拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

シャルル・クレイベルを聴きながらコルトン・シャルルマーニュを飲む(めくるめく夜の推奨企画)

2021-05-26 09:20:48 | 音楽
ちょっと前の記事に、カルロス・クライバーは、改名前はカール・クライバーだったと書いた。「カール」はドイツの代表的な男子名である。ドイツだけではない。日本にも「カールおじさん」(それにつけてもおやつはカール)がいるし、アメリカには「カールじいさん」がいる(風船を付けて家を飛ばした映画の主人公)。名字に使われることもある(山形弁が超上手なダニエル・カールさんとか)。だが、「カール」で一番有名なのは何と言ってもカール大帝であろう。ところで、「カール」はフランス語では「シャルル」(英語では「リチャード」、イタリア語では「カルロ」)。だから、カール大帝はフランスではシャルルマーニュである(「マーニュ」(マグナム)=「大帝」だから、シャルルマーニュ大帝と言っちゃうと、シャルルマーニュ大帝大帝になる。早く禁酒令が解除されて、サイゼリヤでマグナムボトルを頼みたいものだ)。ここで疑問。大帝ご自身は自分のことを「カール」と「シャルル」のどちらで読んでいたのだろうか。「カール」の語源は、古ドイツ語の「カラル」、さらに古ゲルマン語の「カルラツ」又は「カリタツ」(「自由人」の意味)にまで遡るという。ラテン語で「Carolus」と言うからと言ってルーツがラテン語というわけではない。中世では、公用語はラテン語だったから、どの国の言葉であろうと、ラテン語読み、ラテン語表記があったのである。だが、語源が古ゲルマン語で、大帝はゲルマン人のフランク王国の王様だったんならカールに決まってるじゃん、と思うのは早計である。フランク王国は、大帝の当時、今のドイツとフランスを支配していた。だから、フランス人も大帝のことを自分たちの始祖だと思っている。亡くなったのもパリのシテ島である。だったら、フランス風に自分のことをシャルルと言っていても不思議はない。ベートーヴェンのルートヴィヒだって、生前、「ルイ」「ルイージ」と表記されることがあった。フランスを「おフランス」と言って憧れるのは、日本人も、ドイツ人も、イヤミも同じである。ということで、この疑問は未解決のまま迷宮入り。私的には、ドイツ語びいきだからカールであってほしい反面、フランスワインが大好物なので、シャルルマーニュもあり!そう、大帝に因んだ名前のコルトン・シャルルマーニュは、ブルゴーニュの偉大な白ワインである。フォワグラによく合いそう。ということで、連日の募集であるが、新たな募集企画は、「シャルル・クレイベル(=カロールス・クレイベル=カール・クライバー=カルロス・クライバー)を聴き、コルトン・シャルルマーニュを飲みながら、ワタクシとめくるめく夜をすごそう」である。なんでも、一連の企画について「めくるめく夜」はいらない、という声を聞くが、ダメ。これはセットである。かつて、グルダのウィーンでの演奏会は、必ずご本人の「摩訶不思議な」自作曲と抱き合わせになっていて、グルダのベートーヴェンを聴きたい人は、その「摩訶不思議な音楽」も絶対聴かなければならなかった。同じである。なお、「めくるめく夜」はドイツ語でどう言ったらいいかな、「himmlische Nacht」はどうかな、パパゲーノが寿司を食べて「himmlisch!」と叫ぶ演出もあったしな、と思って「himmlische Nacht」でググったら、三大テナーのコンサートの宣伝文句だった。