のらやま生活向上委員会 suginofarm

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相関と因果と直観と科学

2015年07月15日 | 農のあれこれ
国立環境研究所で「ネオニコチノイド系農薬と生物多様性」という
公開シンポジウムが行われましたので、覗いてきました。

この農薬は90年代から主力殺虫剤として広く使用され、
農業生産に大きく貢献してきました。
一方で、欧米を中心にミツバチ類など野生生物への影響が問題されていて、
国内においても生態学者から一般市民の間でもそのリスクが懸念されています。
今回のシンポジウムはこの問題の最低限の事実関係を整理し、
生態リスク評価を考えるうえでの注意点を整理したいという趣旨で行われました。

わが家のナシ栽培でも農薬利用は不可欠であり、
ネオニコチノイド系農薬は特にアブラムシ類の春の特効薬として利用していますが、
いろいろなうわさがある中で使い続けていいのか、
他に変わる薬剤はあるのかという興味を持って出かけました。

4人の昆虫学者、生態学者がパネラーとなり意見を述べましたが、
現状の議論は現象の相関からの直感的思考であり、
因果関係はなんら証明されていない。
科学者としての立場からは、
ネオニコチノイド系農薬が生物多様性に悪影響を与えているかどうかはわからない
という視点は共通していました。

因果関係を究明しなければならないのですが、
生態系というのは実に複雑でその作業は難しい。
たとえばミツバチですが、
実験室での個体行動と野外での社会性をもった群れの行動はまったく違うもの。
では、科学的に証明できるまでどうするか。

玉川大学のN先生は
生態系を保全するということと持続的な農業を実現するということのバランスから
農業の現状では農薬を使わなければならないのなら
生態系をより豊かにする手段をとればいいと主張します。
たとえば、遊休農地で蜜源となるような植物を植えればいい、
お花畑を作りましょうといいます。

なあんだ、わが家で取り組んでいることじゃないですか。

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