田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

盗聴(3)/三億八千万年の孤独 麻屋与志夫

2011-04-11 08:28:08 | Weblog
3

盗聴電波がでている。
美智子の母、里恵は信じなかった。

盗聴されているらしいと筆談で密かにつげても。
信じなかった。

朝食の後片付けをしても……。
ただ青くなってふるえているだけだった。
筆談で知らせた。
盗聴器は。
ひとまず。
このままにしておくことを。
美智子が出かけてから。
取り外すことを。

里恵はそれでも。
不安そうな表情をかえなかった。
隼人たちは。
陽気な当たり障りのない会話をつづけた。
それから、盗聴器の発見と取り外しに立ちあった。
キリコの連絡で駆け付けた男。
キリコの兄の部下だという男が盗聴探知機で部屋から部屋を探した。
出発が遅れた。
もうこれ以上は待っていられない。
キリコと隼人は後のことは、盗聴器を三個までは発見した男たちに任せた。
新宿の河田町にある美智子の所属する「バンビ」の事務所に急いだ。

「どういうことなのだろうな」
車のなかで隣のキリコに隼人がきいた。
「熱烈なファンのストーカー行為ってことナカッぺね」
かなり前から盗聴されていたのだ。
美智子がカムバックしたことには、無関係だろう。
キリコが栃木弁をつかうときは、テレカクシらしい。
ふたりで肩を寄せあっている。
キリコは顔を赤らめている。

「彼女は命まで狙われた!! 
日本はいつから……こんなブッソウな国になった。
白昼刺殺魔がでたり」
「海外にいたのに、よくしっている。
美智子さんのことが気になっていたのケ」
「彼女とはあったばかりだ」

美智子の言葉を借りれば、引退同然の生活をしていた彼女なのに。
盗聴器をしかけるなんてどこの組織だ。
なぜ?




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