麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第158回)

2009-02-15 22:47:28 | Weblog
2月15日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

近所の古本屋で、90年代半ばに出た「少年少女古典文学館」シリーズを一冊350円で売っていたのでいくつか買ってきました。このシリーズの「平家物語」は、以前ここでも書いたとおり、講談社文庫から「吉村昭の平家物語」として出ています。

「堤中納言物語」とあわせて一冊になっている「うつほ物語」をまず読みました。作家の津島佑子さんが、長大な原作を読みよい長さと語り口でまとめた訳で、とてもおもしろかったです。メインテーマは「琴の技の伝承」のようですが、ファンタジーでもあるし、恋愛小説でもあり、宮中行事の解説書のようでもある。

私は「堤中納言物語」が好きで、三種くらい訳を持っています。「ほどほどの懸想」というタイトルからして笑えるし、また「虫愛ずる姫君」もいい。
30歳を過ぎてから、(たぶん学術文庫で古典が充実してきたからだと思いますが)「とりかえばや」にも夢中になったし、「堤中納言」も見つけました。今回の「うつほ」もあわせて、「メジャーではないけれども、すばらしい古典」がこんなにあるのだとあらためて思いました。
「日本人は、わびさびと情念」。もちろんその王道もすごいけど、「それだけでもないよ」と、これらの作者は言っているように感じられます。
「うつほ」は、角川文庫でビギナーズクラシックスも出ています。こちらは、私は読みきれませんでした。



書き忘れていましたが、「ベンジャミン・バトン」の文庫を出てすぐに買って読みました。これもとてもおもしろかった。ありえない話がたんたんと書かれていて、なぜか読んでいるとそれが現実と感じられてくる。やっぱり、そこが天才の筆力というものなのでしょうね。映画はたぶん見ないと思うけど、映画化のおかげでまたひとつフィッツジェラルド作品が読めてよかったです。



では、また来週。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 生活と意見 (第157回) | トップ | 生活と意見 (第159回) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事