lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Sting / "Symphonicities"

2010-08-23 22:43:35 | music10
Symphonicities



□ Sting / "Symphonicities"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Why Should I Cry For You?
The End Of The Game

Release Date: 13/07/2010
Label; Deutsche Grammophon
Cat.No.; 274 2537
Format: 1xCD
Note: Japanese Limited Edition includes 3 bonus Tracks and EPK DVD

>> Deursche Grammophon Artist Page.

>> tracklisting.

01. Next To You
02. Englishman In New York
03. Every Little Thing She Does Is Magic
04. I Hung My Head
05. My Ain True Love
06. Roxanne
07. When We Dance
08. End of the Game
09. I Burn For You
10. We Work the Black Seam
11. She's Too Good For Me
12. The Pirate's Bride

Bonus Tracks (Only available on Limited Edition)

13. Straight to My Heart
14. Why Should U Cry For You?
15. Whenever I Say Your Name


All songs written by Sting
Vocals by Sting and Jo Lawry
Guitars by Ira Coleman and Jo Lawry
Bass by David Cossin
Piano by David Finck
Produced by Rob Mathes
Arranged by Rob Mathes, David Hartly and Steven Mercurio


Featuring:
The Royal Philharmonic Concert Orchestra
The London Players
The New York Chamber Consort




スティングがクラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからリリースするアート・コンセプトアルバムの第三弾。ポリス時代のデビュー曲から現在に至るまで、自身の手による名曲の数々を厳選し、フル・オーケストラアレンジによるセルフカヴァーを施したもの。

競演には、これまでにも名だたるソリストやポップ・アーティストとの仕事をこなしてきたオーケストラの名門、ロイヤル・フィルハーモニック・コンサート・オーケストラの他、ロンドン・プレイヤーズ、及びニューヨーク室内コンソートを起用。前作"If on a Winter's Night"から、Jo LawryやIra Colemanなどの実力派パフォーマーも引き続き参加している。


"Symphonicities"というタイトルは、言うまでもなくポリスの名盤"Synchronicity"と『シンクロ』する、今作のコンセプトに基づいたセルフ・オマージュといえるものである。



昨年5月、シカゴ交響楽団が主宰した一夜限りのコンサートおいてオーケストラ・アレンジされた自身の楽曲にインスパイアされたという今回の企画。

オーケストラを率いた大規模公演をアルバム・リリースの前後に敢行するなど、この作品自体が「音源媒体」に完結することなく、あたかもクラシック・コンサートの動機と本質が目指す所の「生のパフォーマンス」を結実する一連の芸術行動において、ある種モニュメントとしてレコーディングされている節がある。



スティングの音楽に、クラシックやロック、或は伝統音楽との垣根を越える普遍性を見出すことが出来るとすれば、かつて名を残して来た西洋音楽家がそうしてきたように、それを譜面に起こすことで「オーケストラ」という、西洋音楽の系譜において最も一般化され、歴史に深く根ざした演奏形式に適合出来るはずだ。


とはいえ、ここに集成されるスティング自身が意図した編曲が、凡百のポップアレンジ・オーケストラと一線を画する物かどうかと問われれば、その境界は極めて曖昧で微妙なものだろう。ロブ・マティスによるアレンジは極めて抑制されたもので、原曲を過剰に飾り立てず、囁かな演奏形式以外の変質を及ぼさない。


しかし曲によっては、たとえば"The Pirate's Bride"や"Whenever I Say Your Name"など、オーケストラ編曲によって原曲以上のポテンシャルを引き出し、上質のアダルト・コンポンラリーにアップグレードしたものも見受けられ、特に"We Work The Black Steam"のように、管弦楽によってオリジナルが本来あるべき形に回帰した楽曲もある点を見逃してはならない。


そういった意味で、今作を単なるセルフカヴァーアルバムという視点で評価するのは、やや狭隘な見方であると言わざる得ないだろう。

むしろ「アルバム音源」としての存在意義に集約されることなく、クラシック音源がそうであるように、「生きた音楽」を届けるコンサート、そこで繰り返し演奏される楽曲が再評価されるプロセスまでを含めた、総合芸術行為の一端として捉えるべき一枚である。

************************************************************

Why Should I Cry For You?

Under the Dog Star sail
Over the reefs of moonshine
Under the skies of fall
North-northwest, the stones of Faroe
Under the Arctic fire
Over the seas of silence
Houling on frozen ropes
For all my days remaining
Would north be true?

All colors bleed to red
Asleep on the ocean's bed
Drifting in empty seas
For all my days remaining
Would north be true?
Why should, why should I cry for you?
Dark angels follow me
Over a godless sea
Mountains of endless falling
For all my days remaining

What would be trure?
Sometimes I see your face,
The stars seem to lose their place
Whu must I think of you?
Why must I? Why should I?
Why should I cry for you?
Why would you want me to?
And what would it mean to say
"I loved you in my fashion?"
What would be true?
Why should I, why should I cry for you?
Why should I cry?



帆はおおいぬ座の下をくぐり抜け
月明かりに浮かぶ暗礁も超えて行く
秋夜に沈んで
北北西にはフェローの岩々
北極の炎へと潜る
押し黙る海をやり過ごし
凍ったロープを手繰り寄せることに
遺された日々を捧げよう
このまま北に進んでいいのだろうか?

全ての色は赤く血のように滲んで
大海に抱かれて微睡んでいる
虚ろな海を漂いながら
僕に遺された日々を
北へ進めてもいいのだろうか?

どうして どうして僕は
君のために泣くんだろう

闇の天使に追われて
神のいない海を越えて
山々は果てしなく崩れ落ちて
これが僕に遺された日々

何が本当なんだろう?
たまに君の顔が浮かぶときは
まるで星々がバラバラになったみたいに
どうして君のことを想ってしまうんだ?
どうして どうしたって僕は
君のために泣くんだろう?
どうして君はそうさせるんだ?
つまりこういうことだろうか?
「自分なりに愛していたんだ」
本当のところはどうなんだ?
どうして どうして僕は
君のために泣くんだろう?
どうして泣いているんだろう?







Delerium / "Voice: An Acoustic Collection" out on October 5th!

2010-08-20 13:04:43 | delerium
Voiceacoustic



□ Delerium / "Voice: An Acoustic Collection"

Flowers Become Screens (acoustic)

<object height="81" width="100%"><param name="movie" value="http://player.soundcloud.com/player.swf?url=http%3A%2F%2Fsoundcloud.com%2Fnettwerkmusicgroup%2Fdelerium-flowers-become-screens&height=98&width=460&color=3b5998&show_artwork=false"></param><param name="allowscriptaccess" value="always"></param><embed allowscriptaccess="always" height="81" src="http://player.soundcloud.com/player.swf?url=http%3A%2F%2Fsoundcloud.com%2Fnettwerkmusicgroup%2Fdelerium-flowers-become-screens&height=98&width=460&color=3b5998&show_artwork=false" type="application/x-shockwave-flash" width="100%"></embed></object>
Delerium - Flowers Become Screens (acoustic) by nettwerkmusicgroup

Release Date; 05/Oct./2010
Label; nettwerk
Cat.No.; tba
Format: iTunes Music (and also...?)

>> http://www.facebook.com/Delerium

Pre-Order at:
iTunes Canada: http://bit.ly/bv5TfS
iTunes US: http://bit.ly/bZmmf5


>> tracklisting.

01. Send Me An Angel  (ft. Miranda Lee Richards)
02. Dust In Gravity  (ft. Kreesha Turner)
03. Too Late, Farewell  (ft. Butterfly Boucher)
04. Silence  (ft. Sarah McLachlan)
05. Innocente  (ft. Leigh Nash)
06. Vienna  (ft. Elsiane)
07. Lost & Found  (ft. Jael)
08. Flowers Become Screens  (ft. Kristy Thirsk)
09. Love  (ft. Zoe Johnston)
10. After All  (ft. Jael)
11. Orbit Of Me  (ft. Leigh Nash)
12. Touched  (ft. Rachel Fuller)


a collection of previously unreleased stripped-down, acoustic renditions of Delerium's most memorable originals. The album, out October 5th,

features Delerium's most successful singles, such as "Silence" (feat. Sarah McLachlan), and "Flowers Become Screens" (feat. Kristy Thirsk,)

plus 3 brand new songs in acoustic style: "Too Late Farewell” (feat. Butterfly Boucher), "Send Me An Angel" (feat. Miranda Lee Richards) and “Vienna” (feat. Elsiane.)



デレリアム待望のアコースティック・ソング集が10月にリリース。

このプロジェクトについては、"Nuages du Monde"(2006)リリースの直後からKristy Thirskがスタジオ入りするなど、暫く前からレコーディング情報が報告されてきましたが、ようやく数年越しに日の目を見ることになりそうです。


"Flowers Become Screens"のように全ての曲についてヴォーカルが新録されているものか、それとも先にシングルに収録された"Silence"のAcoustic Versionのように、ヴォーカル・トラックのみを違うインストにコンポジットしたものが混在しているのかは今のところ不明です。



新曲は3つ。"Remixed"でもフィーチャーされていた"Send Me An Angel"は、こちらのヴァージョンがオリジナルということになります。


他にも、オーストラリア人シンガーソングライター、Butterfly Boucherが歌う"Too Late, Farewell"、シネマティックな作風で急激に支持を集めているカナダのトリップホップ・デュオ"Elsiane"が新曲を提供。

まだまだフレッシュな感性を聴かせる彼女達が、この"Delerium"において表現するものが何なのか。弥が上にも期待が高まります。


>> http://www.myspace.com/butterflyboucher
>> http://www.myspace.com/elsiane


Chicane / "Giants"

2010-08-16 04:04:44 | music10
Chicanegiants


□ Chicane / "Giants"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Titles
So Far Out To Sea

Release Date; 02/Aug/2010
Label; Modena Records
Cat.No.; MODENACD04
Format: 1xCD

>> http://www.chicanemusic.com/


>> tracklisting.

01. Barefoot
02. Middledistancerunner  (ft. Adam Young)
03. Come Back  (ft. Paul Young)
04. What Am I Doing Here [part 1]  (ft. Blandine)
05. Giants
06. Poppiholla (5am)
07. So Far Out To Sea  (ft. Tracy Ackerman)
08. Where Do I Start  (ft. Blandine)
09. From Where I Stand  (ft. I love lucy)
10. Hiding All The Stars  (ft. Natasha Andrews)
11. What Am I Doing Here [part 2]  (ft. Lemar)
12. Titles
13. Middledistancerunner (DC Rework Edit)

exclusive track: "Velo" available in official site.


Chicane is Nick Bracegirdle
written & produced by Chicane / Nigel Butler / James Hockley / Ray Hedges
except for
"Come Back" written by Jack Lee
"Poppiholla" by Sigur Rós
"Hiding All The Stars" by Gary Numan



□ "Middledistancerunner" feat. Adam Young (a.k.a. Owl City)





Chicaneの4thアルバム。
今もクラブシーンのみならず、あらゆる音楽ファンからの絶大な支持を受け続けている理由が、このアルバムには結実されている。


今作の特徴としては、Chicaneの人気とエスプリを決定づけた1stと2ndのアンビエント/プログレ色に加え、ファンク・ビートを基調としていた3rd Albumにおける、ニューウェイブ風のボーカル・トラックも取り込みながら、振れ幅が大きく包容力を持ったアルバムに仕上げられている。



新機軸となるのは"Poppiholla"に代表される柔和なエレクトロニカ・サウンドと、2000年代中期のトランスシーンにおいて多用された、やや懐かし味のあるシンセの切り込みのアクセントなど、ベースやビート周りは今風に洗練されていながらも、全体としては進化というよりも、一歩踏み止まって「良きものを反芻した」というスタイルに見受けられる。


また、これまでのアルバムよりも作品全体を一貫したテーマが強調されており、例えばそれは"Poppiholla"と"Middledistancerunner"、そして"What Am I Doing Here?"におけるメロディの流用などに現れていて、それらは文字通り、エンディングである"Titles"のモチーフ(主題)に帰着するよう構成されている。



ジャンルの垣根を超えて、多くの人々が長らくChicaneに求めて止まなかった透明感と叙情性。その両方面をようやく振り向き、追求したと思われるアピール性の高い一枚。

彼がここに帰って来た理由は、Chicaneが「シケイン」という名を冠するが如く、年月を経て行き過ぎたリスナーの心に追いつき、再び追い求めさせる為であるのかもしれない。


nils frahm, anne müller / "7fingers"

2010-08-11 13:20:45 | art music
7fingers



□ Nils Frahm & Anne Müller / "7fingers"

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>Because This Must Be / Augmentation

Release Date; 13/07/2010
Label; Hush
Cat.No.; hsh094
Format: 1xCD

>> http://www.myspace.com/nilsfrahmannemueller
>> buy from Hush Records (portland)

>> tracklisting.

01. Teeth
02. 7fingers
03. Let My Key Be C (Thriller Edit)
04. Show Your Teeth
05. Because This Must Be / Augmentation
06. Journey For A Traveller
07. Reminds To Teeth
08. Duktus
09. Long Enough


production by nils frahm
vocals on "long enough" by andreas bonkowski
strange colour by torsten posselt



Berlinのpost classical / experimental シーンにおいて、ここ1-2年で加速度的に求心力を発揮しているピアニスト、Nils Frahm。同じく「クラシック」側からの「エレクトロニカ」への積極的なアプローチを続けているチェリスト、Anne Müllerとのコラボレーション・アルバム。



儚く消え入りそうなクラシカルアンサンブルに、エレクトロの淡い味付けがモダンな感傷に浸らせてくれます。

どこまでもさりげなく、そして囁かに呼びかわすピアノやチェロの心象的な「インストゥルメント」層と、それらを透明な残響の中に包み込み、時に鋭利に刻む触覚的な「アスペクト」層のハーモニクス。


電話を介した男女の対話と、感情の揺り返しをオーケストラと音響でリンクさせた"Because This Must Be / Augmentation"が秀逸。

"Long Enough"では、以前Nilsが参加したバンド、"Siva"のAndreas Bonkowskiを起用した異例のヴォーカル・トラックを披露。これまでよりも格段にIDM、Electronicaの方向性に歩み寄った作風となっていて、同様のアーティストが密集するアメリカ・ポートランドに拠点を置く、Hush レーベルのカラーに即したリリースと言えるでしょう。



1982年生まれのNils Frahm。幼少よりピアノを学び、チャイコフスキーの最後の門下生の一人であったNahum Brodskiに師事しています。その後、Tom Yorkeの音楽に大きなインスピレーションを受け、その技能を活かしてベルリンのポスト・クラシカルシーンに没頭。


ソロ・ピアノ作品である"Wintermuzik"、"The Bells"をリリースする傍ら、同シーンのアーティスト達と多くの共同作品を発表しています。

2008年には自身の活動拠点とするDurton Studioを設立。ベルリンの映像・音楽・アートシーンを担う若手のアーティストを中心に、他レーベルへのスタジオ提供や、CM制作などの様々な活動を展開しています。

>> http://www.durtonstudio.com/



後期ロマン派の作曲家の名を冠したベルリンの記念楽団、Wolf-Ferrari Ensemble所属のAnne Müllerは、BeatplanetやFour Seasons In One Dayとしての活動で知られ、自身の奏でる『チェロ』という伝統楽器の音色を、常に先進的なアイデアで聴かせてきた職人。


Durton Studioは、世界的シェアを誇るドイツの企業グループ、フォイト・シーメンス水力発電のイメージ・フィルムを製作。新進気鋭の映像作家、Oliver Neisを迎え、楽曲はNils自身とAnneを起用、更にベルリンの由緒あるオーケストラ、Junges Kammerorchester Reinickendorfからヴァイオリニストとして、Ansgard Srugiesを招いています。


□ Siemens Voith Image film

</object>

Director: Oliver Neis
Music by: Nils Frahm
Cello: Anne Müller
Violin: Ansgard Srugies




この十年余り、post classicalという括りが無かった時代から、多くの前衛作曲家を輩出してきたエクスペリメンタル・シーンの土壌としてのベルリンにおいて、快進撃を続けるNils Frahm。今月末にはピアノソロによる小品集、"Unter | Über"をリリース予定。ドイツのフィルムメーカー、Ralph Etterにインスパイアされた作品とのこと。

Durton Studioを中心とした周辺のニューカマーの今後も含めて、大きな期待を寄せてしまいます。


INCEPTION.

2010-08-08 18:26:39 | 映画
Inception


□ Inception

>> http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/mainsite/

Directed by Christopher Nolan
Produced by Christopher Nolan
      Emma Thomas
Written by Christopher Nolan



面白かった!

誰かが「重厚なオーケストラのような映画」と言ってたけどその通り。夢の階層を行き来する「時間のズレ」を利用したシナリオに引き込まれた。Hans Zimmerの音楽にも、本編で重要な役割りを担うエディットピアフの歌声を利用した「トリック」が仕込まれている。

冒頭の夢の中でサイトーが登場する絢爛な日本城が息を呑む美しさ。CGだけでなく、独特なスケールの都市感覚に溢れたロケーションや、舞台装飾に感じられる徹底的な拘りは、同ノーラン監督の『ダークナイト』を踏まえたものに感じられる。


インセプションをオーケストラに例える巧さは、役者やプロットの絶妙な配合と、舞台ごとに時間の流れが事なる多層構造にもあるけど、最たるものは、理屈よりも情緒的な構造に重きを置いているところ。音楽で言うトニック。



夢からさめる=主音に帰着して行く=夢の階層ごとの動機が消化されて行く。プロセスについての設定やシステマは穴だらけなので、辻褄合わせの憶測をする楽しみ方も出来るが、最後の場面も含め、あまり明確に説明されていない登場人物の行動や世界観についての理屈は、映画という夢を共有する観客に感情的な落とし所を与える点で音楽的創意に通じる。


物語中に登場する「ペンローズの階段」のパラドクスも重要なメタファーとなっているかもしれない。時系列が分断し、交錯する作品世界の解釈は、主観や視点の切り替えで違った切り口を見せるだろう。何よりも鍵となるのは、夢が現実の投影である一方、「潜在意識こそが現実に反射する」という、逆行のプロセスが、「インセプション(植え付け)」の原理となっている点だ。


SFの中にドラマがあるのではなく、ドラマを語る書法としてSFが用いられている為、登場人物の動機や行動原理自体は地に足がついたものだ。映画の筋書きを「映像書法」として割り切れる人は、もっとわだかまりなく楽しめる作品。


ある局面における、ディカプリオ演じる「コブ」と渡辺謙の「サイトー」の対峙のリフレインが、ただただ哀切で味わい深い。


自分の対峙している事象が夢が現実かわからない時、しかしそれは抗いようもなく現実の一部となり、やがて夢の一部となる。或は、私たちが現実と信じている生命こそ、「回り続けるトーテム(コマ)」の如く、もっと深層にある出来事の投影に過ぎないのではないだろうかという感情。それらの曖昧な美こそ『眠り』の本質につながり、この映画の結末を一層儚く煌めかせているのである。



"わたしたちの生命は夢ではない。しかしそれはやがて、
 いやおうもなく、夢と一つになるだろう。
"
              -ノヴァーリス 





気候変動、懐疑されるべき懐疑論とは

2010-08-06 16:36:00 | Science




科学的不正疑惑としてのIPCC-gateについては、私は「懐疑論者への懐疑者」というスタンスですが、その理由として、彼等が論拠とするウェブ上の文脈は、ほぼ画一的なソースやコピペに偏っていながら、その支持層が殆ど中身を理解できていないという現状に最も拠るところが大きい。

ところがこの「懐疑派バズ」とでも呼ぶべき人々の声は大きく、「批判媒体」としてのネットの特質と非常に相性が良いらしく、検索をかけてみれば解るのだが、もはや「温暖化肯定論」というものは霞んでしまうほど「懐疑派」の主張が検索結果を一色に染め上げてしまう。


もう一つだけ加えると、私は「温暖化否定論の懐疑者ではない」と言うこと。2011年以降、中長期的には温暖化傾向が弱まるという予測も、肯定派自身によって為されています。どなたかの言葉を借りると、これらの議論には、「研究」と「不正の糾弾」との「文脈の分業」が欠損していると言うのが致命的。



懐疑論の大きな軸を占める太陽活動要因説ではアルベドの問題が、スベンスマルク仮説では硫酸粒子の凝固条件が、局所熱力学平衡については下部熱園の励起濃度が、それぞれ未検証のギャップが大きいにも関わらず「これで温暖化は否定された」と拙速になるあたり、自身が批判を繰り返して来たIPCCの態度と如何ばかり違うのか。

大気中の水蒸気量とCO2濃度の相関から計算される分光学分野での温室効果否定は酷く、その複雑さゆえに環境研究者が長年頭を悩ませている問題を、自称「物理屋」の人々が「自分が一晩計算してみたら違った」と主張しネットに点在している根拠の数々は、CO2濃度に依存するマクロな分子衝突と再励起による創発性を見逃している。


また、海洋、大気循環におけるエルニーニョ(ENSO)、太平洋10年振動(PDO)、北極振動(AO)などの統計的取り扱いについても、其れ自体は有意性を議論する価値があるに違いないものの、いい加減な懐疑論者の中には、物理実体のないEOFデータを「自明なもの」として孫引きしている者も既にいるくらい。(EOF自体は、数値的な変動の相関の解析として、正当な文脈においては肯定派にも懐疑派にも相当の論拠となる)


特に北半球の気温上昇や北極の海氷の融解については、北極振動のトレンドを注視することが重要とされているが、海洋の熱吸収や放射熱、既に失われてしまった多年氷などの要素間の因果を吟味し、外部強制を受ける内部変動モードであることを理解しなければならないのに、「振動現象は自然に上下する周期変動だから温暖化の結果ではない」という語り口も、懐疑派の主張の大きな矛盾の一つだ。


懐疑派の大きい誤解の一つに、気象の観測ステーションの設置やデータ補正が、温暖化でっち上げのために不正に行われていた。という主張がありますが、実はそれ不正でもなんでもなくて、立地ごとの測定値と平均予測を出す為の最適化という合理手段だったというオチも。http://bit.ly/a2HbNJ

IPCCの不正疑惑については、内部告発もあることを踏まえて、今後も追及されて然るべきではありますが、明らかな捏造の意図があるかという証拠については、既に3つの独立機関が調査を行い、不正は認められなかったという結果が出されています。



また、気候変動研究のスポンサーとして原発事業が名を連ねていることについての批判は、今でこそ対立軸が明確化しているものの、当時は「脱石油資源」「持続可能性」との一般的な合意があればこそ、公共との利害が一致している以上、これを「癒着だ陰謀だ」と叩くのは潔癖が過ぎるのではないか。その過程で資本主義的な圧力から生じる不正が、一部では動いているのかもしれませんが。


そして同様の理由から「人為起源の温暖化説」が、政治的ダイナミクスに過ぎないと一方的に切り捨てる向きも信用ならない。「温暖化言説がリベラル派の利益になる為」とアメリカの政治偏向を持ち出しておいて、懐疑論自体が保守派の口実として用いられている(今回のClimategate自体に、その疑惑が抱かれている)事実を、自身に不都合のようには思っていない危うさも見受けられる。



ここまで書いて何ですが、私は気候研究者ではない以上、現状で温暖化肯定派という立場も否定派という立場も取りません。寧ろこれまでのIPCCの姿勢や、否定論への不当な弾圧には、懐疑派以上の懐疑の目を向けています。

また、地球規模の政策決定を科学主導に委ねるという点において、民衆が温暖化研究の専門知識を「鵜呑み」にするだけだった旧来の様態に決別をしたという意味では、科学研究の専門領域におけるOpen Access化が押し進められる昨今、大きな「兆し」となる事例となったことは間違いないでしょう。但し、それは肯定派、否定派両者にとって信奉の対象とならないことが条件です。



温暖化或は寒冷化については究明を含め、食糧資源問題などに関わる気候変動への取り組みは推進するべきでしょう。鋭い懐疑派の方の言葉を借りると「誰が語っているのか」が問題。webは武器であり弱みともなる。








rubbish talk_7.

2010-08-03 18:40:28 | Science
人間の「三大欲求」とは俗っぽい分け方になるが、「食欲」「性欲」「睡眠欲」であるとされる。基形として「食欲」は外的対象を指向し、「睡眠欲」は内的欲求の自律解消であるのに対し、「性欲」は、それら両面の機序領域を共有する。


「性欲」の指向するものは人間種そのものの動的形象であり、集団性を持つ人間が人間として振る舞い・デザインされているシステムへの記号接地と、ポジティブ・フィードバック(相互要因)の発現動態である。

「エロティシズム・いやらしさ」とは、言い換えれば、個体の生理反応を誘因する、観念という境界間を通信する信号の「鏡合わせの複雑さ」が生む感情に他ならない。





□ 神と科学

古代より、『神』の概念が有する自然界とのシステマティックな関係は、人の「不可知なもの」への指向性を代替するものとして機能していた。

元来、信仰は「無知ゆえの行為」などでは決してなく、それらに相対する姿勢の過渡的な状態である。そして外環境への適応を軸に、政治や宗教を介在して、クラスター毎の人間の振る舞いの制御に必要な秩序と定向性を齎していたと思われる。


その性質こそ現代の科学に通じるものであり、これらの決定的な差異は、環境への「可干渉性」というパラメータ量に依存する。実質、『考古学』とは、生物学と同様に、人類が思考や活動を通して外環境に刻んだ「信号」の跡をトレースする行為そのものである。





□ twitter log

Roots_of_prairie_plants


RT @GenomeScience:

□ The Roots of Bioinformatics (by Grant Jacobs)

>> http://sciblogs.co.nz/code-for-life/2010/08/02/the-roots-of-bioinformatics/

bioinformatics as a young field that emerged as a consequence of the service needs of the genome projects. I worry that an overly service-oriented view of bioinformatics prevails because of this.*

It’s a topic I touched on in The mythology of bioinformatics. My article doesn’t attempt to give a history of the field, as this series in PloS Computational Biology I am introducing here does, but briefly points to early work whose that could clearly be recognised today as being bioinformatics, and highlights other issues that I felt at that time were leading to misunderstanding.


Related:
>> PLoS Computational Biology
>> http://www.ploscompbiol.org/


バイオインフォマティクス領域の過度のサービス指向への注意。
一方で、PLoSの学術誌としてのコンセプトとクオリティはとても評価されています。私も、cbmi (Center for Biomedical Informatics Center)が開発したiPhone、iPad向けのPLoSアプリにはお世話になっています。


>> PLoS Medicine for iPhone (iTunes Application Store)

>> Plos_medicine PLoS Medicine (Twitter)





□ RT @32nm: RT @iwasakiw: 日本学術会議提言「包括的学術誌コンソーシアム」の創設 http://bit.ly/9sneTb 学術誌による情報流通は海外の学術誌商業出版社へ過度に依存しなければならない状況にあり、学術誌へのアクセスおよび学術誌による発信...





□ RT @32nm:

先日、セミナーでGalaxyの紹介をしたときに、「これはすばらしいが、なんで日本からこういった便利なソフトウェアができないのか」という質問があった。

僕の解答:(1)そもそも分野の人口がすくないこと(2)ヒトゲノム計画周辺の研究者の所属機関がOSSとしての公開を抑制していたこと(3)ソフトウェアは評価されないこと(4)共有物の文化が普及していないこと。

欧米ではHGPとかENCODEとか大型プロジェクトが牽引していた側面があった。日本ではそれも以前は無かったといえる。いまはサイバーインフラストラクチャという視点から状況はかわってきていて良い方向を向いているとは思います。




□ 基礎科学の成果は誰のもの?

□ RT @32nm:

>> RT @enodon:

日本学術会議報告
「科学者コミュニティから見た今後の知的財産権制度のあり方について」


>> http://ow.ly/2kN8x
>> http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-h100-1.pdf

「科学者コミュニティの研究活動の多くは公的資金でまかなわれているため、研究成果を社会(納税者)に還元することが求められている。研究成果が社会に還元されるためには、多くの場合、企業において研究開発に対する持続的な(フォローオンの)投資がなされる必要があるが、

そのためには、基礎科学の 成果が得られた段階で特許権が取得され、知的財産権として独占的に使用できる状態にな っていることが必要な場合もある。このような理由から、基礎科学の成果を特許化するこ とに社会的意義が認められる。」

ってそれほど自明なシナリオで効果のあることなのか疑問なんですよ。「(前略)知的財産権として独占的に使用できる状態になっていることが必要な場合もある[4]。」ってずいぶん甘い理由づけなんだけど、一般論のように展開している。



同感です。
基礎科学と商品特許を同次元で扱っているというか、「基礎科学の成果の還元」が共有によって、更なる展望が齎される分野が試されている。海外や医療分野では先んじて利益相反に関しての活発な議論が行われていますよね。

研究対象の及ぼす企業利益や公共の福祉への効果を計り、マネジメントする為の階層付けが有効なのかもしれない。




Plosglobe RT @PLoS: The benefits exceed the costs in economic model of broader public access to research

>> http://tinyurl.com/returnfrpaa

研究への広範なパブリックアクセスの利点は、経済モデル上のコストを上回る。





Aiplogo_stack_2 AIP_Publishing

Table of Contents for latest issue of JCP: BioChemical Physics http://dld.bz/qb4Z #AIP_JCP





□ イスラエルにおける日本文化論 RT @OxfordJNLsJapan: 【社会学】「日本」のブランド戦略ーポストモダン時代における、海外でつくられた「Cool Japan」のイメージをつかった文化政策の危うさ (T) http://bit.ly/dyw0nH





□ 非線形光学におけるシリカ光ファイバーのロバスト性を利用した、新たな通信技術

□ Nature Photonics:
全光バッファーにおけるビットとしての一次元カー媒質の共振器時間ソリトン

>> http://nature.asia/bYjFmp

共振器時間ソリトンは、連続的に駆動される非線形共振器において持続する光のパケットである。

共振器時間ソリトンはそれ自体で、3つの重要な通信機能、すなわち全光記憶、全光波形整形、波長変換をシームレスに統合する光バッファーにおいて、ビットの理想的な担い手となる。今回我々は、標準的なシリカ光ファイバーを用いて、共振器時間ソリトンを初めて実験的に観測したことを報告する。

より基本的なことは、共振器ソリトンが、局所的な散逸構造であることである。したがって、シリカが純粋な瞬間カー非線形性を示すことを考慮すると、我々の実験は、非線形光学における自己組織化現象の最も単純な例の1つとなる。





□ 8/4、日本上空にオーロラ発生? RT @nclimate_jpn: 一度は見てみたいよね… RT @yu_kubo: [天文学][地球][科学] / asahi.com(朝日新聞社):日本でオーロラ見られるかも 4日夜、北の空に注目 - サイエンス http://htn.to/dnEKoo




□ Twitter批判にありがちな「ステロタイプを仮定した攻撃」自体のナンセンスさはいまさら論じるまでもなく、世の中には「冪集合を定性的に意味付ける」強引な論調が溢れている。twitterのシステムは定性的だけど、 「今この時点で」普及している形態は、用途の違いごとにクラスターを描く





□ Apple Wireless Keyboard. (MC184J/A)

Awkey

>> http://www.apple.com/jp/keyboard/

先日、macbookのキーボードの一部分のキーが故障したので、Apple Wireless keyboardを購入。薄い!軽い!iphoneにもps3にも全方位的に周辺機器に対応。macbookのリッドクローズドモードも試してみたい。

wireless keyboardで使うiPhoneが快適過ぎる。macと同じショートカットが使えるのが大きいし、iphone側のキーボードパネルが表示されないので画面が広く使える。


Nt8

Apple Wireless Keyboard + MacBook

なんと、故障したキーボード部分にピッタリフィット!傾斜と本体の凹が噛み合う為、macbookの生きてるキーにも干渉しない。トラックパッドにも被らない。