リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(5)

2024年07月06日 08時43分58秒 | 音楽系

70年代初めだったと思いますが、前の前のバーゼル・スコラ・カントルム・リュート科教授だったオイゲン・ミュラー・ドンボア氏が、BWV1006aはスコルダトゥーラを使えば全く問題なくバロック・リュートで弾けるという内容の論文を発表しました。そのスコルダトゥーラというのは、1~6コースをミ、ド♯、ラ、ミ、ド♯、ラにするというものです。

このスコルダトゥーラが歴史的に存在していたかどうかは調べて見たことがないのでわかりませんが、知っている限りでは見たことがないです。近いスコルダトゥーラではロイスナーが1~3コースをミ、ド、ラにするスコルダトゥーラの曲を作っています。(4~6は変更なしです)

3コースをシ♭にした場合、ドンボア氏が提唱したスコルダトゥーラと1~5コースまでは各コースの音程間隔は同じになりますので、ミ、ド♯、ラ、ミ、ド♯、ラ用に作ったタブはほとんどそのまま3コースのみシ♭にした楽器で演奏できます。

今村泰典氏は1回目のバッハ録音では3コースのみシ♭(=ヘ長調)、2回目の録音ではミ、ド♯、ラ、ミ、ド♯、ラ(=ホ長調)で演奏しています。