鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

色あせた?織田信長

2006-01-29 | Weblog
 過日、東京・新橋演舞場で公演していた「信長」を観賞した。平日のもかかわらず特に若い女性で会場は満員なのにまず驚いた。主演の市川海老蔵は一昨年に新之助から襲名した海老蔵襲名披露公演が終わって初めての出演ということでの人気が高いこと、それに新年早々に小泉首相が観賞したことがマスコミに大きく取り上げられたことで人気がさらに高まったこと、そして、時代が出世の秀吉、安定の家康よりも改革の元祖である信長を求めていることが観客増に結びついているのだろう。
 舞台で波乱万丈の信長の生涯をどのように描くのか、ということと合戦シーンをどのように処理するのか、の二点に興味があった。まず、合戦に臨む馬に乗った武者をシルエットで浮かびあがらせたシーンで幕開けし、かぶき者姿で幼い妹、お市と戯れる信長で海老蔵は登場する。そのまま、父信秀の葬儀の場面から後に義父となるマムシの道三との対面シーン、桶狭間の合戦シーンへと続き、天下統一への道を歩む。
 第二幕は征服した稲葉山城で宣教師、フロイスと対面し、世界への目を開く。そして妹お市を浅井長政へ嫁がせ、比叡山を焼き討ちし、安土城と作り、キリスト教の布教を認め、楽市楽座の制を敷き、改革者としての側面が浮き出る一方で、命に従わない者に対しては平気で切り捨てる非情な面も目立つようになり、最後は本能寺にて腹心、明智光秀に討たれる。で、天に召された信長は冒頭のかぶき姿で己れの一生を回顧して終わる。
 主演の市川海老蔵にとって信長を演じるのは確か2回目とあって肩に力が入らず、淡々と演じて自然な演技のせいか、特に迫力を感じなかった。仲間の歌舞伎役者を動員しての熱の入った合戦シーンは見ごたえあったし、舞台まわしは流石という感じがした。共演のお濃役の純名りさはそれなりの演技かもしれないが、やや年齢的に無理がある気がした。それと、桶狭間合戦前に信長が辛若舞「敦盛」を舞った際に空鼓を打っていたのにはがっかりした。
 小泉首相が観賞した時にはまだ総選挙圧勝の余韻が残っていて、小泉首相に信長をだぶらせて見る向きもあって、格好の話題となった。ところが、その後、ホリエモン・ショック、米国産牛肉再輸入禁止と立て続けに小泉首相の心肝を寒くさせるような事件起きて、小泉首相を信長になぞらえて見るような人はいなくなった。で、この公演「信長」人気も凋んでいるかとも思っていたが、どっこい信長人気は相変わらず高いようだ。考えてみれば、チケットはそんな短期的な変化はまず反映しない。それに庶民は健全というわけだ。
 たまたま、昨28日に発売となった沢口靖子主演の4月公演の演劇のチケットを申し込もうとTELしたところ、希望のスケジュールではすべて完売していた。景気は確実によくなっている、ということか。
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