のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

我が家のブランド化計画(のらやま通信245/1504)

2016年04月28日 | 農のあれこれ

ブランディングという言葉を聞いたことあるだろうか。最近は流行り言葉のようにメディアで耳にするようになってきたと感じる。単純にいうと価値を高めることだ。自分自身の価値を高めようというセルフブランディングという言葉まである。そんなブランディングの話をする。
昨年末より我が家は経営の見直しを行っている。新しい世代に交代する転換期である今、改めて経営の改善を図る時期となってきたのである。我が家は単純に梨農家や米農家、野菜農家という訳ではないのはご存知の通りだ。梨も米も野菜も、さらには加工品もと、何でもやる複合経営をしている。各々がそれぞれを好きなようにやっている点と点の集合体が現状の我が家なのだ。これを新しい世代に交代していく中で、点と点をつなぎ1つの大きな球(円)としていく作業を行っていく。この大きな球を作り、さらに大きくしていくことがブランディングというものなのだ。
この大きな球はそのままだと転がってしまう。転がらないようにするためにはそれを支える土台が必要不可欠である。まずその土台作りから始めた。この土台というのはどんな会社でも持っている「理念」というもの。今まで曖昧な表現でしかなかったものを文章化する作業、各々が頭の中でポツンと浮かんでいたものを明確に言葉にする作業を行った。これには時間を大変費やした。家族間で何度も話し合いを繰り返し、きっちりとした土台ではないにしてもある程度形としてはできあがった。我が家の理念は「共感」。我が家の農産物を通じて、関わりあうすべての人々と共感し合い、必要不可欠なパートナー的存在を目指したいと考えている。
土台ができたらその上に乗せる球を作る作業となる。我が家の場合は新しい球を作るのではなく、今ある点と点をつなげ円にし、さらに立体化させる。それをするために、ある6次産業化プランナーにアドバイスをいただく機会を得た。日本各地の一次産業をデザインで活性化するために全国を飛び回っている方。F社のN氏に遠く離れた北海道からわざわざ千葉まで来てもらい、ブランディングについての話を聞かせていただいた。
ブランディングとは、ただ商品ラベルをデザインすること、ロゴマークを制定すること、ホームページを作ること、パンフレットを作ることではないという。これらはあくまでもツール(手段)でしかないのだ。お客様に自分たちの思いを伝えること、思いをわかってもらえるデザインにすること、他とどう差別化するかがブランディングということになる。
企業には有形価値と無形価値が存在する。有形価値というのは土地だったり資産だったり技術だったり数値で表すことのできるもののこと。これらには限度がある。しかし無形価値は違うのだ。無形価値とは数値で表すことのできない部分、すなわち企業のイメージのことである。ブランディングの目的はこの無形価値をどう高めていくか、どう作っていくかということである。ロンドンに本社を置くインターブランド社による調査によると全世界で最もブランド価値の高い企業は誰もが知っているリンゴのロゴのところだ。新しい商品が発表されたら全世界で人々が熱狂する。あのリンゴの一口かじられたロゴが付いているだけで人々は良いイメージを持ち購入していく。同じような形や機能であれば、多少高くともリンゴのロゴを選ぶ。「いいモノ」を作っていれば売れる、結果は後からついてくるという時代は変わった。「いいモノ」を作ることはどんな企業も当たり前だ。その「いいモノ」についての価値を見出し、具体的な言葉にして伝え、アピールしてブランドを構築すること(他と差別化すること)がブランディングになる。
ブランディングという横文字の話を続けてきたが、これは今に始まったことではない。戦国時代にはもうすでに存在していたのだ。合戦の場において敵と味方を区別するために家紋が使われていた。旗やのぼり、鎧や刀に家紋がつけられていた。合戦のなくなった時代になると家の格式を表すために、庶民の間においても家紋が広く使われるようになった。戦国時代においての家紋は敵に向かって自分たちを主張し、味方には誇りを持ち連帯感を高めるツールであった。それが時代が移り変わり現在、家紋ではなくロゴマークとして、お客様に向けて自分たちを主張することに置き換わったのではないかと考えられる。
 これから我が家は新しく生まれ変わろうとしている。話し合いを続けて、より「いいモノ」、より良い環境作りを目指したいと考えている。このブランディングは一過性のものではない。ロゴマークができた、商品ラベルもできた、ホームページもできた、パンフレットもできた、ここでは終わらない。ここからが初めてスタートとなる。その先、お客様に伝えていくこと、それがブランディングとなる。
 さぁ、新しい時代を新しい世代で切り開いていこう。
(co-sk)

(2015年4月)

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