のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

“地あぶら”でからだも地域も健康に(のらやま通信249/1508)

2016年04月28日 | グリーンオイルプロジェクト

7月下旬、わが家の隣の畑でヒマワリが咲きだしました。最初に10a分、一週間置いてから20a分。離れた畑では、これから順に合計60a分ぐらいのヒマワリが咲きます。ヒマワリの種子から油を採ろうというのです。
なぜナシ農家のわが家でひまわり油?実は切実な課題が目前に。農業の担い手がいないというのはここ何年も言われてきたことです。最近20年間で農業就業人口が半減したといいます。しかも平均年齢は65歳を越えたとか。最近の農政の大転換は農業事業者として自立するか離農するかを迫るものです。効率的に利用できる農地は大規模経営や企業参入も可能でしょう。市街地に隣接していれば市民農園や体験農園としての利用も可能です。でも残りの農地は?残土埋め立て?資材置き場などへの転用?害獣の隠れ家?いずれも地域で農業を続けていくには……。専業農家として生き残っていくために、自分の経営農地だけでなくその周辺の遊休農地も管理していかねばならない状況と判断しました。
でもナシ園の拡張も限界がありますし、わが家に他の野菜を作付ける余裕はありません。除草しているだけや緑肥を播いているだけでは経費はでません。管理が容易で作業が機械化できて収入が得られるもの。昨今の健康ブームで食用油が注目されていることもビジネスチャンスです。
栽培しているヒマワリの品種は中オレイン酸種に改良された“春りん蔵”。低温圧搾・未精製の食用ひまわり油にはオレイン酸、ビタミンEなど有効成分がたっぷり。オリーブ油と変わらない成分含有量があります。大手メーカーの食用油の原材料はすべて輸入品。どのように作られたかを確認することは難しい。地元で採れるひまわり油なら種子採りなどに消費者自らが関わることもできます。バターに代えて、サラダに、ドレッシングにも、コスメ利用もできます。“地あぶら”で食用油国内自給率3%から脱却しましょうという提案です。
わが家で食用ひまわり油づくりに挑戦するのは今年で4年目。はじめはNPO法人手賀沼トラストの有志で10aほどチャレンジ。開花して種子採りまでは良かったのですが、種子の保管状態が悪かったようで、50リットルの油が無駄に。2年目に再挑戦して、3年目は手賀沼トラスト事業として手賀沼湖畔の10a、柏市あけぼの山公園事業として10a、農業生産法人ちゃちゃちゃビレッジとして10aでヒマワリを栽培し、好評を得ました。今年の3月には東京ビッグサイトで開かれた【健康博覧会】という展示会に出品してみたら、くせのない油、心地よい余韻の残る油と高評でした。そこで今年はわが家とちゃちゃちゃビレッジの共同事業として90aぐらい作付けてあります。
規模拡大となると問題は作業の機械化です。特に収穫時の機械化。流通している国産食用油の多くはナタネ油や大豆油。どちらも機械化ができています。農機具メーカーに問い合わせても「ヒマワリですか…」という声ばかりで自信なさそう。そこで7月はじめ、ナタネ、ヒマワリ、ダイズを二年三作して地あぶらづくりに取り組んでいるNPO民間稲作研究所(栃木県)に伺ってきました。
ちょうどナタネ油を搾っているところでした。ヒマワリは4月上旬に種まきをしたということで、もう花は満開を迎えていました。種蒔きから収穫、調整、乾燥、圧搾まで一貫した機械化がなされています。雑草が出る前に種を播けば中間除草は必要ないこと、汎用コンバインでもうまく刈り取りができないこともあること、専用の乾燥機があることなど、参考となることばかりでした。油脂植物の花はミツバチの蜜源になり、ミツバチにより交配がうまくいくと、種子も充実するという相乗効果も期待されます。蜜源と畑の肥沃化のためにレンゲも輪作体系に組み込んでいるといいます。
こうなりゃ将来は、食用ひまわり油と蜂蜜もわが家の商品にラインアップじゃー、なんてね。
(by mit)

(2015年8月)

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