ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

山梨甲州vs信州シャルドネ瓶内二次発酵スパークリング

2015-08-05 11:50:35 | ワイン&酒
昨日紹介した、メルシャン「甲州きいろ香」10周年記念の試飲会では、
メルシャン初の瓶内二次発酵スパークリングワイン のお披露目がありました。


シャトー・メルシャン トラディショナル・ブリュット 甲州 2011

メルシャンらしく、山梨県産の甲州種100%。
2011年収穫のブドウを使用し、2012年8月に瓶内二次発酵を開始し、デゴルジュマンは2015年1月。よって、瓶内二次発酵期間はおよそ29カ月。
生産本数は約200本。ワイナリー限定で購入できます。

甲州種は糖度が上がりにくいのでスパークリングに向いている、とのこと。
通常より早めの8月に収穫し、普通に仕込み、樽にも入れています。



やや濃いめの麦わら色。トースト香があります。泡は元気で持続性があり、さすが、瓶内二次発酵ならではの泡のレベルの高さだと思いました。
甲州らしい風味のアタックに酸が乗り、キリリとしたキレのある辛口ですが、泡がふっくらしてボリュームはあり、骨格もほどよく厚みがあります。

表記はブリュットですが、甘辛のレベルでいうと、ノンドサージュの極辛口で、澱抜きの際に門出のリキュールを加えず、同じワインを加えています。

澱抜きの後に門出のリキュールを加えてしまうと、日本の酒税法では、“ワイン(果実酒)”ではなくなり、“リキュール”というカテゴリーになってしまうのだそうです。

手間のかかる瓶内二次発酵でスパークリングワインを生産しても、ほんのわずかなリキュールを加えただけで“リキュール”となり、タンク密閉方式などの別の方法でガス入りスパークリングを生産した場合は“ワイン”となる、のが日本の現状と聞き、法律が実情に追いついていないことに驚きました。

メルシャンのワインメーカーの小林さんは、「少しドサージュを加えてバランスを取りたかったけれど、日本の法律のためにノンドサージュにせざるを得なかった」と言っていました。


シャトー・メルシャンの甲州ワインの充実のラインナップ!



この前の週にマンズワインの試飲会があり、その時に瓶内二次発酵のスパークリングを飲んでいました。


ソラリス 信州 シャルドネ メトッド・トラディッショネル・ブリュット 2008 マンズワイン

長野県信州産のシャルドネ100%でつくったブラン・ド・ブランで、瓶内二次発酵を36カ月行なっていると言っていました。
ドサージュについてはほとんどしていないと聞きましたが、それは、リキュールを加えるとカテゴリが変わってしまうからなのかもしれません。



ふっくらとした厚みがあり、シャンパーニュ的なミネラルを感じるスパークリングです。
この2008年ヴィンテージが、2015年8月4日に開催された「日本ワインコンクール2015」のスパークリング部門で“金・部門最高賞”を受賞しています。
希望小売価格は6500円。
いいお値段ですが、受賞によって、欲しい!と殺到するかもしれませんね。


もう少しお手軽な瓶内二次発酵スパークリングをお求めの方には、こちらはいかが?


リュナリス・甲州・メトッド・トラディショネル・ブリュット2011 マンズワイン

マンズの“ソラリス”よりもお手頃のブランド“リュナリス”から、瓶内二次発酵のスパークリングが出ています。
こちらは山梨県産甲州100%。瓶内二次発酵は12カ月と聞きました。
骨格のしっかりとした、酸がキリリとしたスパークリングで、希望小売価格は2850円。



ちなみに、メルシャンの「トラディショナル・ブリュット 甲州 2011」は6000円台だそうですが、今後は3000円台になるように目指したい!と小林ワインメーカーが言っていました。

昔と比べると、日本のスパークリングがずいぶんと増えてきましたね。
品種も価格もさまざまですから、好みやシチュエーションに合わせて選びたいものです。

コメント
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