□ Craig Armstrong / "Memory Takes My Hand"
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Govan
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Many
Release Date; 02/ June/2008
Label; Virgin Classics
Cat. No.; 50999 519032 2 0
Format: 1xCD
>> tracklisting.
I. Immer (Violin Concerto No.1)
1. Immer (Vilolin Concerto No.1)
II. One Minute, 15 pieces for orchestra
2. Knoydart
3. Sionascaig
4. Sound Of Jura
5. Bauchaille Etive Mor
6. Rassay
7. Govan
8. Kirkwall
9. Crimond
10. Quiriang
11. Rackwick Bay
12. Edinburgh
13. Cape Wrath
14. Glasgow
15. Rannoch Moor
16. Perth
III. Memory Takes My Hand
17. Us - Orchestra
18. World - Soprano, Chorus & Orchestra
19. Age (Once) - Soprano, Chorus & Orchestra
20. Taittirya Uphanisad -Chorus & Orchestra
21. Recovering - Soprano, Chorus & Orchestra
22. One Day - Orchestra 2
23. North - Soprano, Chorus & Orchestra
24. Glasgow - Chorus & Orchestra 2
25. As We Loved - Soprano & Orchestra
26. Risen - Orchestra
27. The World Shall Turn - Chorus & Orchestra
28. Many - Chorus & Orchestra
I. Clio Gould, violin
II,III. Lucy Crowe, soprano - Apollo Voices
(chorus master: Stephen Betteridge)
I,II,III. BBC Symphony Orchestra / Garry Walker
Chorus Manager Chris Foster
Related Links:
>> http://www.craigarmstrong.com/
>> http://www.dalzielscullion.com/
>> http://www.horsecross.co.uk/
>> http://www.glasgowmuseums.com/venue/index.cfm?venueid=4
グラスゴー出身の作曲家、Craig Armstrongが、主に2006-2008年の間に地元スコットランドにおいて嘱託を受けて作曲したオーケストラ/合唱作品を会した小品集。Garry Walker指揮、BBCシンフォニー・オーケストラの演奏。
"Immer"
一曲目を飾る"Immer"(永久に)は、スコティッシュ・アンサンブルと競演した際に、その「透き通るような音色に感銘を受けた」という、クリオ・グールドのヴァイオリンの為の協奏曲。クレイグの作品の中で「協奏曲第一番」と銘打たれた記念すべき楽曲。
様々な音程のヴァイオリンのビブラートに重ねて、細波のようなノイズのループ、チェロやヴィオラの異なる波長のループの山と谷を織り込んで、遠景に霞むような、冷たく荒涼とした広がりとスケール感を醸し出している。悲哀を感じさせるだけでは無い、旋律の末端に浮かぶような暖かい機微がクレイグらしく、かえって人の「心の痛み」を表現し得ている。後半12分からの涙に咽ぶような旋律の移り変わりには、誠に感動を禁じ得ない。
作曲にあたってクレイグは、「アモルファスで、たゆたう雲のようなサウンド」を醸し出す為に、浮かんでは消えるループを重ねて調性を暈すなど、既に知られた現代音楽の理論作法を用いているという。「これらの技法のルーツは、古楽に見いだすことが出来る。反復、カノン、フーガ、etc...大昔に培われた技術が、今にちの電子音楽の基盤として役立っているのは面白いね。」
Clio Gouldはクラシック演奏の第一線で活躍する傍ら、Miriam Stocklyとコラボレーション("Adagio")を行うなど、その表現手段の開拓に余念がない。ちなみに、彼女が現在所属するロンドン・シンフォニエッタもクレイグに曲を委嘱しているという。
"One Minute"
第二曲、"One Minute(オーケストラのための15の小品)"は、その名の通り、映像と連携したサウンド・インスタレーションの為の、各一分間のピースを収録した、非常にコンセプチュアルなパート。当作品はホースクロス・トラストによってパースに建設された、コンサートホールの杮落しに委嘱されたもの。
これらはスコットランドを拠点に活動するヴィジュアル・アーティスト、Matthew DalzielとLouise Scullionのビデオ映像に合わせて、フィールド・レコーディングされた環境音のサンプリング、オーケストラをコンパイルした楽曲。
興味深いことに、ここで聴かれるクレイグのオーケストレーションは、これまでフィルム・ワークとして手がけてきた、どんなスコアのそれよりも仰々しく、饒舌だ。GASの影響を思わせるノイズループと、デジタル・プロセッシングによる罅割れたベルやハンマーの重々しい音色が、効果的なアトモスフィアを形成している。
「私の関心は常に、分単位の素材を繋ぎ合わせることによって、それぞれのピースのポテンシャルを如何に活かすことが出来るかということに注がれている。」
"Memory Takes My Hand"
「思い出の手を取って」地元グラスゴーの人々に長きに渡って親しまれてきた歴史ある美術館、Kelvingrove Art Galleryの2006年度の再オープンに際し、同市議会から嘱託された作品。クレイグは幼少の頃から同美術館に抱いてきた、自らの想い出と親愛の情を、この曲に注いだという。
![Kelvingrove Kelvingrove](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/97/9a82c20c30c268131a25021007326ddb.jpg)
(Kelvingrove Art Gallery)
これも"One Minute"と同様に、本来はDalziel+Scullionによる映像ありきのビデオ作品となっている。また、当作品のRemixが、ここ数年Craigとのコラボレーション・パートナーであるベルリンの女性エレクトロニカ・アーティスト、Antye Greie-Fuchsに提供されている。
メイン・ソプラノを務めるLucy Croweは、英国王室が協賛し、オペラ・ソリストの登竜門と言われる『Royal Overseas League』の2002年度ゴールド・メダル保持者で、期待の新星として世界中のクラシック・コンサートで活躍している。
こちらはよりクレイグのフィルム・スコアリングの方法論に歩み寄っており、映画音楽で聴かれるような扇情的なコーラスワークとストリングスが鮮烈な印象を放ち、Lucy Croweの歌う物悲しい旋律は、どことなくGoreckiの第三番をも彷彿とさせる。
Peter Arnottによる歌詞は、太古からの人類の共通の願い、「平和」を切実に請う内容となっており、中にはタイッティリーヤ・ウパニシャッドから引用したサンスクリット・テクストも含まれている。"Risen"から終曲を飾る荘厳なカンタータ、"Many"までの流れには、Michael Nyman風にはじまりPhilip Glassに至るエピック・ミニマルの魅力的な要素が凝縮されている。
しかし、この変則4行連句に乗せた、オルフ調の反復に救いの光を射す終曲部の転調とオルガン・シークエンスには、紛れもなくクレイグ・アームストロングたる由縁と持ち味が存分に発揮されている。
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"Many"
Lyrics: Peter Arnott
Mucic: Craig Armstrong
In one place in one time
you may find a turning
In one place at one time
you may find a learning
In a place in your life
there may be a healing
In a place in your life
there may be a breathing
In a hand or a face
there can be forgiving
In a hand or a face
there can be life living
In the beat of a heart
there may be crying
In the beat of a heart
there may be no dying
In the street where you live
there may be creation
In the street where you live
you may find salvation
In the touch of of a hand
there may be no choosing
In the touch of a hand
there may be no losing
Life of the mind
Is all too human
Being and time
Are illusion
Life that we lead
Leading us
to our own selves
Where we find inside
What we need
What we are
What we want
What we need
What we know
What we seek
What we find
What we lose
What we hear
What we read
What we saw
What we fear
What we hope
What we hide
What we show
What we need
What we know
(Fire to fire dawn to dawn to light - Day to night)
In a place in a time
there will be consequences
In a place in a time
there will be circumstances
In one day in your life
there will be restitution
In one day in your life
there will be resolution
In a place in a time
there may be contemplation
In a place in a time
there shall be restoration
(We are what we are what we have what we are)
All our lives are fire
and steel
And stone and glass
and sand and light
and word and sign
and air and sky and touch
and sight and mind
and hand and face
and time and place
Stone and glass and sound
and light and word
and sign and air and sky
and learning we are many
we are ever
we are many one
We
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ある時ある場所で
あなたは変化に気付くだろう
ある時ある場所で
あなたは学ぶだろう
この人生の何処かで
癒されることがあるだろう
この人生の何処かで
深い安息が得られるだろう
その手にその顔に
慈悲を浮かべて
その手にその顔に
魂が息衝く
その胸の鼓動が
慟哭に暮れることもあるだろう
その胸の鼓動が
絶えることなどないだろう
あなたの暮らす通りには
きっと創造が溢れている
あなたの暮らす通りには
きっと救いを見つけられる
触れるその手に
戸惑いはなく
触れるその手が
失うものはなく
精神の依代こそ
全く人間であることなのだ
存在と時間は
幻想に過ぎない
我々の導く生命
我々であるものに
我々は導かれる
我々の見いだした内なる処へと
我々が何を望み
何であろうとしたのか
何を欲し
何を要し
何を知り
何を求め
何を探し
何を失い
何を聞き
何を読み
何を見て
何を畏れ
何を望み
何を隠し
何を見せ
何を欲し
何を知るのか
(炎から炎 夜明けから夜明けへ 夜は繰り返す)
何時か何処かで
結果は齎されるだろう
何時か何処かで
要因が発するだろう
あなたもいつか
償わなければならない
あなたもいつか
決断しなければならない
その時その場所で
黙して考えよ
その時その場所で
何を還すべきなのか
(我々とは 我々を我々たらしめるものである)
総て我々の生命を成すのは
炎と鉄であり
石とガラスと
砂と光と
言語と象徴と
空気と空と 触れるものと
視界と意識と
顔と手のひらと
時間と位置と
石とガラスと響きと
光と言葉と
徴しと空気と空と
我々が学んだいっぱいの
学んできたいっぱいの
一杯のもの
"私たち"