リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

大誤解の世界(3)

2022年01月28日 10時32分13秒 | 音楽系
ボブ先生からは2年間のマンツーマン授業で沢山のことを教えていただきました。なぜそんな贅沢な授業をしていただいたのかというと実はスコラにあっても中世音楽は大人気というわけではなく、授業を登録した人が私ひとりだったということです。でもホント大ラッキーだったです。そのときに作った沢山の資料は今も大切にしています。

最近マーク達が新しいアルバムを出しています。

15世紀後期の撥弦楽器リュートによる二重奏(レヴォン・キーファー)、ナクソス

お聴き頂くとルネサンス音楽と継続性は感じられますが、かなり異なった音楽世界が広がっているのがおわかり頂けると思います。カデンツの形(フレーズの結びの仕方)が特徴的なものがありますが、それはダブルリーディングノート(二重導音)と言って4度平行を伴ったカデンツで、かなり強烈な感じがします。11番目のバンショワの曲を聴くとよく分かると思います。こういった音楽はムードだけの吟遊詩人風音楽とか民族楽器とトラッドのリズムなんかを使った見せかけだけのナンチャッテ音楽と異なり、15世紀後半の確固たる世界観を表出した音楽です。

※マルク・レヴォンとパウル・キーファーのリュートとグレース・ニューコムのボーカル