田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

宇都宮餃子、おいしいよ/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-12-03 07:04:09 | Weblog
奥様はバンパイァ 88

○「人生は短すぎるが……ぼくらは亞人間だからな。どれだけ待てばいいの」

「ジョーク。ジョークだよ。武ったらマジで応えるんだから」

すっかり元気になった玲加は武とじゃれあっている。

こうなるとすっかり普通の女の子だ。

化沼高校の生徒だ。

○白いバラが咲いている。

「これがGとmimaのすきなアイスバーグ。そしてあのヘンス際に咲いているのがマ

チルダ。隣がドミニック・ロワゾ」

    アイスバーグ
       

       

     マチルダ
       

       

     ドミニク・ロワゾー
       

       

さすが神代バラ園で育っただけのことはある。

そこへきて歴史大好き乙女の玲加だ。

それぞれのバラの名前の由来を話しだした。

武には玲加が白いバラの精のように見える。

ふたりのバラ園の散策を玲加の携帯がストップさせた。

携帯を開いて「Mからよ」と武に告げる。

「宇都宮駅。駅のコンコース。餃子小町ね。すぐみんなで行きます」

○夕飯の支度がたいへんだろうとMが宇都宮餃子館総本店にさそってくれた。

駅中の餃子小町のお店はお客があふれていた。

いつきても、宇都宮の餃子の人気はすごい。

駅東口まであるいた。

○餃子館は広い。空席があった。

○玲加たちはコンガリト狐色に焼かれた餃子にむしゃぶりつく。

「さっきあんなに稲荷ずしたべてまだはいるのかよ」

「そだちざかりの乙女ですからね」

「ニンニクのにおい嫌いじゃなかったのか」

「ああ。あの伝説ね。あれ……『まんじゅう怖い』の落語とおなじよ」

「じゃ、好きなんだ」

うんうんと肯きながら、三皿めに挑戦する玲加だった。

○「玲加が楽しそうね」

「むかしのmimaをみるようだ」

Gが目をほそめている。

「どうして……もどってきたのだ」

「人狼と和議が成立したのにね。千年ぶりで二つの種族、人狼と吸美族の争いごと

がなくなったとよろこんでいたのに」

「悪魔がこの地にいたとは想像もしなかったからな」

「それも、蝿の王。ベルゼブブよ。とても若い者たちだけでは戦えない」

「どうして蝿の王が……? この地に呼び寄せられたのかな」

「わたしの推察では、この那須野が原に。わたしたち吸美族の野ざらしとなった死

体がるいるいと重なっていたときよ。死体にウジがわき、蝿の大量発生。そしてよ

ほどわたしたちの死体がおいしかったのでしょうね」

○カミサンはさらりといってのけた。

だがGにはわかっていた。

彼女は吸血鬼としての命をこの戦いに賭けている。

必死の覚悟がそのなにげない言葉にはかくれている。


●私事ですが、「星の砂」に「初恋の白いバラ」を載せました。そちらもぜひお読みください。
 


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