そよ風つうしん

小さな自然の発見をご紹介してきましたが、転居で環境が激変。内容を一部変更し日々の雑感を綴ったりもしています

忘れられない人

2019年01月23日 | どんぐり屋のつぶやき
その人と別れて 今日で60年になります

別れたのは私が高校の卒業間近のある日


18歳と16歳の間に 誰からも祝福されることなく生れて

子供がいなかった叔父夫婦に育てられ

さまざまなわけがあって 自分の将来になんの希望も持てなかった少年でした

親はいたけれど 寂しかった私とは大の仲良しで

多くの時間を一緒に過しました

それなのに

私は彼の命をささえる事ができなかった・・・


怖いほどのきれいな月が地上を照らしていた夜に

彼は一人 私たちの思い出深い海岸で海に飛び込みました

泳ぎは達者だったけど

お酒をいっぱい飲んで うちを飛び出したそうです

冷たい海に飛び込めば 心臓麻痺で死ねるだろうという

覚悟だったのでしょうか


次の朝 

早朝の漁に出た漁師さんが みつけてくれて

彼の遺体が帰ってきました

岩にぶつかったらしく ざっくりと割れている額の傷跡が痛々しくて・・・


昔の事とて 野辺送りがあり

チラチラと雪の舞う野道を 彼の棺と一緒に歩きました

今までの人生で 一番寒いと感じた冬の日です


その日からずっと

彼は私の心の中で 一緒に生きて来ました

歳はとらず その日のままの面影です


どんなときにも 私は一人ではない

あの人の分も生きているのだと

自分に言い聞かせて生きて来ました

もう 残り時間は多くはないでしょうが

これからも一緒に生きていくつもりです

いつも二人で唄っていた

ロシア民謡の「ともしび」を口ずさみながら

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする