prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

2月15日(木)のつぶやき その1

2018年02月16日 | Weblog

「グレート・ディベーター 栄光の教室」

2018年02月15日 | 映画
デンゼル・ワシントン監督第二作。
公民権運動のずっと前、1930年代に全米討論選手権で優勝したワイリー大学の実話の映画化。

デンゼルやフォレスト・ウィテカーといった有名俳優は実は脇にまわって若い出演者と役を立てた作り。
若い出演者が教師役のデンゼルからカメラの前と後ろで指導を受けているような感もある。

ディベート、というとしばしば三百代言的に相手を言い負かす、うまいことを言って人気をとるためのテクニックにすりかえられだが、ここでは言葉による説得という本来の意味を手放さない。

論理性、簡明な表現、などももちろん重要だが、最終的にどこまで自分の言葉、体験と肉体にのっとった言葉になっているかが最終的に問われる。俳優の表現の核のようなものに触れるようでもあり、俳優だけに限った話でもないだろう。

14歳の少年役で出演しているデンゼル・ウィテカー(1990生)はフォレスト・ウィテカーの息子かと思ったら関係ないのだと。ただしデンゼルという名はデンゼル・ワシントンからとったものらしい。ややこしいね。「トレーニング・デイ」にも出ていたという。

脚本のロバート・エイゼルはテレビ版の「イコライザー」のプロデューサー、「女刑事キャグニー&レイシー」の脚本家でもあるという。
(☆☆☆★★★)


2月14日(水)のつぶやき その2

2018年02月15日 | Weblog

2月14日(水)のつぶやき その1

2018年02月15日 | Weblog

「アバウト・レイ 16歳の決断」

2018年02月14日 | 映画
原題は 3 Generations(三世代)。
スーザン・サランドンとリンダ・エモンドのレズの夫婦と、サランドンの娘でシングルマザーのナオミ・ワッツ、さらにトランジェンダーのその子供(女の子として生まれて育ったけれども男の子になるつもり)のエル・ファニングといったそれぞれ性的に定型ではない三世代を描く。

オープニングで並んでいるのは全員女優で、男は出てこないのかと思うとおいおい出てくるのだが、正直その役割はかなり曖昧。
ワッツの別れた夫はきちんと養育費を払っているらしいがまったく子供とは会っていない、という設定がやや腑に落ちないのと、なぜ別れたのかという理由が割と後付けでムリにドラマチックな綾をつけているみたいで、どうも収まりがよろしくない。

エル・ファニングがショートヘアで登場、途中でもっと短くするからボーイッシュにはなるけれど、肌のきめの細かさとか白さはやはり女の子のもので、観客とすると見た目を通して感じるしかないから男になりたがっているのかどうなのか、どうもつかみにくい。

全体にドラマとしての進展とか結末が曖昧で、設定段階からあまり出ないで終わってしまう印象。ニューヨークではこういう一家もありうるのかという興味はある。

1998年生まれのファニングは当然として1946年生のサランドンも1968年生のワッツも肌がつやつやしてます。エモンドが割と皺が深いままだからおそらく修正ではないでしょう。
(☆☆☆)

アバウト・レイ 16歳の決断 公式ホームページ

アバウト・レイ 16歳の決断 - 映画.com



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2月13日(火)のつぶやき

2018年02月14日 | Weblog

「羊の木」

2018年02月13日 | 映画
殺人犯を受け入れる地方自治体の話とするとヘタすると昔の善導映画かやたらと暴力的なサスペンスになるかしがちなのを、カタストロフに向かう者と共存する者と両方危ういバランスをとっていること自体が通常のサスペンスとはまたスリルを出している。

異人と遭遇する場合のさまざまなモデルケースを、自治体としてはできれば避けたい元殺人犯同士の遭遇も含めて描いている厚みが見もの。

冒頭の六人の元殺人犯たちが一人づつ別々の交通機関でやってきてからとる食事がラーメン・ギョーザ・チャーハンのセット、パフェ、ソフトクリームといった嗜好性の強いものばかりだったのがストーリーの中心に来る松田龍平だけまともな市役所推しの魚料理(舞台になる街が魚深市という名前なのがまた可笑しい)のセットを食べる、というあたりから人物描写が個性とアンサンブルを両立させて好調、キャスティングが細大もらさず適切、女優さんたちがそれぞれ色っぽい。

錦戸亮が常識人そのものといった市役所職員をきっちり演じて癖の強いキャラクター(と役者)たちを受けて全体の軸になっているのに感心する。

松田龍平の異人ぶりは(あまりいつまでも言うのは何だが)父親譲りで凄みと変な愛嬌を混ぜてくる持ち味がよく出た。

前から思っていたが、北村一輝のマスクはなんだか原作の山上たつひこの漫画の半田溶助に似ているなあ。
エンドタイトルが「THX1138」「セブン」に「CURE キュア」を混ぜたようで凝っている。
のろろという架空の祭りのテイストはちょっと諸星大二郎みたい。
(☆☆☆★★★)

羊の木 公式ホームページ

羊の木 - 映画.com



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2月12日(月)のつぶやき その2

2018年02月13日 | Weblog

2月12日(月)のつぶやき その1

2018年02月13日 | Weblog

「ゴッホ~最期の手紙」

2018年02月12日 | 映画
ゴッホが弟のテオに送った最後の手紙をゴッホの有名な絵のモデルになった郵便配達の息子が預かり、やはり絵のモデルになった医師ガシェのもとに届けようとするが、届けるまでにさまざまなゆかりの人たちの間を転々として、それらの人たちからゴッホの話を聞いてまわる、という「市民ケーン」調の構成。
「市民ケーン」同様に違う人から見たゴッホ像がそれぞれかなり違っていて、死因についても色々な推論が混ざる。ただ完全にフィクションとして飛躍するわけではなくドラマ作りとするとやや中途半端。

何といっても見ものなのは映画の画面そのものがゴッホの絵を再現した油絵が動く、というところで、改めて見てみるとゴッホが身近な人々を大量に絵にしていることに気づく。
そのあたりが神や聖人を描いた宗教画から実在の王侯貴族を描くようになりさらにふつうの人々と描くようになった近代絵画の祖という所以でもあるのだろう。

また生前のゴッホがついに無名のままであり何者でもないところが職を失ってあちこちふらふらしている案内役の郵便配達の息子にだぶり、それがまたゴッホの絵に描かれた何でもないような多くの人々が画に描かれたことで世界的に有名になったというアイロニーが現れてくる。

アニメというよりしばしば実際の人間をトレースしたロートスコープの画面の感触になる。
回想でたびたび白黒になるのが絵画でのクロッキーやスケッチというより実景を白黒で撮ったのに近い感じになり、さまざまなリアリティの階層を行き来する感。

油絵が動く、というアニメはハンガリーの「英雄時代」がある(ニコ動で見られる)し、水墨画が動く中国製の「牧笛」というアニメもあった。バカみたいな感想になるが、よくやるなあ。

「ゴッホ~最期の手紙」 公式ホームページ

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2月11日(日)のつぶやき

2018年02月12日 | Weblog

「戦闘機対戦車」

2018年02月11日 | 映画
73分とおそろしくコンパクトな上映時間、タイトルそのまんまに戦闘機一機と戦車一台が砂漠で戦うというシンプル極まるお話からして「激突!」みたいにテレビ映画ではないかとIMDbで調べてみたら(原題はDeath Race)、案の定。

ただしIMDbの記述では90分になっている。日本語吹き替えも選べるのだが、部分的に吹き替えがなくて字幕だけになる。NET(今のテレビ朝日)で放映された時の吹き替え版の音声を収録したけれどカットしたところまでは補えなかったということかもしれないが、ただでさえ短いのよりもっと短くしたということか?

「激突!」は1971年で、これは1973年だが、特に影響がどうこうというのではなく、当時のテレビ映画は金のかかったスペクタクルではなくてシンプルなワン・アイデアで勝負することが多かったということだろう。
見たことはないが、船が台風の眼に入ったまま移動して難を逃れ続けるなんていうのがあったらしいし、「新幹線大爆破」「スピード」の元祖みたいな「夜空の大空港」(高度が一万フィート以下になると爆発する爆弾が飛行機に仕掛けられる)なんていうのもあった。

この場合、飛行機が飛べなくなって地面を走るだけで戦車に追われるというのがちょっとユーモラスでもあるし、ちょっと飛ぶところが効くことになる。
ドン・シーゲル監督の「突破口!」のクライマックスみたいだが、なんと同じ1973年製作。こちらが本国アメリカでは6月公開、「戦闘機対戦車」の放映が11月。パクったのだとしたら、むしろ大した早業だと感心すべきだろう。

アメリカ側のロイ・シネスはやはりテレビの「インベーダー」で有名な人で、監督のデヴィッド・ローウェル・リッチもほぼテレビで仕事していて劇場用映画は「エアポート80 コンコルド」くらい。スピルバーグみたいな冴えはないが、シンプルさに徹していて脱線しないからつまらなくなりようがない。

ロイド・ブリッジスが珍しくエキセントリックなドイツ士官を演じていて、ドイツ軍でもまともな神経の持ち主のドイツ兵との間のドラマはちょっと「ケイン号の叛乱」の戦車版みたいな感じもある。
ドイツ側部下をやっているエリック・ブリーデンという人は本物のドイツ生まれ。「タイタニック」にも出ていたらしい。
(☆☆☆★★)


2月10日(土)のつぶやき

2018年02月11日 | Weblog

「ル・アーヴルの靴みがき」

2018年02月10日 | 映画
先日の「希望のかなた」に先立つアキ・カリウスマキの移民難民不法入国を扱った映画。

ただ、移民を受け入れるわけではなく警察の眼を逃れさせて他の国(この場合イギリス)にフランスから渡るのを手助けするだけなので、移民問題とすると割と話が簡単で済んでいる。

カリウスマキ調というか独特の間合いによるユーモアや、貧乏くさいようで背景が入念に色分けされて目を楽しませるようになっている画面作り、犬を含めたおなじみのメンバーがぶすっとした顔をしながら主に音楽で人生を楽しんでいる感じなどは相変わらず。

これが一歩社会劇的に踏み出さざるを得なくなるだけ状況の方が変わったのだろう。

「ル・アーヴルの靴みがき」 - 映画.com



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2月9日(金)のつぶやき その2

2018年02月10日 | Weblog