のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

君に託したい畑はいっぱいある(のらやま通信243/1502)

2016年04月28日 | グリーンオイルプロジェクト
まとまった耕作放棄地を解消して借用しようという“もう少しで還暦プロジェクト”。耕作放棄地の開墾作業が予想以上に手間取って、いつの間にか冬休みになっていました。
農家の知人には3人の男の子がいるのですが、なぜか中学生の3番目の子だけが農業に興味があるようです。夕方、友人宅をたずねると、その子が薪と思われるスギ木片にカンナをかけています。何しているのと聞くと、なんかかっこいいからという答え。これは期待がもてます。開墾地にまだクリの大木が残っていましたので、切り倒しにおいでよと声をかけました。チェーンソウで切り込みを入れて、最後の倒すところだけのこぎりをひいてもらいました。木が倒れた後はお約束のひとときの“樹上生活”
高い枝の上から彼は何を見ているのでしょうか。君に託したい畑はいっぱいある。

ようやく耕作放棄地の開墾作業の前半が終わりました。地表の樹木や草を持ち出し、あとは抜根、天地返し、整地と機械任せの作業となりますが、時間も費用も想定していた倍もかかりそうです。地主さんの理解をいただいて新しくできた畑を長くお借りしなければなりません。耕作放棄のままでは農地とは認められず、税金も雑種地扱いになるということは理解いただけますでしょうか。農地として管理しているだけで地主さんには利益があるということです。10年、20年、できれば30年といった期間お借りしてナシ畑にでもしたいと考えています。これまでも先輩たちから話しに聞いてはいたのですが、自ら40年あまりのナシ栽培の経験をしてきてナシの樹と栽培棚等の施設の寿命は同じということを実感してきました。ナシ畑の一部を全面的に改植するためには、栽培面積の他に、苗木を育成するような生産の上がらない畑が必要です。所有地ギリギリで栽培、経営しているような小農にはなかなかできないことだと思っていました。今回、近接地で遊休農地をお借りできるようなチャンスを得ました。チャレンジをしてチャーミングな事業経営にしたいと思います。
農業関係の新聞を見ていましたら、日本の土地利用型作物の生産性が停滞していて、世界各国との間で格差が広がっているという記事に目が留まりました。「面積は小さいながらも高い技術力と集約的な栽培管理で、高い収量を保持する日本農業」というイメージがひるがえされる研究成果があったという記事です。
水稲は東南アジアやエジプトで単収を増加させている中で収量増加率が低位に推移。小麦の単収は欧州諸国より低く、中国よりも増加率が少ない。大豆は80年代以降、収量水準が変わらない……。その理由として、アジア諸国や南米では経済成長に伴い農業への資本投下を拡充し、高温や日射量の多さなど有利な気象条件が生かされるようになったのではないか。
一方、日本は“世界でも特異的に”農地面積も労働力が減少し、農業投資、生産資材の投入も減少傾向にある。増産意欲が働く構造になっていない……。また、日本の食料自給率の低下要因が質的に変化していると指摘。90年代までは米からパンに変わったなど「消費構造の変化」だったが、2000年以降は「国内の供給力の低下」にあったといいます。
国内の食料は消費量が減少し供給量が上回っているから、農産物価格が低迷していると思っていました。ところがこう指摘されると、増産意欲も技術向上意欲もなくなっているのかも、と現場でしばしば思い当たることがあります。こういう現場では、当然、後継者が育つはずはありません。やっぱり農政が問題なんじゃない?

(2015年2月)

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