ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

3650日めです

2016-02-12 17:35:27 | 雑記
2006年2月に開設した 「ワインなささやき」 が、2016年2月12日 に 3650日め を迎えました

あれからもう10年なんですね~

当時からほぼ毎日のように更新してきましたので、記事の数はおそらく3600くらいになっているかもしれません。

2014年3月に gooブログ10周年記念「私の好きなブログ」10 に選ばれたことも励みになりました。

今後も、できる限り毎日更新していこうと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします




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注目ワイン「クロス・デ・ロス・シエテ」を垂直試飲

2016-02-12 10:00:00 | ワイン&酒
この4月に世界最優秀ソムリエコンクールが開催されるのが、アルゼンチンのメンドーサです。

アルゼンチンは、お隣のチリとともに南米のワイン産地のツートップです。
チリとの国境に近いメンドーサは、アルゼンチンのワイン産業の中心地で、さまざまなワイナリーがしのぎを削っています。

伝統ある産地ゆえ、古いワイナリーも多いですが、新しいワイナリーもどんどん増えてきています。

その中で外せないのが、CLOS DE LOS SIETE  クロス・デ・ロス・シエテ」 です

クロス・デ・ロス・シエテのゼネラル・マネージャー、ラミロ・バリオス氏が2015年秋に来日し、ワイナリーおよびワインの紹介をしてくれました。


ラミロ・バリオス氏 Genaral Manager

ワイン界の超著名人、醸造コンサルタントのミシェル・ロラン氏が、6人の仲間とともに立ち上げたワイナリーです。
ファーストヴィンテージは2002年



“Siete シエテ”は “7” という意味 -“7人”だからですね



ロラン氏がアルゼンチンに招聘された1988年、妻とブエノスアイレスのレストランで食事をした際、店にソムリエがいなかったことにショックを受けたといいます。

その後、ロラン氏はアルゼンチンのワイナリーの醸造コンサルタントをするために何度も通うことになりますが、そのうちに、アルゼンチンでのワインづくりに大きな可能性を見出し、土地を探し始めます。

そして見つけたのが、メンドーサから20km南、ウコ・ヴァレーのカントン・デ・トゥヌヤンという850haの土地でした。
ただ、あまりにも広く、一人ではできないため、自分の本拠地だるボルドーにいったん戻り、協力してくれる人を探すことにしました。

それが、ボルドーのシャトーのオーナーらに、ロラン氏の妻ステファニー・ロランも加わった6名の仲間です。



ロラン氏が見つけた畑は、アンデス山脈に非常に近い場所にありました。
山が近くにあり、霜は少なく、土壌はやせて石が多い土地です。
岩がちで石が多いやせた土地はブドウに最適で、特にマルベックに向くといいます。

アルゼンチンのワイン産地の優位性は2つある、とバリオス氏は言います。

1)大陸性気候で、日照に恵まれ、雨が少ない土地なので、乾燥して湿度が低く、ブドウの病気の心配がありません。
そのため、ブドウが完熟するまで待つことができ、ブドウはゆっくりと熟します。
なお、水分が少ないため感慨が必要で、アンデスの雪解け水を使います。

2)標高が高く、光が多いので、厚い果皮のブドウが得られます。ウコ・ヴァレーもそうです。
果皮が厚いと、ポリフェノール量が多く、アントシアニンが多いので色が濃くなり、より凝縮感のあるブドウが得られます。
また、標高が高いと夜の気温が下がり、ブドウの木は夜間にゆっくり休むことができます。それにより、夏の成長期にポリフェノールが蓄積され、色が濃くなり、収穫期により凝縮されたブドウが得られます。
夜間の低温はブドウの酸を保ち、ワインにいいバランスをもたらしてくれます。

しかしながら、メンドーサには、太平洋から“ゾンダ”と呼ばれる暑い西風が吹くそうです。
湿った風はアンデス山脈を越えた後に暑くなり、その温度は30~35℃になります。
通常は8月(南半球なので冬)に吹くそうですが、強い熱風なので、開花から結実くらいの時期に吹くと、ブドウの収穫量を大きく左右するとか。
気は抜けません。




クロス・デ・ロス・シエテの栽培と醸造について訊いてみると、

アルゼンチンではあまり見られないグリーンハーベスト(青い房の段階で余分な房を落とすこと)を1月に行ないます。
収穫は手摘みで行ない、まず房の段階で、次に粒の段階と、2回のセレクションを行なっています。

醸造は伝統的な方法で、発酵前に28℃でコールドマセレーションを行ない(フレッシュな香りをワインに残すため)、発酵、MLFをステンレスタンクで行なった後に樽に移します。樽は4種類を使い分けており、セガンモローとタランソーが多いとか。

哲学は、「ボルドーのグランヴァンのように醸造すること」




クロス・デ・ロス・シエテのワイナリーは4か所あります。
実は、各ワイナリーはそれぞれ独立したブランドを持っています。
その中で最もいい部分を(30~40%)クロス・デ・ロス・シエテのためにロラン氏がセレクトし、テイスティングをして最後のブレンドを決めているそうです。

ワインの構成はマルベックが50%以上で、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、プティ・ヴェルドが加わります。
当然というか、ボルドー品種がしっかりと入っていますね。

アルゼンチンにブドウをもたらしたのはスペイン、イタリアからで、
ボルドー品種は19世紀に入ってから、マルベック、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンなどが入ってきたそうです。




今回、クロス・デ・ロス・シエテの 2012年、2011年、2010年、2009年を垂直試飲しました。

2012年は外観も味わいもフレッシュ感があり、非常にキレイなスタイルでした。
2011年はなめらかさがあり、しなやかで凝縮感が増し、熟した酸のうまみ、深みが現れます。
2010年はより深みとなめらかさが増し、しなやかに絡み付きますが、酸がキレイです。
2009年は骨格ガッチリ!緻密で、濃密で、かつエレガント。よく熟成し、余韻も長い。

ミッシェル・ロラン氏は樽の使い方に特徴があるので、飲む前は樽のことが気になっていたのですが、樽はまったく気になりませんでした。
それぞれがいい熟成の重ね方をしています。
試飲した印象や、大きなプロジェクトであることから、お高いワインでは?と想像していましたが、意外にもお手軽な価格でした(3000円程度)。これはコストパフォーマンスが高い!

現行ヴィンテージは2012年ですが、運よく2011年以前のヴィンテージを見つけたら、ぜひとも確保しておくことをオススメします。




ラミロさん、ありがとうございました

(輸入元:メルシャン)
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