鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

ベルリン・フィル指揮者となる佐渡裕が主役だった「題名のない音楽会」

2010-05-18 | Weblog
 17日は東京・初台の東京オペラシティでの「題名のない音楽会」の公開番組収録に行った。毎回、収録の始まる数分前に司会の佐渡裕が舞台に現れ、近況などを語ることになっており、今回は先週の12日に「来年のベルリンフィルの定期演奏会に佐渡裕が指揮することになった」と発表されて以来、初めての公式の場への顔見せで、果たして本人がどう言うのか注目していた。すると、自分の方から切り出し、「実は翌日の13日は偶然誕生日だったので、両方のお祝いをかねてか、メールを含めて携帯電話の着信音が鳴りっぱなしだった。着信だけで、携帯の電池が切れてしまうことってあるんですね」と喜びいっぱいで話していた。
 テレビでも紹介された小学校時代の作文に「将来の夢はベルリン・フィルを指揮すると書いたのは本当です。そうしようと決めて歩いてきたわけではないですが、ずっと思い続けてきたのは事実です。当時の担任の先生には演奏会が終わった段階で、直接報告したい、と思っています」と語り、「このことで、子どもたちに何か伝えることができたらいいな、ろ思ってます」と締めくくった。
 小さい時の夢が叶うのはうれしいことのようで、あとで考えたら、収録の間中、佐渡裕はずっとニコニコしていたような感じがした。前半の冒頭に指揮者の沼尻竜典氏の紹介をするのに呼び間違えるなど珍しくかんでいたし、途中のコメントでもいつになくハイテンションで、多少上がっているようだった。世界の一流の舞台を数々踏んでいるはずの歴戦の強者でもこんなことがあるのだ、と実感した。
 前半は「題名サマースクール、オペラってなぁに」と題してオペラ歌手が「蝶々夫人」、「ドン・カルロ」、「ばらの騎士」などのさわりを歌った。指揮者の沼尻竜典氏がオペラの楽しみ方を、ソプラノ、テノールの高い音程を歌う役は善い人で、バリトン、アルトの低い音程を歌う役は悪い人と解説してくれ、なるほどと思った。オパラ「イル・トロヴァトーレ」から「炎は燃えて」を谷口睦美というメゾソプラノ歌手が熱唱したが、響き渡る美声で会場を魅了した。歌い終わって、肩を両方に振りながら勇ましく退場していく後姿がなんともいえぬアンバランスで笑いを誘っていた。
 後半はことしデビュー45周年を迎えた加藤登紀子が「琵琶湖周航の歌」から「百万本のバラ」などを熱唱し、会場をうめつくしたシニア層の共感を呼んでいた。特に思い出深い「知床旅情」、「わが人生に悔いなし」には大きな拍手が湧いていた。宮崎駿監督の映画「紅の豚」のエンディングテーマとなった「時には昔の歌を」を歌い終わった際には1番と2番を間違えたとかで、すぐに歌い直したのには驚いた。
 ただ、年とって声量を落ちたのをカバーするためか、最初からいやにエコーの利いたマイクを使って歌い、歌詞がよく聞き取れない感じがした。加藤登紀子の歌を直接聴くのは初めてだが、テレビで聞いている限り、そんな感じは全くないのに不思議に思った。佐渡裕とのやりとりのなかで、「45年間ずっとアマチュアの精神で歌ってきた」と述懐していたのが印象的だった。考えてみれば、加藤登紀子は本格的に音楽を学んだわけではなく、なんとなく歌が好きで歌ってきたいわば素人が歌手になったような雰囲気があり、本人もそう思っていたのだ、と妙に納得させられた。
 佐渡裕が途中「お登紀さんとは今回初めてですが、いきなりベルリン・フィルの正式指揮者となったことを祝うために花束を持って現れた、のには驚いた」とうれしそうに話していた。それを聞いて今日の本当の主役は佐渡裕だ、と正直思った。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 湧きあがる坂本龍馬ブームに... | トップ | ヤクルトがうどんも作ってい... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事