音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■■ イタリア・サルデーニャ島の音楽と踊り ■■

2007-12-20 00:27:06 | ★旧・伝統芸術、民俗音楽
■■ イタリア・サルデーニャ島の音楽と踊り ■■
2007/3/22(木)

★イタリアから来日中の「サルデーニャ民俗音楽団」の演奏を聴いてきました。

(会場:横浜「はまぎんホール・ヴィアマーレ」)

現在、チェロの独奏曲を作曲中で、そのような時にコンサートへ行くのは、一種の賭けです。

いい気分に浸ることができればいいのですが、期待はずれなら、2~3日は嫌な気分が抜けません。


★しかし、思い切って出掛けてよかったです。

地中海に浮かぶサルデーニャ島は、欧州では「美しい海のリゾート島」として有名です。

スライドで島の様子が映し出されました。

シチリア島に次いで大きな島であるサルデーニャ島は、ほぼ四国と同じ大きさ。

ゴツゴツとした岩だらけの痩せ地で、昔は、わずかに生える草で羊を飼っていました。

戦後、貧しいこの島を後に、外国へ移住せざるを得ない人々が多くいたそうです。

しかし、独自の文化を築き、言語もイタリア語とは異なる系統だそうです。


★歌も踊りも素晴らしかったのですが、特に、「ラウネッダス」という葦笛が面白かったです。

3本の葦笛で出来ており、それを全部一度にくわえて吹く名人芸を堪能してきました。

この楽器は、左側に、50センチ以上はある長い葦がきます。

この葦には穴が開いておらず、「ボー、ボー」という音で、低音を出し続けます。

専門用語では「ドローン」です。

真ん中にある中位の長さの葦は、穴が4つあり、左手でその穴を塞ぎ、伴奏を受け持ちます。

右側の一番短い葦も、穴は4つで、右手でメロディーを奏します。


★スコットランドのバグパイプにも似た構造で、日本の篳篥の遠い親戚にも当たるそうです。

実物を目の当たりにして、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」の、

あのパンの笛と、半獣神を思い浮べました。

この楽器は、葦を冬期に刈り取り、感を頼りに、蜜蝋と黒い紐のみで、精巧に製作されるそうです。

音程は、葦に貼り付ける蜜蝋の量で細かく調整するそうです。

島では、お祭りも多いそうですが、聖人祭の行列や、聖体拝領が特に興味深く思えました。


★聖体拝領の儀式には、通常、オルガンを用いますが、

この島では、この葦笛「ラウネッダス」を使います。

微妙にイスラム的な節回しや、

バルトークが収集したトルコや東欧民俗音楽の旋法やリズムも含まれている、と感じました。

しかし、それだけではなく、この島以外にはない固有の独特な音楽である、というのが感想です。


★男性4人の「テノーレス・ディ・ネオネリ」(ネオネリ村のテノーレス)の歌も、

とても素晴らしく、低いだみ声のような発声法をするパートが、実によく声が通り、

洗練された美を感じました。

日本の名僧による読経にも通じるものがありました。

以上は、一度聴いただけの印象ですが、いつか現地のお祭りに行き、

聴いたり、踊ったりして、ローマより古いと言われるサルデーニャの魅力を体験したものです。



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