リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(2)

2024年06月29日 18時58分02秒 | 音楽系

このBWV1006aは旧バッハ全集でも新バッハ全集でもリュート曲として分類されていますが、ホ長調という調性はリュートには全く不向きな調です。ヴァイスの作品では単一楽章としてでさえ寡聞にして見たことがありません。イ長調なら6コース以下の変更は多いですが、レもラも開放弦で出せるのでむしろリュートにとってはよく響く都合がいい調と言えます。

イ長調の平行調である嬰ヘ短調も意外にもイケる調です。なにしろ開放弦のFが(嬰へ短調の導音である)E♯として使えるという特殊なことができる調です。

ところがホ長調/嬰ハ短調となると格段に弾きにくくなり、ソロ作品ではまず見かけない調になります。バス弦は7ソ、8ファ、10レ、11ド、12シ♭を半音あげなくてはならず、24弦あるうちの10弦も変更することになります。おまけに1~6コースのうちホ長調の曲で開放弦として使えるのは3と6コースのラだけです。バス弦は開放弦ですからまだいいですが、1~6コースは弾きにくいことはこの上ありません。


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