田中正明氏著『南京事件の総括』( 平成19年刊 株式会社小学館 )を、読了。
氏は「南京事件」と言いますが、中国と日本の反日左翼の人々は「南京大虐殺事件」と呼びます。「南京事件」と「東京裁判」はワンセットのもので、切り離しては考えられません。この考えに立たない限り、南京事件の本質はつかめないと思っています。
南京事件と東京裁判は「日本国憲法」とともに、戦後の日本人の思考を大きく変えた最重要の出来事です。日本を愛する人々を苦しめている様々な問題は、この3つの出来事から始まっていると言っても過言ではありません。
書評に入る前に事件に対する中国と日本の政治家の対応と、カナダ国内での中国人の動きについて説明します。
〈 中国政府の対応 〉
中国は昭和60 (1985) 年に、南京郊外に大虐殺記念館と言う名前で、展示施設をオープンさせています。 記念館には、日本人に虐殺された遺骨で造ったという、「30万人」のモニュメントや、「中国人100人斬り」を競い合う日本兵の記事などが、大量に展示されています。
記念館は中国学生の修学旅行の訪問先に指定されていて、女性教諭が生徒たちを前に、「わが民族は、絶対にこの暴挙を忘れてはならない ! 」と説明しています。
中国政府は12月13日を、南京大虐殺の屈辱の記念日とし、昭和12 ( 1937 ) 年のこの日を中心に、日本軍によって30万以上の無辜の市民が虐殺されたと-全国報道をします。反日左翼マスコミが毎年敗戦の日になると、日本全国に「終戦の日」の報道特集をするのと似ています。
江蘇ラジオでは、『生存者の証言』と題し、虐殺から生き延びたという30人の老人たちへの、連続インタビューを放送しています。「鬼っ子」(日本軍人)が、南京の若い女性を強姦して妊娠させ、彼女のはらわたを割いて胎児を殺したとかいう話が、連日放送されました。
追悼日には、国家レベルでの公祭と記念行事を開催し、南京大虐殺の犠牲者と、日本の侵略者に殺されたすべての犠牲者を追悼し、日本が犯した戦争の罪行を暴露するとされています。
習近平氏の鶴の一声で、この日は13億の全国民で哀悼する、「国家公祭日」に指定されました。習氏はまたドイツで、「30万人以上の罪もない中国人が、日本軍に虐殺された」と強調する、反日演説もしています。
中国政府は、南京での日本軍の残虐性を説いた『血火記憶』という本を、小中高校の副読本に指定しました。また『南京1937』というマンガの版権を、世界中に売ろうという動きも起こっています。
日本のマスコミが報道しないので、今でもほとんどの国民は中国国内での「南京事件」への激しい対応を知りません。しかし日本の政治家は知っていますので、その事例を紹介します。
〈 日本の政治家の対応 〉
平成30年6月24日に福田康夫元首相が、中国江蘇省南京市にある「南京大虐殺記念館」( 正式には、侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館 ) を、訪問しました。中国共産党の機関紙「人民日報」が、この様子を大きく報じました。
福田氏は犠牲者に花輪を手向け、黙とうを捧げるなど一連の行事を終えた後、記者団に語りました。
「日本人は、もっと過去の事実を、正確に理解しなければならない。」「より多くの日本の政治家が記念館を訪れ、この歴史に触れてほしい。」「多くの日本人が、記念館を参観すべきだ。」
〈 カナダ在住の中国人の動き 〉
「市民の署名は、メトロバンクーバーの5カ所以上で行われ、同運動はカナダ第2次大戦災禍史実擁護会(ALPHA)と、全国カナダ華人連合会など、100余りの社会団体から支持され、全国各地で積極的に活動が繰り広げられている。」
本日は初回なので、調べた事実をコメントなしで紹介しました。この事実を見ても分かる通り、日本国民と中国の対応は大きく隔たっています。名前を口にするのも腹立たしい元首相という、愚かな政治家たちの認識も、国民とは天と地の開きがあります。