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2002年アメリカ その15 博物館の展示

2019年10月19日 | 昔の旅行
2002年アメリカ その15 博物館の展示
2002 USA trip: Part 15. Display of the Burke Museum

The Burke Museum had rooms of exhibition on natural history, and also on folklore around the pacific. There was good exhibition on fossils of marine vertebrates. The museum was planning a new building. I had asked my opinion about display on recent Japanese museums.

 2002年3月14日(木)バーク博物館の標本室の調査が終ったので、展示室を見学させてもらった。入ってみると落ち着いた展示の方法である。入り口にホールがあって右に地震の解説コーナー、その奥に自然史分野、地下に民俗展示がある。民俗部分は写真を撮り損ねたが、環太平洋民俗の概説がされていて、アメリカインディアン・イヌイット(エスキモー)・日本・韓国・中国・ハワイ・ニュージーランド(マオリ)などの民族の祭りや祈りなどの一つの場面を作ってその解説をしている。日本の場面は盆踊りである。お盆の祭壇を復元してその横に盆踊りの由来について英語で書いてあるが、何だか私の知らないことがいっぱい書いてある。他の民族のところも、正月の祭壇があったり、集会所の模型であったり、ちょっと日常生活とは違った局面が作ってある。まあ、古くからの民俗的な風習の解説だからちょっと特殊なときの話になるのはやむを得ないのだろうが、他の民俗がいつもこんな生活をしているのではないだろうから、子供たちの誤解を招き、とくに未開民族であるかのように解説してしまっているように思われる。
 自然史分野の展示は、入り口のロビーの鉱物などの展示を過ぎると、地震の解説がある。西海岸では地震の解説が重要であることは分かる。現生生物の部分は意外に簡単で拍子抜けする。古生物部分が詳しいのは最近の自然史系博物館の共通であろう。時間をさかのぼる形で、マンモス、漸新世の鯨、そして恐竜へと進んでゆく。子供が興味をもつように設計されているが、狭くて古い展示なので今一つ効果が上がっていない。

15-1 現生鳥類の展示。仮剥製を用いている。 2002.3.14
15-2 Display of extant birds, by provisional stuffed specimens. 2002.3.14

15-2 ステゴサウルス 2002.3.14
15-2 Display of Stegosaurus. 2002.3.14

15-3 モササウルス 2002.3.14
15-3 Display of Mosasaurus. 2002.3.14

15-4 イチョウ化石 2002.3.14
15-4 Display of fossil ginkgo. 2002.3.14

 ブルースと昼食に行く。博物館の一角に食堂があって、若い人たちが並んでいる。ここは大学の中にあるので、ここで昼食をとる学生が多いのだろう。オープンサンドイッチとコーヒーを抱えて空いている席に座り、周りを観察しながら食べる。食べながらも本を読んだりノートを広げたりする人が多い。
 午後、ジムとの約束で、マクドナルド館長とお会いすることになる。館長は、大柄の方で、専門分野を聞いたがあまりはっきりしたことを言わない。かといって事務官でもない。用件は、バーク博物館が将来(お金ができたら)建設する構想のある鯨に関する展示について意見を聞かせて欲しい、というのだが、結論から言えばマクドナルド館長の構想をおっしゃるだけで、当方の意見を聞く耳はないようである。館長の構想では、観客は最初レクチャーを受けた後に3階部分からゆっくり動くエレベーターで海底を模した1階に降り、潜水艦の小窓を通して海底にある鯨の遺体や深海生物を疑似探検する。一部の生物はコンピュータグラフィックで現わすといったものである。私は「バーチャルな体験は近年遊園地でもできるようになり、将来は家庭でも高度な疑似体験が可能となろうから、それでもって博物館の目玉とするのは無理があろう。むしろ実物の持つ重みこそが来館者にアピールできるのだから、旧来の展示を求めたほうがよい。」との意見を述べたが、余り聞いてもらえない。館長室を出てブルースに「どんな話しだったか?」と聞かれ、「館長の構想を聞いた。それに反対し、古い展示を勧めたが、あまり聞いていただけなかった。」と答えると、そうだろうとにこにこする。
 ミュージアムショップはなかなか充実している。書籍から絵はがき、玩具類や壁飾り、Tシャツやマフラーまで自然史系のデザインや原住民族のシンボル的な模様をアレンジしたものなど、見ていて飽きない。ここまでお土産を買う機会が無かったので、いろいろと買い込む。とくに収集している鰭脚類の置物は、ここで牛の骨製のいいのがあって60ドルで購入する。合計153ドル。

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