音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■「 シンフォニア 3番 」に現れる 「 半音階進行 」 ■

2011-01-27 01:29:29 | ■私のアナリーゼ講座■

 ■「 シンフォニア 3番 」に現れる 「 半音階進行 」 ■
                   2011.1.27 中村洋子

 


★1月27日は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

 ( 1756年1月27日 - 1791年12月5日 )の、お誕生日です。


★明28日は、横浜みなとみらい・カワイで、

「 インヴェンション & シンフォニア 3番 」 の、

アナリーゼ講座を、開きます。


★「 シンフォニア 3番 」 は、25日に表参道講座で、

お話しました 「 平均律10番 ホ短調 フーガ 」 と、

大変、深い関係にあります。

1週間の間に、両方を学ぶ機会が得られたことにより、

新たに、ハッと気づくものがあり、私にとって、

とても、幸運でした。


★この「 平均律10番 フーガ 」 は、

「 2声 」 で、大変に、短いのですが、

平均律 1巻のなかで、最もドラマティックな内容をもち、

≪「 半音階進行 」 が、ここから明確に姿を表している ≫、

という意味で、大変に、重要な曲です。


★バッハが、このフーガで追及したことの一つは、

「 全音階進行 」 と 「 半音階進行 」 の対比です。


★「 シンフォニア 3番 ニ長調 」 は、一見すると、

常に、全音階で進行しているように、みえます。


★しかし、エドウィン・フィッシャーの 「 校訂版 」 で、

詳しく、フィンガリングを検討しますと、

その中に隠されている、重要な 「 半音階 」 について、

彼が、喚起を促しているのが、よく分かります。


★一例を挙げますと、

3小節目バスの最後の音 H から → 4小節目・第1拍目の Ais。

2拍目最後の Aから → 3拍目の Gis。

4拍目最後の Gから → 5小節目の第 1拍目 Fis。

これらを繋げますと、「 H Ais A Gis G Fis 」

という半音階が、見事に、浮かび上がってきます。


★それを、フィッシャーは、「 1 - 2、( 2 ) - 3、1-( 2 ) 」

という、フィンガリングを、指定しています。

(  )について、フィッシャーは、

フィンガリングを、指定していませんが、

「 2指 」 であると、思われます。


★これにより、この半音階をどのように弾けばいいか、

という、示唆が、得られるのです。


★この半音階があってこそ、 「 全音階進行 」 や、

テーマのなかに、含まれる  「 6度の跳躍進行 」 が、

生き生きと、輝いてくるのです。

その点について、詳しく講座でお話いたします。

 

                                            ( 草の花、木の実 )

▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

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