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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

DEEP FOREST & RAHUL SHARMA / "DEEP INDIA"

2013-02-17 23:00:39 | music12
Deepindia



□ Deep Forest & Rahul Sharma / "Deep India"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Thillelo
Mountain Ballad

Release Date; 13/02/2013
Label; Sony Music
Cat.No.; 88765453972
Format: 1xCD, iTunes.

>> http://www.deep-forest.fr/


>> tracklisting.

01. Viva Madikeri (Karnataka)
02. Bihu (Assam)
03. Rajasthan
04. Dhol Lejhim (Maharashtra)
05. Thillelo (Kerala)
06. Punjab
07. The Village (Sindh)
08. Mountain Ballad (Jammu)
09. Sounds of the Village
10. Viva Madikeri (Radio Edit)


All songs performed by Deep Forest (Eric Mouquet) & Rahul Sharma
Keyboards and Haken Continuum by Eric Mouquet
Santoor by Rahul Sharma








1990年代ニューエイジ音楽ブームの火付け役であり、申し子であったDeep ForestことEric Mouquetが、世界を舞台に活動するインドの若きサントゥール奏者ラフル・シャルマを迎えた作品。今作を『Deep IndiaのSeason 1である』と位置づけ、Deep Indiaとしての次回作も構想にあることを明かしている。



2008年の"Deep Brazil"を皮切りに、"Deep Africa" (2013年2月26日リリース予定)、"Deep China"、"Deep Space"など、世界各地の民族音楽を取材し、多彩なコンセプトに基づいた一連のリリースを"Deep Project"と銘打ち、2009年以降、ボストン、ニューヨーク、上海、ダカール、ラヴィ、ワルシャワ、サンクトペテルブルグ、ヴェンツピルスといった世界中の都市を駆け巡り、精力的にライブ活動を行うパフォーミング・アーティストとしての地位を現在も確立しつつある。




かつてEric Mouquetの片腕であったMichel Sanchezの抜けた穴を補うように、"Deep Brazil"以降は、題材に選んだ民族音楽のパフォーマーを現地調達する形式を取っている。"Deep India"におけるRahul Sharmaの起用は、昨年12月、インド・バンガロールでのツアー中に公にアナウンスされ注目を集めた。

Rahul Sharmaはインド・イランの伝統楽器、百弦琴サントゥールの演奏者で、インド音楽界、映画音楽界でも期待を担う若きホープ。欧米のアーティストとも交流があり、ケニーGとの異色のコラボレーションも語り種となっている。



各曲のタイトル、副題は、楽曲中にサンプリングされているインド伝統歌謡の呼称や、それを取材した地域から引用されており、楽曲それぞれが共通、あるいは異なるルーツを持った音源をベースに再解釈されたものであることを示唆するものとなっている。


例えば"Rajasthan"ではラジャスタン地方に伝わる民謡Manganiyarを題材にし、本来は添えられていないサントゥールを競演させることで、伝統音楽に新しい息吹を加えている。シャルマによると、中でも『ジャム、アッサム州、グジャラート州の伝統音楽は、これまであまり顧みられてこなかった。』題材でもあるという。



インド音楽というのはそれ自体、世界で最も躍動感とパッション溢れる題材であり、昨今ではEDM風のアレンジも相俟って、非常にエキセントリックかつパワフルな歌謡曲が台頭している。


"Deep India"においては、Ericの相変らぬ90年代テクノ・ハウス的書法によって寧ろ大人しく、ソフィスティケイトされているように聴かれるのが不思議な感覚だ。Ericは自身で"Haken Continuum"という技術の粋とも言える無鍵盤シンセサイザーの演奏を披露しており、その点においてもインド古謡と現代テクノロジーの呼び交しという、Deep Forestの一貫した姿勢、音楽の未来を見ることが叶う。






Mike Oldfield / "Tubular Beats"

2013-02-10 14:36:33 | music12
Tbm



□ Mike Oldfield / "Tubular Beats"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Let There Be Light (York Remix)
Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)
To France (York & Steve Brian Radio Mix)

Release Date: 01/Feb./2013
Label: Eagle Rock Entertainment
Cat.No.: ER203052
Format: 1xCD, iTunes.

>> http://www.mikeoldfieldofficial.com


>> tracklisting.

01. Let There Be Light  (York Remix)
02. Far Above The Clouds  (York Remix)
03. Ommadawn  (Mike Oldfield & York Remix)
04. Guilty  (Mike Oldfield & York Remix)
05. Tubular Bells  (Mike Oldfield & York Remix)
06. To France  (York & Steve Brian Radio Mix)
07. Northstar  (Mike Oldfield & York Remix)
08. Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)
09. Guilty  (York & Mike’s Electrofunkmix)
10. Tubular Bells 2  (Mike Oldfield & York Remix)
11. Never Too Far  (ft. Tarja Turunen)





プログレッシヴ・ロックの先駆者マイク・オールドフィールドと、ドイツElectronic Dance Musicの重鎮、YorkことTorsten Stenzelのコラボレート作品。


新曲"Never Too Far"を除き、Remix集という体裁を取っているものの、マイクにより過去のマルチトラック・テープからのオリジナル音源の提供を受け、単なるダンス・リミックスではなく、現在のプログラミング技術を駆使することによって、当時の曲想を現代風に解釈するという『リテイク集』といった趣になっている。マイク本人も新たに楽器パフォーマンスを披露している。



Yorkのアルバム"Islanders"での共演以降、親交があると見られるMike OldfieldとTorsten Stenzel。片やイギリスにおいて1970年代から80年代にかけて世界を席巻するヒットを放った異色のアーティストであり、片や90年代~2000年代に渡って、ドイツを中心にダンス/トランスミュージックのスタンダードを定義したプロデューサーである。


"Tubular Beats"は、そんな二人の世代におけるノスタルジックな持ち味が所謂『二重のレトロさ』を醸し出していて、ある種の化学反応を引き起こしている。

シングル・カットとして既に多く生産されたオールドフィールドの楽曲の凡百のリミックスとは違い、あくまで原曲の雛形を崩さず、『20-30年前に現代の技術があったら、きっとこういう曲になっていたかもしれない』という構想に基づいているのかどうかは知る由もないが、とにかくそういう丁寧なリテイク作品となっている。


実は現代のエレクトロニックミュージックへの傾倒は、マイク自身が"Light & Shade"(2005年)で打ち出したかった方向性なのだと思うが、その反動が全編オーケストラの"Music of the Spheres"だったのだとすると、今作はマイク自身のクリエイティブな足がかりになることをファンとして望まないわけにはいかない。




『Let There Be Light (York Remix)』 ("The Song of Distant Earth"収録・1994年)
1990年代、いわゆるニューエイジ・ミュージックの全盛期にマイクが送り出した屈指の傑作である。アーサー・C・クラークのSF小説『遥かなる地球の歌』に基づく曲想。リリース当時もBTやHardfloorなど、名だたるリミキサーが料理しているが、Stenzelは敢えて楽曲のリミックスではなく、『楽曲の完成』の方向を目指している。

より重厚で深淵な響きを添えたアトモスフィア、繊細なビート・プログラミング。YorkといえばChill Outワークも評価されているが、なかでも"Enigma" Michael Cretuの片腕、Jens Gadとのコラボレーションはファンには良く知られたところである。かの"Enigmatic Obsession"で披露した神秘的なヨーロピアン・ムード・ミュージックを思い出させる楽曲。



『Far Above The Clouds (York Remix)』("Tubular Bells III"収録・1998年)
嵐を切り裂いて鳴り響く鐘の音。"Tubular Bells 3"のラストを飾る衝撃的なハイライト・トラックを大胆にアレンジ。マイクのライフワークである"Tubular Bells"シリーズは、この"3"を最後に正式にはナンバリングされていない。おそらく当時としてもマイクの楽曲センスとテクノロジーの歯車が、最も良い形で噛み合わさった作品。

豪雨の中でのライブ・パフォーマンスに熱狂する聴衆、激情に咽ぶギター、時を告げるベルの轟音。かねてよりの遺恨を洗い流したかのように、ステージにむけて惜しみない拍手を送るリチャード・ブランソンの姿。"Tubular Bells"は間違いなく、ここで一つの終焉を迎えたのだった。


このリミックスの冒頭では、原曲にあるアフリカン・ドラムのループが挿入されているが、これ自体は元々マイク自身の古い楽曲である"Ommadawn"からの引用であることは有名。中盤ではチューブラー・ベルズからのベースも登場する。





『Ommadawn (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Ommadawn" 1975年)
伝説の"Tubular Bells"を皮切りとして、"Hargest Ridge"を含め『初期三部作』とされる大作形式の三作目にあたる。タイトルはゲール語で『間抜け』という人を食ったものではあるが、ゲール語で歌われる呪術的なコーラスと民族音楽的なパーカッションなど、1990年代のニューエイジミュージックに端を発し、現代のあらゆるシーンで耳にするエスノ・電子音楽の折衷的な作品に相通じる要素を40年前に確立した、当時としても異彩を極める作品である。


Yorkはコーラス部分に焦点を当て、イルビエント/テックハウス調のミニマル・テイストにアレンジ。中盤の静寂からマイクのギターリフが挿入されるシークエンスが非常にカッコいい。





『Guilty (Mike Oldfield & York Remix)』 (Single・1979年)
『Guilty (York & Mike’s Electrofunkmix)』
マイク・オールドフィールドが初めて手がけたディスコ風楽曲。80年代以降のマイクのPOP路線への移行と、市場の売れ線を強いようとするレーベルとの不協和音を占う皮肉な作品となったと言えるが、やはり異ジャンルに挑むところでも独創性と天才の片鱗を覗かせている。

この曲の異なるバージョンが同時収録されていることかも分かるように、Yorkは現代のダンスシーンとディスコの共通言語とも言えるエレクトロファンク調にすることで、この楽曲のポテンシャルを最大限に引き出すことに成功している。



『Tubular Bells  (Mike Oldfield & York Remix)』("Tubular Bells" 1973年)
チューブラー・ベルズ。マイク・オールドフィールドの原点でありライフワークとなった、一大音楽叙事詩である。冒頭の循環メロディは、ホラーミュージックの代名詞としてあまりにも有名になってしまったが、2400回もの多重録音を繰り返して制作された原曲は、数十年後まで現れることのないプログラミングミュージックの先駆けであり、まごうかたなき至高のきらめきを放つ独創性の発露である。


例によって循環メロディのみを切り出したリミックスとなっているものの、この一つの素材をテーマに多彩な展開を辿る編曲を施している。終曲部のピアノによるオリジナルパートに、この曲が駆け巡ってきた40年の歴史の重みと長さに想いを馳せる。




『To France (York & Steve Brian Radio Mix)』( "Discovery" 1984年)
マイクがPOP路線を敢行したのは、Virgin Recordsのイニシアチブとされているが、その功罪とでも言うべきか、その中でも名曲は生まれ、マイクは英ポップ史にもしっかりと足跡を残してきた。

英ロックグループCado Belleの女性ボーカル、Maggie Reillyをフィーチャーしたアルバム"QE2"ではABBAをカバーするなどしていたが、そうしてマイク自身のメインストリームへの憧憬が確かな才能によって実りを結んだ傑作の一つが、この"To France"である。


ここはYorkの独壇場で、きらめくようなダンス・チューンに仕上げている。往時のピチカート・トランスを思わせるような真っ直ぐなアレンジで、30年前に発表された、この曲のポテンシャルを最大限にエンハンスしている。終盤の多幸感に溢れる間奏部分が聴き所。



『Northstar (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Platinum" 1974)
『チューブラー・ベルズ』の成功は、当時活発に様々な実験が試みられていた現代音楽/Avant シーンからも注目を集めたが、 それはマイクが師事したDavid Bedfordの計り知れない影響がある。ミニマリストとして余りにも有名なPhilip Glassの同名カヴァーである"Northstar"は、バスドラムのループをディスコ風に置き換え、ファンキッシュなギターリフを添えている。


このリミックスは、おそらくアルバム中で最も完成度が高く、"Tubular Beats"というコンセプトの意義を如実に体現し、同時に達成している楽曲と言えるだろう。原曲が本来『あるべき姿』を思わせるように、音像をより鮮烈にリファインしている。



『Moonlight Shadow (York & Steve Brian Radio Mix)』 ("Crises" 1983年)
言わずと知れた世界的ヒットナンバー。後年多くのアーティストがカヴァーを発表し、数えきれないリミックスが生まれた。撃たれた恋人が息を引き取る様を為す術も無く看取るという内容の歌詞は、長年ジョン・レノン殺害を歌ったものと考えられて来たが、後にマイクがインタビューで、実在の奇術師ハリー・フーディーニの半生を描いた映画"Houdini (魔術の恋)"にインスパイアされたものだと答えている。

このリミックスも"To France"と同じく、愚直なまでに純粋で煌びやかなヴォーカル・トランスに生まれ変わらせているが、現在でも十分にヒットを狙えるポテンシャルと言える。



『Tubular Bells 2 (Mike Oldfield & York Remix)』 ("Tubular Bells II" 1992年)
クリエイティブ面において数々の遺恨を残したVirgin Recordsに見切りをつけ、WEA移籍後に発表された"Tubular Bells"の正式な続編。制作にはベテランの映画音楽作曲家Tom Newmanと、敏腕プロデューサーの代名詞とさえ呼ばれるTrevor Hornを迎えている。

"Hargest Ridge"や"Ommadawn"などの初期三部作が、Tubular Bellsの遺伝子を受け継いだ直系だとすると、最後にVirginに嫌がらせのように置いて来た問題作、"Amarok"はベルズの変異体であり、この"2"はクローンのようなものだと捉えられる。その展開は全て一作目をトレースし、変奏的な時間構成を取っている。


リミックスではPart.1終盤の『楽器紹介パート』(一作目でも登場)にあたるシーケンスのベースを切り取っている。





『Never Too Far (ft. Tarja Turunen)』
Nightwishでも知られる(もはやソロ活動の方が有名?)Tarja Turunenを迎えた新曲。蒼く静かな焰のように情熱を湛える甘美なヴォーカルに、チューブラー・ベルズの変奏モチーフが絡む。この曲自体は、マイクの1987年の作品、"Islands"におけるBonnie Tylerのパフォーマンスに影響されたものだという。

ちなみに"Islands"収録の"The Time Has Come"には、後にEnigmaを名乗るMichael Cretuがプロデューサーとして参加している。