goo blog サービス終了のお知らせ 

リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ド短調?

2008年05月17日 17時13分52秒 | 音楽系
最近ウェブで、ド長調とかラ短調と書いてあるのを見ました。ド長調はハ長調で、ラ短調はイ短調ですね。何調かを表す言い方は、ことばによって異なるんですが、大体はA,B,C系かdo,re,mi系かに分かれます。細かい違いはあるにしても英語、ドイツ語では前者、イタリア語、フランス語は後者です。

日本は完全ローカライズしてイロハニホヘトにした訳ですが、中国ではABCを使っているようです。知り合いの中国琵琶奏者はA調とかC調とか言ってましたし、以前中国に行ったときに頂いたギター曲集にもそのように書かれていました。(長調は大調と言うようです)韓国はどう言ってるんでしょうねぇ。

で、日本語では調をどう言ったらいいのかと言うわけですが、というかそれはとっくに結論が出ていて、イロハで言うんですが、それを変えてみたら、というのがド長調やラ短調という言い方なんでしょう。世界標準的な言い方にした方がよいのでは、という主張にも聞こえます。

日本人で音楽を専門にやっている人は普通あまりハ長調とかイ短調とは言わず、ドイツ語か英語で言うことが多いようです。世界に通用しないイロハよりドレミかABCを使って調を言うように学校教育から改めた方が、あとあと混乱がなくいいのではという意見があるのかも知れません。

でもド長調ってねぇー。(笑)なんか響きがいまひとつじゃありません?ド短調なんか土壇場のせめぎあいのド演歌みたいだし(何のコッチャ)、ファ長調だと気が抜けるみたいな?音名をイロハでいうのは多分明治の頃に決めたんだと思いますが、決めた人たちは機能性とか歴史性よりも言葉としての響きを優先したのかも知れません。色はにほへど散りぬるを・・・という典雅な詩をベースにしているのですから、音韻的にも洗練されています。日本だけ世界の流れと異なる調名システムですが、言語学的なローカラーゼーションとしては理論的には正当でしょうし、音韻的に美しいのは事実です。無常観漂う短歌を元にしているなんて、日本的ですし、むしろ世界に誇ってもいいのでは。