リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

夏場にガット弦を使う

2024年07月12日 16時58分18秒 | 音楽系

最近バロック・リュートのオクターブ弦をガットに替えたという話は少し前に当ブログに書きました。いつも練習する部屋はエアコンを書けて室温が25,6度、室温が40%台になるようにしています。しかし外気の影響を受けますので、完全に一定というわけではありません。猛暑になった日では書きは40度近いですから、内と外の気温差は10数度になります。

こういう条件ですから6~13コースのオクターブ弦は、気温の条件でかなりの幅の音程が狂います。合成樹脂弦の場合も気温の影響を受けますが狂う音程幅はガット弦よりは狭いです。この時期ガット弦のオクターブ弦は数分もしないうちにかなりの割合で音程が上がります。どのくらいの幅でしょうか、1,2セントではありません。多分10セント以上はいっていると思います。

私の今の弦ソリューションでは、6~13コースのオクターブ以外は合成樹脂弦ですから安定しているので、数分おきにバス弦の方に音を合わせ直すだけですみますがそれでも8本もいちいち直さなければならいのでそれなりに面倒です。全部ガット弦を張った場合だと全て大きく狂いますのでこれは大変です。同じ素材なので全ての弦が全く同じ割合で狂ってくれれば相対的な音程間隔は同じと思われがちですが、実際はそうではありません。相対的にもバランスが崩れてしまいます。これは多分全ての弦の太さが異なるからでしょう。

一応保険としてナイロン弦のオクターブ弦をガムート社に注文して今日届きました。オクターブ弦は、ナイルガット、カーボン、ガット、ナイロンと試していますが、一番悪目立ちがするのがナイルガットでした。カーボンが意外にも8コース以降の低いところが渋い音になりいいのですが、6,7コースあたりがちょっと悪目立ちします。アクィラのCDとのマッチングが一番いいのがガット、一番妥協的なところがナイロンという感じでしょうか。これはバス弦の80%程度の張力のオクターブ弦を張った場合の感想ですが、この割合を変えればまた別の結果が出てくるでしょう。