そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





大ヒットしてるというので観てきました。
新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」
「シン・ゴジラ」を抜きそうな勢いですって。
興収60億を狙えるペースですって。
で、確かに映画館は平日昼間なのに満員でしたっす。
レディースデイとは言え、スゲーっすよ。
その感想。

ゴメンナサイ。
若者の皆さん、ホントにゴメンナサイ。
僕はこの映画が全く駄目でした。
48歳のおじさんには無理でした。
星2つ。★★
映像はきれいです。
ただ、無理でした。
むしろ、スッパリ言うなら、この作風が嫌いです。
要するに子供だましの映画だと感じました。

若者たちはこの映画が好きなんだね〜。
「人生で観た映画の中でいちばん良かった」とかいう「お前は岩崎恭子か!」ってつぶやきもTwitter上に何人も見かけたよ。
ふむふむ、若者たちはそんなにこれに感動しているんだなぁ〜。
そーですか、はいはい、そーですか〜。
映画が終わった瞬間、隣のカップルが「あ〜面白かったねぇ」とか言うので「お前らマジか?」って心底思ったよオジサンは。
見たら20歳ぐらいの初々しいカップルですよ。
良かった良かった、そう思えるならそれでいいじゃん。
ね?
だよね?

以下、ネタバレで文句を言います。







脚本、雰囲気過ぎないか?
実はいちばん大事なところを全く描写せず、説明もせず、雰囲気脚本で逃げている。
逃げまくっていると言ってもいい。
雰囲気オシャレ脚本映画。
映画経験の少ない若くてうぶな観客がいちばんダマされるパターンかも。
辻褄なんてことごとく合ってない(たとえファンタジーだとしても合ってなさ過ぎると個人的に感じる)。
普通知らない他人の身体に入るような特殊な経験したら、それが「誰で」「ここはどこで」「今はいつの時代か」を最初にチェックするはずなのになぜか二人ともそこだけは触れないで進むし、都合のいいタイミングで名前を忘れ、それ以外は忘れず、そもそもの物語の大筋の理屈すら説明しない。
少なくとも「そもそもなぜあの2人が入れ替わるのか?(何千万人も人はいるのになぜあの2人か?)」は最低限説明しないとかな。
それになんで3年ずれてんの?とか、なんで身体入れ替わったのにそこがどこで自分誰でいつの時代なのか調べないとのか、なんで一番急を要する街の存亡がかかった大事な瞬間にお互いイチャイチャした挙げ句手のひらに「スキダ」とか書いちゃって、それ見ずに進むの?とか、最後電車で再会したのに、駅から出て、よくあんなひと気のない階段まで2人して捜しに行ったな、とか(笑)、なに急に出生から両親の離婚まで他人の回想を脳内にぶっ込んできてんのよとか(都合よすぎ)、いろいろツッコミどころが多すぎて、ずーーーーーっと冷めた目で見ていたよ。
そもそも名前とか連絡先なんか、ノートに書いとけば良かったのに、ノートにはそういう重要事項書かずにスマホにだけ入れてて、よく分かんないけどそのスマホのデータは、都合良く消えたりして(笑)。
2人の時間は3年ずれてるってことは、電車の中で会ったとき三葉は高3でタキは中3のはずなのにその年齢差に気がつかない本人たちと観客たち(と気付いているのに無視する製作者たち)、たった3年前電車で出会った奇妙な少女のことを身体が入れ替わったのにすっかり忘れている少年(覚えとるわ普通!笑)、三葉にもらったヒモをなぜか手首に巻いているタキなのに、そのタキの身体に入った三葉はその手首のヒモに都合良く気付かない不自然さ、などなど、細かいところが破綻しすぎ!
もう、はっきりいうと無茶苦茶ですよ、筋書きが。
つまり、雰囲気オシャレに過ぎないんだよ、全てが。
ダマされちゃあいかん。
第一、あそこまで歴史が大きく変わるなら、映画なんだから、変わる瞬間のカタルシスを描く努力をしないと、さ。
僕がいちばん観たかったのは「どんな言葉で三葉が父を説き伏せて町民を避難させたのか」だった。
なのに、そのセリフがない。
これって逃げだと思う。
雰囲気で誤魔化している。
その上で、町民みんなで高校のグラウンドに逃げて、そこへ隕石がドーンときて、「助かったぁぁぁぁぁ」っていうカタルシスの瞬間を描けばいいのに、というか描くだろ普通観客みんなそれ期待してんだから……なのに描かない。
バイト先の先輩・奥寺さん(長澤まさみの声・サイコー笑)が、実は中身が女になっているタキくんのことを好きになる。
だが、映画ではその「好きになった瞬間」を描いていない。
だから唐突に奥寺さんが「実は好きだったんだよね」とか言っても「は?なに言ってんの?」としか思えない。
その決定的瞬間をなぜ描かないのか?
あんな刺繍1つで好きになるわけなかろう。
そのあといろいろあった、そこに決定的な好きになるための何かがあったはずなのに、描かない。
たぶん思いつかなかったか、勝負するのが恐かったか、とにかく描写はするのはやめて観客の想像の補完に任すという逃げの脚本を選択したのだろう。
もう全編通して、そういった「雰囲気で逃げてる脚本」を感じてイライラした。
雰囲気で逃げてるところに、いちいち腹が立って、ぜんぜんこの物語に乗れなかった。
いちばんいいところの直前で、いつも違うタイムラインに移動するか、いらん恋愛要素にズラされる。
なんだこの肩透かし構成。
随所に入ってくるオシャレバンドのいかにもオシャレな青春ソングみたいなものも、核心を描かずに雰囲気でフワァ〜と逃げようとしている誤魔化しの手段にしか感じられない。
上手に、上手に、若者たちをダマして成立させた映画だなぁ〜と思ったよ。

そもそも「転校生」だし「グランド・ツアー」(古いB級アメリカ映画。隕石が町に落ちてくるのでタイムワープして救う話)だし、僕は見始めて5分ぐらいで「まさかこういう話じゃないだろうな」と思ったら、まんまそうだったしね。
それに全体に漂うなんとも言えないオタク臭。
厨二病ってこういうのをいうんだろうね。
正直言って、気持ち悪い。
作風がなんか苦手。

「サマーウォーズ」を作った細田守には遠く及ばないなぁ。
中身の説得力が全然違う。
絵のタッチは似てるんだけどね。

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