鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

ここへきて国立競技場建設、五輪エンブレム問題が相次いで破綻した裏にあるもの

2015-09-04 | Weblog

 2020年東京オリンピック開催へ向けての国立競技場の建設問題に続き、今度は一旦発表した五輪エンブレムを白紙撤回する事態となった。いずれも大会組織委員会の不手際のなせることで、昨3日のTBSテレビの「ひるおび」では両者に共通する事実として応募への高いハードルと不明朗な選考過程などを指摘していたうえ、エンブレムについては新たに審査委員会にデザイナーの佐野研二郎に修正を求めていた報告が発表直前までなされなかtったことが明らかとなった。さらに2、3年前に佐野研二郎氏が京都の扇子店のポスターデザインをするにあたって盗作していた事実が明るみに出て、恥の上塗りをする事態に立ち至った。

 そもそもオリンピック招致の時点から関連する組織に政治家からスポーツ界からいろいろな人が関与して、どうしてこの人がと首をかしげるような輩がいっぱい群がっている印象があった。オリンピック開催はもちろん、出場する選手以外にも多くの組織・団体がからみ、協賛する企業からのスポンサー料やら何やら莫大なお金がかかるので、そうしたお金をめぐって少しでもおこぼれに与ろうとするわけのわからない御仁が関わってきていた。されに政治家がからむのだから、まさに魑魅魍魎の世界といっていいだろう。

 それがこと一施設のデザインコンペ、五輪エンブレムのデザインとなると建設設計、デザインの世界の重鎮が軒並み顔をそろえることとなる。五輪エンブレムについては札幌オリンピックのロゴマークを作成した永井一正氏を委員長とする審査委員会を作り万全を期したはずだったのが、佐野研二郎氏のいかにも作為に満ち溢れた過去が暴露されるに至ってもろくも崩れ去った。肝心のエンブレムがベルギーの劇場からパクリだと抗議を受けたのを皮切りにサントリーのトートバッグ、名古屋の東山動植物園、ヤン・チヒョルト展など次から次へとパクリ疑惑が出るに及んで、デザイナー自ら”白旗”を上げざるを得なくなってしまった。

 それでも佐野氏はデザイン界で生きていく積もりなら、潔白を主張し続けることはできたし、そうするべきだったのだろうが、大会組織委員会からの説得で、自ら白旗を上げざるを得なくなってしまったようだ。確かに似たようなデザインを作成したということで佐野氏は責められるべきかもしれないが、選んだのは審査委員会であり、組織委員会でもある。責任の一端は審査委員会、および組織委員会にもあるし、そうした言動をすべきであるのに佐野氏に全責任を負わせたような形にもっていった。組織委員会の事務総長の武藤敏郎氏は官僚のトップともいうべき財務省の事務次官を務めた御仁で、責任を回避するのには長けた人物である。佐野氏の手をひねることなど簡単にやってのけることだろう。

 大体にデザインなるものは趣味的なもので、主観を伴うもので、万民の支持を受けることなどありえない世界なのである。鈍想愚感子もイベントの主催に関わったことがあり、イベントの来場を促すためのポスターを広告代理店には宙したことがあり、その時に広告代理店は2、3の候補を持ってきて決めてくれ、と言ってくるような局面に立ち会ったことがある。いずれも素人ばかりに決められるわけがないので、イベントに関係する人を集めて、相談し、最後は投票で決めることにしていた。そして決めたら、だれがなんと言おうとそのまま走ることにしていた。ポスターの出来がいいから来場者が増えるというものでもない、と達観していたこともあった。

 国立競技場にしろ、エンブレムにしろ、かつてはこうした国を動かす一大イベントには広告代理店の電通が仕切っていて、政治家から企業、マスコミ、世論を含め関係者一切に根回しをして、スムーズに回るような画策していた。それが今回はそうした役回りをおするような人なり、組織がなくなってしまい、ネットで反発する世論を制御できなくなってしみ、最後は屈服せざるを得なくなってしまったのではなかろうか。それとも電通にかつての神通力がなくなってしまい、電通といえどもコントロールできなくなってしまった、ということなのだろうか。特にネットの世界は電通でも対応できなくなってしまった怪物となったということなのだろう。考えてみれば、電通が神通力を発揮できたのは新聞、テレビを抑えていたからだが、いまやそれらに代わってネットが生み出す声が世の中を動かす時代になってきたということだ。

追記 後日、組織委員会の委員であり、エンブレムの審査委員会の8人の委員である人物が電通の社員であることが判明した。45歳の高崎卓馬なる人で、他の審査委員の選定を行ったのがこの高崎氏だ、という。ということは佐野氏の修正したことも知っていた唯一の審査委員ということになる。佐野氏が電通のライバルである博報堂の出身でることは周知の事実で、今回のエンブレム白紙撤回は電通が仕組んだことだ、との説もある。しかし、電通の高崎氏が最初からからんでいた仕掛け人となるとそうも言えなくなってくる。電通は2010年オリンピック招致にどっぷり絡んでいままでのように裏で操っていたことになる。それでもこのザマは電通の思い通りに進まなかった、というこおtなのだろう。ネットの世界はいかに電通といえども左右できない、と理解するしかない。

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