麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第187回)

2009-09-06 20:56:49 | Weblog
9月6日


行き慣れない町に、用事があって行きました。
ふだん見慣れない、若いカップルや、親子連れの人たちを見ていると、幸せそうで(もちろん、実際はみんななにかを抱えているのでしょうが)、とりあえず、「平日はちゃんと稼ぎをあげて、休日は楽しんで」みたいに生きていくのが普通の人生であり、そこになんの不満があるのかと、ふと感じてしまいます。

でも、それは、100%自分のやりたい仕事に就けている人だけが楽しめる生活のはず。そうでない場合は、やはり、ただの「気晴らし」に過ぎず、再び仕事に向かうときには、休日楽しんだぶん余計に「耐え忍ぶ」感が強くなるのではないでしょうか。そうして気晴らしに費やす時間が多くなればなるほど、自分の中のなにに重心を置くかがブレてしまい、最後にはなにが楽しいのかもうわからなくなる。求めるのは、最初のうちに経験した刺激の思い出を、刺激を積み重ねることで感傷的に追うことだけ。

それではいけない。私は気晴らしなど求めません。なぜなら、自分のすべての時間が楽しさと同義になることしか望んでいないからです。すべて楽しさに満たされた人に気晴らしは必要ありません。そうして、その希望は達成されないだろうと感じつつも、しかし、いつか達成できるのだと考えてやってみることだけが、その姿勢だけが本当に楽しいことにつながると私は信じています。なにも形を得られなくても、そういうおとぎ話の中で生きることが、私のリアルであり、唯一の楽しさなのです。



では、また来週。
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