2006/1/16(月)
★素晴らしい演奏に遭遇しました。ヴォルフガング・シュナイダーハンSchneiderhanというヴァイオリニストとウィルヘルム・ケンプKempffによるベートーベン「ヴァイオリンソナタ≪春≫、≪クロイツェル≫」のCDです。
大変有名な曲ですが、この演奏を聴きますと、初めて接したかのように、聴き終わるともう一度聴きたくなり、それを何度も何度も繰り返してしまいます。
あふれ出てくる限りないやさしさ。なにものにも束縛されず、あらゆるものから解放された美しい時間に浸りきっているのに気がつきます。
≪春≫は、地平の限りまで曙色をしたやすらぎが雲のようにたなびき、新しい生命の胎動とときめきがふつふつと湧き上がってきます。
まだ見ぬ本当に美しい春とはこんなものであろう、という想いにいざなってくれます。ささくれ立った
神経が伸びやかに解きほぐされます。
レコードの定義のごとく、この名演は後世にRECORD(記録)すべきものがレコードされたというべきものでしょう。
シュナイダーハンの名前は存じておりましたが、これまでこの名演に接することのなかった不幸せ。
このCDと同時に、MozartのK305などの入っているヴァイオリンソナタも購入しましたが、こちらは、ピアノがカール・ゼーマンという方。
同じシュナイダーハンのヴァイオリンでも残念ながら、このレコードには、手が向きません。
二人の個々の演奏は大変素晴らしいのですが、出てくる音楽は、少々うるさく感じられ、疲れます。
その理由は、ピアニストにあるようです。逆にケンプ師の偉大さをいまさらながらに再認識しました。シュナイダーハンよりもう一回り器が大きく、慈愛に満ちた大地のように暖かく支え、シュナイダーハンを羽ばたかせています。
ケンプという太陽が、美しいヴァイオリンの花を咲かせ、そして自分も高らかに歌い上げています。
これができるのは俗な言葉で申せば、知性の賜物でしょう。
もっと目立ちたい、有名になりたい、ものが欲しい、金が欲しい等々、人間のもつ本能的な欲望を制御しなければ、美しい音楽は創ることができないかもしれませんね。
それを支えるのが知性だと思います。
ゼーマンのピアノはそれだけ単体で聴けば本当に名演ですが、完全なデュオにはもうすこしのようです。
●シュナイダーハンの芸術1200 「ヴァイオリンソナタ≪春≫、≪クロイツェル≫」
POCG90181 ユニバーサルミュージック発売(グラモフォンの録音)定価1200円。
録音は1952年9月です。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲
★素晴らしい演奏に遭遇しました。ヴォルフガング・シュナイダーハンSchneiderhanというヴァイオリニストとウィルヘルム・ケンプKempffによるベートーベン「ヴァイオリンソナタ≪春≫、≪クロイツェル≫」のCDです。
大変有名な曲ですが、この演奏を聴きますと、初めて接したかのように、聴き終わるともう一度聴きたくなり、それを何度も何度も繰り返してしまいます。
あふれ出てくる限りないやさしさ。なにものにも束縛されず、あらゆるものから解放された美しい時間に浸りきっているのに気がつきます。
≪春≫は、地平の限りまで曙色をしたやすらぎが雲のようにたなびき、新しい生命の胎動とときめきがふつふつと湧き上がってきます。
まだ見ぬ本当に美しい春とはこんなものであろう、という想いにいざなってくれます。ささくれ立った
神経が伸びやかに解きほぐされます。
レコードの定義のごとく、この名演は後世にRECORD(記録)すべきものがレコードされたというべきものでしょう。
シュナイダーハンの名前は存じておりましたが、これまでこの名演に接することのなかった不幸せ。
このCDと同時に、MozartのK305などの入っているヴァイオリンソナタも購入しましたが、こちらは、ピアノがカール・ゼーマンという方。
同じシュナイダーハンのヴァイオリンでも残念ながら、このレコードには、手が向きません。
二人の個々の演奏は大変素晴らしいのですが、出てくる音楽は、少々うるさく感じられ、疲れます。
その理由は、ピアニストにあるようです。逆にケンプ師の偉大さをいまさらながらに再認識しました。シュナイダーハンよりもう一回り器が大きく、慈愛に満ちた大地のように暖かく支え、シュナイダーハンを羽ばたかせています。
ケンプという太陽が、美しいヴァイオリンの花を咲かせ、そして自分も高らかに歌い上げています。
これができるのは俗な言葉で申せば、知性の賜物でしょう。
もっと目立ちたい、有名になりたい、ものが欲しい、金が欲しい等々、人間のもつ本能的な欲望を制御しなければ、美しい音楽は創ることができないかもしれませんね。
それを支えるのが知性だと思います。
ゼーマンのピアノはそれだけ単体で聴けば本当に名演ですが、完全なデュオにはもうすこしのようです。
●シュナイダーハンの芸術1200 「ヴァイオリンソナタ≪春≫、≪クロイツェル≫」
POCG90181 ユニバーサルミュージック発売(グラモフォンの録音)定価1200円。
録音は1952年9月です。
▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲