Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

伝統の体の一欠片

2006-12-22 | 
先日から機会ある毎に触れた内容に関する論文がネットに見つかった。「16世紀・17世紀における五声のコラール」に関するものであるが、宗教改革の音楽の流れとヒューマニズムの芸術と解放の芸術を見て行く際参考になる論文である。

388ページに上る大部であるので、目を通せていないが、先日触れた待降節カンタータの例を見つけたので、それだけでも先ずは紹介しておく。バッハの曲として有名なこの曲は、讃美歌147として有名なテキストである。その旋律と詩は、フィリップ・ニコライによって1599年に創作されたとある。

このコラールは、マタイによる福音の25章1-13「十人の乙女」のたとえ話に因む内容として知られている。それを音節で区切って、さらにその音節毎に中線を引いていくと次のようになる。

Wachtet auf, ruft uns die Stimme  
der Wächter sehr hoch auf der Zinne,
Wach auf, du Stadt Jerusalem
Mitternacht heißt diese Stunde,
sie rufen uns mit hellem Munde:
Wo seid ihr klugen Jungfrauen?
Wohlauf der Bräutgam kömmt,   
steht auf die Lampen nehmt!  
Halleluja!                   
Macht euch bereit zu der Hochzeit,
ihr müsset ihm entgegengehn.       

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そして、下の中線で描いた図を見て欲しい。聖杯に見えるだろうか?これは、バロック詩に良くある音節の手法である。そして、バッハのカンターターでは、„Zion hört die Wächter singen“のアリアへと繋がっていくのである。

こうした手法のあり方や受け継がれた宗教改革の隠された伝統は、それが集大成されたバッハの音楽において、我々は馴染んでいる。


聴き比べ - Wachet auf, ruft uns die Stimme - Cantata BWV 140:
Bach Ensemble, Joshua Rifkin
Münchner Bach, Karl Richter
Thomanerchor Leipzig, Hans-Joachim Rotzsch
Stuttgart Bach Collegium, Helmuth Rilling
Monteverdi Choir, J.E.Gardiner
BWV 140 Wachet auf, ruft uns die Stimme (PDF楽譜 2905kb)
Evangelisches Gesangbuch 147
コメント (2)
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