鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

日本の音楽界を背負う若手のミュージシャン2人に触れて至福の時を過ごした

2012-12-19 | Weblog
 18日は9カ月ぶりに東京・後楽園の文京シビックセンターへ題名のない音楽会の公開番組収録に行った。一昨年のジュネーヴ国際音楽コンクールピアノ部門で優勝した萩原麻未が出演するとあって、大勢のファンがかけつけたようで、いつもの時間に行ったらもう入場受付が始まっていた。幸い、席は6列の中央で、丁度ピアノを弾くところがバッチリ見える最高の席をもらえたので、冒頭の司会の佐渡裕とのトークも真近で見えて、素晴らしかった。萩原麻未はアニメのだめカンタービレの主人公のように天心爛漫といわれるが、目をくりくりさせてお茶目な片鱗さがうかがえた。
 前半はその萩原麻未のラヴェルのピアノ協奏曲ト短調の第1楽章から第3楽章までを横浜シンフォニエッタ管弦楽団の演奏のもとに独奏した。題名のない音楽会で最初から最後まで演奏だけで終わったのを見るのは初めてのことで、司会の佐渡裕も端っこのスツールに座ったまま、演奏に聴き入っていた。ラヴェルのピアノ協奏曲を聴くのも初めてで、激しい旋律があるかと思うと、突然太鼓の大きな音が響くなど起伏多い曲で、それにつれて萩原麻未の手も左端から右端まで縦横無尽に動き回り、なんともいえぬ柔らかな音を聴かせてくれた。いつか聴きたいと思っていた願いがかなった感じで、幸せな気分を味わわせてくれた。演奏後、萩原麻未のCDでもあれば買おうかな、と思ってロビーに行ったが、残念なことにどこにも売っていなかった。
 今回の収録の放送は来年2月になるというが、萩原麻未は管弦楽団を指揮した山田和樹とともに演奏中に感じたことを後でスタッフが取材して、その内容をテレビ放送の際に画面の下にテロップで流す、という初めての試みを行う、と言っていた。ミュージシャンが演奏中に何を感じ、何を考えているのか面白い試みである。本当に思ったこと、考えたことが出てくるか、やろうと思ったら、本人にヘッドカバーをかぶせて、脳の動きをセンサーで読み取って後ろのスクリーンにでも映し出すしかないのだろうが、いまの技術ではそこまでできないから、後で取材のうえ演出するのだろう。
 後半は前半で指揮をした山田和樹を取り上げた。題名のない音楽会で指揮者がメインゲストになるのは聞いたことがないことで、あの小沢征爾が50年前に、佐渡裕が20年前に獲ったプザンソン国際指揮コンクール優勝の栄誉に輝いた新進気鋭の識者で、これからの活躍が期待される指揮者のようだ。東京芸大在学中に管弦楽団を組織して、いまの横浜シンフォニエッタに至ることや、指揮者なら憧れるスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者に若くして就任するなど小沢征爾2世としてのの面目躍如たるものがありそうだ。
 佐渡裕と会うのは3回目ということだが、2人のやりとりを聞いていても佐渡裕が期待している感じがありありと出ていた。それでいて、謙虚さを失わない態度は好感が持てた。ストラヴィンスキーの「火の鳥」とベルリオーズの「幻想交響曲」を指揮したが、いすれも全身をいっぱいに使っての情感豊かな指揮ぶりで、演奏そのものも素晴らしいものだった。
 前半の萩原麻未といい、後半の山田和樹といい、今後の日本の音楽界を背負っていくことは間違いない至宝に触れた思いがして至福の思いをしたいい一日であった。
 司会の佐渡裕が最初にオレンジのスーツ姿で現れた時に一見、痩せた感じがした。膨張色のオレンジを纏っているわりには痩せて見えるのだから見た目以上に痩せているのではないか、と思われた。本人の弁によると、相変わらず、世界をまたにかけて、駆け回っているようで、過労が蓄積していないか、とちょっと心配になった。
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