子供の感性というのはあなどれません。大人と比べて知識や経験が足りないというのは当然ですが、その分、先入観や偏見を持っていないので、まっさらな感性に直接届くのですね。小さな小学生にレッスンをしているときにこんなことがありました。
私の教室ではスタインウェイとヤマハの二台のピアノを使っています。生徒のレッスンは原則としてヤマハを使い、スタインウェイは私が隣でお手本を弾くときに使います。
あるとき、なかなか練習に気乗りしない子がいて、レッスン中にぐずぐずし始めました。「さ、もう一回、もう一回やってみようね」と声をかけていたら、その子が急に、「あのなー、先生、ぼく、そっちのピアノでやってみたい」と言うのです。こんなこと小さな子供に言われたのは初めてなので驚きました。「えっ、こっちで? こっちは先生用なのよ」と言いましたが、それでも弾いてみたいと言ってきました。
そこで一計を案じて、こう言いました。「そう、こっちはね特別良く弾けるようになったら、ご褒美で弾かせてあげるのよ。よし、じゃ、君にも弾かせてあげるから、そのかわり、ほら、ここんとこ。ここんとこ絶対間違えないように最後まできちんと弾いてごらん。最後まできちんと間違えないで弾けたら、こっちのピアノで弾かせてあげるから」
すると俄然やる気を出して、何とか上手に弾きとおしてくれました。そこで約束通り、ご褒美にスタインウェイを弾かせてあげたのです。するととても興味深そうにピアノの違いに注意を払いながら弾いたり触ったりしていました。
「どう、どんな感じ?」
「先生、これ、あっちのより鍵盤が下までいかない。」(確かに多少浅いのです)
「そうだよね。よくわかったね! 他には?」
「なんかちょっとこっちの音が、透明っぽい。」(すごい、この表現力!)
「ほう!そうなのね」
「ぼく、こっちのが好きや。こっちのがいい音するやん。」(なんか嬉しい!)
小学一年生の君、こんな素晴らしい感性をもっているんだから、将来が楽しみだよ。練習もっともっと真剣にやろうね!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/29/7b1d90036403475b743327186f239674.jpg)
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そこで一計を案じて、こう言いました。「そう、こっちはね特別良く弾けるようになったら、ご褒美で弾かせてあげるのよ。よし、じゃ、君にも弾かせてあげるから、そのかわり、ほら、ここんとこ。ここんとこ絶対間違えないように最後まできちんと弾いてごらん。最後まできちんと間違えないで弾けたら、こっちのピアノで弾かせてあげるから」
すると俄然やる気を出して、何とか上手に弾きとおしてくれました。そこで約束通り、ご褒美にスタインウェイを弾かせてあげたのです。するととても興味深そうにピアノの違いに注意を払いながら弾いたり触ったりしていました。
「どう、どんな感じ?」
「先生、これ、あっちのより鍵盤が下までいかない。」(確かに多少浅いのです)
「そうだよね。よくわかったね! 他には?」
「なんかちょっとこっちの音が、透明っぽい。」(すごい、この表現力!)
「ほう!そうなのね」
「ぼく、こっちのが好きや。こっちのがいい音するやん。」(なんか嬉しい!)
小学一年生の君、こんな素晴らしい感性をもっているんだから、将来が楽しみだよ。練習もっともっと真剣にやろうね!
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