鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

暗雲立ち込める福田政権

2007-10-26 | Weblog
 先ごろ、月刊雑誌の潮11月号の巻頭で「視界ゼロの日本政治」を特集していた。潮は自民党とともに政権を担当する公明党の機関誌のようなもので、そこが現政権を半ば揶揄するような特集を載せて大丈夫かな、と思った。政権を放り出した安倍内閣のあとを受けて、福田内閣がスタートして約1カ月が経過したが、テロ特措法に関わり、防衛庁で守屋前事務次官の収賄事件、米補給艦への給油量の隠蔽事件、そして今度は厚労省でのC型肝炎感染リストの放置問題と次ぎから次ぎへと行政の不祥事が起きており、折角の新政権発足の出足を挫きかねないことになっている。国民の間にはこれでは安倍政権と50歩100歩との声も出始めており、福田政権の先行きに早くも暗雲が漂い始めたようだ。
 テロ特措法の期限切れを前に防衛省が米補給艦に給油していた量が実際は80万ガロンだったのが、20万ガロンと言明して隠蔽してきたことが明らかとなった。03年5月9日の当時の福田官房長官の記者会見でも「1日20万ガロンで、とてもイラクへの戦争用にペルシャ湾に入れる量ではない」と語った記録がある。当時は意図的に隠蔽していたふしがあり、あまつさえ、当時の資料は紛失した、としており、二重に重大なミスを犯している。当時、事務次官だった守屋武昌氏が過去200回以上も防衛専門商社、山田洋行首脳から接待ゴルフに応じていた事実も明らかになり、省ぐるみで汚職体質にまみれていたことが輪をかけて疑惑を深めている。
 さらに 血液製剤による肝炎感染問題で、厚労省の地下倉庫にC型肝炎感染者418人分のリストが放置されていたことが明らかとなり、国を相手に薬害C型肝炎訴訟を起こしている原告団から「もっと早く公表されていれば、どれだけの人が病気の進行をくい止められたか」と怒りの声が沸き起こっている。年金問題に対する国民の怒りがまだ収まっていないのに、また厚労省に難問が覆いかぶさった。
 この2つの不祥事が福田政権に対する怒りの声となってはね返っている。いずれも直接、福田内閣が関与した案件ではないが、戦後ずっと政権を担ってきた責任政党としての責務は問われることになる。配下に官僚を従えて行政を行ってきたのは自民党であり、その責めは担当機関に長短を問わず現政権が負わなければならないのは自明のことである。
 福田首相があるところで、「官官(つかさつかさ)がきちんと処理してくれない、と困る」といった発言をした、と聞いたことがあるが、待ってくれ、と言いたい。その官官を率いているのは自民党の大臣、副大臣、そしてそのトップは首相である。官がつかさとしての役割を果たすように監督指導するのは政治家の務めではなかろうか。仕事がきちんとなされるように仕組みをつくり、監視していくのが管理者たる上の役割である。
 評論家の田原総一郎氏が福田政権の発足時に「鬱の時代にふさわしい」とどこかで書いていた。時代が鬱なのか、福田首相が鬱なのか、それとも両方とも鬱なのか、詳細はわからなかったが、少なくとも国民の厳しい目に答えるだけの行政手腕だけはもってほしいものだ。まだ1カ月でよくわからないが、安倍政権のマイナスを払拭することだけに精一杯で、新たな施策、ビジョンを打ち出すまでには至っていない、のが正直なところで、”福田丸”の骨格が見えてこない。下手をすると、骨格を見せないまま、次ぎの人にバトンタッチするようなことにもなりかねない様相も帯びてきた。
 
コメント
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