ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

南京事件の総括 - 8 ( 突然持ち出された、南京事件 )

2019-01-16 13:12:01 | 徒然の記

 書評の8回目になります。今回も堤防に向かい、穴掘りをしていてる氏の言葉から始めます。

 「昭和22年7月25日から始まった、検察側証人の証言、」「そして前述のおびただしい宣誓供述書や、証拠書類の朗読が、断続的に、8月の31日まで、一ヶ月以上にわたって行われた。」

 ここからが、戦後の私たちがほとんど知らない事実です。反日のマスコミの出発点も、ここにあります

 「証人の証言が始まった時より、ラジオは毎晩〈 真相箱 〉という、GHQ政策の番組を、音楽入りで劇的に放送し、」「日本軍の残虐性など、あることないことを、誇大宣伝した。」

 「GHQの言論統制下にあった新聞は、筆を揃え、日本軍の暴虐ぶりを、これでもかというように連続報道した。」「これに対する反論や批判は封ぜられ、抗弁のしようもなかった。」「国民はただ身を縮め、いたたまれない思いで、耐えるしかなかった。」

 皇居間前の広場で、涙をぬぐっていた人々の姿が、二重写しになります。戦争が終わったと安堵する国民に向い、こんな放送が流されるのですから、「政府に騙された。」「軍人に騙された」と、失望や怒りが生じても不思議はありません。

 マッカーサー元帥はこの時、政府を超える絶対の権力を手にし、マスコミを組み敷いていました。「言論の自由」、「反権力」、「社会の木鐸」などと、偉そうな訓示を垂れていますが、当時の朝日やNHKは何をしていたのでしょう。元帥の理不尽な権力行使に、抵抗したとでも言うのでしょうか。

 日本人が蔑む韓国ですが、この国の新聞は権力の横暴に逆らい、白紙の新聞を発行した歴史を持っています。驕りたかぶる日本の新聞が、あの時一社でも、マッカーサーに抗議し、白紙のページで新聞を発行したでしょうか。

  昨年の2月に読んだ、富田健治氏の著書『敗戦日本の内側』を、思い出します。氏は敗戦直後の状況を、苦々しそうに語っていました。

  「急に平和論者ぶって、総司令部に入り浸っている人たちの名前も、」「よく聞いたものである。」「そうかと思えば、日本人の悪口を告げるため、」「司令部に日参している者もあるという始末で、」「無条件降伏したと同時に、恥さらしの日本となった時代でもあった。」
 
 「私は、日本の政治家、軍人、言論人と言われる人たちにして、」「敗戦にあたり周章狼狽するばかりでなく、わが日本を売り、わが同胞を裏切ることによって、」「生活の糧を得んとする、卑劣な根性の者が、いかに多かったかを知り、慨嘆に耐えないものがあった。」
 
 「民主主義は、よろしかろう。」「しかしながら、人を陥れ、人を裏切り、」「これにより、自らの利益を得るというのでは、民主主義以前の、不道徳ではなかろうか。」「かかる輩が、各界で口をぬぐい、しかものさばっているとすれば、」「そんな日本の社会が、立派な成長をなし得ようはずがないのである。」
 
 「今後の日本の正しく行く道は、終戦直後の破廉恥の是正から再出発すべきではなかろうか。」
  
 もし自分が、敗戦当時の日本で責任ある地位にいたとしたら、どのような態度で臨んだかと想像しますと、口ばかり先行する私には、自信をもって言える言葉がありません。
 
 それだけに、富田氏の言葉が胸に刺さる思いがします。だから私は、情けない自分を含め、朝日新聞やNHKを責めます。権力に膝を屈した、彼らを、自分を含め卑怯者と責めます。
 
 話が飛びますが、敵の裁判を受けるのを潔しとせず、自決した軍人の名前に、漏れがありましたので、追加します。あれだけ戦争を煽り立てた変節のマスコミの中に、責任を感じ、一人でも自決した人間がいたでしょうか。
 
 敗戦直後、自決した将軍の名前は次の通りです。将官だけを調べましたが、佐官クラス以下の軍人を入れますと、もっと多くの数になります。これらの方々に対し、私は頭を垂れます。
 
  阿南惟幾陸軍大将   割腹自決     寺本熊市陸軍中将    割腹自決
 
  大西滝治郎海軍中将  割腹自決     田中静壱陸軍大将    ピストル自決
 
  島田朋三郎陸軍中将 ピストル自決    宇垣纒海軍中将     特攻自決
 
 東京裁判所で開始された、検事側の証人たちの証言と、証拠書類の朗読の中で、「南京虐殺事件」が、突然持ち出されました。その時の氏の、驚きの言葉です。
 
 「このようにして、初めて知らされた南京大虐殺なるものは、海外にも大きな反響を呼んだ。」
 
  やっと氏が、南京事件について語り始めます。息子たちは、次回のブログを今まで同様背筋を伸ばして読んでください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南京事件の総括 - 7 ( 東京裁判の、3つの目的 )

2019-01-16 07:36:33 | 徒然の記

 今回も頑強な堤防に向かい、穴掘り作業をしている氏の言葉から始めます。

 「東京裁判は、三つの目的を持った裁判であると、言われている。」

 その3つの目的は、以下の通りです。3番目の目的については今更説明する必要がありませんので、1.と2.に関する氏の説明を一緒に紹介します

    1. 歴史の断絶 あるいは、日本人の歴史観の革命的変革

    ・  日本の戦前の歴史、文化、伝統は、すべて悪であったとして断罪すること

    ・  日本人を最初から侵略者として決めつけ、日本及び日本軍の行った行為は、すべて悪であり犯罪行為であるとすること

    ・  連合国の行ったことはすべて善である、という前提で行うこと

    2. 罪の意識の扶植 あるいは、自虐意識の植えつけ

    ・ 日本軍が中国大陸及び東亜の諸国において、いかに非人道的な、犯罪行為を行ってきたかを、徹底的にプロパガンダすること

    ・ これによって日本の伝統と文化に、ダメージを与えること

     ・日本人の愛国心を抹消し、日本民族の再起の芽を摘み取ること

    3. 復讐 つまり、米国とマッカーサーによる復讐

 まさに今、氏の指摘する通り、アメリカが思った通りの日本が出来上がりました。彼らに作られた日本人たちは、自分が何のために反日を叫び、どうして日本を憎んでいるのか、その原因さえ知りません。

 あろうことか、いつの間にか反日左翼に引きずられ、「米軍は出て行け」と、反米に変化しています。本来は水と油のアメリカとソ連が、同じ連合国の中にいましたから、時間が経てば綻びが出ます。「米軍の戦争に巻き込まれるな」と敵対の叫び声をあげます。どうしようもない愚か者たちですが、間違いなく彼らも日本人です。

 年配者が多く頑迷固陋の頭ですから、理解するスペースが残っていないのでしょうか。こんな私でも、反日左翼の本を我慢して読む忍耐力を持っていますが、彼らにはありません。息子たちより、彼らに氏の著作を勧めたいのですが、無理な話です。

 みっともないので、これ以上の独り言をやめ、堤防の穴掘りに専念します。穴掘りの方が、よほど有意義です。私の人生ももしかすると、残り少ないのかも知れませんので、時間は大切に使わねばなりません。

 「南京事件は最初から、東京裁判の目玉として、扱われた。」このように述べて、氏は、検察側が証言台に立たせた証人と、南京事件の口述書類等を並べ、読者に紹介します。ご覧の通り、米国人がメインです。

    〈  証言台に立った、南京事件の証人 〉

     1. 米人牧師 ジョン・マギー

     2. 米人医師 ロバート・ウイルソン

     3. 金陵大学米人教授 マイナー・ベイツ

     4. 中国人  許伝音、尚徳義、梁廷芳、五長徳、陳福實

 中国人は米国人証人と異なり、一括りで記載されています。不公平感がありますが、米国人の証人に比べれば悪辣さが小さかったため、氏がそうしたのでしょうか。

    〈  南京事件の宣誓口述書 〉

     1. 米人ジョージ・フィチの宣誓口述書

     2. 米人ルイス・スミス博士の宣誓口述書

     3. トーマス・モロー大佐が、裁判直前に南京へ飛び集めてきた、8通の宣誓口述書

     4.  他、数十名の中国人の宣誓口述書

    〈  南京事件の証拠書類 〉

      1. 南京地方院検察署 敵人罪行調査委員会による、調査報告書

      2. 東京裁判への証拠提出のため設立した機関による、調査報告書

       合わせて、66通に上る調査報告書

  これを見ますと、かなり付け焼き刃な証拠書類の作成だったことが見えてきます。「南京事件は、捏造だった。」という何よりの証明になりますから、著作に入れた理由が分かります。

 スペースの関係で、本日はここまでとします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする