リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

懐かしの楽器たち(12)

2021年09月03日 21時25分01秒 | 音楽系
正確な年代は忘れましたが、90年代に入ってからだと思います。今村泰典氏からデュルビー作のスワンネックバロックリュートを譲っていただきました。

当時デュルビーのバロックはもう1本持っていましたが、バスが充実した楽器が欲しかったので氏に格安で譲っていただきました。

82年に入手したデュルビーバロックはセバスチャン・シェレのモデルですが、ボディが深く、明るい音が鳴るデュルビーの中においてはしっくり目の感じの音が出る楽器でした。今村氏に譲ってもらった楽器はホフマンモデルで浅めのボディであることもあり、音量があり派手な音がする楽器でした。

90年代は何回も山梨の古楽コンクールに出ましたが、全てこの楽器を使っています。コンクールの会場が800名のキャパがありかつあまり響かないところで、リュートには誠にハンディがある会場です。リュート以外の出場者は2人(メロディ楽器または声楽+通奏低音)なのでこちらとしては余計に大変です。

結局コンクールは4回出まして、2勝2敗。2回本選に選ばれ20分~25分程度のプログラムで演奏しました。残念ながら2回とも入賞はできませんでした。2回とも1位は空位でしたから3番目以下だったということでした。本選が7人だったので3位くらいは楽勝だろうとタカをくくっていたのですが。(笑)

でもこのデュルビーの楽器のお陰で800席のホールでもそれほど音がさみしくならずに済みました。広くあまり響かないところで演奏すると、どうしても大きな音を出そうと力みがちになるのですが、あまり力まずに演奏できたのはこの楽器のお陰です。

このコンクールは今もやっているのかな?少し前に聞いたところでは規模が随分縮小され、スポンサーも会場も普通の会議室みたいなところに変わって開催されていたようです。リュート部門はもうありませんでした。