麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第23回)

2006-07-08 21:41:19 | Weblog
7月8日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

今年もあと4カ月ですね。
計算だと5カ月ですが、12月になると「もう今年も終わりだ」ムード一色になって、「終わるための1カ月」のような、どうでもよい使い方をしてしまうに決まっているので、やはり実質4カ月と言っていいでしょう。
 この4カ月のうち、2カ月は、おそらく、「暑い暑い」と言っているうちに過ぎるはず。ということは、自分が何をやっているのか客観的に眺められ、少し落ち着いた気持ちですごせるのは、あと2カ月という感じでしょう。
 本当に、1年は短いですね。
 飯を食う仕事のことを考えれば、それくらいがちょうどいい気もしますが、自分の仕事をするには、本当に短い。その2カ月だって、暑さに疲れた体を癒そう、といういいわけで、ただやりすごしてしまうのも簡単なわけです。
 
 なにより自分のために、こんなことを書いています。
 今年も、自分にとって大事な仕事にとりかからずに終わらないように。死ぬまでにやっておこうと思うことは、少しでも進められるように。

 どこかに、秋だけがずっと続く国がないでしょうか。
 内耳の神経と同様、摩滅してしまった感受性には、もはや四季など実際にめぐってくる必要はなく、記憶の中の四季だけで十分です。
 それに、気候が人をうんざりさせるのも感傷的にさせるのも、ただ、爆発の余韻で地球という宇宙のくずの塊が自転していて、地軸が太陽に対して傾いているということだけが原因なわけで、私たちは、そのくずの塊の湿気の中にわいたぼうふらであり、若い夏の季節に異性のぼうふらが感じさせる輝くような美しさも、DNAが「複製をつくれるかも」と、感じて興奮しているせいに過ぎない……と、いくら虚無的になろうとしても、書いている手元が汗ばんで、ひんやりした心持にはなれないですね、やっぱり。

 今週は、「風景をまきとる人」(第23回)といっしょに、季節はずれの詩(のようなもの)を読んでいただこうと思います。

では、また来週。
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