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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

O.S.T. / "God of War II"

2007-06-28 09:07:02 | music5
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□ O.S.T. / "God of War II"

Junkie XL / "Colossus" Remix
Ron Fish / "Bog Of Lost Souls"
Cris Velasco / "Phoenix Rising"
George "TraGiC" Doman / "God-Like"

Release Date; 10/04/2007
Label; System
Cat.No.; 1128
Format; 1xCD

アメリカを中心に世界的な人気を誇るゲームのオリジナル・サウンドトラック。作曲はGerard K.Marino、Ron Fish、Mike Reagan、そしてCris Velascoの4人が各楽曲を手分けして担当、指揮にはハリウッド系スコアの仕事で活躍しているTimothy Davis、チェコ・フィルム・オーケストラによる演奏。

昨今のハリウッド映画やゲームスコア界でも流行の、トライバルビート+ソフトシンセ+大編成の混声合唱という仰々しい楽曲ですが、凄まじいのは、サントラ収録の30超の曲がほぼ全て混声合唱曲という、いくら好きな人でも食傷気味になってしまうような内容。Lisa Gerrard風のエスノ・シャントや中東系パーカッションは、それ自体フックがあるので聴き応えはあるものの、全体を通して聞くと、ややソフトシンセの大袈裟なSF系サウンドエフェクトに偏重気味だったり、やはりまだまだ一流には成り切れない拙さが漂い、正直これだけならば何ら興味をそそられる作品ではありません。


何と言っても、我らが『ビートの魔術師』、Junkie XLがリミックスを提供しているのが最大の呼び物。コーラスが中心となった曲を、Tomがどう料理しているのかだけが気になって購入してしまいました。重厚なエレクトロビートに地を震わすような混声合唱が絡む様は、期待を裏切らないなかなかの佳曲。George "TraGiC" Domanも負けておらず、ヒップホップビートに合唱を絡めてラップを乗せるシリアスな楽曲を完成させています。ゴシックメタルバンド、Shadows Fallの曲は....趣味じゃないです(笑


映画や映画予告にカルミナ・ブラーナ風の合唱を用いるのは、マイナーとは言え伝統的な手法でしたが、1990年代中盤から、そこにグルーヴィなデジタルビートやパーカッションアレンジを最初に乗せ始めたのは、Hans Zimmerであり、Craig ArmstrongやGraeme Revellといった前衛のスコアコンポーザー達や、James Newton Howard等の、それに刺激を受けた大物作曲家たちでした。特に叙情系のストリングスに荘厳な聖歌風コーラスを噛み合わせるのはHans Zimmerの得意技であり、(その下地には長年キーボーディストとして手掛けて来たニューエイジ作品や、アフリカンコーラスやパーカッションをフィーチャーしたエスニックな『組曲』を生み出して来た経験が活かされている)その技術は彼が自身のプロダクションで束ねる次世代のコンポーザー(Steve Jablonsky、Don Davis、Harry Gregson Williams、etcetc...)たちや、それ以外の数多の新人、フォロワー達にも継承され、世界の劇音楽を先導していると言っていいでしょう。(とりわけ最近の映画音楽界はそちらに偏重してしまっているような。。)(※但し、私はEnigmaの何れの作品も、この流れには含めない。Cretuは寧ろこの書法のオリジネイターである。)

それとは別に、高まり続ける需要から、映画予告用に「それっぽい」混声合唱系音楽を委託されて創る、Immediate Music (>> http://www.immediatemusic.com/)に代表される、数々のサウンドライブラリ・プロダクションが台頭するようになり、中にはe.s.PosthumusやGlobus(リンク先参照)といった、それ自体をアーティスト作品として発表するプロジェクトが、2000年以降に出現するようになりました。二番煎じや三番煎じ、コピーのまたコピー、著名作曲家から末端までレベルの差はピンキリですが、しかし確実にこの手法は、世界的にも歴史的にも新しい音楽書法の一つとして浸透しつつあります。