lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Mac OS X : Leopard

2007-10-29 08:33:53 | デジタル・インターネット
Coverx



□ Mac OS X v10.5 RETAIL MB021 J/A

>> http://www.apple.com/jp/macosx/features/


新時代OSへの足がかり、
『Leopard』が私のMacBookにも到来しました♪
24日に出荷メールが来てたので、前日には届くかなと思っていたのですが、26日朝に「配達日厳守」で玄関先に鎮座しておられました。ホログラムの箱が眩しい。。。

以前からiTunesのカバーフロー型のUIが話題となっていたFinderをはじめ、300以上の新機能実装を謳っていますが、蓋を開けてみれば大量のマイナーアップデートのパッケージという評価も。しかし、塵も積もればなんとやらで、やはりTigerに比べて飛躍的な進化を遂げています。「何で今までこうじゃなかったんだろう」と、不思議にさえ感じられます。


Screendesk


なんということでしょう。
便宜上デスクトップに置かざるを得なくて散らかっていたアイコンが、"Stack"にスッキリ収まって何もなくなってしまいました。将来デスクトップ画面という概念が不必要になるかもしれません(笑)

これは単にStackがあるから整理出来た、というわけではなく、Finderにおけるファイル参照の即時性、信頼性の革新があってはじめて可能になるんですよね。様々な新機能は、それぞれ単独ではなく、相補的に作用して活きてくるものなのです。


Screen


カバーフロー型のFinderとQuick Look機能が秀逸。フォルダの中身を立体的に、任意のサイズで俯瞰できて、スペースバーを押すだけのワンアクションで、わざわざアプリケーションを立ち上げる手間もかけずに、様々なフォーマットのファイルをプレビューできます。映像、音声、書類ファイルの閲覧、実行は大方これだけで間に合ってしまいます。断続的にファイルをアップロードする場合に非常に便利。


Screen2


作業スペースごとに、仮想デスクトップを4分割のパーティションに区切られる"Spaces"にも感動。これで作業の同時進行時にウィンドウでゴチャゴチャすることがなくなりました。後は、Safari 3.0.4の日本語対応も含めて、全体的に挙動が安定しているのも嬉しいですね。Mailのメモ機能や、Front Row、Time Machine、Boot CampのWindowsへの正式対応、日本語辞書...とてもとても全機能を試すまではいかないでしょうが、必要に応じて末永く付き合って行きたいです。


iPod Touchの憂鬱。

2007-10-24 07:54:02 | デジタル・インターネット
Podbar□ iPod Touch 8GB. PA623J/A

>> http://www.apple.com/jp/ipodtouch/

こないだ届いてからというもの、あまり時間がなくて全然使えていないiPod Touch。タッチ・スクリーンによる新感覚のUIは完成度も非常に高く(バグが山積みだけれど)、サクサクグリグリ動かせる使用感は遊んでいて本当に楽しかったのですが。。

早速飽きました。

    Podtouch

   刻印があると、なんだか記念プレートみたい。



そもそも外出先では資料作成や調べもの、メールチェック以外に、動画なんてみることはまずないので、「8GBだっていらねーよ、夏。」な個人的理由に加えて私的用途に適してなかったのかもしれませんが、更に鑑賞できるフォーマットが限られているので輪をかけて扱い辛い。。DVDをエンコする手間とかヤダヤダ面倒臭いもん。。。って、なんでTouchを買ったんでしょうか私は。

ウェブ・ブラウズについてはOSXベースにsafariと、普段使い慣れてる環境とほとんど同じなので、違和感なくスムースにネット・サーフィン。強制終了とかダメなところまで無駄に同じです。


Touchscreen
出荷遅延の原因となった刻印サービス。入る文字は二行まで。
"The Screen Behind The Mirror."はJean-Paul Sartreの句。


フォルムは好きかも。最初の印象は「薄ッ!」。ポキッと折れそうなくらいでしたが、持ってみると意外とズシッと来る感じ。(尚、軽量ではありますが)スクリーンのリアは鏡面になっていて、手鏡として使えそう。男性諸子はエスカレーターなどでウッカリ出さないよう気をつけましょう。薄いボディに堅牢性を補う為のミラー・コーティング素材なのでしょうが、高級感があって素敵。レーザー刻印された文字は光の入射でキラキラ輝きます。キズもキラキラ輝きます。指紋やキズが苦手な人にサポートケースやクリーニング用品がいっぱい売れそうですね(・3・)


Touchwall

改善希望案としては、壁紙をメニュー場面にも反映させて欲しいのがまず一つ。せっかく自分で一生懸命探したり作ったりして設定した壁紙が、ロック解除、パスコード入力のたった数秒しか目にすることが出来ないなんて、そこはかとなく物悲しいです。。。


Touchpush

付属スタンドに立てて"Push the Limits"を鑑賞。
H.264フォーマットで観るYouTubeは、なかなか高画質で臨場感があります。しかしどういうわけか、YouTubeメニューは加速度センサーに対応していないのがタマにキズ。動画タイトルも、長い場合に最後まで表示できない致命的なバグがあって、快適な操作感とは裏腹に色々とストレスが残ります。その上ミスタッチまでしたら (`Д´)ゴゴゴ…━(ノдヽ)━(?乂?)━━━ヽ(゜Д゜)ノウガァァァァ!!とまでなりかねません。(慣れないと結構やっちゃいます。)


敢えて言及を避けてきましたが、これらデザイン、あらゆる余剰機能まで含めて「あくまで音楽プレーヤー」として捉えれば、ここまで贅沢なガジェットは他にありえません。もともとiTunesには必要分の楽曲しか入れてないので、これほど持て余すくらいのプレミア感が逆に心地良いです。 ハッ!( ゜д゜ )そういえばカバーフローをまだ一度も試してない。。


Robert Rich / "music from ATLAS DEI"

2007-10-19 07:25:00 | art music
Musicfromatlasdei



□ Robert Rich / "music from ATLAS DEI"

Starmaker
Deconstructions
Symbolics
The Core

Release Date; 29/05/2007
Label; Soundscape
Cat.No.; SP010
Format: 1xCD

>> http://www.atlasdei.com/
>> http://www.robertrich.com/
>> http://www.colvinart.com/


>> tracklisting.

01. Opening
02. Mythos
03. Starmaker
04. Glint in Her Eyes
05. Night Spinning Inward
06. Poppy Fields
07. Deconstructions
08. Symbolics
09. Liquid Air
10. The Core
11. Never Alone
12. Minaret (layered)
13. Terra Meta


□ "ATLAS DEI" DVD Trailer

</object>



虚時間に閉ざされたアモルファスな位相空間
異なる概念とロジックが境界を曖昧に重畳的に響き合い、
たゆたう天環の神聖なハーモニクスに満たされる。
これら決して具象化されなかったはずの観念の亡霊たちが
刹那、電子の影に写像された"神の領界(Atlas Dei)"に宿る。


ティタン神族のアトラスは、敗戦の戒めとして、その巨躯に天界を支え続ける役目をゼウスによって負わされたという。アート・フィルム・クリエイターで、北米で前衛的な活動を続けるDaniel ColvinのDVD作品。アンビエント界における最古参巨匠の一人、Robert Richの魔術によって彩られた音楽は、今もアトラスの両肩と頭上に周り続ける天穹の調べの如く鳴動する。


※DVDについては、既に海外に発注済み(サイン入り)なので、映像の中身は後日改めてレビューします。


一時期『シャワー系』として熱狂的な支持を得ていたアンビント・ミュージック界隈のクリエイター達、特にSteve RoachやRobert Rich((電子音楽研究の最先端、スタンフォード大学のCCRMAでコンピュータ音楽理論と心理学を学ぶ)といった、いわゆるニューエイジとは一線を画すプログレ/インダストリアル直系の影響を受けたカリスマの音楽は、その活動が始まる1980年代初頭から現在に至るまで、常に時代を超越した音響をアーキテクトしてきました。

破砕した音の粒子で塗りつぶした壮絶に渦巻くコラージュや、宇宙を揺るがす程の振動が轟くドローンの重層、無窮の混沌に引きずり込まれてしまうようなサウンドが続いたかと思えば、キリスト教的とも、イスラム的とも受け取れる天上の妙なる調和を具現化したシンセやチャントのプリズム、鳥の囀りや森のざわめきといった、自然音のフィールド・レコーディング素材を散りばめたシークエンスによって現世の体に引き戻される。



この手の音響の元祖は、古くはヴァレーズからセリー主義(シュトックハウゼン等)を起源に、直接的にはFAUST、Klaus Schulzeといったプログレ勢に認められ、近年に至ってPete NamlookやBill Laswell、Vidna Obmana、Graeme Revell、その他、初期Deleriumや次世代エレクトロニカの数多のフォロワー達が追随しています。彼らは横の結びつきが強く、それぞれ適当に名前をピックアップしても、常に誰かと誰かがコラボレーションを行っているような、非常にラジカルな形で創作活動を行っており、特にあらゆる音楽ジャンルの中でも一人当たりの公式リリースの多作ぶりが有名です。

故に、各々のサウンドの特徴が曖昧で挙げにくい部分もあるのですが、Robert Richにおいては、中東から東洋の音階と民族楽器をふんだんに散りばめた、そのオリエンタルでエスニック・テイストの有機的なアトモスフィアが持ち味と言えるでしょう。また、何かが跳ね回る音や、巨大な物体がぶつかったり割れたりする生音のSEを異なる距離で発生的に響かせ、音楽世界に奥行きのあるリアリティを醸し出していて、楽曲然としたメロディアスで静謐な演奏とのレイヤーのレゾナンスと相俟って、サウンドスケープに留まらないアーティスティックで刺激的な聴感を体験させてくれます。彼はその独自の作風から今も北米を中心にコアなファンを産み出し続け、ライブも積極的に行っています。



Daniel Colvinもまた、北米で人気を博している先鋭であり、アメリカやカナダを中心に数々のエキシビジョンに作品を出展。Robert Richのコンサートに用いられるイメージ・ビデオ、いわゆるVJも手掛けており、今回のコラボレーションは、その素材を元に、お互いに干渉とインスピレーションの交換を続けながら完成させたもの。

人間の観念が切り出した被造物の残骸が、神秘的な異界を巡るアート・フィルム、"Atlas Dei"は、3Dレンダリングを中心としたアブストラクト・イメージと、古代地図や宇宙画像、神話の偶像といった無数の形象・記号など、実写のカットアップ/コラージュのレイヤー、モーフィングを駆使したアニメーションで、この"Music from Atlas Dei"収録曲を中心に、Robert Richの過去作を再編集/Remix/レイヤーし、5.1ch Surround Mixを施した、サウンド・ビジュアル・アートとしては長尺の100分近い大作と仕上がっています。



"Atlas Dei"の為に書き下ろされた新曲は、ジオメトリックに構築された観念の空間に、風や水、動物の奏でる大地の音を触媒に『命』を宿し、電子的なシンセリフ、ディストーション・ギターと幽玄なパッドによって、その深淵のシステムをテクスチャに刻み出す。決してテクノロジーに依存しない、タイムレスで悠久のダイナミクスに紡がれる普遍の調べ。時にはアジアンフルートが静けさを湛える水墨画の世界を描き出して、次の瞬間にはDeconstrution、氷のように千々に砕けちって、劈くような意識の叫びを巻き込みながらカオスの縁に舞い降りる。

"The Core"において、序盤の聖歌風コーラスのフローテーションから異次元の重力に引き上げられ、分解、加速していく電子音のゲートを高速で突き抜けて、不協和音を奏でながら重厚な衝突音と共に突如静寂に還る描写には、無意識が覚醒して瞳孔が開くような体感を覚えました(トレーラーで引用されているシークエンス)。続く"Never Alone"では、煌めくシズル音とクリスタルが一定の間隔で動態を見せる、不可思議なセオリーに蠢く夢幻の世界を。そしてシンセリフとピアノ、フルートが優しい輝きに満ちた"Terra Meta"は、重く閉塞していく不穏な重低音によって闇の幌を降ろす。



輪郭のない旋律、不規則なリズムは『終わり』の存在を予感させず、ただただ打ち寄せる波の(静寂)しじまに身を委ねる。幾重にも共鳴する遠い外界の音、それを産まれる前に耳にしたのか、死後の記憶なのかはわからない。肉体と血潮の振動は天界を超えて無限に波及し、"Terra Meta(超越した地)"に連なる。そして、形而上の存在からマテリアライズされた現実の宇宙は、まるで愛おしむかの如く歌い続けている。その確率の手の平から零れ落ちた、失われた存在たちの希いと想念を手繰り寄せるように。


Stéphane Pompougnac /"Hotel Costes X"

2007-10-17 04:00:48 | music6
Costesx



□ Stéphane Pompougnac / "Hotel Costes X"

Benny Sings / Coconut
Goloka / Save Me Tonight
Zimpala / Adios

Release Date; 25/09/2007
Label; Pschent Music
Cat.No.; 824173
Format; 1xCD

>> http://www.hotelcostes.com/


>> tracklisting.

01. Angus & Julia Stone / Paper Aeroplane
02. $olal / Psycho Girls & Psycow Boys (Haaksman & Haaksman remix)
03. Dephazz / My Society
04. Stephane Pompougnac feat. Charles Schillings / Sunday Drive (Remix)
05. Goloka / Save Me Tonight
06. Peder feat. Anne Trolle / White Lilies
07. Zimpala / Adios
08. DJ Disse / Taxi To War
09. Louie Austen / Glamour Girl
10. Deep Dive Corp. / Little Ditty
11. Elijah / Afterlife Feat. Neve
12. Laidback / Happy Dreamer (Happy Horse Mix)
13. Orsten / Fleur blanche
14. Benny Sings / Coconut



夕暮れの冷気と喧騒に沈んでいく
紅く染まったマロニエの街路樹の間に
煙る秋の空を仰ぐ


今やホテルそのものより有名になってしまった感のある、Lounge/Luxury Musicのマエストロ、Stéphane Pompougnacによるパリのラグジュアリー・ホテル、"Costes"のコンセプト・コンピレーション。カフェやレストランが自身のコンセプト・アルバムをリリースし、高級ホテルにも独自のコンピレーションCDが一枚必ず備えられているという流行の走りとなったシリーズであり、今作はその記念碑的な10作目にあたります。

Hotel Costesは、Gilbert & Jean- Louis Coste兄弟によって創られた、パリの高級ホテル。世界中のアーティストやモデル、映画界のセレブリティ御用達の、斬新で格式高いスノッブな空間です。
↓の写真参照。

http://www.kiwicollection.com/property/hotel-costes


プレミア・クラブやセレブリティのパーティ、ファッション界においても、絶対的な支持と知名度、実績を誇るStéphane PompougnacのDJスタイルは、ある意味愚直なまでにラウンジ・ミュージックとしてのムード享受に徹底した選曲センスと、ブレない安定感。同じ傾向で活躍するDJでも、Thievery Corporationはもっとワールド・ミュージックを取り入れた実験的なスタイルを模索し、世界的にも折からのオリエンタル・モダンテイストやバレアリックの流行を取り入れたコンピレーション・アルバムの採用が著しい。

そんなトレンドの中心に身を置きながら、Stéphane Pompougnacはあくまで世界中からParisの文化に向けられた視線、ステロタイプ的と言ってもいい「イメージ」を大切に迎え、ホテルの来賓をもてなす如く、地元に根差した音楽的ルーツに裏打ちされる極上のホスピタリティと新鮮な刺激で優しくリスナーを包み込む。

しかしどちらかというと、そのMixテイストは、ホテル内での豪華絢爛で甘ったるい体験を具現化したというよりも、寧ろゲストがパリに至り、去るまでの旅情やドラマ性、その舞台としてのホテルを介した、まるでゲストの人生の切り抜きを追体験させるような、リスナーありきのコンセプトだと思えるところに好感を抱いてしまいます。


さて、このコンピレーションとしての"Hotel Costes"シリーズの特徴はと言えば、初期の頃の、如何にもセレブに向けられた、噎せ返るような官能の香りや、艶やかで華やいだヌーベル・ハウス、ゴージャスで煌めくようなダブ/チルアウトのラッシュサウンドは、リリースを重ねる度に徐々に陰を帯びるようになって、"8"では背徳的なダークさを、"9"では切ない慕情までも香わせる変化を遂げて来ました。

実は彼、これまでに2枚のオリジナル・アーティストアルバムを発表しており、今年発表された"Hello Mademoiselle"では、自身の直接のルーツと思われるEnnio Morriconeのカヴァーや、哀愁のシャンソン、ロック・バラードを披露しており、"Hotel Costes"シリーズのリリースを重ねる裏での、心境の微妙な移ろいが見て取れます。


そして今回の"X"では、ややシックで線が細くなりがちだったシリーズの傾向に、トリップ・ホップ、エレクトロニカ的要素を多分に取り込んで、アンダーグラウンド方面への目配せまでも行い、新しい時代に迎合しようとする向きさえ感じられます。でもそこはPompougnac、"Costes"ブランドとしての品位と純度を決して損なうことなく、ソムリエばりの嗅覚で、格調高く抑制の効いた、危うさのない厳正なテイスティングを怠ってはいません。

アルバム中でも異彩を放つGoloka / "Save Me Tonight"のゴシック・ニューウェイヴ色から、やや妖しく危険の香りのするアーバン・ハウス的Louie Austen / "Glamour Girl"。フランスにおけるトレンドの一つである、ワールドダブ/クロスオーヴァーの書法に沿ったPompougnac / "Sunday Drive (Remix)"。スペインの情熱と哀愁が漂う Zimpala / "Adios"、そしてイビサ・チルの大御所、Afterlifeの新曲"Elijah"のフィーチャー。


こういうトリップホップ/ダウンテンポ的な音が、いわゆるセレブリティのクラブやバーで高級視されるようになったのは本当にごく最近のことで、一昔前にそこあるのは例えばジャズだったり、ボサノヴァやフュージョンでした。

そもそも、あの1990年にENIGMAが"MCMXC a.D."(それ以前ではArt of NoiseやAlan Parsons Project、以降においてはKOOP等。その他2000年前後に流行ったジャズ・エレクトロニカムーヴメントに凌駕的因果が認められる)で打ち出した、宗教音楽と民族音楽、そしてクラブ・ミュージックの倒錯と折衷における『背徳的な官能と愉悦』というテーマが、後年に渡ってイビサを始めとするハウス文化によって育まれていなければ、そして後発のフォロワーが、その方法論を追随していなければ、今のトレンドは言わずもがな、少なくともそこにいる一部の人間のセンシビリティに触れるものがなかったとしたら、この"Hotel Costes"シリーズのコンセプトの萌芽さえ、存在していなかったのかもしれません。



Stéphane Pompougnacですが、なんと年末には東京と関空間を新たに結ぶ『黒い飛行機』、"Star Flyer"の就航を記念したコンピレーションCDをリリース予定。そして、実際の"Hotel Costes"内でBGMとして使用されている楽曲をコンパイルした、"Hotel Costes Presente...bon Voyage"という企画アルバムも、同じく国内盤として年末にリリースされる運び。こちらはホテル内の雰囲気に相応しいアンビエントな曲が連なっているのだそうです。


Steve Jablonsky / "Transformers"

2007-10-14 06:42:37 | music6
Transcore



□ Steve Jablonsky / "Transformers"

Soccent Attack
Decepticons
Arrival to Earth
Optimus Vs. Megatron
No Sacrifice, No Victory

Release Date; 09/ October/2007
Label; Warner Bros. Records
Cat.No.; 9362.49921
Format. 1xCD


>> tracklisting.

01. Autobots
02. Decepticons
03. All Spark
04. Deciphering the Signal
05. Frenzy
06. Optimus
07. Bumblebee
08. Soccent Attack
09. Sam at the Lake
10. Skorpinok
11. Cybertron
12. Arrival to Earth
13. Whitwicky
14. Downtown Battle
15. Sector 7
16. Bumblebee Captured
17. You're a Soldier Now
18. Sam on the Roof
19. Optimus vs. Megatron
20. No Sacrifice, No Victory


遙か宇宙の深淵より降り立った機械の獣。
精緻を極めた躯は重層的に鳴動し
その凌駕的質量で闇に屹立する。

Steve Jablonskyによる"Transformers"のスコアは、機械生命体の重厚な躍動感や衝突音をヘヴィなプログラミング・ビートに置き換え、サイバーなギアに噛み合わせた神秘的な聖歌やコーラスによって『魂』を吹き込み、哀愁のメインタイトルがヒロイズムを謳歌する。


Hans ZimmerファミリーをサポートしながらSteve Jablonskyが確立した書法は、"The Island"にて一様の完成を見ることになります。混声合唱による荘厳な旋律。オブスキュアに淀んだ強烈なサウンド・エフェクト、重々しいアトモスフィアに絡めた、鈍い金属音のロール・ビートと、ソリッドな緊迫感を演出する微細なパーカッション。電子的な響きを伴った各種ストリングスやギター、そして高揚感を煽る壮大なスケールのフィナーレ・スコア。

同じMichael Bay監督作品ということでのマッチングもあるのでしょうが、残念ながら"Transformers"では、"The Island"の各パート、モチーフを切り崩しながら流用した感が否めず、耳に絡むメロディも皆無で同一フレーズを多用、全体的に"The Island"の劣化アレンジという印象が拭えません。

しなしながら、前者の存在に比すことがなければ、楽曲の作品価値は尚も特徴的で評価できるもの。特に"Soccent Attack"の疾走感や、"Decepticons"のメタリックでダークなスコアリング、そして"No Sacrifice, No Victory"序盤の哀愁に溢れたオーケストラは、得も言われぬ想像的刺激とカタルシスを味あわせてくれます。


また、このスコア盤はアルバム・リリース用にリ・アレンジ、再編集されたもので、実際にフィルムで用いられたサウンド・トラックとはアレンジが異なるそうです。当初、Sony musicはスコア盤のリリースを権利上の問題から見送っていましたが、その後のコンペティション等で、スコア盤リリースを望む5千名超の署名が纏められ、紆余曲折を経て急ピッチで製作スケジュールを詰め、ようやくの発表となりました。詳しい経緯は↓のWikipediaを参照のこと。

http://en.wikipedia.org/wiki/Transformers:_The_Score

売れ行きによっては、未使用曲を含む2枚組のスコア盤をリリースする可能性もあるということなのですが、個人的には。。。ファンの方は頑張って。


映画本編は、こないだ2回目を観ようとしたらいつの間にか上映終了していて(´・ω・`)ショボーンでした。


Múm / "Go Go Smear The Poison Ivy"

2007-10-08 20:10:16 | music6
Ggstpi



□ Múm / "Go Go Smear The Poison Ivy"

Blessed Brambles
Dancing Behind My Eyelids

Release Date; 24/09/2007
Label; Fat Cat
Cat.No.; FATCD46LTD
Format: 1xCD

>> http://www.myspace.com/mumtheband
>> http://fat-cat.co.uk/fatcat/release.php?id=233
>> http://mumweb.net/


>> tracklisting.

1. blessed brambles
2. a little bit, sometimes
3. they made frogs smoke ‘til they exploded
4. these eyes are berries
5. moon pulls
6. marmalade fires
7. rhuubarbidoo
8. dancing behind my eyelids
9. school song misfortune
10. i was her horse
11. guilty rocks
12. winter (what we never were after all)
13. the amateur show (japanese edition only)


Mum

Gunnar Örn Tynes
Örvar Þóreyjarson Smárason
Ólöf Arnalds (violin/viola/guitar/vocals)
Eiríkur Orri Ólafsson (trumpet/pianette/moog/whistling)
Hildur Guðnadóttir (cello/vocals)
Sigurlaug Gísladóttir [mr.Silla] (vocals/various)
Samuli Kosminen (drums/percussion)
Ingibjörg Birgisdóttir (artworks/video)



Múm / "They Made Frogs Smoke Til They Exploded" Video.

</object>



-Kids torture animals and may feel like they are learning something in the process,
but that doesn't make it any less wrong.

-子供は動物を虐待する。そしてその過程で何かを学んでいると感じているかもしれないが、
それによって誤りを少なくする訳ではない。
 
                  -Örvar


アイスランドに限らず、北欧・ゲルマン系の古代伝承には、童話的な幼さを臭わす視点から、明快な暗喩を用いながら不気味で残酷な世界観を描き出すものが多く、それは時に性格付けられた動物の野性や、あまりにも感情的で尊敬し難い幼稚な神々の争いに姿を映してきた。

古来から極寒の地で生き延びる為に、人と人、あるいは自然との関係性に希求せざるを得なかった民族性が育んで来た独特の詩情は、ある面で人間の優しさや社会性を裏打ちして支える無垢な残虐性を、普遍的で愛でるべき性質として暖く受容しているような印象さえ感じられる。



Múmの最新作"Go Go Smear The Poison Ivy"(蔦うるしをこすりつけて)は、誰しもが幼年時代、あるいは内面に持ち続ける子供心の無邪気さ、その裏返しにある残酷な遊び心を、あたかも童話の挿絵のように彩色されたキャンパスを暴力的に蹂躙するが如く、オテサーネク的世界に玩具箱をひっくり返したような音楽と、様々な暗示と寓話性、性的なメタファーを散りばめて、血なまぐさい野蛮な本能と抗い難い性欲の感覚を、下世話で深遠な笑いに従えるユニークな詩と共に紡ぐ。


『感じてごらん
 月がきみの恋人たちの血を
 ひっぱる力 空へと』

          ー"moon pulls"

『子猫の首を折ってしまったら、
 体を揺すって生きているか死んでいるか 
 確かめなくちゃいけないよ』

    ー"they made frogs smoke ‘til they exploded"

『この実は目
 きみの目 ぼくの目
 鳥たちはふりむいて
 それを見つめてる
 食べたがってる』

          ー"these eyes are berries"

『いっぽんの鉛筆がきみの肌を破り
 汚れた骨に落書きする
 きみのズボンは地面にずり落ちて
 罪深い石ころでいっぱいになる』

               ー"guilty rocks"

             ??対訳:喜多村 純


昨年まで、Múmは各地のメディアでのパフォーマンスや、Remixプロデュースに引く手数多。(その中には、あのオランダ室内管弦楽団と競演したIannis Xenakisの演奏も含まれる)バンドとしての活動の外においても、中心人物の一人、Gunnar Örn Tynesはライブやソロ活動、もう一方のÖrvar Þóreyjarson Smárasonは2冊の著書を執筆するなどの個々の活動に追われ、その間にバンドの最大の特色であったヴォーカルのKristín Vlatýsdóttirの脱退という大きな転機を迎えます。

4thアルバムとなる今作では、リリースを重ねる毎に欠員を出してきた、その穴を補って有り余る如く、それぞれ異なるキャリアとバックグラウンドに裏付けされた5名の新メンバーを加え、7ピースユニットとして復活を遂げました。レコーディングはÍsafjörðurにある音楽学校をはじめ、アイスランド各地を巡って、時には野外の環境音なども利用して、演奏そのものだけでなく、周囲の空気感も取り込むような形で行われたそうです。


驚くべきはメンバーを一新したことで、Múmとしての作風やアイデンティティは全く損なわれていないどころか、楽曲によっては、記念すべき1stアルバム"Yesterday was Dramatic - Today is OK"のような柔らかいクリック・ハウス色に回帰した節が見られること。しかし、従来に比べて音色のレンジがもっと広い。そう、ビートの粒立ちに決定的な進化が聴き取れます。これには、"The Peel Session"でも競演したフィンランドのパーカッショニスト/プログラマー、Samuli Kosminenの仕事が際立っています。

Samuli KosminenはKronos Quartetとも競演経験のあるスペシャリストで、鉄くずや空き缶、ハンドクラップといった、ありとあらゆるものの打撃音を音楽のピースとして採集、カオティックに何層にも積み木の如く組み上げてエレクトロビートにコラージュし、時には異なったリズムを重ねながら、目の眩むほど肉厚感のある有機的なビート・ストラクチャを構築しています。



その他、今作の初期段階から共同プロデュースも兼ねたEiríkur Orri ÓlafssonはBenni Hemm HemmやSigur Rósのツアーメンバーとして参加経験のあるパフォーマーで、トランペットや口笛の他、MoogやPianettaなどの各種電子演奏もこなしています。ボーカルをはじめ、ギターやヴィオラなどの各種弦楽器を担当するÓlöf Arnaldsは、ソロアルバムも発表している女性マルチ・プレーヤー。加えて、チェリストとして多岐に渡る活動をこなすHildur Guðnadóttirと、ボーカル他マルチ・パフォーマンスを担うmr.Sillaが、紅3点、新たな女性メンバーとなっています。

各メンバーによるフィドルやホーンといった生楽器の室内楽的な味付けは、パレード的でありながら何処か薄ら寒い明るさを帯びて、尚も痛快に響く。手を伸ばせばまるで触れてしまえそうな、歪でザラザラした触覚、さらには痛覚までも刺激し、匂い立つような音の絨毯。古紙に染みを落としたような掠れて捻れたノイズ・エフェクト。リコーダーとハーモニカ、児童のコーラス、Moogやオルゴール、ベルと群れ鳥の鳴き声、ラジオから流れる年代的なポルカ・・・。幼児期の鮮烈な体感の残滓と郷愁が渾然となった世界を描き出す為に、Múmはキャンパスにぶちまける音の素材を選ばない。思いついたままをノートに走り書きするように、その全てが凝縮されている。


異彩を放つのは、全編が寒気のするようなコーラスのレイヤーで構成されたアンビエント・トラック、"winter (what we never were after all)"。無垢で野蛮な悪戯に穢された大地が(しかしそれが必要であったかのように)、深々と降り積もる雪によって覆い隠され浄化されていく情景が目に浮かぶようです。



GydaとKristínの双子が在籍していた頃から、暗く荒涼とした世界観を描き出した"Finally We Are No One"、そして"Summer Make Good"においても、一貫して、幼い残酷さを『痛み』の伴う直接的な情景描写で表現し続けたMúmの作品性。特定の「身体の部位」のモチーフと描写を執拗に繰り返す詩型は、アイスランド童謡の特徴や古来の伝承に通じるものがある。

かつての不穏に凪いだ雰囲気の片鱗は息を潜めているものの、表面上は明るくなった"Go Go Smear The Poison Ivy"のサウンドは、紙一重のパラノイアに瀕した、もっと畏怖すべき狂気を湛えながら、自然界における人の残酷さに必然性と普遍性を見出し、それ以上の優しさに抱擁されたポテンシャルの高い芸術性を認めることが出来るでしょう。そして何よりも、そこにはアイスランドだからこそ育むことが出来た豊かな風土と精神性の逞しさの存在があることを忘れてはならない。


Gogo

まるで紙芝居を思わせる可変式のジャケット・アートが秀逸。裏表にオリジナル・アートが施されたスリーブが4枚付属していて、前面の額にスライドすることによってアートワークを7通りに入れ替えることができます。イラストを手掛けたのは、"They Made Frogs Smoke Til They Exploded"のVideoも手掛けたIngibjörg Birgisdóttir。ただ、鉛筆と水彩という手法で描かれた人物画は、Örvarの作風です。CDレーベルのリスがカワイイ。


*********************************************************

Blessed Brambles.


bless the weeds that grow the earth
bless like rain and dogs that pee

bless the dogs who talk to ferns
let's kiss the boys who pee in mud

úúúúúúúúú
úúúúúúúúú

bless the weeds that grow the earth
bless like rain and dogs that pee

bless the dogs who talk to ferns
let's kiss the boys who pee in mud


kiss the girls who clean the trees
bless the pee that cleans their leaves

kiss the hands that spread manure
you go go smear the poison ivy,
let your crooked hands holy


bless the dogs who talk to ferns
bless the pee that cleans their leaves

kiss the hands that spread manure
you go go smear the poison ivy,
let your crooked hands holy

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『祝福された木苺』


幸あれ 土の上に茂る草に
祝福を 雨や、おしっこする犬のように

幸あれ 羊歯の葉に話しかける犬たちに
キスしよう 泥の中におしっこする少年たちに

ウウウウウウウウウ
ウウウウウウウウウ

幸あれ 土の上に茂る草に
祝福を 雨や、おしっこする犬のように

幸あれ 羊歯の葉に話しかける犬たちに
キスしよう 泥の中におしっこする少年たちに


キスしよう 木々をきれいにする少女たちに
祝福を その葉をきれいにするおしっこに

キスしよう 堆肥をまく手に
さあ ツタウルシをこすりつけて
ねじれた手は清らかな手に


シダの葉に話しかける犬たちに幸あれ
祝福を その葉をきれいにするおしっこに

キスしよう 堆肥をまく手に
さあ ツタウルシをこすりつけて
ねじれた手は清らかな手に


An ENIGMAtic Encounter with the Alchemist: Michael Cretu Interview.

2007-10-05 20:10:14 | Enigma
Cretu



□ Enigmamusic.com Fan Interview.

>> http://www.enigmamusic.com/interviews/mcretu/


Enigmamusic.comで企画されていた、
Michael Cretuへのファン・インタビュー。
遂にクレトゥの回答が掲載されました。

ファンの突っ込んだ質問は軽く去なしたり、
なかなか氏のひねくれっぷりが伺い知れます(笑)
しかし、特に興味を引く内容も無かったので、
重要だと思われる情報だけ以下に列挙。


・Enigmaの7th Albumはほぼ完成しているが、
 Virginとはまだ関わっていない。


・Enigmaではない全く新しいプロジェクトを準備中。


・2nd-5th Albumの5.1ch Remaster版は、いつかリリースされるだろう。


・Enigmaの音は、自分の環境(機材)でないと創り出せない。


・A.R.T. Studioは現存するが、もう使われていない。


・フランクフルト芸術大学にて、‘’The meaning of numbers in music and in the general human life(音楽、あるいは一般認識における数字の象徴について)”という講義を開いている。


・"The Roundabout (DJ Quicksilver Mix)"と、"Silence Must Be Heard (ATB Remix)"は気に入らなかったので出さない。ATBとは今でも親友で、先日食事を共にしたばかりだ。


・『Enigma Message Boardをチェックしてる?』
>> Yes, I know Enigmamusic.com (I know,that you didn't expect this) your Message Board and the man “behind the mirror”, but not his face.


・各アルバムでそれぞれ好きな曲は?

MCMXC a.D : “Mea Culpa”
The CROSS of Changes: “Return to Innocence”
Le Roi Est Mort VIVE Le Roi!: “Morphing Thru Time”
The Screen Behind The Mirror: “Gravity Of Love”
Voyageur: “Following The Sun”
A Posteriori: “Goodbye Milky Way”、"Eppur Si Muove [Tocadisco Remix]"




7thアルバムに期待。
過去作の5.1ch Mixも楽しみですね。