音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

Bach、Mozart へと、連綿と続く Fischerの フーガ ■

2013-10-17 23:00:11 | ■私のアナリーゼ講座■

■ Bach、Mozart へと、連綿と続く Fischerの フーガ ■
  平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 9番 E-Dur アナリーゼ講座

                  2015.10.17   中村洋子 

 

 

★10月14日、KAWAI 「 横浜みなとみらい 」 での、

平均律アナリーゼ講座で、

Chopin の Ballade F-Dur Op.38 は、

平均律 第 1巻 15番が、基になっていることを

具体的に、分かりやすく、お示しいたしました。


★10月 15日、KAWAI表参道での、

第 6回 「 平均律 2巻 8番 dis-Moll 」 のアナリーゼ講座では、

逆に、 Ballade F-Dur Op.38 の曲頭の弾き方が、

8番 dis-Moll prelude の、冒頭の弾き方と、

見事に、
シンクロナイズしていることを、

ピアノで具体的に、
体験していただきました。



★本当の意味で、Chopin が弾ければ、

Bach も弾ける、ということを、

机上の論理でなく、具体的に体験していただきました。




★次回の平均律 第 2巻・アナリーゼ講座は、

9番 E-Dur です。

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■第 7回・平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 アナリーゼ講座■
    平均律クラヴィーア曲集 第 2巻 9番 E-Dur
 ~ Bach、Mozart へと、連綿と続く Fischerの フーガ ~


★全 54小節からなる Preludeは、


ほぼ中央の 24小節と 25小節との間に、

反復記号が置かれる 「 Binary form 2部構成 」 の曲です。

バスに主音のオルガンポイントがある第 1小節目は、

後半冒頭 25小節目で、そのまま 5度上に移調される形で、

出現します。


★このことは、バス声部が属音のオルガンポイントとなる、

ということを意味します。

最後の 51~ 54小節は、バスに主音のオルガンポイントを

配置して、締めくくられます。


★この Prelude が、穏やかで温かく、

安心感に満たされているのは、

この 「 調 」 の安定感にあるのかもしれません。

 

 


★Fuga の主題と 第 1提示部は、

J. C. F. Fischer  ヨハン・カスパル・フィッシャーの、

Ariadne Musica の E-Dur の Fuga と、

瓜二つです。


★しかし、テーマの 4番目( gis ) と 5番目( fis ) の音を、

Fischer は、全音符にしていますが、

Bach は、 2分音符に変更しています。

Fischer の曲は、素朴で明るく、

のどかな合唱曲のような曲想ですが、

Bach の黄金の 「 一筆 」 により、この Fuga が一変し、

力漲る
Countepoint 対位法の世界へと、

変貌したのです。

新しい命が、吹き込まれたのです。


★そして、 Mozart モーツァルト は、

この Fuga をほとんどそのまま、

弦楽五重奏(KV405)に編曲し、豊かな滋養としたのです。

Fischer、 Bach、Mozart と、

流れが、
連綿と続くのです。




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■日 時 : 2013年 11月12日(火) 午前 10時 ~ 12時 30分

■会 場 :  カワイ表参道  2F コンサートサロン・パウゼ

■ 要予約 :   Tel.03-3409-1958


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■ 講師 :   作曲家  中村 洋子 Yoko Nakamura

 東京芸術大学作曲科卒。作曲を故池内友次郎氏などに師事。
日本作曲家協議会・会員。ピアノ、チェロ、室内楽など作品多数。

 

2003 ~ 05年:アリオン音楽財団 ≪東京の夏音楽祭≫で新作を発表。

 

07年:自作品 「 Suite Nr.1 für Violoncello
        無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 などをチェロの巨匠
        Wolfgang Boettcher ヴォルフガング・ベッチャー氏が演奏した
     CD 『 W.Boettcher Plays JAPAN
                         ヴォルフガング・ベッチャー日本を弾く 』 を発表。

 

08年:CD 『 龍笛 & ピアノのためのデュオ 』
    CD 『 星の林に月の船 』 ( ソプラノとギター ) を発表。

 

08~09年: 「 Open seminar on Bach Inventionen und Sinfonien
                  Analysis  インヴェンション・アナリーゼ講座 」
                    全 15回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

09年: 「 Suite Nr.1 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 1番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

        「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲第 3番 」
              が、W.Boettcher 氏により、Mannheim ドイツ・マンハイ ム
              で、初演される。

 

10~12年: 「 Open seminar on Bach Wohltemperirte Clavier Ⅰ
                  Analysis 平均律クラヴィーア曲集 第 1巻 アナリーゼ講座 」
                全 24回を、 KAWAI 表参道で開催。

 

10年: CD 『 Suite Nr.3 & 2 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 3番、2番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

 

     「 Regenbogen-Cellotrios  虹のチェロ三重奏曲集 」 を、
             ドイツ・ドルトムントのハウケハック社
      Musikverlag Hauke Hack Dortmund から出版。

 

11年: 「 10 Duette für 2 Violoncelli
                         チェロ二重奏のための 10の曲集 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。

 

12年: 「 Zehn Phantasien für Celloquartett (Band 1,Nr.1-5)
     チェロ四重奏のための 10のファンタジー (第 1巻、1~5番)」 を、
      Musikverlag Hauke Hack  Dortmund 社から出版。

13年: CD 『 Suite Nr.4 & 5 & 6 für Violoncello
                  無伴奏チェロ組曲 第 4、5、6番 』
                        Wolfgang Boettcher 演奏を発表 。

         「 Suite Nr.3 für Violoncello 無伴奏チェロ組曲 第 3番 」 を、
     ベルリン・リース&エアラー社 「 Ries & Erler Berlin 」 から出版。
  
     
  

   スイス、ドイツ、トルコ、フランス、チリ、イタリアの音楽祭で、

    自作品が演奏される。

 

★上記の楽譜とCDは、「 カワイ・表参道 」   http://shop.kawai.co.jp/omotesando/
「アカデミア・ミュージック 」 
https://www.academia-music.com/ で、販売中。

 

 

    ※copyright © Yoko Nakamura    
                 All Rights Reserved
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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