拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

バッハの会に鳴り響いたヴァルハラのテーマ

2018-03-25 11:08:26 | 音楽
昨日の歌いまくる会の曲目はBWV71。バッハの生前に楽譜が発売された唯一のカンタータ。市の参事官の交代式のために作曲されたとあって全体的に華やかさが際立つが、それでもミュールハウゼン時代の作品らしい節回しがここかしこにある。年代順に歌っているのでそこらへんがよく分かる。さて、ミュールハウゼン時代も残りは二曲。次回は196で、その次がいよいよ4番。そういえば、今回のBWV71に4番で使われるコラールそっくりのメロディーが登場する。そこらへんに「同時代」を感じるが、だが4番は独特だ。そのこともあって、作曲時期をミュールハウゼン時代の最初にもってくる研究者もいれば、最後におく人もいる。われわれの会では「おいしいものはとっておく」式で最後に歌おう。今回、ソロ・コーナーで私が歌ったのは二重唱とソロ。二重唱は「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディンク)の「夕べの祈り」。そしてソロは、「ラインゴルト」(ヴァーグナー)からドンナーが雲を呼んでフローが虹をかけてヴォータンがぶつぶつ言うシーン。これを歌うのが長年の念願だった。今回それがかなった。ドンナーが「雲を呼んで空を掃き清めよう」と歌う最後の音符でレの♭がとれて長調になって雲がわきあがるところ、鳥肌が立った。そして会場に鳴り響くヴァルハラのテーマ。鈴木先生ならいきなり楽譜(ヴァーグナーの巨大なオーケストレーションを無理矢理ピアノ譜におしこめた無理きわまりないもの)をお渡ししても弾いて下さるに違いないと思い、その通りであった。そう、これは鈴木先生のピアノを聴くための選曲であった。ああ幸せ!