リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

竹内まりやはどうして英語の歌がうまいのか(2)

2023年07月03日 10時42分31秒 | 音楽系
いまどきの金さえ出せば行けるナンチャッテ語学留学と違ってAFSの交換留学選考はよっぽどしっかりと勉強していないとなかなか通りません。高校では優秀な成績であり、その上でアメリカ中央部の発音をきちんと身につけたようです。もちろん飛び抜けて耳もよかったのでしょうし、大学でもしっかりと勉強したのでしょう。

竹内の英語をひとこと(ふたことくらいかな)でいうといい意味でバイリンガル的な流暢さの英語ではないが、きちんと音声学で音素レベルの発音やリンキングの基礎などをしっかり身につけた英語です。バイリンガルやネイティブにとっても模範的な英語で全く崩れていない発音です。ネイティブで言えばカーペンターズのカレンの発音に近いです。

気息音も正確だし、例えばloveの o の部分の母音も正確に発音しています。ネイティブがいくら崩れていると言っても必ず一定の範囲(英語話者としての)であり、これを日本語のアの発音で言うことは絶対にありません。日本人は l と r の発音の違いはある程度区別しようとしますが、それ以外は日本語とあまり変わらないと思っているのか発音の違いに関心がありません。会話なら通じるレベルであれば少々なまっていても問題ないでしょうけど、歌は完全に正確でないといけません。

彼女はここ数年位前から1984年発表のPlastic Loveが海外でブレークし、現在における70年代80年代の世界的Jポップブームの先駆けとなったことは知られていますが、曲やアレンジのハイレベルさもさることながら彼女の美しい英語もその一助になっているに違いありません。