prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「羊の木」

2018年02月13日 | 映画
殺人犯を受け入れる地方自治体の話とするとヘタすると昔の善導映画かやたらと暴力的なサスペンスになるかしがちなのを、カタストロフに向かう者と共存する者と両方危ういバランスをとっていること自体が通常のサスペンスとはまたスリルを出している。

異人と遭遇する場合のさまざまなモデルケースを、自治体としてはできれば避けたい元殺人犯同士の遭遇も含めて描いている厚みが見もの。

冒頭の六人の元殺人犯たちが一人づつ別々の交通機関でやってきてからとる食事がラーメン・ギョーザ・チャーハンのセット、パフェ、ソフトクリームといった嗜好性の強いものばかりだったのがストーリーの中心に来る松田龍平だけまともな市役所推しの魚料理(舞台になる街が魚深市という名前なのがまた可笑しい)のセットを食べる、というあたりから人物描写が個性とアンサンブルを両立させて好調、キャスティングが細大もらさず適切、女優さんたちがそれぞれ色っぽい。

錦戸亮が常識人そのものといった市役所職員をきっちり演じて癖の強いキャラクター(と役者)たちを受けて全体の軸になっているのに感心する。

松田龍平の異人ぶりは(あまりいつまでも言うのは何だが)父親譲りで凄みと変な愛嬌を混ぜてくる持ち味がよく出た。

前から思っていたが、北村一輝のマスクはなんだか原作の山上たつひこの漫画の半田溶助に似ているなあ。
エンドタイトルが「THX1138」「セブン」に「CURE キュア」を混ぜたようで凝っている。
のろろという架空の祭りのテイストはちょっと諸星大二郎みたい。
(☆☆☆★★★)

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