界的ヒットナンバー。後年多くのアーティストがカヴァーを発表し、数えきれないリミックスが生まれた。撃たれた恋人が息を引き取る様を為す術も無く看取るという内容の歌詞は、長年ジョン・レノン殺害を歌ったものと考えられて来たが、後にマイクがインタビューで、実在の奇術師ハリー・フーディーニの半生を描いた映画"Houdini (魔術の恋)"にインスパイアされたものだと答えている。

このリミックスも"To France"と同じく、愚直なまでに純粋で煌びやかなヴォーカル・トランスに生まれ変わらせているが、現在でも十分にヒットを狙えるポテンシャルと言える。



『Tubular Bells 2 (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Tubular Bells II" 1992年)
クリエイティブ面において数々の遺恨を残したVirgin Recordsに見切りをつけ、WEA移籍後に発表された"Tubular Bells"の正式な続編。制作にはベテランの映画音楽作曲家Tom Newmanと、敏腕プロデューサーの代名詞とさえ呼ばれるTrevor Hornを迎えている。

"Hargest Ridge"や"Ommadawn"などの初期三部作が、Tubular Bellsの遺伝子を受け継いだ直系だとすると、最後にVirginに嫌がらせのように置いて来た問題作、"Amarok"はベルズの変異体であり、この"2"はクローンのようなものだと捉えられる。その展開は全て一作目をトレースし、変奏的な時間構成を取っている。


リミックスではPart.1終盤の『楽器紹介パート』(一作目でも登場)にあたるシーケンスのベースを切り取っている。





『Never Too Far (ft. Tarja Turunen)』
Nightwishでも知られる(もはやソロ活動の方が有名?)Tarja Turunenを迎えた新曲。蒼く静かな焰のように情熱を湛える甘美なヴォーカルに、チューブラー・ベルズの変奏モチーフが絡む。この曲自体は、マイクの1987年の作品、"Islands"におけるBonnie Tylerのパフォーマンスに影響されたものだという。

ちなみに"Islands"収録の"The Time Has Come"には、後にEnigmaを名乗るMichael Cretuがプロデューサーとして参加している。






Hammock / "Departure Songs"

2012-10-29 22:56:28 | music12
Departure_songs



□ Hammock / "Departure Songs"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Ten Thousand Years Won’t Save Your Life
Tornado Warning
Hiding But Nobody Missed You

Release Date; 02/Oct./2012
Label; Hammock Music
Cat.No.; none
Format: mp3 (2xCDs)

>> http://hammockmusic.com


>> tracklisting.

01.Cold Front
02. Ten Thousand Years Won’t Save Your Life
03. Together Alone
04. Artificial Paradises
05. Tonight We Burn Like Stars That Never Die
06. Pathos
07. Awakened, He Heard Only Silence
08. Words You Said… I’ll Never Forget You Now
09. Tape Recorder
10. Frailty (For the Dearly Departed)
11. Dark Circles
12. (Let’s Kiss) While All the Stars Are Falling Down
13. All Is Dream and Everything Is Real
14. Mute Angels
15. Hiding But Nobody Missed You
16. We Could Die Chasing This Feeling
17. Glossolalia
18. (Leaving) The House Where We Grew Up
19. Tornado Warning


Hammock is Marc Byrd and Andrew Thompson
Vocals: Marc Byrd
Angelic Vocals ? Christine Glass Byrd
Keith Kenniff (Helios) appears on track.4 (Piano, Drums, Percussion)
Drums - Ken Lewis, Paul Mabury
Cello ? John Catchings, Matt Slocum
Violin - David Davidson, David Angell
Contrabass ? Jack Jezzird
Viola ? Kris Wilkinson
Strings ? Love Sponge
Trumpet ? Mike Haynes
Trumpet, Flugelhorn ? Steve Patrick
French Horn ? Jennifer Kummer


□ "Cold Front" Official Video




□ Related >> lens, align.: hammock / "Chasing After Shadows... Living With The Ghosts" Review




今やアメリカン・post-rockの最右翼として数えられるナッシュヴィルのデュオ、Marc ByrdとAndrew ThompsonによるHammockの5th album.



"Departure Songs" - 『旅立ちの唄』とある通り、今までの残響の深海に潜るような、情緒溢れるドローン・アンビエント色よりも、黄昏の光を湛えた雨雲の下、茫洋の彼岸へと足を踏み出すような高揚感を感じさせる、煽情的とも言えるシューゲイザー、Electronica popという印象を強めている。


それは前作"Chasing the Ghost..."より顕著であった、ドラムやパーカッションによるリズムの強調路線を辿り、さらにはストリングスやホーンをより積極的に盛り込んで、"Tonight We Burn Like Stars That Never Die"のような情熱的なベッドソング(?)における高らかなブラスで絶頂を迎える。




ややワンパターンと言えない向きもないが、今作の聞き所はMarc Byrdのファルセットの他に、これまでで最も、Christine Glass Byrdの天使のごときクリスタル・ヴォイスを拝めることにあるだろう。楽曲もその為のボーカル・メイキングを中心に添えるように意識しており、主にドローン系とミッドテンポの作風に二分される造りとなっている。



HeliosのKeith Kenniffが参加した”Artificial Paradises"は、彼の特徴である寄せて返す波のようなパーカッションとピアノが、Hammockという大きなサウンドのうねりに完全に溶け込んでいる。重厚なパーカッションをサンプリングした"Dark Circles"。

アウトロで畏怖のコーラスがノイズの洪水から浮き上がるハイライトトラック"Words You Said… I’ll Never Forget You Now"、"Ten Thousand Years Won’t Save Your Life"の主題を引用した"Awakend, He Heard Only Silence"、正統なポップ・エレクトロニカの様式を、シューゲイザーの手法でトレースしたような"(Let’s Kiss) While All the Stars Are Falling Down"など、一章一章丁寧に綴られた物語を観るような緻密な構成。



"Ten Thousand Years Won’t Save Your Life"というタイトルから漂う、途方もないセンチメンタリズムの表現はHammockの面目躍如だが、今作のように二枚組の形式を取ったのも、その壮大なスケールの曲想を実現するにあたって必然であったと受け止められる。



まさに"Artificial Paradise"とある通り、Hammockの奏でる重層的な『響き』は、もはや押し寄せる物象としての質量をもち、静寂のキャンパスに幻想の光景を描きあげる。"Pathos"、心象の外的表現がそうして可能ならば、人の心の座すところは何なのか。

刺激と受容の再帰性。Hammockのウォール・オブ・サウンドは、アンビエント・ミュージックの特徴的な手法であるフィードバック・ノイズに、込み上げる『想い』の煌めきと、それが向かう途方もない永遠を眼差しているのかもしれない。







Schiller / "Sonne"

2012-10-26 20:52:46 | music12
Sonne



□ Schiller / "Sonne"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Morgenrot
Epic Shores
Reprise
Sonnenwelt Drei

Release Date; 05/Oct./2012
Label; Islands
Cat.No.; 06025 3707423 5
Format: 3xCD + 2xDVD-V, PAL + Box, Ltd (Ultra Delux Edition)

>> http://schillermusic.com


>> tracklisting.

Disk.1
01. Willkommen
02. Solaris
03. Kon-Tiki
04. Revelation
05. Sonne (mit Unheilig)
06. Mitternacht
07. Hallucinating Beauty (mit Kate Havnevik)
08. Morgenrot
09. Alive (mit Adam Young)
10. Berlin - Moskau
11. Lichtermeer
12. Soleil de Nuit (mit Pierre Maubouche)
13. Reach out (mit Meredith Call)
14. Das Dritte Auge
15. Velvet Aeroplane (mit Kate Havnevik)



Disk.2
1. Sonnenuhr
2. Oasis (mit Kate Havnevik)
3. Sonnenwelten
4. Epic Shores (mit Meredith Call)
5. Energy (mit Brownlow)
6. Pale Blue Eyes (mit Andrea Corr)
7. Ultramarin
8. Dancing In The Dark (mit Ameerah)
9. Klangwelten
10. Lay Down (mit Paper Aeroplanes)
11. Geborgenheit
12. Sahara Avenue
13. The Silence (mit Meredith Call)
14. Reprise



Disk.3 - Sonnenwelten
01. Sonnenwelt Eins
02. Sonnenwelt Zwei
03. Sonnenwelt Drei
04. Sonnenwelt Vier
05. Sonnenwelt Fünf
06. Sonnenwelt Sechs
07. Sonnenwelt Sieben




Related: lens, align: Schiller / "ATEMLOS" Review



ドイツを中心に、現在New Age/Electronicaというジャンルにおいて最もコマーシャルな成功を収めているSchiller (=Christopher Von Deylen)の7th Album.


今作のモチーフは"Sonne (Sun)"。その名の通り今回は太陽の眩しさ、暖色を思わせる音色や、アッパーなトラックが強調され、前作"ATEMLOS"のシンプルで冷涼な曲想との差異が印象的である。



恒例の通り、作曲段階~ヴォーカル・パフォーマンスにおいて、国内外、音楽シーンの各方面から、ジャンル問わず様々なアーティストがコラボ、共演している。

中でもOwl CityのAdam Young、The CorrsのAndrea Corrなどの起用を見るだけでも、この作品が、今までになくポップな造りを指向したアルバムであることを窺い知ることが出来るだろう。



だが、"Sonne"の特色は何も、その曲想の「熱量」だけには留まらない。ガムランチックな打楽器の演奏も今作の大きなファクターであるものの、より民族音楽的、プリミティブな音色で彩るにあたって、その対極にあるアトモスフィア、ストリングスなどの伴奏は、とりわけ悠揚とソフィスティケイトされている。

照り返す『陽光』、あるいは脈動をイメージさせる重低音のパルスなど、そのテーマを表現するにあたって貫徹したコンセプチュアルな姿勢は、まさにコンポーザーというよりも、「芸術家」と呼ぶに相応しい域にある意匠だ。



『Schillerモード(旋法)』とでも呼ぶべき、独特のオリエンタルな主題の変奏やアレンジの数々も聞き所の一つだが、中でも"Sonne"のメイン・タイトルとも言える旋律をフィーチャーした、"Epic Shores"と"Klangwelten"の対比は面白い。

トランスシーンで売れっ子の女性ヴォーカリストであるMeredith Callを招聘した"Epic Shores"は、間違いなく"Sonne"のハイライト・トラックであり、あの形態のモチーフをここまでダンサブルなボーカル曲に仕上げた例は、Schillerにとっても初めてではなかったかと思われる。



『太陽』の名を冠した今回のアルバム、その悠久の輝きと恵みのモチーフ化にあたって、それが与える扇情的で高揚感溢れるポジティブな音作りに徹してはいるものの、良くも悪くもオールドスクール、10年前から保守的なサウンドに留まり続けている。

だが、そうしてファンを着実に増やし続けている『Schillerの音楽』に一つ認めるものがあるとすれば、時代を超えた普遍性と、テクノロジーのアップデートの共存。その部分が、テーマ的に扱っているサンプリング要素である民族音楽の感傷性と相俟って、人の心を打つのではないか。



同じ音楽ジャンルに属するものとして対比されるEnigmaが、常に変化を標榜した作品を世に送り出してきたこととは対照的に、Schillerのとった「変わらない」という選択は、もはや音楽スタイルの保持と言った意味以上に、グローバルな音楽要素それぞれに通じる民族を超えた恒常性や、そこにある太陽の如き常在性、その美しさへの讃歌であることを示顕すると言っていいだろう。







Andain / "You Once Told Me"

2012-09-30 12:14:20 | music12
Yotm



□ Andain / "You Once Told Me"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>You Once Told Me
After
Forget Your Face

Release Date; 24/09/2012
Label; Black Hole
Cat.No.; none
Format: iTunes LP

>> http://www.facebook.com/andainofficial

>> tracklisting.

01. Turn Up the Sound
02. Like
03. Much Too Much?
04. Ave Maria
05. Promises?
06. After
07. What It's Like
08. Forget Your Face??
09. Find Your Way
10. You Once Told Me
11. Taken Away
12. Summer Calling
13. Beautiful Things (Gabriel & Dresden's Unplugged Mix)
14. Promises (KOAN Sound Remix)
15. Promises (Jaytech Remix)
16. Much Too Much (Zetandel Chill Remix)
17. Much Too Much (Rido Remix)
18. Turn Up the Sound (Gabriel & Dresden Remix)
19. Turn Up the Sound (Stratus Remix)


?Video
??"Promises"
??"Much Too Much"?
??"Turn Up the Sound"



All songs written and produced by Josh Gabriel and Mavie Marcos.
Additional writing by Dave Dresden on tracks 1?3, 5?9, and 11, 13
David Penner on tracks 4, 5 and 10, 12, 13





2000年代初期のEDMシーン黎明期に雷名を轟かせたエレクトロニカ・ダンス・ユニット、Andainが、デビューから凡そ10年目にして解き放つ1st Album。

このブログの設立時にも幾度となく紹介してきた、私にとってもクラブシーンにとっても、おそらく最もリスペクトされた最重要のアーティストでありながら、幻と消えたデビューアルバム、活動休止や再結成、解散を繰り返すなど、紆余曲折を経て伝説となりかけていた。

そんなAndainが2011年、新曲"Promises"を引っさげてターンバックしてきた時の界隈の衝撃と賑わいは、今も記憶に鮮明だ。



2000年代前半にかけて、"Summer Calling"、"Beautiful Things"など、フックの効いたメロディと可憐なヴォーカルがダンス要素の逸材として重用され、主にそのリミックス・タイトルがTiestoなどの主要プレーヤーによって世界のクラブシーンを席巻。


さらにJosh Gabriel自らがGabriel & Dresden名義で発表した"Bloom"に収録した、AndainとしてカヴァーしたDepeche Modeの"Here is the House (Gabriel & Dresden Remix)"がリスナーから好評価を獲得。今は幻となりつつある超名リミックスだが、Andainは確実にクラブ・レジェンドへのステップを踏みながらファン層を広げつつあった、だが、その珠玉のリミックスの題材となった『原曲』への評価については、いや、その存在すら、あまり顧みられて来なかったのだと思う。



当時、シンガーのMavie Marcosは米国代替医療の名門バスティーユ大学で薬学を専攻し、幼いころからクラシック音楽の教育も受け、実演経験も重ねた、まさに才媛と呼ぶに相応しい存在だった。

同じくJosh Gabrielによって才能を見出されたマルチ・インストルゥメンタリストのDavid Pennerは、MITで宇宙航法学を学ぶ天才。現在は学位を取得し、Andainとしての活動からは身を退いているが、このアルバムの幾つかの曲にクレジットされている。



"You Once Told Me"は、表題曲も含め過去にお蔵入りとなったアルバムから数曲をサルベージして大幅にリメイクを行っているものの、大部分は新曲が占める"Reboot"された作品であり、同時にAndainとしての特徴である、耳に残るメロディセンス、ヴォーカル・コラージュ、遊び心に溢れたパーカッション・プログラミング、そして可憐なパフォーマンスには不釣り合いと言えるほどの、ロックスタイルに通じる骨太なベースラインは、Andainが未だ無二の存在感を放つカリスマであることを如実に代弁している。



"Ave Maria"からは原曲にあった合唱サンプリングは省かれてしまったものの、"You Once Told Me"と双璧を為すスタイリッシュなエレクトロ・ヴォーカル作品として息を吹き返しており、当世風のサウンド・コンストラクションによって、よりクールな輪郭を引き締めている。


"Promises"、及び"Taken Away"で聴かれる自作オルゴールの音色や、"Turn Up The Sound"のラーガ調のイントロからパーカス、2000年代同期の北欧Trip Hopを彷彿とさせる"Like"、ニューエイジ色の強い頃のMylène Farmerもかくや、と思わせる"Fordet Your Face"などの変化球にも富んでいる。



EDMというシーン自体の先駆けであったAndainが自ら原点に立ち返り、こうした手作り感を漂わせる、よりアナログでオーガニックな触感の作品を10年目の今にして世に出すことは、未だ代わり映えしない『環の端無きが如し』のようなElectronica/Clubシーンにとり、実際にJosh Gabrielはその前線に身を置いているわけだが、実にポジティブな意味を付与するものでもあると受け止められる。



このアルバムにも、ボーナストラックとしてシーンの主要DJたちが素晴らしいリミックスを提供している。"Turn up the Sound (Gabriel & Dresden)"の終盤におけるビート・プログラミングは、"Here is the House"のそれの印象を喚起する懐かしささえあり、このようなリミックスワークに素晴らしい『素材』を提供するAndainとクラブシーンの関係性は、それ自体がシーンから産み落とされたものであるという点において、あたかもリ・プロダクションの入れ子構造を、プロダクトそのもので体現しているようにも見える。



ともあれ、"You Once Told Me"は、往時のTrip Hopの薫り漂うセンチメンタルな気色に溢れた作品であり、Mavie Marcosの湿った感傷性と、Josh Gabrielの乾いた情緒という正反対の要素が、この上なく見事に配合された会心の一作と言えよう。切ない恋心や凛とした心情を謳った、脆いようで芯の通ったセピアのアルバム。胸を締め付ける秋の夜長に、隣に添えておきたい一枚となりそうだ。




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"You Once Told Me"

You once told me I wouldn't know it enough
Well, let me tell you something Yeah, I do
You once told me I wouldn't feel it enough
Well, let me tell you Baby, I do

Sometimes I find myself in a scene in a dream that's so far away
Sometimes ah, Tell me what's happened to me


Sometimes I see myself falling
Well I don't show it much
Sometimes I'm crazy for you
Well, maybe I'm fine And tell me you're mine but


Tell me, baby, can you hold me now?
You don't have to say it-I feel it, too
maybe I'm falling well maybe but I don't show it much

Tell me, baby can you see me now
and Show me baby
that I don't know how and how
Can I start to see inside the fall but







bright summer lingers.

2012-09-09 21:25:32 | music12
Mirroredeye_2
(iPhone 4S; Camera; Instagram.)


あなたの瞳の色をした空に吸い込まれそうだった。
どんな景色を眺めていても、
隣にあなたの姿を映している。
雨上がりのような、澄んだ眼差しが好き。
おやすみ。



□ tunes of the day.

□ Patric O'Hearn / "Transitions"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Reaching Land


□ Suncatcher

Shoreline




Summercollide



□ Keith Kenniff / "Branches"

Branch







Dead Can Dance / "Anastasis"

2012-08-24 21:43:39 | music12
Anastasis



□ Dead Can Dance / "Anastasis"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Anabasis
Agape
Opium

Release Date; 13/08/2012
Label; PIAS
Cat.No.; PIASR311CDX
Format: 1xCD

>> http://www.deadcandance.com


>> tracklisting.

01. Children Of The Sun
02. Anabasis
03. Agape
04. Amnesia
05. Kiko
06. Opium
07. Return Of The She-King
08. All In Good Time




ニューエイジ黎明期の80-90年代にかけ、オルタナティブ・ロックにWorld/Fusionの新風を吹き込み、『4AD』レーベルを代表するアーティストとして一時代を築き上げた、Lisa GerrardとBrendan Perryからなるデュオ、Dead Can Danceの16年ぶりとなるアルバム。



"Anastasis"...『再起・復活』

2005年の再結成ツアー以来、4ADと決別してからは初のスタジオ・アルバムとなる"Anastasis"は、過去30年間の彼・彼女の築き上げて来た世界と、その音楽要素のオリジネイターとしての仕事に再びコミットする、途方もない創作でもあった。


Lisa Gerrardは既にハリウッド・スコアなどをはじめ、映像分野におけるパフォーマンスにおいて地球の隅々まで名が知れ渡っている。元を辿れば、彼女をそちら側へ引き込んだHans Zimmerなどの動機も、もともとはニューエイジ音楽シーンでのカリスマや求心力が働いていたからに違いない。


アイルランドにおいて創作活動に打ち込んでいたBrendan Perryもまた、寡作ではあるが、フィルム・ミュージックの制作やコラボレーターとして、自身の音楽性に研鑽を重ねていた。




このDead Can Danceとしての『リブート』に、マネー的な動機は絡んでいないという。純然たる創作への興味からニューアルバムを立ち上げたとのこと。


『死者を踊らせる』を意味するグループ名にあるとおり、Dead Can Danceは、民族音楽や忘れ去られていく楽器、そこに込められた謡人の魂、といったものに再び命を吹き込むというモチベーションを象徴したもの。

それは世界中の様々な土着音楽の要素に触れ、そのどれにも似ていて、そのどれでもない。

詩は『異言』と呼ばれる半造語的なスキャットによって歌われるが、意味を為さない故に、言語の向こうにある魂の琴線を震わせる。共鳴させる。それは現世に身を窶す死者のごとき想念であり、消え去りたくないとしがみつく魂からの希求である。



16年前の作品"Spiritchaser"を最後に、自らが『過ぎし者』になったDead Can Danceが、再び己に息吹を宿す頃には、この時代は些か喧噪に溢れ過ぎていたようだ。

インターネットやマーケットの拡大により、世界各地への民族芸能への理解、アクセスの容易性は、DCDの活動期とは比ぶべくもなく、地球上のあらゆる音楽が、「忘れ去られる」どころか、眠ることも許されずに「アーカイブ」されていく。


その中にあってDead Can Danceが蘇生させたかったものとは何なのか。ニューエイジ音楽家たちが夢見た『異界幻想』。自らの原始的なルーツへの憧憬。それらはもしかしたら存在しなかったのかもしれない。彼らの多くは「フェイク・エスノ」とも言うべき、土着音楽らしい要素という要素を散りばめて、己の内面世界を表現してきた。



"Anastasis"は言うなれば、この30年来、誰もが見知っていて、しかし踏み入れることをしなかった「何処かに佇む街」の遠視にも似た作品だ。それはお伽噺に登場するキャラバンが奏で、ジプシーが夢に見た訪れぬ国の祭祀である。


楽曲の多くは、中東音楽~アラビック・ケルト等の土着的なリズムや伝統楽器を取り入れながら、気宇壮大なシンセサイザーによって、まるで明晰夢のごときファンタジーを練り上げる。Brendan Perryのメロディメーカーとしてのセンスが、30年前から一本の芯を貫き通していることが窺える。



彼らはずっと見据えていたのだ。豊穣の時代であるが故に失われて行く、あの蜃気楼の彼方に揺らぐ街の光景を。Dead Can Danceが息を吹き返したかったもの、それは触れないままでこそ美しい、『麗しき妄想』だったのかもしれない。







Emma Hewitt / "Burn the Sky Down"

2012-07-20 14:33:25 | music12
Burn_the_sky_down



□ Emma Hewitt / "Burn the Sky Down"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Miss You Paradise (Venom One Remix Radio Edit)
These Days Are Ours
Miss You Paradise (Shogun Remix Radio Edit)

Release Date; 18/05/2012
Label; Armada
Cat.No.; ARDI3015
Format: 1xCD

>> http://www.emmahewittofficial.com/

>> tracklisting.

01. Burn the Sky Down
02. Colours
03. Miss You Paradise
04. These Days Are Ours
05. Foolish Boy
06. Rewind
07. Still Remember You (Stay Forever)
08. Can't Turn Around Now
09. Crucify
10. This Picture
11. State That I'm In
12. Circles (with. 16 Bit Lolitas)
13. Like Spinning Plates (feat. Dash Berlin) [Bonus Track]




□ Emma Hewitt / "Burn the Sky Down" Album Teaser





□ Emma Hewitt / "Burn the Sky Down (The Remixes)"




Progressive House/Tranceシーンのフィーチャーヴォーカリストとして圧倒的な歌唱力と絶大な人気を誇る、Emma Hewittのデビューアルバム。

プロデューサーにDepeche Modeなどを手がけたLee Grovesを迎え、クラブシーンで馴染んだ表情とは一味違った、80年代末期から90年代にかけてのニューウェーブ色に重ねて、現代的なクールでグラファイトな雰囲気を湛えたChill Out/Popアルバムに仕上げている。



オーストラリアのロック・バンド、Missing HoursのリードシンガーとしてキャリアをスタートしたEmma Hewittは、バンド活動の終局と入れ違いにして、ハウスシーンにおいて、その魅力を開花させることとなる。

Chris Lake、Dash BerlinやCosmic Gateをはじめ、一線で活躍する多くのDJによって見出された歌唱力と、その明瞭冷艶な声質に裏打ちされたクラブトラックへの親和性は一躍シーンを席巻した。



"Burn the Sky Down"においては、そんな彼女の『声』に焦点を当て、ヴォーカルパフォーマーとしてのポテンシャルを十二分に引き出した構成が試みられている、

エマ自身の歌声をオーヴァーダブによって幾重にも重ね、その厚みを増した諧調は、まるでキャンバスに描いた七色の油彩よりも饒舌に、そして憂いを帯びた物語を紡ぎだす。



"Colours"では物悲しい旋律の中に暖色の慰みを抱え、オールドスクールなビートに導かれ、セピアの郷愁に彩られたキラーチューン、"Miss You Paradise"へといざなう。90年代ニューウェーヴの系譜を色濃く受け継ぐ"These Days Are Ours"から"Foolish Boy"、近年のゴシック・インフルエンスを如実に主張する"State that I'm In"から、アコースティック・チルな"Circles"まで、多彩なサウンド・ディレクションで、エマの歌声の可能性を呈示している。



今月末には、DJ/トラックメーカー側からの、このアルバムへの回答となるリミックス・アルバム、"Burn the Sky Down (The Remixes)"がリリース予定である。今も多くのシンガーを排出・取り込み続けるクラブシーンにおいて、なぜEmma Hewittが卓越して評価されるのか、その寵児となった所以を確かめてもらいたい。




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Miss You Paradise

And there is something we leave behind to join the ride
I couldn’t wait but did not realize I’d never come back…
And the calling is taking over and it lasts more than awhile
Another reason I won’t be around to say goodnight

Don’t write to me I’ll call you

All of my life I’ve been a lost satellite
It’s all a waste of time with me before I get it right
And I miss you paradise
Although you’re over
And I miss you paradise
I know you’re over

I lie awake and I count the hours passing by
Too many questions that won’t be answered here tonight
And they rise in waves before you and the force opens your eyes
Another reason I won’t be around to say goodnight

Don’t write to me I’ll call you

All of my life I’ve been a lost satellite
It’s all a waste of time with me before I get it right
And I miss you paradise
Although you’re over
And I miss you paradise
I know you’re over

All of my life I’ve been a lost satellite
Circling alone out here you’re always on my mind
And I miss you paradise
Although you’re over
And I miss you paradise
I know you’re over

And I miss you


この道連れに何を残して来たの
待てなかったのよ もう戻ってこれないなんて知らなかったから
何度かけても 電話の呼び出し音は鳴ったまま
私はただ「おやすみ」を言いたかっただけじゃないのよ

もうメールしないで 私からかけるから


私はずっと 失われた月に生きていた
そうして全てを棒に振ったの 目を醒すまで
なのにあなたが恋しい 天上の楽園
もう通り過ぎてしまった
あなたが恋しい
分かってるのに


ただ眠れずに いたずらに時を数えてる
この夜 答えるはずのない問いだけを山ほど抱えて 
あなたに何もかもぶちまけたら 目を覚ましてやれるかしら
私はただ「おやすみ」を言いたかっただけじゃないの

もうメールしないで 私からかけるから


私はずっと 失われた月に生きていた
そうして全てを棒に振ったの 目を醒すまで
なのにあなたが恋しい 天上の楽園
もう通り過ぎてしまった
あなたが恋しい
分かってるのに

私はずっと 失われた月に生きていた
いつもあなたを想って 寂しくグルグル廻っていたの
なのにあなたが恋しい 天上の楽園
もう通り過ぎてしまった
あなたが恋しい
分かってるのに

あなたが恋しいの







bt / "Morceau Subrosa"

2012-07-17 21:19:08 | music12
Morceausub



□ bt / "Morceau Subrosa"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Nicht Musik [Verklarung] No. 2 in D Major

Release Date; 19/06/2012
Label; Laptop Symphony
Cat.No.; None
Format: CD-R, Digitally

>> http://www.btmusic.com/

>> tracklisting.

01. Nicht Musik [Verklarung] No. 2 in D Major
02. Sonitum Explicandis Tardius
03. Tabular Sarsa(λ) Algorithm No. 13
04. Seraphim
05. Le Particules et les Sortileges Muse No. 3
06. The Art of Perceptual Aliasing
07. Chant des Etoiles Thought No. 9, K 421
08. Apotheosis



Subrosa



This collection of ambient works represents the first in a series of non-rhythmic electronic tone poems composed at four hundred and thirty-two hertz. Reminiscent of everything from Debussy to Music for Airports, Morceau Subrosa is a dazzling cocktail of granular sound fields, ambient recordings and undulating vocal and acoustic instrumental works.



"Morceau Subrosa"...『秘されし断章』

敷き詰められた粒子のキャンバス
白く塗り固めた行き場の無い深淵の
軌跡を書き殴ったような標の何処にも
かつて誰かだった輝きさえ  
いつしか煤となって降り積もる
何者も耳を?てることなく



"A Topological Abstract of Granular Synthesis [Symphonie elektronik]"を標榜する、btのコンセプト・アルバムの片割れ。"If the Stars Eternal..."とは同時にリリースされた双子のアルバム。

これまでもbtの楽曲の構成要素として大きな特色を放っていた音響技法、"Granular Synthesis"を主体としたドローン・アンビエントであり、パッドやアトモスフィアを重ねただけの凡百の作品とは一線を画した、どこまでも折り重なっていくような、多層的かつ粒度にこだわった、芸術的な意匠の『ウォール・オブ・サウンド』を構築している。

聴いた感触はEnoのそれよりも、Steve Roachなどのテープ・コラージュの手法に近く、何処までも透き通って、しかしアモルファスで無秩序な遠景を描き出している。



序盤の"Nicht Musik [Verklarung] No. 2 in D Major"では、儚く掴みどころの無いピアノの旋律と、その響きを映しとった電子の陰影も軈て縺れて欠片となり、次章の"Sonitum Explicandis Tardius"を最後にリズムパターンさえも崩れ始める。音の旋回軌道は恰も錐揉みとなり、何処までも滑り墮ちて、「人の夢」を遥かに行き過ぎ、遠く離れた霞の彼方へと消える。







bt / "If the Stars Are Eternal So Are You and I"

2012-07-15 21:59:02 | music12
Itsaesayai



□ bt / "If the Stars Are Eternal So Are You and I"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>The Gathering Darkness

Release Date; 19/06/2012
Label; Laptop Symphony
Cat. No.; None
Format: CD-R, Digitally

>> http://www.btmusic.com/

>> tracklisting.

01. 13 Angels on My Broken Windowsill
02. Go(d)t
03. Hymn [808]
04. Seven-Hundred-Thirty-Nine
05. Hikari
06. Our Dark Garden
07. The Gathering Darkness



“A virtuoso sound artist and a creator a new form of digital art”, BT’s #ITSAESAYAI weaves a intricate tapestry of soaring melodic figures cloaked in bleeding edge synthesis and signal processing techniques. A rapturously beautiful, electronic symphony.



粉々に散った窓の向こう、
墨で塗りつぶした永遠無窮の闇に、
ガラスを吹き散らしたような星々の何処か、
私の夢も あなたの笑顔の輝きも
いつか違う星の夜空で煌めいて
誰かが見上げるだろう。



btによる、エレクトロニカ・コンセプトアルバム。2007年の"This Binary Universe"のFollow Up作品とされる内容で、IDM/シューゲイザーの流れを汲みながら、glitch musicなどの多彩な起伏を織り込んで展開する、一遍の叙情詩を奏でている。



その物語は明かされていないが、"This Binary Universe"で、抽象的な映像とともに呈示された『音楽の可視性』というものを非常に高度な概念で示すものである。

それは彼の楽曲の節々に現れる、視覚野まで刺激するようなグリッチやアトモスフィアであり、その音色こそ、人の情緒や概念にテクノロジーの歯車を噛ませ拡張していく展望と、芸術表現の可能性に想いを馳せるようでもある。



>> lens,align.:: BT / "This Binary Universe" (改訂版)







Andy Moor / "Zero Point One"

2012-07-08 17:03:43 | music12
Zpo



□ Andy Moor / "Zero Point One"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Atmospherica
Elysian Fields
Time Will Tell

Release Date; July.6 2012
Label; Armada / AVA Recordings
Cat.No.; Arma332
Format: CD, Digitally

>> http://www.andymoor.com/

>> tracklisting.

01. Atmospherica
02. November Morning
03. Please Forgive Me  (feat. Nicole McKenna)
04. Undeserved  (feat. Meredith Call)
05. Ordinary People  (& Daniel Paul Davis)
06. World to Turn  (with Ashley Wallbridge feat. Gabriela)
07. Love Again  (with Betsie Larkin)
08. Elysian Fields  (feat. Carrie Skipper)
09. Trespass  (feat. Sue McLaren)
10. Leave Your World Behind  (feat. Hysteria!)
11. In Your Arms  (feat. Jessica Sweetman)
12. Orbithing  (with Orkidea)
13. Tora’s Angel  (feat. Carrie Skipper)
14. Story of my Life  (feat. Carrie Skipper)
15. Don’t Sound the Alarm  (feat. Jeza)
16. K Ta
17. Time will Tell  (feat. Stine Grove)
18. Turning me on  (feat. Slimmie)






□ Andy Moor - Zero Point One Album Teaser


Andy Moor brings you 18 originals, travelling from the depths of ambient to the thick bass of progressive, melodic trance, rocking break beat and songs well beyond the sound of fusion. Timeless productions that were well worth the wait.


Zero Point One is packed with 18 thought-provoking, original tracks and each one offers a unique glimpse into the creative process of a self-proclaimed perfectionist. From deep, mysterious ambient to melodic trance and vocal melodies, across the spectrum to rocking break beats and the thick bass of progressive.




2000年代のProgressive Tranceシーンで、常に最先端であり、音楽的才能に裏打ちされた10年間のキャリアを積み重ね続けた影の牽引者、Andy Moorの初となるArtist Album。


収録18曲の全てが新曲となる"Zero Point One"は、その名の示す通り、原点の"0"であり、始まりの"1"である。そしてスマッシュ・ヒットとなった"Year Zero"を想起させるタイトルでもある。Andyは、この"0.1"を、『0より遥かに巨大で、そして余りにも小さい数字』という理由で好むのだと言う。



ヴォーカル・トランスの様式は保っているものの、音の細部がスタッターとパッドで造り込まれた、近未来的で重厚なアトモスフェリック・トランスであり、Ambient、Chill Outから、Old School Tranceまでを凝縮した構成は
聴き応えがあり、かつてのVincent de Moorのアルバム、『未来世紀ムーア』を彷彿とさせる、一遍のSF映像詩を目にしたようなカタルシスを味わえる。



Andy Moorの経歴に惨然と輝くグラミーノミネートの功績は、奇しくもアルメニアの聖歌をアレンジしたDelerium "Angelicus"のRemixであった。"Zero Point One"においても、Deleriumの曲想を受け継ぐ民族風トラックが2つ存在し、特に"Elysian Fields"では、中世史劇を彷彿とさせるDead Can Dance風のボーカルをSF的な音響ストラクチャに展開し、アルバムのストーリー性を一層際立たせている。

これらの曲におけるCarrie Skipperのヴォーカル・パフォーマンスは実に素晴らしく、エンヤを思わせる神秘的なアンビエント曲、"Tora's Angel"から、ベースラインが歌うように跳ねる"Story of my Life"の映画的な遷移は胸のすくような演出だ。



イントロ・トラックである"atmospherica"は、この幻想機械の起動音と捉えるのに相応しい、静謐で、しかし爽快な高揚感を讃えた美麗なシーケンスを提供している。Andy Moorのトレードマークである、暗号的なヴォーカルコラージュが登場する"November Morning"から"Ordinary People"へのベースラインの受け渡しも印象的だ。


上2曲と、アルバムハイライトである"Time Will Tell"にも通奏的なテーマとなっているが、リズム・コンストランション中の三拍フラットに乗せたベースを境界線に、高音、そして沈降するパルスが呼び交すように鳴り響く構成は、"Zero Point One"を特徴付けるカラーと言えるかもしれない。



また、JPLなどに代表される2000年代中後期の北欧トランスに見られた、光沢のあるウワモノで奏でられるオリエンタル・テイストの旋律も"Time WIll Tell"に至って顕著だが、意外にも、このように"Year Zero"路線を踏襲した楽曲は意外と少なく、Orkideaと共作した"Orbithing"で、そのブギーでレトロなエスプリな薫わせる程度だ。この曲も、2000年代半ばのLuke Chableなどを思い出せるベースの連なりとビートの同期が何処か懐かしい。



"Turning me On"や"Love Again"、"Leave your World Behind"など、適度にアラインメントされたVocal Chilloutも、壮大な未来風のヴィジュアルを喚起させるサウンドスケープで、アルバムの静と動を引き立てる一翼を担っている。



無限の軌道を纏い、何処までも見透せる遥かな高みを漂う。

Tranceの指向する音楽性が、恍惚や高揚の先に超越という未来の視点を捉えているのなら、Andy Moorの構築するシネマティックな音響は正にうってつけだ。

火照りを湛えた真夏の夜のひとときの幻想に、星々の吹かす悠久の涼風に酔いたいのなら、この座標"0.1 (Zero Point One)"の刻む地平面に立ってみるのもいい。