とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「万能鑑定士Qの事件簿11」松岡圭祐/著

2011-08-30 21:45:53 | 読書
万能鑑定士Qの事件簿)ローマ数字11) (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


御馴染み、松岡圭祐のQシリーズ第11巻が先日発売されていた。このところ、ほぼ2カ月おきに発売されており早くも11巻と凄いペースで書かれている。このシリーズは、ミステリーながらまだ一度も殺人事件が起こらず、一人の死者も出ない異色の小説である。しかも、ヒロインは若くて美しい女性で、抜群の記憶力と知恵で事件を解決していく。読みやすく、面白い。しかも最新の話題も盛り込み、雑学満載で、読みながら知恵もつくという大好きなシリーズである。これだけは、図書館で借りるのは待ち遠しく、自腹で毎回買っている。

今回の内容を簡単に紹介する。

一見(いちげん)さん歓迎 京都の謎、面白くて知恵がつく 人の死なないミステリ ―

わずか5年で京都随一の有名スポットになった音隠寺。そこは、あらゆる願いがかなう儀式で知られていた。京都に赴いた凜田莉子は、住職・水無施瞬によるトリックをほぼ見抜くが、決定的証拠を握れずにいた。止められない瞬は、次の話題づくりに安倍晴明の式盤を狙う。所在不明の式盤を密かに探し、盗むつもりだ。「国宝」にたどりつくのは莉子か瞬か?かつてない敵を相手に、究極の頭脳戦が始まる。書き下ろし「Qシリーズ」第11弾!

今回の内容をさらに詳しく書くのはやめておくが、いくつか面白いエピソードを紹介する。

「奈良の大仏(ならのだいぶつ)」
これだけ書くと、なんだ奈良の東大寺の大仏のことだと思ってしまうが、実は、千葉県市原市奈良字大仏台に建立された釈迦如来像のことなのだ。常識的には「奈良の大仏」といえば、東大寺の大仏だと思ってしまうが、公式の呼び方で「奈良の大仏」というと千葉県市原市の大仏のことを言うらしい。作品中でも、常識に囚われた人たちの勘違いを、うまく謎解きに生かしている。私も、まったく勘違いしていた。

「数字のマジック」
数字がダブらないような四つの数字を挙げてみる。例えば、3562とする。この数字を大きい順と小さい順に並び替えてみる。すると6532と2356になる。そして、この差を求めると4176となる。4167をまた同じように、大きい順と小さい順に並べてみると7641と1467になる。その差は、6174だ。その後も同じようなことをしても答えは6174になる。どんな数字の組み合わせでも、最後は6174になるのだ。実に面白い。こんな話が他にもいろいろ出てくる。

「安倍晴明の六壬式盤」
平安時代の陰陽師安倍清明が用いたという重要事を占う時必ず用いた「六壬式盤」を、探していく件が伝奇小説を読むようでワクワク感がある。上記の数字のマジックも、お宝を探していく上で、重要なポイントとなる。

松岡圭祐という作家は、ありとあらゆるジャンルの知識が頭に入っているとしか思えない。最新の流行、コンピューター、インターネット、ファッション、車、歴史などの話題がさりげなく書かれているが、呆れるほど専門的なことが細かく記載されている。これだけでも勉強になる。最近のヤフーオークションの入札テクニックは、非常に興味深いしこれを読むと参考になること間違いない。

そして、今回から新たなる進展があった。それは、ヒロインの凛田莉子にも恋愛感情の兆しが見えたことだ。今までは、トリックの解明だけの話で終わっていたが、作者にも余裕が出てきたのだろうか。11巻の最後は、ヒロインと相手の男性との今後を予見させるようなエピソードが書かれている。しかも、住職・水無施瞬によるトリックが、最後にも上手く使われてる。なかなかニクイ結末であった。

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